トップページへ

第83話 我らファミリーフィッシング隊 ふたたび

 「初心者でもお手軽に50匹100匹釣れる」
 そんなキャッチフレーズにつられてアジ・イワシの「サビキ釣り」にチャレンジしたが、だまされた。これ以上ない小物。「引き」「アタリ」は感じられない。これでは物悲しすぎる。そこで、場所を大幅に変えることにする。「堤防からメバルが狙える」とかいう場所である。
 メバルは春告魚とか言われ、クリッとした丸い目、白身の淡白な味わい煮付けにすると非常に美味い・・・らしい。ぐふふ。よ、よだれが・・・。

 我が家はキャッチフレーズに踊らされる傾向があるものの、それも楽しみのひとつ。大型釣り具チェーン店でメバル用サビキセットを選びながら、大物を夢みて、車で2時間半ほどの釣り場に向かう。
 途中山道に入ると、がぜん雲行きが怪しくなった。雨がバラバラとフロントガラスを打ち付ける悪天候。濃いモヤがモヤモヤと立ち込め視界がきかない。釣り、できるだろうか?

 願いは天に通じるものらしい。昼食後、雲間から太陽がのぞきだした。天気の良いうちに釣り開始。お手軽な仕掛けに、噛まれるとかでお手軽にはつけられないエサの青イソメを針になんとかかんとか付けて、海に投入。
 いきなり、子どもの嬌声、アタリらしい。引き上げてみると、10cmくらいの小魚。メバルだべか? 目は決してつぶらでない。
 メバルだろうがなかろうが、とにかく初心者は釣れれば楽しいのだ。気をよくして、また投入。またアタリ。今度は模様が違う、オレンジ縞のラブリー系小魚。
 その後、この2種類の小魚が、パートナーにも子どもにも私にも、次から次へと釣れる。小物アジ・イワシのサビキ釣りの手応えが「ピピッ」ならば、今回はプルルン。我が家には大漁と言えよう。ちょっと出世した気分、天気もすっかり晴れ渡り、すがすがしい釣りとなった。柄の長い網でウニをすくってはその場で食べるオヤジの姿すらすがすがしい。

 開始から数時間、そろそろ潮時。
 はてさて、この小魚たち、釣ったからには食べたいが、名前も知らなければ料理法も知らない。そこはそれ専門家に聞くべしと、堤防近くの、港の魚屋さんに入る。エプロン姿で片付けをしているお姉さんに魚の名前と食べ方を聞いてみたが、分からないらしい。親切にも、奥の親父さんに声をかけてくれる。出てきた魚屋の親父さん、午後の4時だというのに既に酒臭い。大丈夫か?
 「これはネウッコ、これはハゼ」
 「ネ、ネウッコ? どうやって食べるんですか?」
 いきなりネウッコと言われても、何のことやら???である。そんな???を察したのか、魚屋の親父がネウッコはアイナメの子どもと解説してくれた。なかなか優しい酔っぱらいだ。
 アイナメは白身で美味い魚である。その子供なら、美味いに違いない。
 「・・・でも、ハセは食べない。いざ食べるとなっても、ダシだな」
と、酔っぱらい親父。後にリュウグウハゼと判明するが、そういえば、仙台では雑煮のダシが焼いて干したハゼ。それなりに美味しいという感じだが・・・今、ハゼの焼き干しを作る気力はない。

 ハゼはあきらめ、ネウッコを食べるしかない。ウロコを取らないとどうしようもないのだが、なにしろ手の平より小さいネウッコのウロコを包丁でかき落とす。これが8匹もあった日には、とにかくひたすらガショガショするしかない。寿司屋のコハダの偉大さが、ネウッコのウロコ取りでしみじみ感じられる。夕食はまだかと催促する子どもを横目で見る。刺身にはできないし、ここにある材料では3枚に卸してムニエルか。3枚卸し・・・、コハダって偉大だ。

 小麦粉を付けて、バターで炒める。身が徐々に縮んでいくのは仕方がない。キツネ色、バターの香ばしい香り。お皿に盛りつけて、白ワインと共に全員で頂く。食べて香ばしいが、やはりそこは一口大のムニエル。若干のもの悲しさは残る。

 「堤防からメバルが狙える」釣り場で、仕掛けもOK。だけんどもしかし、メバルの煮付けがない。次回のために原因究明に乗り出す。あらあ? メバルは夜行性、釣るなら夜にどうぞだって。もうワイン飲んで車出せないじゃん。ウイック。

パートナーのひとこと

 次の大潮はいつだ?

トップページへCopyright (C) 2003 k-ogasa. All Rights Reserved.

たぶん12万