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第88話 子どもの気まぐれレストラン

 「レパートリーが増えない」6年生になる子どもが、こんな事を言いだした。年に数回、料理をするだけでは、レパートリーも増えないし料理も上手にならない、と言う。それなら、毎週土曜日のディナーはお任せしてみよう。
「やってみる?」
 こうして、土曜の夜だけの「気まぐれレストラン」開店の運びとなった。
 
 ディナーであるからには、カレー1皿だけ、というのはダメ。一汁三菜とまでは行かなくても、野菜やタンパク質のバランスの取れたメニューを考えて欲しい。子供にアドバイスしつつ準備をしていくと、料理というのはこんなに労力がいる物か、と改めて驚く。

 初回、子供はイカのバターライス詰め・トマトソース煮、グリーンサラダ、バケット、バナナチョコのメニューを考えた。
 材料を書きだし、家にないものを買う。料理の手順を考え、冷たいものから作る。夕食の時間に合わせて下拵えをし、調理していく・・・・・・・。
 イカの料理は、私が作ったときに手伝わせたので、作り方は知っている。トマトソースを市販の物にすれば、そう時間もかからないだろうと思っていた。しかし、やってみると大変だ。一つ一つの作業は出来る。しかし並行して2つ、3つの作業は出来ない。あっという間に30分、1時間と過ぎていく。「おと!ヘルプ!」パートナーが助手に駆り出された。私はテーブルセッティングを手伝い、飲み物の用意をして待つ。キッチンからは料理しているとは到底思えない笑い声や嬌声が響いてくる。
「あれ?」「うわっっ!」「どんがらがっしゃ〜〜〜ん」
 ・・・心に蓋をして、聞こえない振りをする。
 予定時刻から45分遅れて、待望のディナータイムとなった。「お疲れさま!ありがとう!かんぱ〜〜い」どれ。「うん、うまい!!」大きな身の厚いイカで食べ応えがある。パートナーがバターライスをフライパンで炒めて作ったため、香ばしい。サラダも、子供自身は嫌いなくせに、私が好きなアスパラを使ってくれた。ほっとして、ついついワインが進んでしまう。

 離乳食を手づかみで食べ散らかしていた子どもが、火と包丁を怖がってガス栓もひねれなかった子どもが、玉ねぎを切るときにマスクとゴーグルをしていた子どもが・・・。感無量である。こんな日が来るんだね、パートナーと私はしみじみ幸せに浸った。
 ふと見ると子供がどろんとした目をしてあくびをしている。
「眠い・・・」
 まあ、これで後片付けまでやれと言ったら、レストランの存続が危うい。片付けは我々が引き受けて、子供は早々に床についた。そして第2回、ハンバーグメインのディナーのときも、子供は8時前には眠くなり、とっとと就寝した。料理するって、こんなに神経を使うものなのか、毎日当たり前にしていることの大変さを子どもを通して、改めて目の当たりにした私たちであった。

教訓

 料理上手な人は、頭がいい!!?

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