トップページへ

第97話 グエエなスープ

 皆さんは、ヨガをやったことはあるだろうか? 深い呼吸と、筋肉を柔らかくすることで、新陳代謝を高めて、身体に溜まった老廃物を外に出す健康法である。ぱっと見は柔軟体操で、ポーズのたびにグエエという感じである。だけんどもしかし、30分もやれば、汗はジットリ、気分はスッキリ、爽快である。

 天気のよい土曜日。このヨガでグエエしながら考えるのは、近づいてくる子供の誕生日のこと。プレゼントはテレビゲームを前渡ししたので、あとは料理である。問題は、
「ステーキなんて焼くだけだから簡単だよね」
と上目遣いの子供だ。最近メキメキと料理の腕を上げているのだ。こちとら単身赴任の身、じっくり1週間デミグラスソースを煮込むなんてことはできない。

 グエエ、ムギュウと悩んだあげく、近頃手を染めていない魚のスープにすることにした。先日行った漁港・塩釜のレストランで食べた魚のコンソメスープが絶品だったのだ。海の香とコク、しかもスッキリと、皿の底がはっきり見えるほど透き通っていた。あれを再現してみたい。
 ヨガでスッキリ爽快になったところで、魚料理でどうかと打診したところ、スッキリOKが出た。

 材料と作り方を、ネットで検索する。夏なら スズキ、鯛、キス、秋なら太刀魚がよい・・・と。鯛なら味は申し分ないが、値段に申し分がある。仙台は、魚が豊富、近くのスーパーに行けばなんとかなんだろう。

 作り方も、いたって簡単。ぐはは。魚のアラとタマネギスライス・セロリ・ローリエを水から30分くらい煮る。それを漉した後、軽く角が立つくらいに玉子の白身を泡立てたメレンゲを加え、混ぜて煮る。このメレンゲが濁りを取り、どこまでも透き通ったスープにしてくれる。最後に、魚の身を入れて火が通れば、完成。簡単簡単。ぐはは。

 パーティーの前日、スーパーの鮮魚コーナー。直行すると、発泡スチロールに、氷を引いたスズキが、私を待っていてくれた。丸ごと1尾スッキリとゲット。だけんどもしかし、自分では三枚おろしはしない。これまでの私なら、「やってやるぜえ!!!」とばかりに、ウロコを取り始めるところであるが、白身魚の柔らかい身を、ボロボログズグズにした経験者。ここはグッとこらえて、鮮魚コーナーのおじさんにお願いする。よろしく! サクサクッとさばき終わったところで、笑顔で受け取る。もちろんアラは、忘れないぜ。

 セロリをザックザク、タマネギをスラスラ、涙がホロリ。こいつらを煮たところで、出汁はすぐに取れた。少し黄色がかった色、海の香を鼻の奥深くまで吸い込む。ふ〜む、うまそうだ。海の匂いは、海で溺れた時のことを思い出すから嫌いだと、誰かが言っていたが、とても損な思い出である。

 濁っている。今回は海のような透明・ヨガのようなスッキリ・爽快がキーワード。濁り取りのメレンゲの出番。スッキリ前のグエエなのだ。泡立てはケーキで鍛えている。玉子をパカッ、ハンドミキサーでギューン、スープに投入。

 これでスッキリ・・・爽快・・・あれ?  かき混ぜる。あれ?  こしてみる。あれれ? 一向にスッキリしない。きっと老廃物がメレンゲにくっ付いて新陳代謝しなかったのだ。もっと良く混ぜてやればいいに違いない。再び、パカのギューンと投入。グーリグーリグーリグーリグーリグーリ。

 ふむ、よけい濁ったような気がする。老廃物をため込んでどうするよ。火をもっと通せば、玉子が固まる。そこをこせば、一網打尽でスッキリだ。

 煮てみる。ふつふつと、細かな固まりが対流する。こしてみる。ぶ?む、だめなんだ。時間切れだ。スズキの身を軽く煮込む。半煮え状態が、ベストで、すぐ出来上がり。スープ皿に盛りつけて、完成。

 ふっ、明らかに濁っている。しかも、細かなメレンゲがふわふわと漂うのが見える。
 「いただきます。」
 ふっ、鮮烈な海の香も、魚のコクも、まったりとした玉子味に溺れぎみだ。グエエ。

 子供やパートナーには、「その他」の料理の評判が良く、美味しいと食べてくれる。だけんどもしかし、スッキリしねえ!!

 ヨガにだって、筋力トレーニングの要素を取り入れ、グエエ感をさらに増したパワーヨガというものがある。パワー三角ポーズでグエエエ、ムギュウウしながら、玉子の悔しみを思い返す。今度こそ、どこまでも透明で爽快なスープで、スッキリしてやるぜ。グエエエエ・・・・

パートナーのひとこと

 結局、何が原因だ?

トップページへCopyright (C) 2005 k-ogasa. All Rights Reserved.

たぶん12万