トップページへ

第103話 臨時単親家庭生活 第1回 梅干戦争篇(全2回)

 パートナーの親の具合が悪くなった。近々に仙台の病院に入院することになり、その準備やらお見舞いやらで、パートナーが何日か千葉から手伝いに行くことに決まった。病気や治療の内容、保険手続きのことをインターネットで調べ、兄弟に電話をかけまくり、パタパタと働いている。パートナーの頭の中は、病人の心配、入院の準備、旅の身支度と、いろんなことで一杯一杯のはず。では、この私にできることは何か。パートナーの話を聞き、快く送り出し、その留守を預かり、平静を保つこと。一通りの家事はできるし、子供も簡単な食事の支度くらいはできる。パートナーが出かけている間は、親一人子一人の単親(たんしん)生活というわけだが、なんとかなる・・・たぶん・・・と思うから、心置きなく行ってきて欲しい。と、こんな訳で、パートナーは後ろ髪より前髪を引かれる思いで、仙台に出かけて行った。

 単親生活初日の朝は、いきなり時間との闘いで幕を開けた。予想はしていたものの、仕事に出かけるまでに、(1)身支度 (2)朝ごはん (3)後片付け (4)洗濯 を息つく暇もなく次々とこなし、やっとこさ出勤にこぎつけた。やることは分かっていても、体がついていかなかったのだ。朝に弱い私が、がんばっていつもより早起きをしても、出勤は30分遅れという有様である。
 それでも、子供を学校に送り出せば、日中は何とかなるが、夜もほったらかし、というわけにはいかない。この頃は、子供が事件に巻き込まれたとか、放置して死なせたとかいう物騒なニュースをよく耳にする。留守を預かる身としては、とにかく仕事から早めに帰ることにした。
 夜。早めに帰ったはいいが、普段は子供と長時間二人きりということが少ない。何を話したものか、ちょっと困る。仕事の話をしても、面白くもないだろうし。と、そのうち子供の方から話しだした。部活で腕にあざが出来た、今度の練習試合は頑張る、といった話。家ではだらけて伸びきった姿しか見ていないが、学校では結構頑張っているらしい。ふむふむ。
 こうして、初日はなんとかなったようだ。

 もう一日もなんとかやり過ごした、次の土曜日。
 土曜の朝といえば、ゆっくり起きて、快い日差しに目を細めながら、お紅茶を頂く、という、優雅で何もかもが新しい気分を味わえるものである。
 だけんどもしかし、優雅で何もかもが新しいはずの土曜にも、試練はやって来た。朝早くに部活に出かけるというのだ。ゆっくりの朝が、いきなり戦争である。弁当を作れ、日の丸弁当はダメだ(梅干好きのくせに)、おにぎりにしろ、というのだ。とにかく、(1)冷凍食品リストを確認 (2)ギョウザ・棒々鳥味から揚げ・ソーセージにプチトマトを弁当箱にぶっ込む (3)おにぎりを無理やり三角形に握って詰める で、完成。休む間もなく、朝食のトーストの準備を始め、30分後には、送り出し完了。ほへ〜。平日よりも戦争である。
 この梅干戦争のおかげで、体はだるいが、頭はすっかり活性化してしまった。その勢いのままマシーンになって、昼までに洗濯と掃除を、んがーっと終える。
 ここで、ついにバッテリー切れ。疲れた身体に日差しが痛い。もうすっかり、一日が終わっちゃった気分である。

 第2回 習慣は恐ろしい編に続く。

トップページへCopyright (C) 2006 k-ogasa. All Rights Reserved.

たぶん12万