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第104話 臨時単親家庭生活 第2回 習慣は恐ろしい篇(全2回)

 何もかも新しい気分で、お紅茶などを頂く土曜日の朝のはずが、入院する親の手伝いに、パートナーが出かけているため、部活に出かける子供に、おにぎりと冷凍食品の弁当を持たせるためてんてこ舞いになってしまった。その勢いで、洗濯と掃除まで、んがーっと終わらせてしまった。さすがに、ここでバッテリーが切れて、すっかり一日が終わった気分になってしまった。
 でも、このまま一日を棒に振るのは、もったいなさ過ぎる。そこで、「だめなんだ〜」のブログなどを作りながら、高ぶった気持ちを静め、しばし充電を図る。そこに、パートナーから,病人は割りと元気そうだという電話が入った。病人の顔を見たら、気力もあり、思ったより顔色もいいという朗報である。パートナーの明るい声を聞いて、私も少し安心した。さらに、仙台の親戚の家でワイワイとピザを食べるんだと、楽しそうな声が、電話の向こうから聞こえてくる。なんだか、寂しくて、うらやましくて、悔しい。こっちも夕食はピザとビールにする。ささやかな反抗である。プハーッ。どうだぁ。

 だいぶ充電された日曜日は、部活はあるが弁当はなし、梅干戦争もなしという、とても平和な日であった。そんな平和な時でも、やることはある。平日の夕食でコンビニ弁当が多かったせいか、野菜不足だと子供が言ってきた。普段から野菜を食べつけていると、このように体が野菜を要求するようになるのだが、これも、パートナーの地道な野菜消費活動の賜物である。私も禁断症状が出だしているため、午後からおもむろに、ゴロゴロ野菜シチューの準備を始める。ジャガイモ・ニンジンをゴロゴロっと切って煮るだけで、超カンタン、間もなく出来上がった。その後は、お紅茶などを頂きながら、ゆったりと子供の帰りを待つ。予定通りに、夕方には部活から帰ってきた。二人でシチューをゴロゴロと食べながら、誰々が一級試験に合格したという子供の話を、ここ何日かと同じように聞く。
 夜遅くなって、ようやくパートナーが帰ってきた。少し疲れた様子である。パートナーも私も安心したせいか、肩と胃から力が抜ける。なんだかようやっと、本当に休日が終わったような気がした。

 それで、すべて終わるはずだったのだが、実はそれだけでは済まなかった。優雅でも新しくもない土曜日に加えて、最後の最後に力の抜けた日曜日になったせいで、身体の曜日感覚が、すっかり狂ってしまった。月曜日から毎朝、仕事に出かける支度をしている時に、明日はついに休みだ、ついに休みだ、と思ってしまうのである。力の抜けた日曜日を、力の抜けた金曜日と勘違いしているらしい。仕事にも若干ではあるものの、気合が入らない。習慣とは、実に恐ろしい。

 何日か経ち、再びゴールデンウィークに、パートナーが仙台に行くことになった。やっぱり部活の子供の世話のために、2回目の単親生活である。今回は少し慣れたようで、朝の梅干戦争も、かぼちゃのなんとかコロッケでしのぎ、休日の朝も、それほど気合を入れないようになった。どちらかといえば、ちょろいと言ってもよかろう。なにしろ、子供が部活から帰ってすぐに学習塾へ送り出すには、夕食は作り置きができる牛丼にした方がいいなとか、今日は子供の日だから、デザートにケーキを用意しておいてやろう、というくらいに、余裕を持ってこなしちゃったりしたのである。

 後で冷静になってみると、実はゴールデンウィークは塾もお休みだったんだとか、牛丼にケーキの組み合わせはいかがなものかとも思うが、子供から特に苦情もでなかったので、全くもってちょろいのだ。

 食後、子供が洗濯物の片づけを手伝いながら、パートナーのことを
「いないとこんなに大変。ありがたいんだよね」
と、ぼそっと言った。
「そうだよ」
とだけ、答えておいた。

 なくなって初めて、その大切さが分かることは、たくさんある。今回は、なくしてはいないがパートナーの大切さを、改めて実感する、とても良い機会であった。
 そしてそれ以上に感じたのは、親一人で、仕事をしながら子育てもする、本物の単親生活が、いかに大変かということであった。子供が独り立ちするまで、ずっと梅干戦争が続くのだ。愛情がなければ、とても続けられないだろう。そうやって毎日の戦争を戦う親子に、改めて敬意を表したい。
 では、ビールで乾杯!! ぷは〜っ!

パートナーのひとこと

 今後ともよろしく。

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