ところで、香織がメンズリブに興味を持った理由も記しておく必要があるかもしれません。
小さいころからの私の実感は「私が女の子だったらなぁ」「女の子はいいなぁ」というものでした。女性は綺麗だし、綺麗だねって言ってもらえるし、活発でなくても何も言われないし、お人形遊びだってできるし、缶蹴りなどのつまらない遊びをしなくても済むし、もう、女性が羨ましくて仕方がなかったんです。ですから、一般に言われている「女性差別」についても、「女性だけでなく、いや、それ以上に男性だって差別を受けている」という思いが強かったのです。
インターネットを始めてしばらくすると、私と同じように男性の受けている抑圧に敏感な人たちがいること、そして「男性解放」「メンズリブ」という考え方や運動もあることなどに気づきました。
当時、naoさんという方が主宰している「男性解放掲示板」という掲示板があり、私もこの掲示板に書き込みました。最初の書き込みは今から思えばちょっと一方的な見方しかしていないもので、果たしてその時も厳しい反論にあいましたが、でもそれが私の率直な思いであったし、率直な思いから始めたと言うことが悪いことだとは思いません。「男性解放掲示板」に寄せられる反論は主に「男性が受けてる抑圧よりも女性が受けている抑圧の方が深刻だ」あるいは「このような掲示板で愚痴ばかり言っていても仕方がない」といったもので、前者については今でも全く根拠がないものだと思っていますが、後者については確かに正鵠を射ている部分もあります。愚痴を言いあうことの効用も否定はしませんが、愚痴を言うことだけで終わってしまったのではあまり発展性がありませんから。
メンズリブを通じて「実際に行動することが大切」であると思うようになったことも、香織が新宿に遊びに出かけるようになるきっかけの一つとなりました。