ツルマルボーイ
〜BOYからの脱却〜

父・ダンスインザダーク(ヘイロー系) 母・ツルマルガール
牡・1998年生
主な勝鞍:04安田記念 02金鯱賞 02中京記念

 最初に彼を見たのは、2002年金鯱賞です。その時の第一印象「ツルマル?うははー」当時の自分は、ツルマルという冠名にインパクトを感じてしまいました。で、レースはその切ったツルマルボーイが勝ってしまいました。2着には軸にしていたエアシャカール。

 中京記念、金鯱賞と連勝。さあ、この勢いでGTもいただきだという所までやってきました。だが、次走の宝塚記念で2着。そこから彼の競走馬生活は波乱に満ちたものになって行きます。

 彼はその金鯱賞以来、勝てなくなってしまったのです。競走馬としては致命的ともいえる症状でしょう。勝つことで、自分の存在を証明する世界。後方一気の強烈な末脚という武器はあるものの、それを炸裂させても勝つことが出来ないのです。


 ここから、またドリーム(&妄想)入ります。

 その宝塚記念から、彼はもしかしたら勝利に対するこだわりが無くなってしまったのかもしれません。自分の武器を出し切って惜敗したとすれば「まあ、仕方ないな」と済まし、惨敗した時には「負けた理由があるんだよ」と割り切っていたような感じがします。勝てないことを責められれば「いいじゃないか、賞金は稼いでいるんだから」と反論するような所もありそうで。


 BOYには、少年という意味があるとともに、若造・青二才という意味もあります。勝利に対するこだわりを失くしたボーイ。とくにこだわりも持たず、はねっ返りの性質。まさに、BOYというかんじ。

 母であるツルマルガールにも言われたかもしれません。「だから、あなたはボーイ(若造)なのよ」と。勝てないことに、色々と小言を言われたのではないかな、と思うのです。弟にも似たような境遇のツルマルファイターがいるので、なおさら風当たりが強かったのでは?


 そんな中、妹のツルマルシスター登場。2歳ながら鮮烈な印象を与えるレース振り。ボーイもシスターの活躍を見て、シスターが勝ち続けていくのならそれでもいいや、自分への飛び火が来ないと安心したでしょう。妹がGTを獲れば、自分はお笑いホースでもOKだと。だけど・・・不慮の事故が襲います。

 ツルマルシスターの突然の死。

 これで、もう自分に言い訳を作って生きていくなんて事ができなくなりました。前途有望な妹が取れなかったGTを、自分の一族の手で取らなければと思ったでしょう。そして、それは今まで強敵相手に好勝負を続けていた自分にしか出来ないことも・・・理解していたんでしょうね。



 そして、運命の安田記念。周りを見ながら、戦況を冷静に見つめるボーイ。

聖剣の使い手デュランダルはいない。切れ味勝負なら、まず負けない。
雨が降っている。馬場はやや悪い。だが、そんな事は関係ない。
そして・・・いつものように、後方からの競馬。
違うのは・・・鞍上。

 彼は思ったでしょう。「俺はアンカツで変わるんだ!」と。

 いつものように負ける言い訳を作りたくない。変わりたい・・・変わらなきゃ。ふがいない自分への決別。そして、妹へのはなむけの勝利を。そうした強い想いが爆発して、ゴールへ矢のように突き抜けたのではないかと思うのです。

 彼の持ち味は、刀のような末脚。今まで鋭さを発揮しきれなかったのは、彼の末脚が決して名誉や賞金を得るためだけのものではなく、様々な思いを受けた時に最大の輝きを放つ、想いを叶えるものだからかもしれません。今までの歯がゆい戦績は、この日のためのものだったのかもというのは、さすがにドリームが入りすぎでしょうか?


 自分を変えるには、相当の努力が要る。もしかしたら、努力したって変えられないかもしれない。でも、自分の弱さや宿命から逃げず、苦しみや悲しみを乗り越えた時にこそ、新しい何かを得ることが出来ると思うのです。


 彼は、もう自分の強烈な刀の使い方も使う意味も知らないBOYではなくなりました。たとえ名前がボーイでも、妹の死を乗り越え、自分自身を変える努力をした彼は、立派な競走馬のはず。これからの秋のGT戦線でも活躍して欲しいものです。




・・・ええと、今回はいつも以上にかなり妄想が入っております。ですので、あまり深くつっこまないで欲しいな・・・と思うのです。

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