「格言・故事成語」講座(3

 漢詩由来の格言・故事成語



(その14) 乾坤一擲


過鴻溝    韓愈

龍疲虎困割川原
億万蒼生性命存
誰勧君王回馬首
真成一擲賭乾坤


鴻溝(こうこう)を過ぐ    韓愈

龍疲れ虎困(くる)しみて川原(せんげん)を割(さ)
億万の蒼生(そうせい)性命(せいめい)存す
誰か君王に勧(すす)めて馬首を回(かえ)さしむ
真成(しんせい)に一擲(いってき)乾坤(けんこん)を賭(と)


[解説]
この詩は、漢楚の戦いのひとこもを歌ったもの。
劉邦(前247〜195)と項羽(前232〜202)とは協力して秦王朝を倒す
が、
その後、二人は天下の盟主となるために激烈な戦いを展開して、
結局勝負がつかない。詩にいう「龍は疲れ虎は困しむ」状態におちいり、
そこで二人は「天下を二分して互いの領土としよう」と約束しあった。
その境界線が題名にある「鴻溝」で、以西を漢(劉邦の国名)
以東を楚(項羽の国名)と取り決めたのである。鴻溝は現在は賈魯河といわれ、
河南省開封の西方を流れている。詩はつまり韓愈がここを通過した時の感懐である。

天下を二分したことによって戦いはやみ、億万の民の生命は保たれるはずであったが、
しかし、劉邦の配下は、今や楚の兵は疲れ食料はとぼしく、
しかも諸侯はこころを漢によせている、いまこそ楚を亡ぼす天の時ではないか、
と劉邦に勧め、西方へ帰ろうとしていた劉邦の馬首を東へ回さしめた。
劉邦もなるほどと合点し、約束を破り棄てて、東した項羽との一戦に乾坤を賭けて、
骰子(さいころ)を一擲したのである。「真成」とは、まことに、の意。
(『中国の故事と名言五〇〇選』・平凡社版)から抜粋。



私の作品、『菊医ニュース・2000』から、「乾坤一擲」を読んでください。



乾坤一擲
運命を賭(と)して、のるかそるかの勝負をすること。
(『広辞苑』)



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