「格言・故事成語」講座(4

 漢詩由来の名言・名句



(その6) 鞭声粛々夜河を渡る

題不識庵撃機山図       頼 山陽

鞭声粛粛夜過河
暁見千兵擁大牙
遺恨十年磨一剣
流星光底逸長蛇


不識庵(ふしきあん)機山(きざん)を撃(う)つの図(ず)に題(だい)す       頼(らい) 山陽(さんよう)

鞭声(べんせい)粛粛(しゅくしゅく)(よる)(かわ)を過(わた)
(あかつき)に見
(み)る千兵(せんぺい)の大牙(たいが)を擁(よう)するを
遺恨(いこん)なり十年(じゅうねん)一剣(いっけん)を磨(みが)
流星(りゅうせい)光底(こうてい)に長蛇(ちょうだ)を逸(いっ)


[通釈]

(上杉謙信の軍は)
ひっそりと鞭音もたてないようにして、
夜のうちに千曲川を渡って
(川中島の敵陣に)攻め寄せた。
(武田方は)
明けがた(霧の晴れ間に)(上杉方の)大軍が大将の旗を中心に守りながら、迫ってくるのを見つけた。
(この戦いで謙信は信玄を討ちとることができなかったが、)(その心中を察すると、)
まことに同情にたえない。
この十年の間一ふりの剣を研ぎ磨いて、(
その機会を待ったのであるが、)うちおろす刀一閃の下に、
ついに強敵信玄をとり逃がしたのは無念至極なことであった。

(『吟剣詩舞道漢詩集』による)




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