九月十日

去年今夜侍清涼
秋思詩篇独断腸
恩賜御衣今在此
捧持毎日拝余香


九月十日

去年(きょねん)の今夜(こんや)清涼(せいりょう)に侍(じ)
秋思(しゅうし)の詩篇(しへん)(ひと)断腸(だんちょう)
恩賜(おんし)の御衣(ぎょい)今(いま)此(ここ)に在(あ)
捧持(ほうじ)して毎日(まいにち)余香(よこう)を拝(はい)


口語訳

去年の今夜、(私は)清涼殿に侍(はべ)っていた。
(そこで詠んだ)「秋思」の詩篇は、断腸の思いで作ったものだった。
(そのとき戴いた)恩賜の御衣は、今ここにあって、
(いまでも)毎日捧げ持って、余香を拝している。

語釈

九月十日: 道真が大宰府に流された昌泰四年(901年)
去年今夜: 昌泰三年(900年)
清涼: 清涼殿(天皇が日常生活を送るところ)
秋思詩篇: 道真が詠んだ詩
恩賜御衣: 『秋思』の詩に対し天皇から戴いた衣


菅原道真が時平の讒言にあって、大宰府に流されたときに詠んだ詩。


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