株を守る

昔にこだわる。

兎が木の切り株にぶつかって死んだのを見た男が、
もう一度兎が来てぶつからないかと、
仕事を投げうって切り株を見守っていたため、
国中の笑い者になった話。



守株

宋人有耕田者。
田中有株。
兎走触株、
折頸而死。
因釋其耒而守株、
冀復得兎。
兎不可復得、
而身為宋国笑。


(かぶ)を守(まも)

宋人(そうひと)に田(た)を耕(たがや)す者(もの)(あ)り。
田中(でんちゅう)に株(かぶ)(あ)り。
(うさぎ)(はし)りて株(かぶ)に触(ふ)れ、
(くび)を折(お)りて死(し)す。
(よ)りて其(そ)の耒(らい)を釋(す)てて株(かぶ)を守(まも)り、
(ま)た兎(うさぎ)を得(え)んことを冀(こいねが)ふ。
(うさぎ)(ま)た得(う)べからずして、
(み)は宋国(そうこく)の笑(わら)ひと為(な)れり。


口語訳

宋の国の人で、田を耕している人がいた。
その田んぼの中に、木の切り株があった。
そこへ兎が走ってきて切り株にぶつかり、
首すじを折って死んだ。
そこで(この男は)自分の耒(すき)を捨てて切り株を見守り、
もう一度兎を得ようと切望した。
(しかし)兎は二度とは手に入れることができず、
自分自身は宋の国じゅうの笑いになってしまった。



この話から、

守株(しゅしゅ)株を守る
守株待兎(しゅしゅたいと)株を守って兎を待つ

という成語ができました。意味は、

「古い習慣を守って時勢に合わないこと。
世の進歩や変化を知らないこと」

「株」は(くいぜ)とも読みます。



この寓話は『韓非子』が「儒家」を批判した文中に出てきます。

また、これに似た成語に、「舟に刻んで剣を求む」があります。



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