〜虹の橋〜



天国のほんのちょっと手前に、虹の橋と呼ばれる場所があります。
この世界でとても近しい人がいたペットが旅立つとき、
その子はこの虹の橋に行くのです。

虹の橋の上には、私たちの大切な友がみんなで仲良く走ったり、遊んだりできるよう、
草原やなだらかな丘が広がっています。
ご飯にもお水にも困ることなく暖かい日差しにも照らされて、
それはそれは居心地のよい場所です。
この世界で病気だった子、年老いていた子たちも、
また元気と若さを取り戻します。
怪我をしていた子、そして体の一部を失った子も、
また完全で力強い体を取り戻すのです。
ちょうど私たちが今でも思い出す、夢のように通りすぎたあの頃に戻ったように。

動物たちは幸せで満ち足りた時間を過ごしています。
でも1つだけ、心に小さくひっかかっていることがあるのです。
どの子も虹の橋へと旅立ったあの時に、
この世界に置き去りにしなければならなかった大切な誰かが
恋しくて恋しくてたまらないのです。

動物たちは仲間と夢中でかけっこをして遊んでいます。
でもいつの日かそのうちの1匹がふと立ち止まり、顔を上げる時がくるのです。
その顔に輝く瞳は確かに何かを捕らえていて、体中が喜びで震えます。
そして唐突に仲間達から離れて、その子は走り出します。
その子の体は青々とした草の上を軽々と飛び越え、足はどんどん速まっていきます。
そう、虹の橋を上ってくるあなたを見つけたのです。

ようやくあなたが大切な友達と再会を果たしたその時、
あなた方は喜びに満ち溢れしっかりと抱き合います。
もう二度と離れて過ごすことはないのです。
甘く熱い舌があなたの顔中を舐め回します。
あなたも愛しいその子の頭を両手で優しく撫でます。
そして大切な友の、あなたへの信頼に溢れた瞳をもう一度覗きこむのです。
もう随分長いことあなたの人生から失われていた、
それでも1日たりとも忘れられずにいた、そんな喜びをもう一度味わうのです。

そしてようやくあなたとその子は天国への架け橋を渡っていきます。
手に手を取り合って。