ハイス鉋、酒壺
一般的な鉋は安来鋼の青紙1号で、手研ぎで研ぐ鉋の鋼材として代表的です。
それに対し酒壺のハイス鋼は高回転の手押し鉋盤や超仕上鉋盤に使われる鋼材です。硬く対磨耗性の有る鋼材で、ハイスの中でもランクが上の粉末高速度鋼(パウダーハイス鋼)を使用。
そんな対磨耗性の高い鋼を使い、長切れを実現したのが常三郎の酒壺(みき)です。ただ硬すぎて手研ぎができないので、手研ぎができる硬度に落としてあります。
焼き戻りしにくい鋼のためグラインダーで下研ぎができるのも大きな特徴です。
酒壺は機械鉋のように裏だしをしなくて良い裏出し不要と、従来通りの裏透きがある裏だし必要の、2つのタイプがある。一般的には裏出不要が90パーセント以上です。
酒壺の販売商品
艶のある削り肌、長切れを実現、熱に強くグラインダーにかけやすい。
- 裏出不要 寸4 37000円 在庫有
- 裏出不要 寸6 37000円 在庫有
- 裏出不要 寸8 37000円 入荷待
造作作業や合板の削りに強く多用途に使える、裏出不要で刃持ちが良い。
- 50mm 17900円 入荷待
- 55mm 26000円 在庫有
販売済や入荷未定品
販売が終わった品や入荷未定の品を下記に掲載。
ハイス鉋の研ぎのDVD
- プレゼントコーナーではをハイス鉋の研ぎをお選びください、店主がハイス鉋を研ぐ工程が動画で紹介されています。
- こんな風に切れるんだとご理解頂けると思います。
ハイス鉋の酒壺の研ぎ方
- 酒壺を買ってみたが鋼が硬く研ぎにくいと思われた方はおられませんか、そして大工道具箱の中で眠ってしまっていませんか。
- そんな方やハイス鉋を買われた方はこのページを読んでみて研ぎを試してみてください。
- それは他の鉋の研ぎにも役立ち、あなたの刃物の切れ味をワンランクUPさせる可能性があります。
- 杉を削ったがなかなか良い刃が付かず切れないと思う方もちょっと読んでみてください。
- ここでは効率的に酒壺などハイス鋼の鉋を研ぐために効果的な砥石類を選んでみました。
- 他の選択もありますし個人の好みもありますが、ここでは私の常三郎のハイス鋼を使った鉋、酒壺を研いでみましょう。
ハイス鋼の特徴
- ハイス鋼の最大の特徴は熱に強いと言う事です、つまり焼き戻り温度が高いため、グラインダーで削る時、熱の負担をかけなければ焼き戻り温度を気にせずに削れることなのです。
- ただ、過信は禁物でハイス鉋と言えども赤くなるような高温はいけません。
- やはり水を用意し冷やしながら切削するようにします。 刃先1〜2ミリ手前でやめます。
- それと同時にグラインダー砥石表面に目詰まりした金属をダイヤモンドブリックで削り取り、ハイス鉋との摩擦で生じる発熱を低減して削ります。
- こうすると焼き戻りが起こる温度以下でハイス鉋を削る事ができます。
- グラインダーでの削り方は、手押し鉋盤や超仕上げ鉋盤の刃を研ぐ時の削り方と同じ方法なのです。
酒壺の裏押し
- 酒壺の裏押し不要の場合、叩いて裏を出す必要はありませんが研ぎ上げる必要はあります。
- 新品の酒壺の場合は裏透きにあたる部分は、粗い透き目が入っており先数ミリは研ぎ上げてあるように見えますがまだ、不完全と思います。
- 私の場合、ナニワの焼結ダイヤモンド砥石、#1000>#3000>#6000まで研ぎ上げます、それ以上は研いでいません焼結#6000の威力は下手な天然砥石より格上と言えます、ナニワ以外は???です。
酒壺を研ぐ手順
- まず、鎬面(研ぎ面)の先端から1ミリぐらい残してグラインダーで間をすきとってしまいます。鎬の終わりも同じぐらい残すと良いでしょう。
- すると、研がなければならない面積は1/10以下になるはずです。刃先と刃先の反対側の鎬面しか砥石に当たりませんから以降の研ぎで丸研ぎにはなりません。
- 刃先の研ぎの角度は一般的な鉋もハイス鉋も同じの29度で良いでしょう。
- ただ新品の常三郎の酒壺の裏出し不要を見ても同じような方法で研いでありますが機械で刃先を研いであるために、そのまま手研ぎに移った場合、刃先と刃先の反対側の鎬面に砥石を合わせて研いでも最初は29度にならず刃先は浅い角度のままです。研ぐ度に徐々に角度を起こして29度にもって行く必要があるでよう。
- グラインダーは刃を当てても止まらないパワーは必要でハイスが熱に強いからと言って過信は禁物です、赤く赤熱するぐらいだと、800度は超えていますので、それはアウトです。ダイヤブリックを使ってできるだけ温度が上がらないようにしましょう。
- 中研ぎは刃の黒幕の2000番で研ぎます。この時、勘違いが起こりやすいので気を付けて下さい。硬いから下りにくいと勘違いして力を入れて研いでしまうのです。力を入れるとハイスの硬い返りが厚く出てしまいます。
- こうなると仕上げ研ぎの時、硬い返りが外れにくくなります。ここでは力を抜いて研ぐのです。鎬面は透き取り面積は1/10以下、これなら研ぎに時間は要しませんし、力も要りません、短時間で研ぐので、研ぎ面の狂いも少ないのです。
- 黒幕#2000は、2000番と言う中砥石では高めの粒度ですが、キングデラックスなどよりはるかに高い研磨力と平面維持力、それと2000番なので傷が浅いのです。
- これで、次のステップに移った時の楽な条件を作っておくのです。
- 仕上げ研ぎはナニワのスーパー砥石#10000にWA#10000を振りかけて研ぎます。この組み合わせが一番早くハイス鉋を研ぎ上げる組み合わせです。
- この時は少し力を入れてかまいませんが、この砥石は軟らかいので、砥石に刃が突っ込んでしまうかもしれません。
- そんな時は刃を横に向けて、鉋刃の尻を少し上げて、先端だけ返りが取れるまで研いで下さい。返りが取れれば裏を研ぐ必要はありません。刃返りが研ぎで取れれば必ず切れます。
- それと、使う砥石は必ず砥石面の平面を出しておいて下さい。平面修正にはアトマ中目がお勧めです。修正した砥石面は必ず荒れていますので、同じ位の粒度の砥石で擦って、荒れた面の筋を消しておいてください。
- 杉のシラタも中研ぎ以降の研ぎで切れます。
研ぎに使った砥石
- 最初の機械研ぎはグラインダーを使用。マキタGB801を私は使っています。角度冶具は自作
- 発熱防止にダイヤブリックを使用
- 中研ぎは、刃の黒幕#2000
- 仕上げ研ぎは、ナニワスーパー砥石#10000とWA#10000の粉末の組み合わせ
- 砥石面の平面修正にアトマ中目
- 裏の仕上げ研ぎにナニワ焼結ダイヤ砥石#1000、#3000、#6000
- 砥石面の修正で荒れて筋の立った面を整えるのに、天然名倉など