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玄能鍛冶、馬場正行

今回最初の大工道具鍛冶紀行で紹介するのは正行作の玄能でおなじみの馬場さん。馬場さんと言えば、大工道具の業界で銘工と言われた長谷川幸三郎氏の元にいて、玄能作りを覚えた方でもありその付作りには幸三郎の玄能作りが生かされています。

今、鋼付きの玄能を量産できるのは、平成21年現在彼一人であり、火作りっぱなし、木目模様をはじめとする仕上げや形状は多彩です。
又、小刀や、鉋、斧、槍鉋などの大工道具も製作されており、その形状には力強さを感じる仕上がりになっています。
もちろん、切れ味も確かでタフさが求められる大工職にはそれを支持するファンも大勢います。

馬場さんの工場は、三条市から内陸の山手の方へ車を走らせた、大工道具の鍛造工場の一角になります。
玄能を鍛造する鍛冶屋にはスプリングハンマーではなく、それよりも強い力で叩く事のできるエアーハンマーが置かれています。
炉は二箇所で、鍛造用と焼き入れ用があり、グラインダー、ベルトサンダーがあり、馬場正行さんの所も基本的な鍛冶屋さんの機械構成です。
その分手作業が多く、機械では表現できないような仕上がりが出来るのだとおもいました。

焼入れの炉
訪れたその日はちょうど、全鋼製80匁の四角玄能と、火作りぱなしの小刀の焼き入れの最中でした。
良く見える位置に通され、炉の中を見せられ、コークスの量、埋め方、反し方など、それぞれに理由があり、
一つ、一つのことについて説明を受けました。
一時たりとも手を休めないのです、炉の中から玄能を引っ張り出し色具合を確認し温度が均一になるように、
風の送り方を変えるため送風機の位置を変えたり、、、、馬場正行さん本人が言うには、まるで煎餅を返しているようさと。
焼入れを待つ物は中に数個入っておりそれを探り出しては色を見極めるのです。
この日の焼入れは30個、これを休みなしにいっきに行います。
焼入れの炉 

色の確認
画像は中に入っている玄能を取り出し色で温度を確認している所。
大工道具の焼き入れは油に漬ける時と水に漬ける時があります、玄能は水に漬けます。
玄能の上面と下面では、下から吹き上げる風のせいで温度が違い、それを何度も裏返して色を確認しながら
均一な温度にし焼入れ温度まで上げていきます。
これを休み無く続けるのです、そして私の相手をしながら何が大事なのか、何をやっているのかを説明してくれました。
夏にこの作業を30個するのも大変でしょうね。
左下に見えるのが送風機、左手でコレを操作します、丁度てが届く位置にありますね。
玄能の色の確認 

焼き入れ
この焼き入れを見れた事は幸運っだったと言える、本来大工道具の焼きいれは水に入れて、ジュ!!と思っている人が多いと思います、
しかし馬場さんの水による焼入れは流水の下に入れるのです。その水の量も焼きを入れる部分で流量を変えます。
これを見た時は一時の間その作業に釘付けでした。
下の画像の残光で玄能の動きが推察されるでしょう。
両面を交互に焼入れし、その他の分は軽く焼きを入れれます。その手の返し方は妙技と言え、素早い動作に狂いはなく、
完璧に一個づつ焼きを入れていきます。大工道具を作り続けて40年、単にキャリアを重ねた訳ではありませんね。

 

焼き入れ肌
これは一番強く焼きが入った打撃面の肌の状態で、良く見ろ、こんな風にならないと強い焼きは入らないんだと教えられました。
こんな肌に仕上がるとまくれない強い品物になるそうです。
この玄能は全鋼製で、鋼付きと同じように2分五厘の厚み焼きが入っています。
ここ新潟へは大工道具を作るか方々に挨拶に行ったつもりが、ここでは簡単に聞く事、見る事のできない勉強の機会になりました。
 

焼き入れができた玄能
この日の作業で焼入れができた品物です。
右手前は、和鉄で作った火作りっぱ無しの小刀で、表面は、槌で打ったままの肌をしています。
この小刀の焼入れは松炭を使います。玄能はコークスを使い、一般的な大工道具はコークスを使う炉で作ります。
黒い焼き肌が凄みを見せています。
全部を焼き入れるのに、午前中一杯かかりますので、その間は休む間もなく、作業をしなければなりません。
やっぱり鍛冶屋さんは体力勝負で、集中力を必要で暑い夏には大変な作業である事がうかがえます。


馬場正行さんの大鉋
これは火作りっぱなしの肌を持つ5寸鉋で、裏透きはセンで透いてあります。
厚い肉取りは台の動きにもビクともせずこの鉋も持つ力強さを感じますのでダイナミックな削りをしてくれるでしょう。
馬場さんの鍛冶屋としての勢いが感じられる鉋の逸品だと思います。

この日の夜は馬場さんを交えて夕食を食べました、その時は三条の昔や、長谷川幸三郎氏のことなど
多くを語っていただき、大変有意義な時間を持つことができました。
 

馬場正行氏の作る玄能販売のページはこちらからどうぞ。全鋼製から木目鋼付き、又はダルマ玄能まで幅広い商品がございます。
自分に合った重さの長く使える相棒を選ばれてはいかがでしょう。