水毒という言葉は、漢方の言葉です。日本の漢方は人体の生理現象を気、血(けつ)、水(すい)と分けて考えています。
気とは、元気の気、気持ちの気、病気の気。これは一つのエネルギーと考えられています。
血は栄養成分です。漢方では食べた物が形を変えて血になると言うことで栄養成分です。血は体中を巡り、エネルギーを各機関の細胞に運びます。
水とは、体中にある液体です。人間の体は約60%が水で出来ています。肉体にとって水は非常に大きな部分を占めている。とくに余った水、不必要な余った水分が水毒と言っていいでしょう。
水毒は実際にはどういう症状として現れるでしょうか。
水の余りですから分かりやすい所では鼻水です。それから痰のようなものも水毒です。足のむくみ、手のむくみも水毒です。要するに、水が溢れているような状態です。アトピー性皮膚炎で浸出液がどんどん出るのも水毒です。喘息でヒュウヒュウ言うのも、気管支に水分が多いための症状で水毒です。
こう見てみますと、水毒は西洋医学で言うアレルギー症状に多く出ていることが分かります。この水毒を治すことはアレルギー症状を治す方法の一つとして非常に重要なことになります。アレルギーは抗原抗体反応というひとつの防御反応の異常として考えられていますが、漢方から見ると水毒の面を持っていますから、この水毒を治すことがアレルギー症状の治療になるのです。
このように考えるとアレルギーの治療方法がもっと広がって来ます。アレルギーとして見ると抗原抗体反応ですから蛋白質が関係していますが、水毒と考えると蛋白質だけでなく脂肪(油分)、砂糖(炭水化物)、塩、香辛料、果糖、果物、すなわち濃厚な物、味の強い物、酒・アルコール、こういうものがすべて水毒の原因になります。
純粋な水は水毒にはなりません。純粋な水はのどが乾いた時しか飲まないし、その乾きがおさまるともう飲みたくなくなります。すなわち普通以上体に入れることはないのです。しかし味のついた水は、のどが乾かなくても飲みます。味のついた水分が怖いのです。
コーヒー、紅茶、嗜好飲料はすべておいしい味がついているので、飲み過ぎると水毒の原因になります。また甘いものを食べると水がほしくなります。これは砂糖水を飲むのと同じことになります。塩からいものを食べると水がほしくなります。これは塩水を飲むのと同じことになります。油濃いものを食べても水がほしくなります。食べ過ぎると水がほしくなります。それから大量に食べると、腹いっぱい以上食べると、これも水がほしくなります。喉が渇き血を薄めようとするために水を飲むのです。結局、カロリーにしても蛋白質にしてもあるいは、塩分、香辛料にしても、必要以上に取ることは水毒の原因になります。
なぜ水毒が問題になるかというとこれは日本の気候に関係しています。日本は東南アジアに位置し季節風の影響を受け、湿度の高い国なのです。特に梅雨という季節もありますが、冬の乾燥以外は、湿度の高い国であります。したがって湿度が高いと汗が出にくいのです。汗が出にくいと体の余分な水分が、体の外に出ないために水毒となり易いのです。
水毒を防ぐ方法は、今述べた食事の内容が一つの大きな問題ですがそのほか、風呂で汗を流すとか、あるいは運動して汗を出すとか、また下着は汗を吸いやすい物にするとか。そういうことが、わりと簡単にできる予防法だと思います。
日本の住居・衣服は、この水毒を防ぐように出来ていました。建物で言うと、高床式の木造で、障子を使って非常に風通しが良い家を作っていました。
衣のことを考えますと着物という物は、腋の下があいたような、足のところもあいたような、これまた非常に風通しの良いものであります。
次に履物を考えてみますと、下駄とか草履は、靴とは違って風通しが良いものです。このように生活そのものが水毒を防ぐように出来ていたのです。
もう一度、食事の事を考えて見ますと、日本食は調味料として塩を使います。塩が味付けの基本ですが塩はカロリーゼロの食品です。油のような高カロリーの食品ではありません。そして煮たり焼いたりして調理しますのでこれもカロリーは上がりません。日本食は水毒を防ぐ効果がある調理法なのです。
平成16年4月