ONE DAY
1. PLEIN SOLEIL
2. WHISTLE STEP
3. GRASSHARP & JERICHO
4. LUCIFER FLIES
5. 虹が見える場所
6.NIGHTFLY
7.THE END OF SUMMER
8.幻の国 EXPO'70 
9.WORK TO DO
10.BIRTHDAY
11.ONE DAY
label : TAKA rec.
no : TAKD-002
2004年8月10日発売
Produced by 篠原太郎 & 青木孝明
ニューアルバム"ONE DAY"にアーティストの方々からコメントをいただきました!(アイウエオ順、敬省略)
世界で一番ドリーミーな男は誰かと訪ねたらそれは青木孝明。そんなもういい加減
立派な大人の男がドリーミーってどうなの? とかいう声があったとしましょう。
 でも彼の目を覗き込むとそこには深〜いメロディ・サークルがぐるぐるぐるぐると
果てしなく螺旋を描いているのです。恐ろしい程に。いつだったか 彼がピアノの前
で果てしなくメロウでジェントルな曲を生み出さんと格闘しているところを見たこと
がありますが、あれは夢見るピュアなロマンチストが非常 にディープな領域に入り
込んで、それこそブルーズマンが十字路で悪魔と取引でもしているかのような光景な
のですよ。危ないぞ。
 青木孝明は大変危険でヤバイ男かもしれない。でなければこんなアルバムは作れま
せん。嘘だと思ったら聴いてみなさいな。

青山陽一

「青木くんの妖しい魅力」

 青木孝明くんとはもう8年ほどのおつきあいになるが、彼はいまだに僕にとって謎
の人だ。風貌も一筋縄でいかないし、言動も常に意表をついている。「太陽の塔が好
き」という新たなプロフィールを得たが混乱は増すばかりだ。
 彼の作り出す音もまた独特の世界を持っている。ポップな曲の中にゆらめく煙のよ
うな影、美しいバラードの中にひそむ不思議なハーモニー。異質な要素が無造作に共
存する。それは独特の「濁り」の様なものを彼の楽曲に加えている。「濁り」は楽曲
に深みを与え、いっそう魅力的なモノにしている。
たとえて言うならばアイルランドの空のような、とろとろとたゆたうアジアの河の
ような、ナンプラーのような、梅雨時の雑木林のような、嵐の中を流れる雲のような、
カブトムシのさなぎのような・・・。思いつくままに並べてみたら収拾がつかなくなっ
てしまったな。
 しかし、僕が感じていて上手く言葉に出来ないでいる青木君の妖しい魅力について
は彼の入魂の新譜「ONE DAY」を聴けばたちどころに理解されると思う。そして聴い
た人は何かに感染してしまうような気もする。
 そういえば郡上八幡の濁り酒「母情」はとても美味しいけれど、次の日がかなり危
険だ。

吉良知彦(Zabadak)

青木くんの「うた」

 ポップスとは。淡く、せつなく、みずみずしいもの。もう絶対にそうだと言い切れ
る。もし、それが10代だけのものだとしたら。それほど、はかないものだとしたら。
ぼくはこれほど、ポップスにこだわらなかっただろう。風都市の時代から30年。日本
のポップス、「うた」は何処に行ったのか。最近になって、そんなことを考えるよう
になった。
 そして。ぼくの音楽仲間が作る、30代の「うた」が気になってきた。それは、10代
のそれよりも。明らかに。リアルに。より、せつない。そして、やさしい。本当のこ
とは、痛いけれど、とてもやさしい。青木くんのリーダー・アルバムを聴きながら、
つらつらと、そんなことを思う。そして、ぼくの知らない、10代の頃の、ポップス好
きの青木くんの笑顔が頭を過る。ぼくの気持ちも明るくなる。「うた」は何処に行っ
たのか。青木くんの中に流れているよ。たいせつな音楽、よいアルバムをありがとう。

鈴木惣一朗(ワールドスタンダード)

 たとえば2004年7月のある日。ギラギラと照りつく太陽の下で、ジワジワと汗をか
きながら、日々のやるせなさや、どこからともなくやって来る倦怠感を、エイヤッと
うっちゃりたいと、ふと願う。そんなとき、青木孝明の『ワン・デイ』ほど有効な作
品はない。ただ能天気に励まされるのではかなわない。天気にもいろいろある。
 青木孝明のポップ感覚も、おそらくそういう幅の広さと懐の深さを伴ったものでは
ないかと、『ワン・デイ』を聴いて思った。
「イエスタデイ」や「アナザー・デイ」をはじめ、“日にち”を題材にした曲は
ポール・マッカートニーに多いけれど、「ワン・デイ」と聞いて即座に思い浮かぶの
は、やはりジョン・レノン。そして、アルバムの最後に収録された、バカラック調で
迫る青木孝明版「ワン・デイ」もまた、ジョン・レノンの曲と同じく、ポップの良さ
は翳りがあるからこそ引き立つ、ということを教えてくれるのだった。

2004年7月のある日に 速水 丈(ビートルズ研究家)


"PHASE FOUR"から4年。ようやく新しいアルバムを作ることが出来た。これまでアルバムを出してきたメトロトロンではなく、友人が最近立ち上げたタカ・レコードというインディーからの再出発である。
 今までと大きく違うことはドラムスとグランド・ピアノの録音にスタジオを借りる以外は全て自宅スタジオの作業でやったということだ。ハードディスク・レコーダーを使い始めた前作からの4年間でレコーディングの世界は大きく進化して、高いクォリティでの作業が我が家でも可能になった。こうした進歩のお陰でアイデアやそれを具体化していくプレイの幅も大きく広がったように思う。そして自宅で時間を気にせずにのびのびやった(そのかわり時間はかかった)おおらかさはアルバムにも出ているように思う。そんな雰囲気が伝わるだろうか?そうだとしたら嬉しいが。
 曲は特にコンセプトがある訳ではなく、PHASE FOUR発表以降、作ってはライブで少しずつ演奏してきた曲を中心に選曲した。この4年間の自分自身の周りで起こった出会いと別れ、自分が置かれている世界の目まぐるしい変化、そしてその度に自分が感じたことが反映されているように思う。ハロー、グッバイ、そしてエキスポという感じである(何のこっちゃ)。
 基本的にはこれまでのアルバム同様、歌からドラムまで自作自演(最近、特にドラムの腕を上げたと自分では思っている)だが、素晴らしい演奏やアイデアを期待したい場面では普段から親しくさせてもらっているミュージシャンに助けていただいた。ドラムの葛迫隆敏君、トロンボーンの伊藤隆博君、コーラスの加藤千晶さん、チェロの富樫亜紀さんである。彼等のプレイが、僕の想像を超えてナイスであったことは、これらのテイクを注意深く聴いてもらえばわかる筈だと確信している。
 プロデュースは長年の音楽仲間、THE BRICK'S TONEの篠原太郎君と僕である。ついつい一人よがりになりがちなワンマン・レコーディングに、違う角度の視点を与えてくれたり、長年培ったノウハウを生かした録音やミックスで篠原君には多大な貢献をしていただいた。
 また、音楽に限らず、制作にあたっても、写真の大石さん、デザインの石野さん、タカ・レコードの平澤君、田口さんとの手作り感覚な共同作業によってアルバムは完成した(毎回のミーティングはクラブ活動のようで楽しかった。終わってしまうのが寂しい)。あとはあなたのCDプレイヤーに乗っかるのを待つばかりである。PLAY IT LOUD!でよろしく。

■全曲解説
1.Plein Soleil
  マイ・オリジナル・サウンドトラック。サントラの仕事はやったことはないが、俺の頭の中には幾つものサウンドトラックがいつも頭の中で鳴っている(危ない?)。そんな中の一つ。
 アラン・ドロンの映画「太陽がいっぱい」(原題 Plein Soleil)の、危ない橋を渡りながら、完全犯罪を遂げていく、どきどきする感じをイメージして(映画にこの曲は出てきません、念の為)作る。
2.Whistle Step
 "Whistle Step"は"Whistle Stop"という古い言い方の英語(ホイッスルが鳴る時にだけ止まる小さな駅、あるいは小さな町の意)を、口笛と、眠いけれど足早に歩いている通勤と、地下鉄のホームに鳴り響く警笛音などのイメージで言い換えた造語である。
 朝の足早な夢遊病者達に捧げたい歌。地下鉄で通勤している人には是非行き帰りにウォークマンかi podかなんかで聴いて欲しいシティ・ポップス。葛迫君の手数が多くて派手なドラムや、伊藤君のトロンボーンが最高だ。
3.Grassharp & Jericho
 今ここにはなくても、心の中にはずっとあり続けるもののイメージ。終わらない夏のような... 
 アレンジはシンプルだが、いろいろ試した結果、これ以上加えるものはなかった。
4.Lucifer Flies
 解き放されることについて。これ以上は言うまい。歌を聴いて欲しい。
 音は、逆回転ギターも含めて、久しぶりのギター・サウンド炸裂!かも。中間のギターソロはDavid Gilmoreの気持ちで弾いたが、篠原君がかけたエフェクト効果でBrian Mayのようになった。
 詞は学生時代からの友人で編集の仕事をやっている河野道久君の力を借りた(このアルバムでは他にも2曲一緒に作った)。彼の言葉は想像上の視覚をより鮮明にするのを手伝ってくれている。
5.虹が見える場所
 毎日、小さなことに一喜一憂しながら生きている。ある時は忙しく、ある時はゆったりと、どちらにしてもとりとめなく...。
 虹は近くで見ると小さな水滴でしかない。遠くから眺めなければ色を見ることは出来ない。生活全般にも同じようなことが言えるような気がして。
 サウンドはフィフス・ディメンションを目指したが、完成してみれば少し80年代っぽくなったかも。
6.Nightfly 
 アルバム後半の始まり。気分はアビーロードか、はたまたバグダット・カフェか...
7.The End of Summer
 これも俺の中の”夏の終わり”のサントラ。
 多重コーラスの相方、加藤千晶さんとは以前はお互いのサポートをしたり、彼女のアルバムに参加したこともあり、彼女の歌声は大好きである。僕の声との相性もいいと思うが皆さんはどう思う?
8.幻の国 EXPO'70
 6年程前、大阪で太陽の塔を20数年ぶりに生で見て以来、再びEXPO'70が僕の心をとらえて離さない。
 まだ夢と現実の境界線がはっきりしない頃の幸福な時代の記憶である、万国博覧会の歌はそのまま僕の幼年期へのオマージュになった。
9.Work to Do
 ブルース・スプリングスティーンを意識して作る。いやホントに。 
 人生の永遠の謎。人は何故行列をつくるのか?そしてその先に一体何があるのか?誰も知らない。案外、たいして美味くないラーメン屋とかだったりして。
10.Birthday
 人はある日、突然やって来て唐突に人生が始まる。そんなことを徹夜明けの朝考えて作った。
 富樫亜紀さんのチェロと僕のギターはせーので同時に録音したのでやりなおしがない。多重録音が多いアルバムの中で新鮮な1曲になった。
11.One Day
 小学校の頃の帰り道や、転校でさよならも言えずに別れた、好きだった女の子のことなどを思い出して作ったタイトル曲。子供の頃の帰り道の別れ際はもしかしたらそのままずっと会えなくなるような切なさがある。
 さよならだけが人生だと言ったのは誰だったっけ?
 地球は丸いからまた会える。こういう根拠のない楽観的な歌い方が僕は好きだ。
 アルバムを聴いてくれたかもしれないあなた、さようなら、良い夢を。