■レポート、雑感リスト  
きくちゆみさんからの手紙
 

 昨晩、伊藤政子さんと長電話をしました。湾岸戦争後に、一度イラクの子
どもたちの惨状を伝える伊藤さんのスライドショーに行ったときにお会いし
たことがあるだけで、彼女は私のことは知りません。日本では報道されない
けれど、1991年の湾岸戦争以来、米軍は断続的にイラクへの空爆を続け
ています。インフラは破壊されたまま、ガンや白血病や栄養失調の子どもた
ちが治療法もなく死ぬのをまっているイラクへ、伊藤さんは単身で、危険を
顧みず、自ら足を運び続けてきました。
 「医薬品や食料を個人で運び続けて、もう12年も経っちゃった。当初は
誰も相手にしてくれなかったけど、やっと今回、アフガンへの攻撃でもう戦
争はいやだ、と思った人たちが、この活動に注目してくれるようになった」
とおっしゃっていました。
 ネット上で彼女への誹謗中傷やいやがらせ、脅しなどもあるそうです。マ
スコミでちょっとでも注目され始めると、すぐこういうことになるのが日本
です。いったい誰がやっているのですかね。
 「私もまったく同じ経験をしましたよ。でも、伝わる人にはちゃんと伝わ
っているから、大丈夫ですよ。お互い、根拠のない誹謗中傷や、脅しなどに
はめげずに、ひとりでも多くの子どもたちが助かるように、力を合わせまし
ょうね。」と話しました。
 「そんなこと気にしていたら、やってられないものね。気にして私が
がっくりしたら、その間にも子どもたちがどんどん死んでいくのだから」と
伊藤さん。 
 伊藤さんは、今日持てるだけのものをもって、成田を飛立ちました。イラ
クからの緊急要請に応えるためです。
 どうか、以下の文章をあなたの信頼している方に、広めてください。

きくちゆみ(伊藤さんから頂いたメールから個人情報は削除してあります)
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皆様、

伊藤政子です。よろしくお願いします。

バグダッド(イラク)からの緊急要請へのご協力のお願い   2002年8月

アラブの子どもとなかよくする会 伊藤政子                 

郵便振替口座:00170-1-613360 口座名義:伊藤政子
(緊急支援とお書き添えください)
            
 今年の夏の暑さは、戦争に向かう暑さが気象まで狂わせたのかと思うほどでした。
皆様、お変わりございませんか。
 イラクの人々、特に子どもたちのことをお心にかけていただいてありがとうござ
います。
 今また、アメリカのイラク攻撃が着々と準備される中、バグダッドから大至急の
支援要請が届きました。
「米国による、湾岸戦争より遙かに規模の大きなイラク攻撃が、いつ起きても不思
議はない状況だが、そのための緊急支援をお願いしたい。攻撃を受けるイラクの人
々への救援用品として最低2万所帯分の以下のものを特に希望する。ただし、攻撃
が始まればすべてのイラクに通じる国境が閉鎖されるのでその前にイラクに届けて
ほしい」とのことです。
 イラクでは、湾岸戦争で30万人が亡くなりました。その上経済制裁のために、戦
後12年たっても戦争で破壊されたライフラインを直すことさえできません。7−8
割を輸入に頼っていた食糧や医薬品をはじめとする生活必需品も必要量の輸入を禁
じられ、足りません。劣化ウラン弾の被害も深刻です。ひとびと、特に子どもたち
は、飢え、弱った体で不潔な環境のなか、治療も受けられずに死に続けています。
 こんな人々にまた攻撃をかけるというのです。
 アラブの子どもとなかよくする会では、1991年の湾岸戦争以降、戦争、経済制裁
、そして繰り返される空爆に命を永らえることの困難なイラクの子どもたちへの救
援活動を続けてきました。現在は、劣化ウラン弾による犠牲者の医療支援(主に白
血病の子どもたちへの治療援助を外国の救援団と協力して進めています)と、障害
児学校の通学用スクールバスを現地の障害者福祉授産所で修理するというプロジェ
クトを2本の柱として進めています。
 でも、せっかく直ったバスで学校へ通えるようになった子どもたちも今は学校ど
ころではありません。親たちは「戦争が始まれば私たちには、どこにも逃げる場所
はない」と湾岸戦争や繰り返される空爆で思い知らされ嘆いていますが、それでも
「どうやって食糧や灯油を確保すればよいのか」とか「せめて子どもたちは少しで
も田舎に疎開させたい」と必死で手だてを探しているからです。「外の国の力で戦
争をとめて!!」というのがイラクの人々の切ない希望です。
  要請された物資、毛布やテント、水用のポリタンクなどは、爆撃で家を破壊さ
れた人々の状況や攻撃はライフラインから始まることに、また手術用医療用品など
は予測されるけが人の多さに思いいたされ、本当に胸が痛みます。
 時間があまりないので、とにかく私自身で第1陣として約60万円(5000ドル)をヨ
ルダンに持参し、ヨルダンの物資買付けやイラクへの送り出しの手配をしてきます
。その後、ご寄付が5000ドルになるごとにジョルダンへ送金し、空爆が始まるまで
にイラクへ送り込むようにします。空爆開始前に間に合わなかったご寄付について
は、白血病の子どもたちの治療に充当させていただきます。
要請のあった物資は次のものですが、当会からは手術用医療器具を予定しています
。(現地の事情で変わります)。ヨルダンでの手配、イラクへの運搬、イラクでの
分配などは、当会のヨルダン支部長、イラク支部長を中心に、白血病プロジェクト
でご協力いただいているイスラミックリリーフやイラク赤三日月社と協力して進め
ます。
 皆さんにも資金面でのご協力を是非よろしくお願いします。

1 テント                8 軍手(赤三日月社のボランティ
ア用)
2 ベッドシーツ(病院用)        9 飲料水用ポリタンク(20L)
3 救急セット              10 毛布
4 抗生剤                11 簡易ベッド
5 手術用具セット            12 調理用灯油コンロ
6 使い捨てプラスチック手袋(手術用)  13 灯油ストーブ
7 手術用針と糸             14 非常用食器セット


森沢典子
 
 
midi@par.odn.co.jp