(とってもためになる?)山羊の話


昔は田舎に行くとどこにでもいた山羊。
でも今ではすっかり絶滅危惧家畜になってしまいましたね。
山羊は草を食べてくれるのにね。
ミルクも出してくれるのにね。
そして何よりも山羊は人間がとっても好きなのにね。

 


山羊はどこで手に入るの?

山羊を飼いたいと思っても、いったいどこで手に入れたらいいのでしょう?
長野などでは山羊のオークションがあります。
でもたいていの県ではまずありませんから、まず山羊飼いを探すことから始めないといけません。
そして途方にくれてしまいます。いったい山羊はどこに?

その一方で山羊をもらってくれる人がいなくて困っている人もたくさんいます。
ミルクを出させるためには毎年妊娠させないといけません。
そして一回の出産で1〜3頭の子供を産みます。そのため子供がどんどん増えていくのです。
それでも雌山羊ならほしい人はなんとか見つけることは出来るけど、雄山羊のもらい先を探すのは大変です。というわけで、インターネットなどを通じて気長に探してみましょう。
きっと見つかるはずですよ。
当農園でも山羊の予約を受け付けています。雄山羊でもいい人優先ですけどね。

 

山羊ってどんな動物?

野山を駆け回る山羊の姿をテレビなどで見ると、山羊って鹿に近いように思いますよね。
でも山羊は鹿よりも牛に近いのです。鹿は山羊の遠い親戚です。
山羊は鹿と違ってとても人懐っこく、人を見るとすぐそばによってきます。
そのくせ羊と違って野生をなくしてはいません。人から触られるのはあまり好きではないのです。
威嚇のポーズをとったり頭突きをしたりします。
そこがなかなかペットになりきれないところでもあるし、逆に山羊好き人間にとって魅力でもあるのです。



羊とどこが違うの?


これはとても難しい質問です。
実は決定的な違いがなかなか見つからないからです。
我が家のヤギは正真正銘、紛れもなく、由緒正しい、典型的な雑種です。 日本在来種と日本ザーネンの雑種。それに子山羊たちはトカラの血も混ざっています。 この在来雑種のいいところは強くて、飼いやすくて、乳もでるし、肉用にもなることです。 

ところでヤギと羊の違いわかりますか? 
ヤギは「メ〜」と鳴きます。 羊も「メ〜」と鳴きます。(これは大変なことです! 犬はよく聞くと、「ワンワン」とは鳴いていません。 鶏も「コケコッコ」とは鳴いていません。  でもヤギはちゃんと教科書通り「メー」と鳴くのです。) 
・羊は毛を採ります。 ヤギも毛を採る品種もあります。

・羊は従順ですが、ヤギは頑固です。(特に我が家のシロは)
・羊はおとなしいけど、ヤギは攻撃的です。(特にシロは)
・羊はヒゲはないけど、ヤギはヒゲがあります。(シロも最近ヒゲがのびてきました。) 
 *ひげがないヤギもいる
・ヤギは高い木の葉を食べるときや仲間同士で争いをするとき前足をあげて後ろ足立ちになります。
 (シロは飼い主に対してもしばしばこの得意のポーズをとります)
 ・・・おかげで、我が家の庭の植木は葉っぱは上の方しか残っていません!
・羊は紙は食べませんが山羊は食べます。
・でも科学的に考えて一番決定的なちがいは、ヤギはヤギ鍋になるが羊は決してヤギ鍋になることは出来ない。逆に羊はジンギスカンになるがヤギはジンギスカンにはならないということでしょう。

 

山羊はどんなものを食べるの?

山羊はとっても食いしん坊。大急ぎでがつがつと、行儀の悪い子供みたいに食べます。
山羊を見てると食べるためにだけ生まれてきたことがわかります。
山羊の前世はきっと哺乳類でなく腔腸動物だったのでしょう。

山羊は牛と同じく胃が4っもあります。とりあえず大急ぎで草を胃の中に押し込んであとでゆっくり反芻するのです。草食動物なのでいつ肉食動物に襲わないとも限りません。それで食べられるときにはおおあわてで食べるのです。

(山羊の食べ物)

・草 : 山羊の主食です。放してると草の先だけをちょっと齧って、すぐ別のところに移動し、また別の草を食べ、ます。それで適当な山羊の数を放すと草原はきれいな芝生状になります。
でもロープで同じところにながくつないでいると、草をきれいに食べてしまって、土が露出します。
離島で野生の山羊が増えすぎると土地が荒れ、砂漠化していくのです。

草は何でも食べるというわけではありません。意外と好みはうるさいのです。スギナやイタドリなどは大好きです。キンポウゲ、スイセンなどの毒草は食べませんが、干草にすると食べてしまうかもしれないので気をつけましょう。

干草は冬の主食です。干草を冬が来るまでに作るのが山羊飼いにとって一番大変な作業です。アルプスの少女ハイジは羊の番をしてる間に草を刈りますよね。あれは冬の山羊や羊の食事の準備なのです。

・木の葉 : 山羊が一番好きなのは実は木の葉です。柿、ビワ、柳、の葉には目がありません。木のそばを通っただけで「ぐうっ」とのどを鳴らし葉を採ってやるまで動こうとしません。
でもクサギ(臭木)はさすがに臭いのか食べません。前、うっかりアセビをやったことがあります。冬、他に何も食べ物がないときでした。アセビは猛毒。ひどい中毒をおこして、大変な思いをさせてしまいました。くれぐれもアセビには気をつけましょう。

・濃厚飼料 : 1日に一回濃厚飼料を少しやります。我が家ではくず米を一晩水につけたものと米ぬかを混ぜてやります。これに豆があったら、1日水につけて柔らかくしてこれも一緒に混ぜてやります。
濃厚飼料はやりすぎると軟便になりひどいときは下痢をしますので、あまりやり過ぎないように気をつけましょう。でも雨の日や冬などはついつい濃厚飼料に頼ってしまいます。

・塩 : 塩も必要です。岩塩を置いておくとがりがり、ぺろぺろとうまそうに食べます。岩塩は飼料屋さんで売っていますが、手に入らないときは濃厚飼料に普通の塩をぱらぱらと混ぜるといいでしょう。

(冬の山羊料理)

冬になると草は皆枯れ、木の葉は落ちて、山羊飼いにとってとっても頭の痛い季節です。特に雪国では相当量の干草を準備しておく必要があります。
我が家は雪国ではありませんが、それでも2回くらいは30センチくらい雪が積もります。もちろんほとんどの草は枯れて、木の葉もほとんど落ちます。それで山羊の食料を探すのはとても苦労しますが、それでもなんとかなるものです。

・竹、笹 : 我が家の山羊は冬にはパンダ山羊になってしまいます。竹ばかり食べさせられるからです。
毎日竹を一本ずつ切っては山羊にやります。

・豆柄 : 大豆や小豆の豆柄は山羊の冬食の定番。あの固い柄や枝をむしゃむしゃ食べます。
豆柄は豆を作ってるところでは皆いらないのでただでもらうことが出来るのです。
それで早めにもらって乾燥させておきましょう。

・芋のツル : 芋の葉やツルは山羊の大好物。それでついついそのままやってしまい、冬まで持ちません
たくさん作って乾燥させておきましょう。

・常緑樹の葉 : 我が家にはビワ・椿などの常緑樹があります。ビワは大好きですが椿はそんなに好きではありません。でも何もなかったら食べます。

・落ち葉 : 敷草変わりに裏や山の落ち葉を山羊小屋にいれると、少しは食べます。

・草 : 冬とはいえ青い草もないわけではありません。それで山羊は乏しい草を探しては食べます。

というわけで、冬でも餌がないわけではありませんがついつい濃厚飼料に頼ってしまいます。
ここはぜひハイジになって夏の間にせっせと干草を作っておきましょう。


山羊の体





山羊の瞳は長方形です。 それも、猫とは逆に横長で、長方形というよりはまるで腺です。でも暗くなると丸くなります。

小屋の中からまんまる目で「め〜〜」と鳴くと、思わずにっこり。
癒されますよ。

*山羊が明るいところでは瞳が横長になるのは、視野を広くして、外敵に気づくため、猫が縦に細くなるのは、特定の獲物に狙いをつけるためです。

 

山羊は村の長老って雰囲気がありますよね。 痩せてひげを生やして・・・、そして、その哲学者の風貌で、おもむろに話すことは,きまって、ごくありきたりのこと。でも妙に説得力があります。というより、何をいってもしゃあないか、と、なかばあきらめて、村の若者は、言うことを聞きます。 そんな長老のイメージ。やっぱり山羊は老人って感じしませんか? そして、なんと、イメージどおり上の歯がないのです。 (別にぬけ落ちてるわけじゃありません) そして上がないのに固い葉や木の皮までガリガリと食べてしまいます。いい音をたてて実にうまそうに、そして、すごい勢いで・・・。 歯はとても頑強なのです。

山羊の角はとっても平和的に伸びています。後ろ斜めに延びてるので正面から突き刺されることはありません。山羊どうしでけんかをするときも角の根元をガシッとぶつけ合うだけで相手を傷つけることはあまりありません。ただ山羊の横に立つ時は注意しましょう。山羊はよく首を横に振るからです。

角は雄ばかりではありません。雌でも角が生えてるものが多いのです。
山羊の角は鹿と違って生きています。触るとほんのり暖かいのです。
山羊の角は骨で中には髄液が入っています。それで鹿は角を切られても痛くはありませんが、山羊はとても痛がります。それはまさに拷問です。
それに山羊にとって角はとても役に立っているのですよ。角でとってもうまい具合に背中を掻くのです。それで人間の都合で骨を切るのはやめたいものです。

とはいっても山羊は頭突きをするという悪い癖があります。角の生えた山羊に頭突きされるのはかなり危険です。そのためにも小さい頃から頭突きをしないようにしっかりしつけておきましょう。小さいときはとっても可愛いし頭突きをしても痛くないのでついつい甘やかしてしまいます。そして気づいたときには手遅れになって、山羊の寿命を縮めることになってしまうのです。
そのために小さいときから、頭突きをしてきたらすぐにたたいて頭突きをしてはいけないことをわからしてやりましょう。

山羊を知らない人が山羊の絵を描くとたいてい間違えるのが角と耳の形です。角を鬼の角のように描き耳をイヌのように描いてしまいます。
山羊は音にすごく敏感です。遠くでイヌの鳴き声が聞こえただけでピクッと耳が動きピタッと動きがとまります。
山羊の耳は小さな音も見逃さないように大きくてぴんと張っています。
山羊はのんびり草を食べてて、いつものほほんと生きているようでも、いつもどこかに野生の緊張感を持っているのです。

山羊の鼻はぶよぶよです。そしてひんやり湿っています。
でもあんまり触るのはかわいそう。
山羊にははなはだ迷惑な話です。



山羊語

山羊はとっても人懐っこくて、それにとっても大食いです。
うっかり顔をあわせたり、音を立てたり、遠くからちょっと覗いただけでも、大きな声で鳴き出します。
それで、しのび足でそうっと山羊小屋に近づきます。 でもすぐ山羊に気づかれて「
メェーッ!」

山羊にはいくつかの鳴き声のパターンがあります。
「メェーッ!」 と大きく鳴くときは、はっきり、何かを要求しているとき。
「ンメェェェ・・・」 これは、甘えてるとき。
[メーーーン!」    まるで人間の赤ちゃんのように大きく鳴くことがあります。 そばに来て欲しいときです。 近所の人から、赤ちゃんをいじめてると思われそう・・・
「ククククク」  満足しているとき。
「・・・・・」   寝てるとき。 いつもシロとユキ、二人で寄り添って寝ています。

 

悪い癖

羊の悪い癖というと頭突き。これは山羊飼い共通の悩みの種です。特に雄山羊は強烈です。シロにはずいぶん悩まされました。
いいたい頭突きをやめさせるにはどうしたらいいのでしょうか?

(シロの場合) 

我が家の初代雄山羊シロにはずいぶん悩まされました。小さい頃甘やかせて育てたのが大きな間違いでした。
最初は痛くなかったので一緒に頭突きをして遊んでいたら、そのうち大きくなるにつれて頭突きは強烈になって来ました。
その上シロはとっても不器用で頭突きでしか自分の感情を表現できなかったのです。腹が減ったら頭突きをしてくるし、絡まったロープを解いてやろうとすると、早くしろ、とばかり頭突きをしてくるのです。

それで防止策を考えたました。頭突きをしてくるなと思ったら、先に、「よしよし」といって、背中や腹をぽんぽんと叩くことにしました。 
そうすると、気勢をそがれるのか、しばらくは、しないようです。もちろんこんなことで、聞くシロではありません。 すぐ、気を取り直して、またしても頭突きをしてきます。 そしたら、また「よしよし」いって、背中をぽんぽんと叩きますが、あまりしつこくしてくるようだと(シロはとてもしつこい、いや〜な性格でした)、耳元で、大きな声で「こらー!ステーキになりたいか!」というと静かになります。 
というわけで、少しは効果があったのか、これでだいぶ減ったようです。 これは、ぜひ使ってみる事をお勧めします。 
ただ、注意してほしいのですが、いつも「ステーキになりたいか!」だけではダメです。 「なんだ、ステーキしか知らないのかな?」と思われて山羊からなめられる恐れがあるからです。 それで、たまには、他のパターンを使いましょう。「こら! 山羊鍋になりたいか!」 とか、もっと、どぎつく、「こら!モツ鍋になりたいか!」 こういうと、さすがのシロもドキッとして、急に体を摺り寄せて、不安そうに、か細い声で鳴きだします。
こうして、頭突きも少なくなりやれやれ、と思ってたのですが、これはまったく一時的な効果でした。
しばらくすると前にも増して頭突きするようになったのです。
幼児教育の大切さをつくづく実感したのでした。

(ユキの場合)

ユキはおとなしい子でした。餌をいつもシロに横取りされては、訴えるようにこちらを向いて悲しそうに「めぇ〜・・・」と鳴いていました。
頭突きもしなかったのですっかり安心していたのですがこれが大きな間違いだったのです。

ユキは人懐っこいのですぐにみんなと仲良しになります。そして皆が油断した頃突然、ガツーン、と頭突きをしてくるのです。
このユキの攻撃を逃れるのは難しいでしょう。
こうして我が家に来た人はほとんど例外なくヤギ嫌いになって帰っていくのです。
ユキは子供の頃には想像できないような陰険な乱暴者に育ってしまいました。
これぐれもユキにはご用心を。

(ねねの場合)

シロとユキでこりたので、ねねには小さい頃からしっかり教育しました。頭突きしてくると、叩いてしてはいけないことを教えたのです。
それでねねは頭突きはしません。ただそのためもあるのでしょうか、人懐っこくはないのです。知らない人にはなつきません。それでたいていの人はしばらくねねと遊んだ後、すぐにものたりなくなって、ユキと遊んで、ガツーンと頭突きを受けることになってしまうのです。
幼児教育って難しいものですね。

山羊芸

山羊の一日って、食べるだけ?
朝から晩まで、草を食べるか、食べたものを反芻するしかないのだろうか?
なんか他にすることはないのかな・・・
ヤギを見てるとつくづくそう思います。
 「読書をしろ! とまでは言わないけど、せめて芸のひとつやふたつは身に付けたらどないやネン!」と、言いたくなります。
でも、はたしてどんな芸ができるのだろうか?

お手山羊 

 「お手!」 まったく何の役にも立たない芸。 犬がこんなこと出来ても誰もほめてくれません。
犬もきっとわかっているのでしょう。 「お手!」 といわれると、 「しゃあないな、飼い主の顔を立ててやるか・・・」と、しぶしぶ、前足を飼い主の手に乗せます。 
でも、これが山羊だったら、ちょっと違うかも知れないね。 「すごい!」とか「きゃぁ、かわいい!」といわれるかも・・・ 
それに、山羊がたくさんいて、「お手!」で、いっせいに、前足をあげたら、壮観だと思いませんか?
それに、まったく、何の役にも立たない芸というのがいい。 というわけで早速練習しました。
「お手!」 「?」
「お手!!」 「??」
「お手!!!」 「???」。
・・・山羊はたんなるアホでした。

馬山羊馬の代わりに山羊に乗ることができたらいいと思いませんか? 
ふと思いつきさっそくシロにのってみました。 でもまだ小さいので体重を支えることはできないようです。 いやがって後ずさり、そして「何するネン」とばかりこちらを見上げます。
でも、今のうちに訓練しといたら、案外いけるかもしれません。 

それに、これはなかなか具合がいいです。朝、野良仕事に出るときは鍬を担いで、山羊に乗って出かけます。 これだけじゃちょっとさびしいので、バックグランドミュージックに「山羊に引かれて」を流します。 夕方になったらドボルザークの新世界の2楽章のテーマ「家路」を流しながら、鍬と収穫物を担いで山羊に乗って帰ってきます。

*その後いろいろ試したところ、すんなり乗せてくれるヤギもいれば、嫌がってぜんぜんのせようとしない山羊もいます。
というわけできっとやさしい去勢雄山羊なら可能だと思います。
お預け山羊には絶対出来ないのがお預け。
山羊は食べるために生まれてきたようなもの。それでもしお預けが出来たらこれはもう山羊界のノーベル賞物。誰かこの芸に挑んでみませんか?
晩酌山羊酒はこっそり隠れて呑むのが、一番うまい。 でも、やっぱりたまには相手が欲しいもの。 せめて山羊でも相手になってくれたら・・・と、思います。 こっそり山羊小屋に入って、「どや? いっぱい呑むか?」とシロを誘惑。 紙パックの酒を紙コップについで「どや?」 山羊もすっかりのって 「ンメーーー」 ところが、「あっ、こらっ!」 紙コップまで食べてしまった!

 

山羊は一日中やたらと食べてやたらと糞をします。 他にやることないのか! 少しは趣味でも持ったらどないやねん、老後のことも考えとかなぁ・・・ と説教してもどこ吹く風。 あいかわらず猛烈に食べまくります。

山羊の糞は鹿と同じく黒豆のようです。 ころころしてるので、掃除はしやすいし、それに堆肥にしたら、貴重な肥料になります。

ころころした糞がときどきべっとりくっついて出てくることがあります。 これは病気か濃厚飼料のやりすぎです。 こんなときは濃厚飼料や青草をやめて柿の葉や枇杷の葉などの木の葉や干草にします。すると、すぐきれいな糞になります。山羊はもともととっても丈夫にできているのです。