24.流れが反転した川

〜水源が海とつながった川の運命は〜

(静岡県浜名郡新居町)

 

あんまり正確じゃない手書き地図

今回は人工のものではないので、遺跡ではないです。

川にも歴史があり、その流れを正反対に変えた珍しい川を紹介します。

 

静岡県の大井川以西を遠州地方と呼ぶことがある。遠州は旧遠江(とおとうみ)国に由来する地名。

古くは「遠淡海」という地方国名だった。都(奈良・京都)から見て遠くの淡水の湖という意味。

しかし、旧近江国(近淡海)の琵琶湖が淡水なのに対し、遠州の浜名湖は現在は海水の混じる汽水湖。

浜名湖はかつて淡水湖だった。今切口と呼ばれる水路は室町時代に地震と津波により形成された。

今切口ができるまでは浜名湖に集まった水は浜名川を通って遠州灘(太平洋)に流れたという。

その浜名川は今どうなっているのだろうか。

 

浜名川河口付近

浜名湖南岸は埋め立て地が多く当時の浜名川河口(湖側)がどこかはっきりとしないがたぶんこのあたり。

川の規模の割に河口が広いのはかつての名残か?

 

浜名川 浜名川

現在、浜名川の流れは500年前とは反対、浜名湖に向っている。ただし流れはわずか。

河口から川をさかのぼってみよう。

流域面積は狭く、周囲の雨水や生活排水を集めて浜名湖に注いでいる。

浜名湖に近い場所(左写真)ではそれなりの川幅があるものの

2Kmほど遠ざかるとこんな具合(右写真)。かつては全域もっと幅があっただろうが。

 

浜名川・現在の源流1 浜名川・現在の源流2

さらに先に進むと浜名湖から3Kmほどのところで突然川は途切れる。

水源があるようには見えない。コンクリートと鉄柵に囲まれなんとも味気ない。

かつてはこのあたりで川は広くなり、入り江となっていたそうな。

そして、遠州灘にその水を注いでいたようだが

その痕跡は見つからなかった。なんせ500年前のことですから・・。

周囲の平坦な地形から、その姿を想像することはできる。

 

今切口

現在、浜名湖と太平洋をつないでいる今切口。写真左奥が浜名湖、右手前が海。

1498年(室町時代中期)の大地震と大津波により浜名川河口(太平洋側)がふさがり

それ以前の地震で崩れかけていたこの部分がついに崩れた。

この地震と津波で多くの人命が失われ、舞沢(舞阪の前身)など

付近のいくつかの集落が消えたという。

当時の東海道は寸断され、北側を渡し舟で通すようにルート変更された。

約200年後の1707宝永地震による津波で、この今切口はさらに広くなった。

 

現在、今切口は浜名湖沿岸を母港とする漁船にとって重要な航路である。

休日にはレジャーボートの航行も多い。さらに、この上を国道1号線浜名バイパスが通る。

 

浜名湖が海とつながったのは地震と津波のしわざ。浜名湖がウナギの産地として有名になるのもその結果

浜名川はその重要な役割を終えた後、流れる方向を逆転し小河川として生き残りました。というお話でした。

 

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