56.大動脈の証

〜東海道本線旧線跡〜

(静岡県浜松市)

 

カテゴリ分けすると廃線ということになりますが、ちょっと違うような。

 

鉄道廃線には二種類あり、ひとつは路線廃止、もうひとつがルート変更です。

今回紹介するのはルート変更の一種ですが、隣に移っただけなので廃線と言えるかどうか。

 

鳩の休息所

廃線なのかどうかはさておき、これが今回の"遺跡"。東海道本線跡なのだが

すぐ隣に現在の東海道本線が走っている。1979年の高架化事業により生まれた遺物。

高架化工事完成までは当然旧線を使い続けるので、新線は隣に造られた。

高架完成後には新線に沿って廃線が生じた。

一部は道路などに転用されたが、路盤が残っている箇所も多い。

その中で、明確なコンクリート構造物が川を渡るこの地点にある。

橋桁ははずされたが、その橋台が残る。人間は立入禁止で、鳩の休息所となっている。

新線が高架橋方式ではなく、盛土で造られているのなら土留めとしての役割を果たしている。

 

鉄道輸送が中心で、かつ新幹線のない時代の東海道本線。日本の大動脈を支えてきた。

各地のローカル線跡や貨物引込線跡とは違う頑丈な造りが、素人目にも伝わってくる。

日本の産業を支えてきた証人だが、1889年の東海道本線開通時そのままではないだろう。

建築工学史的には特に重要でなさそうで、隣に現役線があることからも史跡扱いはない。

メジャー路線の遺構ながら、書籍やホームページ等への掲載も数少ないのでは。

 

現在線の横に旧路盤

この川の対岸側では橋台は撤去されていて、路盤だけが残る。

小川と現役線路に挟まれた場所なので、当面はこの姿だろう。

 

長い歴史を持つ東海道本線は各所で大小ルート変更や

橋の架け替えを繰り返しており、旧ルート跡は各地で存在します。

 

←前へ  次へ→

遺跡!?に戻る

トップページに戻る