33.大崩の崩壊
〜国鉄東海道本線旧ルート跡〜
(静岡県静岡市)
鉄道廃線跡は道路や各種施設に転用されたり、あるいは放置され自然に帰ったりします。
今回は、自然に帰る途中の光景を紹介します。地球の力を感じる場所です。
静岡市と、志太地域(焼津・藤枝など)の間には山があり、古くから東海道ルートの難所となっている。
JR東海道線は現在ここをトンネルで抜けるが、かつては一部海岸すれすれを通っていた。
その旧ルートの残骸が断崖と駿河湾に挟まれながら残っている。
このあたりの海岸の名前は「大崩海岸」。その名前通りの風景が広がる。

これは旧石部トンネル焼津側。奥に見える水面は駿河湾。
単線並列トンネルのようだ。左側(上り用)トンネルには人が住んでいるような形跡がある。
そして右側(下り用)トンネルの右半分が見あたらない。

下り用トンネルの下から見る。入口付近の右半分とその先は海岸に崩落している。
トンネルを下から見るというのも珍しい光景。
左写真の左下にわずかに写っているアーチ状のレンガはおそらく排水トンネル跡。
かぶっていた土が全て流されて不自然な形で残っている。
右下に崩落したレンガと石積みのトンネル残骸の脇には釣り人が。(右写真)

振り返ると、トンネル先のルートも崩壊しているようでコンクリート・レンガ等が散乱している。
釣場となっているようだが、石と崩壊物で非常に歩きにくい。

視点を変え、トンネル静岡側入口付近から見る。
崩壊物散乱地の先に、当時の路盤がわずかに残っている部分が見える。
さらにその奥は廃棄物処理場。その先のルートは追えない。

この付近にはもうひとつ旧ルートがある。鉄道ではなく道路(国道150号線旧道)。
斜面崩落のため写真左のコンクリート覆い付きの道は廃棄。
海上に張り出す橋で迂回する道(右側)が造られた。奥に富士山が見える。
150号線旧道は断崖に沿って走るスリリングな道。トンネルで抜けるバイパスもある。
この旧国鉄トンネル焼津側の崩壊は1948年の台風によるものだそうです。
当時東海道線は現在の東海道新幹線日本坂トンネル(戦前に弾丸列車構想で建設)経由でした。
新幹線建設時に旧トンネルを大改築し、崩落部分をトンネルで抜ける現在のルートに変更されました。
志太(焼津・藤枝・岡部)〜駿府(静岡)間の道は古代から難所であり、何度も変更されています。
当「遺跡!?」の「15.人が変わり、道も変わる」でも取り上げました。
参考文献:「鉄道廃線跡を歩く[」(JTB)