贈与税の節税対策

負担付贈与

負担付贈与とは、第三者に対して債務を支払うことを条件にした財産の贈与をいいます。
財産だけを単純に贈与するのではなく、負担(債務)を付けて贈与しようというものです。
この場合の課税価格は、次の二つに区分されます。

  下記以外  贈与財産の相続税評価額 − 債務額
 土地等・家屋等    贈与財産の通常の取引価額(時価) − 債務額  

1.土地等・家屋等以外の負担付贈与

★ 〔例〕ゴルフ会員権の負担付贈与 ★

取引相場のあるゴルフ会員権で、市中相場は一定とします。
銀行ローン残高も一定とします。

● 親が自己資金300万円と銀行ローン700万円で1000万円のゴルフ会員権を取得

● 子供に銀行ローン700万円を付けてゴルフ会員権を贈与

<子供の贈与税>
 取引相場のあるゴルフ会員権の相続税評価額 = 課税時期の取引価額 × 70%
 この場合において、取引価額に含まれない預託金等があるときは、一定の金額との合計額
 によって評価します。
 贈与税     1000万円×70%−700万円=0
 この場合には、子供の贈与税は無税になります。


<親の譲渡所得>
 銀行ローンを子供に肩代わりさせるという対価でゴルフ会員権を譲渡したことになり、一般
 の売買と同じように譲渡所得が課税されます。
 譲渡所得   700万円−1000万円=△300万円
 ゴルフ会員権の譲渡により生じた損失は、債務700万円が時価1000万円の2分の1以上
 のため他の所得と損益通算することができます。

● 子供がゴルフ会員権を1000万円で譲渡して、銀行ローン700万円を返済

子供の譲渡所得

・譲渡所得  1000万円−1000万円=0

子供には300万円が残り、結果として無税で贈与されたことになります。

2.土地等・家屋等の負担付贈与

従来、負担付贈与は、土地等・家屋等の不動産の時価と相続税評価額との開きに着目して、
贈与税の負担を回避するものでした。

このために、このような贈与税の税負担回避に対して、課税の公平を確保する見地から、
土地及び土地の上に存する権利(土地等)、家屋及びその附属設備又は構築物(家屋等)
を負担付贈与する場合には、相続税評価額によらずに、その取引時における通常の取引
価額
によって評価することになっています。

★ 〔例〕土地の負担付贈与 ★

● 親が自己資金1000万円と銀行ローン4000万円で5000万円の土地を取得

● 子供に銀行ローン4000万円を付けて土地を贈与 
  (時価 6000万円   相続税評価額 4000万円)

改正前

子供の贈与税

・贈与税   4000万円−4000万円=0     子供の贈与税は無税になります。

親の譲渡所得

・譲渡所得  4000万円−5000万円=△1000万円
・土地の譲渡により生じた損失は、債務4000万円が時価6000万円の2分の1以上のため、
 他の所得と損益通算することができます。

改正後

子供の贈与税

・贈与税   (6000万円−4000万円−60万円(基礎控除))×55%−265万円
        =802万円

親の譲渡所得

・改正前の譲渡所得と同じになります。

従来の負担付贈与では土地の評価額は4000万円でしたが、改正後では通常の取引価額
(時価)6000万円で評価されるために、6000万円−4000万円=2000万円の贈与が
あったものとされ、結局、直接2000万円の金銭を贈与するのと同じことになってしまいます。


贈与税の配偶者控除

婚姻期間が20年以上の配偶者に対して、居住用不動産又は居住用不動産を取得するため
の金銭を贈与した場合には、基礎控除60万円のほかに最高2000万円(合計2060万円)
まで控除(配偶者控除)できるという特例です。

1.特例の適用要件

・ 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後の贈与であること。同じ配偶者の間では一生に一度しか、
 適用を受けることができません。

・ 配偶者から贈与された財産は、自分が住むための居住用不動産又は居住用不動産を取得
 するための金銭であること。

・ 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産又は贈与を受け
 た金銭で取得した居住用不動産に贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住
 む見込みであること。

2.居住用不動産の贈与例

居住用不動産は、贈与を受けた者が住むための家屋・その敷地である土地・土地の上に存する
権利(借地権)をいいます。この特例の居住用不動産は、
        A 居住用家屋だけの贈与
        B 居住用家屋の敷地だけの贈与
        C 居住用家屋とその敷地の両方の贈与
が対象になります。

贈与不動産 ポイント
A 居住用家屋だけ 将来の相続税対策を考える場合には、家屋は期間の経過と共に価値が
減少しますから、あまり得策ではありません。
B 居住用敷地だけ 将来の相続税対策を考える場合には、土地は値上がりの可能性があり、
価値が上昇していくことが考えられますから、得策な方法です。
この場合には、家屋の所有者が次のいずれかに当てはまることが必要
です。
   1.夫又は妻が居住用家屋を所有していること
   2.夫又は妻と同居する親族が居住用家屋を所有していること 
C 居住用家屋と
  敷地の両方
将来居住用不動産を売却して、居住用財産の3000万円特別控除等を
受ける場合には、家屋の所有者であることが必要になります。
 贈与を受ける配偶者が家屋を所有していない場合には、考えられる
ケースです。

※ 不動産の時価よりも評価額が低い場合(通常はそうですが、場所によっては、逆転していま
  す。)には、金銭で贈与するよりも居住用不動産を贈与するほうが有利です。

3.この特例が節税になる最大の理由

・通常の贈与では、3年以内に相続が発生した場合、相続税の財産にその贈与財産も
 含めて
計算しますが、この特例による贈与は含まれません。

・平成5年12月31日以前までは贈与をした年に相続が発生した場合には、上記1に
 かかわらず含まれましたが、平成6年1月1日以後の贈与からは、贈与をした年に相続
 が発生してもその翌年に贈与税の申告をすれば、相続財産に含めなくてかまわないこと
 に改正されました。

※ 相続税の申告書に、贈与税の配偶者控除の特例の適用を受ける旨の書類を添付し
  なければなりません。

4.適用を受けるための手続

次の書類を付けて、贈与税の申告をすることが必要です。

・財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本又は抄本
・財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票の写し
・居住用不動産の登記簿謄本又は抄本
・その居住用不動産に住んだ日以後に作成された住民票の写し


住宅取得資金の贈与特例

通常金銭を贈与すれば贈与された人に贈与税が課税されますが、両親や祖父母から一定
の要件を満たす住宅を取得するための金銭については、特例が設けられています。

 300万円までの贈与 贈与税額はかかりません
1500万円までの贈与 贈与税額が軽減されます

★ 特に夫婦でマイホームを購入する場合に有利になります ★

夫が自分の親から3000万円の贈与を受けると、814万円の贈与税がかかります。
一方、夫が自分の親から1500万円、妻が自分の親から1500万円の贈与を受けると、それぞれ
152.5万円の贈与税で済みます。
つまり、夫婦で305万円の贈与税を支払うだけで、3000万円の贈与を受けることができ、単独で
3000万円の贈与を受ける場合と比べると509万円の節税になります。
この場合には、資金割合に応じた共有持分にする必要があります。


土地・建物の名義を変更しない

土地や建物などの不動産の所有者名義を変更して所有権を移転し、そのままにしておくと、
贈与税が課税されます。
この場合に、うっかりミスで変更した場合には、贈与税が課税される前に名義を元の所有者
に戻せば、贈与はなかったものと取り扱われます。

税務署はたえず登記所で登記資料を集めていますから、不動産の名義が変更されたことについて
は100%近く把握されていると思って下さい。


マイホームの新築・購入の際の共有名義

共働きの夫婦が、マイホームの新築や購入の際に共有名義にするケースが増えていますが、
この場合に単純に共有持分を1/2ずつにしていると、贈与税が課税される場合があります。
このときは頭金や収入割合などで、合理的に算定する必要があります。

マンションの購入価額  5000万円     収入 夫 800万円  妻 200万円
頭金 夫 500万円  妻 500万円     借入金 4000万円
    500万円+4000万円×800/1000=3700万円
   3700万円/5000万円=0.74
    500万円+4000万円×200/1000=1300万円
   1300万円/5000万円=0.26


保険金の保険料負担者と受取人が異なる場合

満期保険金を受取る場合に、保険料負担者と受取人が異なる場合には、贈与税が課税され
ます。満期が近い保険については、受取人を保険料負担者に変更することによって、所得税
として課税される方が税負担が軽くなります。

なお、受取人を変更するだけでは、贈与税の課税関係は生じません。


親の土地に子が家を建てるときは「使用貸借」にする

物の貸し借りには「賃貸借」と「使用貸借」があります。
「賃貸借は賃料がある場合」で「使用貸借」はタダで貸し借りをする場合」です。
親の土地を子が借りてその土地にマイホームを建てるときは、通常は地代はタダで、自然に使用
貸借となっている場合が普通です。しかし、中には地代を払う人もいますが、この場合には贈与税
がかかるケースがあります。

第三者間で土地の賃貸借をするときは、地代のほかに権利金を支払います。親子間も例外
ではなく、賃貸借(地代を支払う)で権利金を支払わないと、親から子へ借地権が贈与された
ことになります。

ここで問題になるのは、土地の評価です。
賃貸借の場合には、底地としての評価になりますが、使用貸借では更地としての評価になるために、
評価減できないことです。