ネプロス処理ABC

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5.ネプロス処理(化学研磨)と酸洗いの違いを知ろう

 

「化学研磨って酸洗いのことでしょ?」とよく言われます。

確かに酸洗いも『化学的』で『痩せる』仲間(『3.表面処理技術の関係を視覚的に分類してみよう』参照)ですから、似たようなものではあるのですが、仕上がりがまったく違います。

JIS規格で様々な『化学的な研磨』を調べてみると、『JISH0400』の『電気めっき及び関連処理用語』に、その記述がありました。

まとめると以下の表のようになります。

3005 化学研磨法(chemical polishing) 金属表面の平滑さを改善するため、種々の組成の溶液中に浸せきし、平滑な光沢面とする方法
3022 酸洗浄(acid cleaning) 酸溶液による洗浄
3023 酸浸せき(acid dipping) 軽いさびなどを除去するため、酸溶液中に短時間浸せきして清浄にする操作
3024 酸洗い、ピックリング(acid pickling) ミルスケール又は厚いさびの層を除去するため、比較的長い時間、酸溶液中に浸せきして清浄にする操作

参考
対応国際規格では、ピックリング(pickling)を化学的又は電気化学的作用によって素地金属から酸化物又はその他の化合物を除去することと規定している

3004 電解研磨法(electropolishing) 金属表面を特定溶液中で陽極溶解し、平滑な光沢面とする方法

【JISH0400 『電気めっき及び関連処理用語』より】

 

『酸による洗浄』にはいろんな種類があるんですね。

JISの定義上は、『酸洗浄』は酸溶液で洗浄する作業全般、『酸浸せき』は漬け込み、『酸洗い、ピックリング』はもっと長く漬け込み、というところでしょうか。しかし、酸洗浄をやったことがあればおわかりでしょうが、酸洗浄を行う場合まず酸を含んだスポンジなどで軽くこすってみて、それでも無理なら漬け込んで、不完全ならもっと漬け込んで、、、という具合に、これら作業は一連のものですから、その境界は曖昧で区別も難しそうです。

そして『酸』により『化学的』に『痩せる』これら手法(『酸洗浄』)は、処理後の『結果』にも大差が無い、と言えるでしょう。

 

一方、処理の目的に注目してみると、『電解研磨』&『化学研磨』グループは『平滑な光沢面』を得るために行う作業であり、『酸洗浄』グループは『金属表面から異物を取り除くため』に行う作業だ、ということが言えます。

しかしこれも区別が難しい場合があります。

電解や化研をすれば結果として金属表面の異物を取り除くことができますし、酸洗いだけでも金属表面に光沢が出るような場合があります。

 

ステンレスの『酸洗い』には、多くの処理業者で塩酸や硫酸やフッ酸が使われます。

これは酸による金属還元反応により金属が溶解するという原理を利用しています。

しかし『電解研磨』や『ネプロス処理』では、実は金属表面で酸洗いと同じような還元反応と同時に、酸化反応が起こっています。

学術的な説明は省きますが、わかりやすく言えば『痩せる薬』と『太る薬』が混ざっているということです。

もっと例えれば、ダイエット中なのにカツ丼食べちゃったみたいな状態ですね。

このようなバランスの中で、ダイエットの効果が勝っている場合は痩せますし、カツ丼の威力が勝れば太りますが、化研の場合は微妙に痩せるようなバランスになるように薬液を配合し、電解の場合は痩せたい部分に電気を流して強制的に痩せさせています。

つまり、『痩せる』だけの酸洗いに対し、『痩せる』と『太る』がほぼ釣り合っているバランスの中で、でも微妙に『痩せる』のが『電解』&『化研』というわけです。

 

従って、『化学研磨と酸洗いの違い』とは、たとえ仕上がりの結果が同じようになったとしても、まずその目的が違い、そして工程のコンセプトがまったく違うのだ、と言えます。

→その違いをアニメーションで見てみよう

 

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