アン・アシュリー

貴婦人の秘密 HS-86 (株)ハーレクイン  発刊:2000.04.05
ヒロイン:エリザベス・ベレズフォード(亡き父は伯爵家の次男・22歳?) ヒーロー:リチャード・ナイトリー(准男爵・30歳?)

あらすじ
エリザベスは、父の名付け子であるリチャード・ナイトリーのことを随分と長い間、慕い続けていた。
父親同士が2人の婚約を決めた時、その想いは成就するかに思えたが、リチャードが、惹かれていたのはエリザベスの7歳年上の姉エヴァドネだった。彼が姉に
「父親が結婚させたがっている相手があなたならよかったのに」
そう言って、キスをしている場面に行き合わせてしまったのだ。
互いの父親が亡くなった後、エリザベスはリチャードとの婚約を破棄する旨の手紙を彼に送るのだった。
しかし、リチャードとは、もう2度と顔を会わすこともあるまいと思っていたエリザベスの生活に突如、彼は乗り込んできた。
ワーテルローの戦場で全身に傷を受けたリチャードが、エリザベスの住む屋敷に運び込まれたのだ……。

エリザベスの姉エヴァドネが、かなり自己中心的な人物として大活躍。エヴァドネは見目麗しい容貌の持ち主ですが三十路目前となって陰りが見え始め、対して性格の品性下劣さは年を経るごとに磨きがかかってます。
嫁き遅れているものの、目を見張るような容貌の持ち主であるエリザベスを妬み、妹の前途洋々たる未来を惨めのものにしようとエヴァドネは躍起になってます。
久方ぶりに再会したエリザベスが、美しく成長していることに驚いたリチャードは、彼女を得ようと奮闘。掻っ攫うように結婚にまでこぎ着け、彼女が自分に慣れ親しむまで手を出すのを我慢したリチャード。ようやく寝所を共にしてみれば、エリザベスが初めてさんでないことに茫然自失となり、怒髪天を衝くような怒りっぷりのまま、暴言を吐きまくった上に、女遊びにうつつをぬかすという行動をとるのでありました。
そのアイタタタな言動を後で悔やむのは当然のことで、とりつくしまのない態度を取る上に、性的な雰囲気が少しでも漂うと怯えを見せるエリザベスの凍りついた気持ちをなんとかとかそうと心を配ることになります。
状況が悪くても、リチャードはエリザベスに抱いた信頼を揺るがせることなく対応し、悪巧みをしては悦に入っていたエヴァドネを、エリザベスがばっさりとやっつけるのでスッキリ。


悩める伯爵 HS-110 (株)ハーレクイン  発刊:2001.04.05
ヒロイン:レベッカ・スタンディッシュ(大佐の孫・19歳/愛称ベッキー) ヒーロー:ドラモンド・チャールズ・ヘンリー・ソーンヴィル(第7代レイン伯爵・29歳/愛称ドラム)

あらすじ
年が離れていたとはいえ、まだまだ壮健だった兄ジャイルズが急死した。ジャイルズが跡取りを残さないまま亡くなったため、ドラムは、自分が継ぐことになるなど思ってもいなかった称号、レイン伯爵に就任することになったのだ。
兄の死を知らされてから一年間、気持ちの整理もつけるためにヨーロッパをあちこち旅行してから、領地に戻ってきた。
懐かしい風景を眺めていたドラムは、旅の疲れと汚れを洗い流そうと、少年だった頃、泳ぎを楽しんだ池に足を向けた。まさか、その池に先客がいるとは思いもせず、その上、見事に泳いでいたのが若い女性だったことに、ドラムは一瞬、自分が伯爵の地位にいることを忘れかけた。
彼女を手に入れたいという情欲を押さえつけた記念に、ドラムは脱ぎ捨てられていた衣服の上に置いてあったボンネットから鮮やかな緑のリボンを取り、その場を静かに歩き去ったのだった。

8歳の時に、両親を天然痘で亡くしたレベッカは、祖父に引き取られます。この祖父が、レベッカに甘々で、孫のやんちゃぶりを助長させます。
加えて、ドラムもかなりそのお転婆を進化させるのに手を貸しています。しかし、彼が軍役に就く際にレベッカがしでかした悪戯の度がすぎていたようで、規則の厳しい寄宿学校に彼女を入れることを強硬に大佐に進言。
自由奔放に生きていたレベッカは、その後4年間を、檻の中にいるような寄宿学校で過すこととなるのでした。
ドラムに対して悪い印象しかなく、できることなら顔を会わせたくないと思っているレベッカ、19歳。
わんぱく小僧のようなかわいい「僕のちびちゃん」であるレベッカに、早く再会したいと思っているドラム、29歳。
物語はドラムの命が狙われる事故が相次ぐ中、彼とレベッカの互いに抱く感情が何であるのかを、コミカルに描いていきます。
そして、レベッカの後見人の立場となってしまったドラムが、彼女から寄せられる絶大な信頼を誇りに思いながらも、恨めしく(笑)、つい自制の糸をプッツンと切ってしまうという試練に立ち向かっていく作品なのでありました。


消えた子爵夫人 HS-135 (株)ハーレクイン  発刊:2002.05.05
ヒロイン:エミリー・ストーウェン(見事な赤毛の未亡人/レイチェル・エミリー・リンフォード・22歳 ヒーロー:ドミニク・カールトン(リンフォード子爵・30歳)

あらすじ
リンフォード子爵の幼妻が失踪して6年。
子爵家の膨大な借財を帳消しにするかわりに、リンフォードが娶らされたのは16歳という若い年齢よりも更に幼く見えるぽっちゃりとした少女レイチェルだった。
人形を抱きしめて不安げにしている彼女の余りの子供っぽさに、リンフォードは結婚後も手を出せなかった。そして、若い花嫁に対して何の配慮もせず、ロンドンの愛人の元に憂さ晴らしに出かけたのだ。
だから、リンフォードが愛人と不行跡をしていた間にレイチェルが失踪したのは、一生、背負っていかなければならない罪だった。
そんな過去に縛られていた彼の前に、魅力的な女性が現れた。
見事な赤毛と目を見張るような美貌の持ち主であるエミリー・ストーウェンという、若い未亡人だった。

レイチェル失踪の発端は、リンフォード子爵のすっとこどっこいな女性関係。
顧みなかった妻に失踪されて自分の至らなさに気づいたリンフォード。人間的にも成長し、領地をうまく治め、レイチェルへの罪滅ぼしともとれる孤児を引き取って世話をする慈善事業にも力を入れ始めます。
……が、女癖の悪さは治ってなかった(笑) 妻失踪後も愛人を取っ換え引っ換えしてます。
最初に改めるのは、そこじゃないかと思うのですが、本人、女癖が悪いという自覚が余りなかった模様。
レイチェルが、失踪の理由を告白して初めて、どれだけ妻を傷つけてしまったのか思い知るというある意味、抜け作?
でも、まー、騎士道精神を発揮して自己抑制に徹していた彼が、レイチェルをはじめて抱いた時、強引な中にも心遣いが溢れていて、今までの汚名返上になる名場面となってます。


わたしだけの後見人 HS-167 (株)ハーレクイン  発刊:2003.09.05
ヒロイン:セーラ・ペニントン(父は海軍大佐、母は准男爵の娘・孤児・19歳) ヒーロー:マーカス・レイヴンハースト(母が伯爵令嬢・大資産家・31歳)

あらすじ
母親が暴走する馬車に轢かれて命を落としてから6年。
後見人が用意した付添人ハリエットの元で、 虐待されることはなかったが、いつもいつも慎ましい生活を強要させられていることに、セーラはもううんざりだった。もうすぐ成人するのだ。
以前、家庭教師をしてくれた女性の元に身を寄せ、働き口を得ようと彼女が思ったのは当然のことだった。今まで、どれだけ生活の改善を頼み込んだ手紙を送っても、梨のつぶてだった後見人のことだから、セーラがいなくなっても困らないどころか気づきもしないに違いない……。
首尾よく家出に成功し、元家庭教師の住む所へ行こうと楽天的に考えているセーラを、血相を変えて追いかけている紳士がいた。

セーラが家出を敢行した発端は、マーカスのちょっとばかしおざなりだった対応が原因。
元々、賭博癖のあった女性に大金を与えて、少女が成人するまでの面倒を任せっぱなしにすれば、使い込みに走るのは当然のような……。野暮ったい服に、気晴らしの全くない生活を続けさせられることになったセーラにすれば、いい迷惑です。
そのあたりの、楽しめなかった期間の償いをしたいと誠実に考えていたマーカスの独白がいい感じ。
そして、自分は女性にもてるという自信満々なマーカスに対して、セーラが言い放った言葉が、
「わたしが一晩いっしょに過した相手は、男の人ではありませんわ。ただの後見人です」
むっとしているマーカスに、ニヤニヤ。
物語は、道中一緒になった男性が、殺された(?)という事件の発端に居合わせたセーラとマーカスの、犯人探しを中心に、2人の節度ある言い合いが繰り広げられていくこととなります。


心躍る冒険 HS-187 (株)ハーレクイン  発刊:2004.07.05
ヒロイン:キャサリン・フェアチャイルド・オマーリー(祖父は元大佐・孤児・22歳/愛称ケイト) ヒーロー:ダニエル・ロス(元陸軍少佐・地主階級・30歳?)

あらすじ
血なまぐさい軍隊生活に終わりを告げ、ダニエルは地主として領地経営に本腰を入れるつもりだった。
インドへの旅に出発して一年後に父親が急死し、慌てて帰国してみたら幼馴染みで恋人であった女性が、いとこのサイモンと結婚していたのだ。
父の死と不実な恋人の仕打ちに嫌気がさしたダニエルは軍隊に入り、どこか捨て鉢な雰囲気を持った彼を英国の謀略機関が利用しないわけがなかった。
命を惜しまずに、命じられた任務をダニエルは遂行していった。でも、もういい加減、謀略のままに人を殺めていくことに疲れを感じずにいられなくなっていた。
しかし、軍を辞し、故郷に戻ろうしていたダニエルに仕事が持ちかけられた。フランスに情報を漏らしてイギリスを裏切っている輩をあぶり出す諜報戦で重要な役目を果たすことになる若い女性の警護を頼まれたのだ。

キャサリンが仏国語もまとも喋ることのできない、思い込みがしつこくて、癇癪持ちで……人選ミスじゃないの?と思える展開が最初、続いております。その上、 多すぎる登場人物の名前や似たり寄ったりの性格造詣のために、人物相関が把握できません。
見事な赤毛をもつ若い娘という容姿を持っていたおかげで、フランスに情報を漏らしてイギリスを裏切っている輩をあぶり出す諜報戦に組み込まれる事になったキャサリン。
バースでの退屈で自由のない生活に嫌気を指していたキャサリンが、フランスでのスパイ活動に心弾ませてます。キャサリンの警護に当たる人物がダニエル・ロス。
彼は、キャサリンの親友が思いを募らせていた相手であり、手ひどい失恋を味あわせ、その命を儚くさせてしまった人物です(もちろん、キャサリンの勝手な思い込み)
そのことで、ダニエルに対してマイナス感情を抱くキャサリン。
彼女の癇癪が頻繁に繰り広げられてます。
メモ:謀略戦は今一つ緊迫感が無く、キャサリンが独身を貫こうと決意している理由も深く掘り下げられているわけでもなく……。ライバル女性は登場するだけで暗躍までいかず。登場人物だけが無駄に多く、読んでて萌えどころがない作品でありました。


料理番の娘 HS-245 (株)ハーレクイン  発刊:2006.03.05
ヒロイン:エマ・リン(亡き父は聖職者・宿屋の料理人・24歳) ヒーロー:ベネディクト・グラントリー(伯爵家の次男・34歳/愛称ベン)

あらすじ
年の離れた姉と懇意にしているハモンド夫人が、突然、ベネディクトを訪問してきた。
夫人は、追い剥ぎに襲われ絶命したと目されている夫の死に、不可解な点があると、深い悲しみを漂わせて言葉を紡ぐのだった。
「調べていただきたいのは、夫の死の裏に、巷で信じられている以上の何かが隠されているのではないか、ということなのです」
夫人の話によれば、他にも2件ほど、不審に思える事故死があったらしい。
都会での、判を押したような生活に退屈を覚えていたベネディクトは、大学から停学処分をくらった甥ハリーとともに、夫人が住まうウィルトシャーの小さな村へと赴いた。
夫人が勧めてくれた宿に泊まったことを心底、よかったと思えるような食事が供され、その上、料理人が身のこなしに品のある若く美しい女性だということにベネディクトは、心が浮き立つのだった。

不審死が続いていることを調べにきたベネディクトの手助けをするエマ。
早々に、エマのことを生涯を共にしたい相手だと気づいたベネディクト。
世間がエマを不当に扱おうもんなら、断固としてやり合う気満々となってます。
お付き合いすらしていない時点から、実用的な衣装ではなく、流行のドレスで着飾らせたいと、お節介の手がうずうず。
不審死の真相解明と、障害がないかと思えた2人のロマンスを壊そうとしてくるベネディクトの姉という存在をからめて物語が展開。
メモ:ぽっと出の甥に取られるくらいなら、灰燼に帰してしまえと放火。伯母と姪ではなく本当は母娘の関係。


婚約のゆくえ HS-264 (株)ハーレクイン  発刊:2006.09.05
ヒロイン:アビゲイル・グレアム(祖父は元大佐・孤児・23歳/愛称アビー) ヒーロー:バーソロミュー・キャヴァナー(資産家・歩兵隊元少佐・30歳/愛称バート)

あらすじ
両親がイタリア旅行中に腸チフスが原因で亡くなってから、アビーは父方の祖父に引き取られることになった。厳しくて、癇癪持ちの祖父であったが、アビーを慈しみ大切に育て上げてくれた……17歳のあの時までは。
祖父の名付け子である青年からの求婚を、アビーが手厳しく断った日から、祖父の態度が豹変したのだ。アビーを田舎に閉じ込めたまま召使いのように扱い、その存在を無視することも多々あった。
いつかは、以前の祖父に戻ってくれるとアビーが期待を抱き続けて、6年もの空しい日々が過ぎ去っていた。
バートを買っている祖父にとって、彼と孫娘の婚姻は最上の組み合わせだったに違いない。
けれども、7歳年上のバートに対する気持ちは、祖父に引き取られた時に出会った当初から余り良いものではなかった。アビーにとって、彼は、祖父の関心を奪っていく存在だったのだ。
これ以上働きかけても祖父の態度は、変わりはしない……。
祖父がスコットランドに旅行をしている間、何の相談もなく無理やりバースに滞在している名付け親の元に送り出されることになったアビーは、祖父に今後はこのような状況に甘んじるつもりはないと冷静に伝えるのだった。

6年前、バートから求婚される数時間前に目撃してしまったのは、あずまやで彼が既婚者と情事を耽っている場面。若さからの潔癖もあって、求婚を手厳しく断わることとなります。祖父の態度が豹変し、一番華やいで楽しく過ごせる筈だった娘時代が不遇だったアビーですが、その心根の寛大さは失われていません。祖父に送り出された先で、バートと再会し、謀られたことに気づくわけですが冷静に対処していくこととなります。
再会した2人は、互いの本質を淡々と知っていくにつれ、惹かれていくわけですが、バースからバートの領地に移った途端、馬車が転覆したり、レンガが落ちてきたりというトラブルが起こり始めます。
何の目的で、誰が騒動を起こしているのか?という謎解きとともに、6年前に芽すらでなかったロマンスがゆっくり花開いていく作品となってます。
メモ:祖母譲りの画家としての才能・犯人に撃たれかけたバートを庇って重傷


子爵の憂愁 HS-303 (株)ハーレクイン  発刊:2007.10.05
ヒロイン:アニス・ミルバンク(亡き祖父と父は医師・孤児・24歳) ヒーロー:デヴァレル・グレイソープ(子爵・30歳)

あらすじ
名付け親のたっての頼みで、グレイソープ子爵に面会を求めにいく道中で、アニスは積もった雪の上に倒れ伏している男性を発見することになった。
その男性には、肩から肘にかけて銃弾によるものと思われる傷があり、落馬した時にできた頭の傷からは少なからぬ血が流れている。係わりあうことを躊躇する御者を制して、アニスは意識のないその男性を馬車内に運び込ませた。
グレイソープ子爵が住む屋敷への一本道で倒れているのだから、何らかの関係があるに違いないというアニスの考えは、それ以上のものとなった。
慇懃無礼にアニス達一行を出迎えた従僕が、馬車内に横たわっている男性を見て驚愕の表情を浮かべたのだ。

名付け親の姪ヘレンの異母兄グレイソープ子爵に、会いに出かけたアニスはトラブルに巻き込まれることになります。
現在、ヘレンが放蕩者ではないかと思われる男性と恋仲に落ちかけており、異母兄グレイソープ子爵からの祖母の誕生パーティに絶対に出席するようにという高圧的な招待状を受け取るのはいささか拙い状況にあるのだということを上手く伝えるためにアニスはやってきたのですが……。
子爵側も、少なからぬ問題が発生していて、アニスはその解決にも頭を突っ込んでいくこととなります。
子爵の亡くなった父親が偏屈だったばっかりに、陰鬱な屋敷と化していたのを晴れやかにしていくアニス。彼女の豊富な話題に、グレイソープの人たちは、少しずつ明るくなっていくのですが……。
子爵が何故、撃たれることになったのか、アニスを貯氷庫に閉じ込めたのは誰か、グレイソープ領に滞在している、子爵の従弟が時折垣間見せる暗い表情の理由は?
謎をアニスが、解決していくこととなります。
メモ:カード賭博の不正、厩屋の焼失、美しい隣人との関係? サラ(子爵の妹、28歳)兄の結婚後、屋敷を出る予定