アン・ハンプソン

アポロを待ちながら L-14 (株)サンリオ  発刊:1982.01.05
ヒロイン:ジェニー・ノースウェイ(父親を2ヶ月前に亡くしたばかり・19歳) ヒーロー:ダロス・キルー(ギリシアの大富豪の跡取り・海運業・31歳)

あらすじ
母が亡くなってから4年が経っていた。老齢であるにもかかわらず、父親が、女遊びにうつつを抜かすのは、仕方がないことだとダロスは諦めの境地に入っていた。
しかし、再婚となると話が違ってくる。自分の年齢より倍以上の老人に嫁ぐ気でいる女の目当ては、ただ、父の早い死を願い、莫大な遺産を受け取って湯水のように使う金にありつきたいだけだからだ。
父が、再婚したい女性シルビアを伴って帰島した時、ダロスの胸には憤りが渦巻いていた。
付き添ってきたシルビアの継娘であるジェニーに、ダロスは警告をするのだった。
「きみたちふたりが父の財産目当てだということは、ぼくにははっきりわかる。あなたの義理の母と、ぼくの父とは、絶対結婚させない」

17歳の時に、父親がシルビアと再婚してから、ジェニーはそれまで父との間に存在していた親しい絆が断たれたような感じを抱くこととなります。シルビアとの結婚は、父親をギャンブルに走らせることとなり、2年後、急逝した時には、ジェニーとシルビアに遺されたものは大掛かりな修復が必要な大きな屋敷とわずかばかりの現金のみ。
そんな中、次の金づるを探し出すシルビアは、さめざめと泣いて我を押し通す手練手管の持ち主。その罠に引っかかったギリシア人の大実業家グラブコスの招待で、ギリシアの小島に2人で赴くこととなります。
で、出会ったのが息子のダロス。まだまだ独身を謳歌していたいと公言して憚らない傲慢な男性。
当然のことながら、シルビアの魂胆を最初から見抜いて、父親の再婚話を潰す気満々です。シルビアを言いように翻弄しまくってます。
その裏で(というか表で)、ジェニーを誘惑したり、彼女に言い寄ってくる男はしっかり排除、その上、保護者気取りで束縛したりとやりたい放題気味。
まだ幼いとも言えるジェニーの気持ちを掴みかねたりもしてるんですが、概ね、大人の余裕で物事を進めております。


やすらぎ I-50 ハーレクイン社  発刊:1983.02.05
ヒロイン:ゲイル・カースリー(会社員・28歳) ヒーロー:アンドルー・マクニール(スコットランドの大地主・37歳・3人の子持ち)

あらすじ
8年前、酔っぱらった婚約者マイクが起こした事故で、ゲイルは命が危ぶまれるほどの重傷を負った。傷痕は、額の生え際、肩、背中に醜く残り、そして痛めつけられた内蔵はゲイルに子どもを身篭るという未来を奪い去った。
そして、産めない女に用は無いとばかりにマイクは、ゲイルを捨て去ったのだ。
過去を乗り越えて生きていくしかないゲイルだったが、久しぶりにあったマイクが3人の子持ちになっているという事実は気を滅入らせるもの以外の何ものでも無かった。
落ち込んだ気分を癒す為に、長期休暇をとり、妹夫妻が住む屋敷に滞在することにしたゲイルはそこで、スコットランドでも有数の大地主であるアンドルー・マクニールと出会うのだった。
彼が連れてきた幼い2人の子ども達と、妹夫妻の子ども達2人の面倒を快くゲイルが見ている姿を思案気にアンドルーが眺めている。
「乳母の仕事をしてくれないか」と尋ねられたら、一生自分の子どもを持つことができず、親身に世話をしてやれない切なさに身を切られるような思いをしているゲイルは一二も無く受けてしまいそうだった。けれども、アンドルーが申し出たのは、
「子供たちの母親になってくれないか」

若い頃に結婚したアンドルーは、新妻が見目がよいだけの尻軽女だったために辛酸な結婚生活を送ることとなり、妻が産んだ長女のモリーとは血が繋がっていない事実に打ちのめされます。それでもなんとか、夫婦仲を築き直そうとするアンドルーですが、妻は相変わらず尻軽。
妻との間にその後、長男と次女を成すのですが、心通わさないまま、妻が亡くなり正直、ホッとしたところにモリーが問題を起こし始めます。
まだ15歳であるのに、喫煙、飲酒、男遊びとやりたい放題の不良ぶり。どうにかして更生させようとするのですが、全くうまくいかず、そうこうする内に下の2人までモリーのように育ってしまったら……という不安に苛まれていくアンドルーは、子ども達を親身に世話をして、安定した家庭を築き上げてくれる女性を望むこととなります。
表向きは乳母探し、実際のところは子ども達の母親探しをしだしたアンドルーの前に現れたのがゲイルで、彼は出会って即効、彼女をスコットランドまで掻っ攫っていくのでありました。
亡くなった妻とモリーのおかげで、相当な癇癪持ちになっているアンドルーが、最初かなり傍若無人に怒鳴り散らしてます。
身体に傷痕が残っているために肩の出たドレスが着れないゲイルを、理由も聞かずに責めた彼が、真実を知ったあたりから、彼女のことを束縛し出していい感じです。ゲイルに近づく男たちに、嫉妬しまくってる姿がそこかしこに描写されてます。
アンドルーとゲイル達家族の仲をかき乱す祖母(先妻の母)を立ち入り禁止にしたり、モリーが改心すらせず、自業自得で亡くなるという勧善懲悪は、読後感に苦いものがあるかも。


最後の船旅 R-10 ハーレクイン社  発刊:1979.10.20
ヒロイン:ウェンディ・ブラウン(脳腫瘍を患う・20歳) ヒーロー:ガース・リヴァーズ(過労で静養中/脳外科医

あらすじ
「私の家系は短命なんだわ」
父は、ウェンディの初めての誕生日すら一緒に祝えずに亡くなり、母は約一年前にこの世を去った。
一人暮らしで気ままに読みたいだけ読書を楽しんだせいで、目が霞んだり、頭痛がするのだと思い込んでいた。
主治医から告げられた病状は、長くて余命4ヶ月というものだった。
残された命を、楽しく豊かにするために、豪華客船での船旅へと出立するウェンディだった。

最後の贅沢をと、豪華客船に乗り込んだウェンディに、食事時にテーブルが同席となったガースがいろいろと世話を焼きます。でもガースは、ウェンディのことを身持ちの悪い女優が素性を隠して乗船していると勘違いしている(おっちょこちょい友人フレイザーの思い込みを信じてしまった)ので、かなり態度がイタダケナイ。
その理不尽な態度にウェンディとしては首を傾げざるを得ないのは当然のこと。しかし、残り少ない人生に心浮き立つ恋愛感情を持ってみたいから、
「困ったな……」という表情を何度となく浮かべてしまいながらも、ガースとのお付き合いを楽しみにするウェンディ。
中盤にいくまでに、その女優の素性隠しが誤解の何ものでもないことがわかり、ガース、大慌て。そんな女優に心惹かれるものかと抑制していたにもかかわらず、ウェンディに傾倒することが止められなかったのに、女優じゃないとはッ!!(フレイザーの大馬鹿野郎めー)
真相を知ったウェンディの対応もほのぼのとして、良い感じです。
そして、ここから、病魔が急速に進行、ガースの求愛に応えられない悲しさ……と一気に最後まで読ませてくれます。


木曜日になれば R-225 ハーレクイン社  発刊:1983.02.20
ヒロイン:ジャニス・カーター(子守・17歳) ヒーロー:ペレグリン・ケイトン(農場主・30歳/愛称ペリー)

あらすじ
父が再婚した女は、ただ金遣いが荒かった。財産を食いつぶすだけでなく、借金までして遊び暮らしていた継母を、ペリーは父が亡くなった後、たたき出した。女性に対する不信感は継母の所業で植え付けられていたが、それが確定的になったのは、婚約者グレンダの手ひどい仕打ちだった。
結婚することに嫌悪感を持っていたペリーを心配した伯父が、30歳になるまでに妻を迎えなければ相続人から彼の名前を外し、もう1人の甥リチャードに全財産を譲ると遺言を書き換えたのだ。
取り合えず結婚すれば良いと思って婚約したグレンダに、思いがけず心奪われたペリーを彼女は、土壇場で裏切った。グレンダは、もともとリチャードの婚約者で、ペリーの誕生日の一週間前に挙げられる結婚式の前夜にペリーを捨てる計画を持っていたのだ……。

住み慣れた館も農場も、何もかも失いかけていたペリーの前に忽然と現れたジャニス。運転する車に接触してジャニスの足にケガをさせたことから、彼女の身の上を聞き出し、利用できると思いつきます。ジャニスのお人よしな性格に乗じて、都合の良い思いを散々してるペリー。
その上、女性不信の苛立ちの全てを、ジャニスに当たることによって憂さをはらしてます。弱いものイジメ……。
まぁ、ジャニスも説明が上手くできない(ペリーの居丈高に怖れをなしてるのもある)から、2人の間の溝は中々、埋まらないわけで、読んでてやきもき。
一回り以上、年下の寄る辺もない少女ともいえるジャニスを苛め抜いたペリーの元から、とうとう逃げ出したジャニス。
何もかも自分が悪かったと気付き、周囲の人間からも叱責されてペリーは慌てて後を追ったものの時既に遅し。
ジャニスの行方を掴みかけては、とり逃がして、心労の極みにペリーは陥ってたみたいですが、自業自得ですッ。


スタブロス家の人々 R-261 ハーレクイン社  発刊:1983.08.20
ヒロイン:ヘロ・キャバンディッシュ(遠縁の親類にこき使われてる・17歳) ヒーロー:ダミアン・スタブロス(ギリシャの実業家)

あらすじ
ダミアンの祖母クレオは、スタブロス家を牛耳っており、その意に逆らう者に容赦がなかった。祖母に妻を見繕われることに我慢できなかったダミアンは、遺産相続から名前を削ると脅されても屈しなかった。
相続人から外されたものの、立上げた事業が成功し、手に入る筈だった財産以上の富を持ちえた今、祖母との関係は逆転している。ダミアンがいなければ、スタブロス家の事業が円滑に回らなくなっているのだ。
それでもなお、良い家柄で持参金をたっぷりもたらしてくれる娘を押し付けてくる祖母への意趣返しを企んだダミアンは貧しくて無学で、あろうことかイギリス人の少女と見紛うばかりのヘロを妻として連れ帰ってきたのだった。

偽装結婚もの、マイ・フェア・レディもの。
祖母に虚仮にされた仕返しにたまたま出会ったヘロを利用しようとするダミアン。
両親が亡くなった後、引き取ってくれたキプロスの大伯父もあっという間にこの世を去ってヘロは大伯父の息子ペトロスに引き取られます。実情はただ働きの召使いという待遇を五年間、そして一週間後には酒飲みの男の元に嫁がせられることになってるという暗澹たる生活の真只中に現れたのがダミアン。いろいろと裏の事情はあると察しつつも、今の現状から抜け出せるのならとダミアンを頼ります(かなりの金額でペトロスから買い取られたようです……)
スタブロス家にやってきてからのヘロは、この家族の関係がとてもいびつであることに気付き、つい正直に意見をしてしまう日々。そんなヘロに感化されていくスタブロス家の人々。
何よりも、ダミアンがヘロの純粋さに目が離せなくて、大層良い感じ♪
物を買ったことが無かったヘロが、知らぬ間に使ってしまった大金の支払いにお小言を落としながらも可愛くて仕方がないという風情が見え隠れ〜。そして、ダミアンの弟マルコスとヘロが仲が良すぎると猛烈に嫉妬しているのに、気付かないヘロ。いいわー。
ダミアンの練りに練った求婚が最後の場面で展開されます♪


悪魔のばら R-405 ハーレクイン社  発刊:1985.08.20
ヒロイン:コレット・ムーア → コレット・マドックス(会社員 → 牧場経営者・17 → 24歳/偽名ジェニファー・マドックス) ヒーロー:ルーク・マーリス(ギリシアの大実業家・農産物の卸をしている)

あらすじ
コレットの片頬には生まれた時から、鼻筋より首筋にかけての濃い紫色のアザがあった。金持ちなのにケチな義父のルイスと目が覚めるほど美しいのに心は真っ黒という義姉エルスペスは、そんなコレットを侮蔑し惨めにするだけでなく、ただ働きの雑用係として扱った。そんな中、エルスペスにギリシア人の恋人ルークが、現れた。2人が出かける度、エルスペスがルークのことを話す度に、コレットの内気な心に彼に対する憧れが、積もっていく。
ルークが、コレットのアザのことを嘲笑しているのを立ち聞きしてしまっても、惹かれる気持ちは消えてなくなりはしないのだった……。

コレットと母親をこき使い馬鹿にする、ルイスとエルスペス父娘。母親は心労のため、体調を崩しがち。
母親を助けるために、コレットは心優しいデイヴィの求婚を受け入れざるを得なくなります。
このデイヴィの心根の優しさは、天下一品。コレットのアザなど全く気にもせず、実の両親を16の時に亡くしているから、コレットの母親の面倒を嫌がらず親身に世話をしてます。
そんな穏やかな結婚生活を、たったの3年間しか過せず、デイヴィと母親はトラックとの衝突事故で即死。コレットも8ヶ月に渡る入院生活を送るほどの怪我を負います。その際に行われた手術で、顔にあったアザは除去され、整形までされて、まるで別人のようになってしまいます。
事故の気鬱からどうしても逃れられないでいるコレットに、家政婦が旅行を勧めてくれたのを機会にクルーズに出かけ、船舶火事をきっかけにルークと再会。
……ルーク、人間的に成長してませんでした。あいやー、コレットに愛人関係を持ちかけ、断られたらプラトニックでいいから友情を育もうと提案するものの、本心はコレットが落ちてくるのをゲーム感覚で楽しんでいるというアイタタタな女たらしぶりをご披露。
老いが忍び寄っているエルスペスとも再会し、コレットはそんな彼女に意趣返しをする機会を無視することができずにいます。
ルークが深い悔恨と謝罪を抱いてくれて、良かったわ。やっぱり、なし崩しで、ひっついちゃダメダメ♪