ロマンス1〜10
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ロマンス101〜110
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ロマンス121〜130

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ロマンス191〜193・自伝
スペシャルエディション1
スペシャルエディション2
ライブラリー・オブ・ラブ(特別編集)

砂漠に花ひらく恋 51 サンリオ  発刊:1989.07.30
ヒロイン:ヴィータ・ヘルミオネ・アリス・ヘレナ・アシュフォード(陸軍大将の一人娘・18歳) ヒーロー:シーク・シャラーン・エル・ハセイン(族長・29歳/スペインの公爵・本名ドン・マヌエル・デ・カナス・イ・ガリア

あらすじ
一人娘のヴィータの将来を案じたからこそ、地位も高く裕福な男に結婚の承諾をしたのだった。
たとえ、その男バンサム卿が自分と同年代だという事実があったとしても、アシュフォード陸軍大将にとって、それは瑣末なことでしかなかった。
美しく成長したヴィータは、アシュフォード一族から勘当されたジェーンにそっくりなのだ。幾度の結婚と離婚を繰り返し、その間にも派手な男性遍歴を経て、今はシリアの族長の妻となっている女性に。
ヴィータが一族はもちろんのこと、世間からも後ろ指を指されないような一生を遂げてもらうには、バンサム卿ような人物を夫にすれば間違いないと、アシュフォード陸軍大将は思い込んでいた。

まさか、ヴィータがバンサム卿との結婚を厭って、当のジェーンに相談に乗ってもらおうと計画を立てているとは思いもよらないことであった。

蝶よ花よと育てられ、類い稀な美貌と才気煥発なヴィータ。……怖いもの知らずの傲慢さを当然のようにふりかざしてます。
謙虚さが全く見受けられなくて、これは、ヒーローから教育的指導が入るなーと思っていたら、その通りの展開に(笑)
まぁ、シーク自身、ヴィータに一目惚れしたようで、かなり甘々なんですが。そして、余りの思いの深さに
「自分のレベルにまで引き落としたくない」と、早々に身を引く決意を固めてます。
逃亡をはかったり、他部族に攫われたりと大忙しのヴィータと、彼女の危機を寸での所で救い出すシークはまさに砂漠ものという作品。
砂漠ものの要素がふんだんに盛り込まれているのですが、最後に、シークの本当の身分が明かされて……それは、ちょっとなーと思ってしまう私。


王女ゾリーナ 52 サンリオ  発刊:1989.07.30
ヒロイン:ビクトリア・マリー(亡国パルナッソスの故ポール大公の一人娘・18歳/愛称ゾリーナ) ヒーロー:ルドルフ(リオシア国第二王子)

あらすじ
父が暗殺され命からがらイギリスに戻ってきたゾリーナ母娘にとって、下賜されたハンプトン・コート・パレスのアパートで暮せることは幸運以外の何ものでもなかった。母の実家は公爵家でありながらも貧しくて2人が身を寄せる余裕などなかったのだから。
年寄りばかりが暮すアパートだったが、ゾリーナはハンプトン・コートを見て回るのが楽しくて仕方がなかった。早朝の静けさの中、空想に浸りながら優雅な部屋部屋を眺め回る楽しさを味わっていたところ、端正な顔立ちと立派な服装を身に付けた紳士にぶつかるというレディにあるまじき事態に陥ってしまうのだった……

60にも手が届く父の花嫁をイギリス王室から迎えるという使命を持ってやってきたルドルフ。父の酒と愛妾に溺れる毎日を知りながらも、祖国が安泰であるためなら花嫁となる女性の不幸という犠牲など微々たるものという冷徹な政治家でもある彼が恋に落ちたんですね〜。ゾリーナに一目会った時、「この少女こそ自分が待ち望んでいた唯一の相手」だと。でも、ゾリーナは父の花嫁となるべき女性だった……ルドルフ、焦燥のあまり顔つきが変わるほど。でも、ルドルフってば、祖国安泰の為なら身を引くわ、ゾリーナに犠牲を強いるわで、ちょっとマッテ〜という展開が続きます。ゾリーナの母親もなんだか勝手でさー、娘の聡明さ美しさを心底愛してる割に、自分より年上の評判の悪い男性に嫁がせることにほとんど反対してない……ゾリーナのつらい気持に、誰でもいいから添ってあげてくんないかな〜と悶々しちゃいます。
母の為、ルドルフが愛するリオシア国の為と我慢に我慢を重ねるゾリーナですが、飲んだくれの老人に子供を産んで貰うと襲われかけて限界をぷっつん。
滝に身を投げ出そうとしているところに、ルドルフが駆けつけてようやく名誉挽回の働きをします。「リオシアの人間は、情熱的なんだ」ということで、必死に抑圧していたものをはじけさせてました(笑)


初恋の騎士 53 サンリオ  発刊:1989.08.30
ヒロイン:ドルーシラ・モーレー(家庭教師) ヒーロー:ヴァルド・リンチェ(侯爵)

あらすじ
家庭教師をしているのに公爵夫人の衣装の刺繍まで仰せ付かっているドルーシラ。今夜も夜なべをしないとできあがらない……必死に針を運んでいたドルーシラの部屋の扉を無断で紳士が入ってきた。ドルーシラの頭に前雇主に襲われかけた過去の恐怖が甦った。姿を見せた紳士の顔を見て、ドルーシラはホッとした。彼は、今は、巷で浮き名を流している幼なじみのヴァルドだったのだ。その彼がとんでもないことを言い出したのだ。「公爵夫人とのつき合いが、公爵にばれそうだ。今だけでいいから、恋人の振りをしてくれ」 承諾したことが、本当の結婚まで強要されるとは、ヴァルドもドルーシラも思いもしないことだった……

えっと、「家政婦は見た!!」シリーズに名乗りを挙げれるかも(笑) 全編を通して、召使いや女中が主人達の一挙一動を見て、情報交換をしあってます。ちょっと(?)凄まじいぐらい。
ドルーシラが、どん底の生活から、はい上がっていく強さに感心。ヴァルドも押され気味ですが、ドルーシラにつらい目にあわせた前雇主をギャンブルで破産させたりといいところ(?)を見せてます。イヤイヤ結婚させられたヴァルドが、ドルーシラにあっという間に惹かれていくんですが、遊びで女性と付き合えても本気の時はどうも上手くいかなくて紆余曲折。ドルーシラの嫉妬も紆余曲折に油を注いでるんだけど……互いに傷つけ合って、へこみ合ってる仲の良い二人(笑)


天使がくれたキス 54 サンリオ  発刊:1989.09.30
ヒロイン:サマラ・ウィン(伯爵令嬢) ヒーロー:バックハースト(公爵・34歳/愛称バック)

あらすじ
バックハースト公爵は結婚などさらさらする気はなかった。しかし、2人の姉がもたらしてきた不愉快な情報は、早急に妻を持つことを示唆していた。公爵の推定相続人である従弟エドマンドが身持ちの悪い女性と結婚し、爵位を継ぐことを前提に多額の借金を計画しているらしいのだ。不本意ながらも結婚を了承した公爵だったが
「結婚式は一ヶ月後、花嫁はあなた方で探してきて下さい」
しかし放蕩の限りを尽くしている公爵に、妙齢の娘を差し出す家はなく最後の頼みの綱はケンウィン伯爵の一人娘サマラだけだった。

清純無垢・天真爛漫なサマラと放蕩の限りを尽くしているバックハースト公爵。両極端の2人が結婚することになります。サマラにとって公爵は、初恋の人〈8年前に乗馬をしている姿を見て十字軍の騎士のように見えたらしい〉でその尊敬する人と結婚できたそれだけで、幸せ一杯。対する公爵はしたくもない結婚をしかたなくすることになって、かなりむくれてます……あんたは、子どもかッと突っ込みたくなるくらい〈苦笑〉 前日まで男爵夫人と情事に耽り、式当日も披露宴を脱け出し乗馬で憂さを晴らそうとしている公爵。その間、サマラの顔はもちろんのことそのドレス姿さえ視界に入れずという徹底ぶり。
購入したばかりの馬に振り落とされ、脳震盪とひどい打ち身を負い看病してもらう段になって初めて、サマラの容貌に目をやるんだもん。余りに幼さが残るサマラにギョッ。でも、どんどん惹かれていく展開はお約束♪
「大人になり切れてない男性象の見本」というヒーローは如何なものかと問い詰めたい……


淑女と伯爵 55 サンリオ  発刊:1989.10.30
ヒロイン:プルネラ・ブロートン(裕福な旧家の長女・21歳) ヒーロー:ジェラルド・ウィンスロー(伯爵)

あらすじ
17歳になったばかりの妹ナネッタを社交界デビューさせることができて、ほっとしていたプルネラの元に、忠告の手紙が届いた。財産相続人であるナネッタの懐をあてにして、言い寄ってくる青年パスコー・ロウズがいるというのだ。
大事な妹を、財産目当ての男の毒牙から何としてでも守らなければ……プルネラは、妹に意見するものの、恋に舞い上がっている人間の耳に入るわけも無く、困り果てていた。
そんなところに、長らく留守にしていたウィンスロー伯爵が帰還しているという知らせが入った。妹に手出しをしている青年の叔父が伯爵にあたる筈……。手助けを何とか得られないかと、プルネラは、伯爵を訪ねるのだった。

心配性のプルネラを、他の登場人物が寄ってたかって笑いものにしている感じが見えてなんだかなー。特に、ジェラルドの態度が1番、悪いってのが……。
荒れ果てた領地、館の修繕、小作人への援助、全てプルネラの善意で資金援助されていたのに、それに対して、博愛精神が過ぎるとか、冷笑するその態度。むむむむむーん。
求婚もひとりよがりだし(絶対に断られないと思いきっているその態度が本当に鼻につく)、好みから離れすぎていた……。


レディ・チェビントンの策略 56 サンリオ  発刊:1989.11.30
ヒロイン:カリスタ・チェビントン(裕福な貴族の娘・19歳) ヒーロー:オズリク・ヘルストン(伯爵・29歳)

あらすじ
妊娠したと言ってきた女性の狂言に振り回されたのもあったが、当分の間、独身生活を謳歌しようとヘルストン伯爵は思っていた。しかし、持ち馬が競馬で優勝してもさほど、喜びが湧いてくるわけでもなく……彼は人生に退屈しきっている。
そんな弛れきった生活の中に、1通の手紙が波紋を起こした。署名のないその手紙に興味を抱き、待ち合わせ場所に出向いて見れば、匂い立つように美しい妖精のような女性カリスタが目の前で落馬のように見せかけて側に降り立った。
「母が貴方と私の結婚を画策してるんです。だから、母の招待を断って屋敷に近づかないで」
カリスタが喋り出したその内容は、伯爵にとって信じられないものだった。

カリスタが、おきゃんな女性で呼んでて楽しかった作品。彼女は馬に夢中で、結婚はおろか男性に対して全く興味がありません。そんな彼女の馬に対する傾倒ぶりに、嫉妬する伯爵の姿が笑えます。
一度も恋に落ちたことがなかった伯爵。カリスタに対するこのもやもや〜とした感情が何であるかが、わからず手痛いミス。愛情の上に成り立った結婚生活を送りたいと夢を語ったカリスタに、
「愛してるから結婚しよう」と言わずに、共通の趣味があるし、君とは信頼も気付けそうだ、なんたらかんたらと求婚する伯爵。カリスタに再度、逃げられて行方を掴めず東奔西走していた時に、心底、この求婚を悔やみます。この悔やみっぷりの潔さが新鮮♪
サーカスの力自慢の男に殴られてノックダウンしたり、気球で飛び去ったカリスタを負いかけてドーバー海峡を横断したりと本当に、大忙しの伯爵でした。
カリスタのお母さんが、強烈。良いところに嫁がせる為には、手段を選ばず。カリスタも一服盛られて、眠り込んでます。


スペイン古城の一夜 57 サンリオ  発刊:1989.12.30
ヒロイン:ヴァレーダ・オールスター(准男爵令嬢・家庭教師・18歳) ヒーロー:カルロス・シルバーラ(スペインの伯爵)

あらすじ
結婚してから、ほとんど音沙汰の無かった姉ヘルミオネがいきなり帰郷してきた。父が亡くなり、残された家族は姉とその娘ミラベルとなったヴァレーダにとって、姉の訪問は寂しさを紛らわしてくれると思えたのは束の間のことだった。自分のしたいことばかり言い募り強要する相変わらずな姉の姿に、ヴァレーダは彼女の希望に了承するしかなかった。
「ミラベルの家庭教師として、スペインへ同行してくれないかしら?」
未亡人となっていたヘルミオネは、周囲に群がる男性の中から1番、地位が高く裕福なシルバーラ伯爵との結婚を望んでいた。その彼が故郷であるスペインにヘルミオネ母娘を招待したのだ。
万が一、伯爵から求婚されず、そのことが周囲に漏れることになれば恥となる。ヘルミオネは噂をまき散らさない田舎暮らしの妹を連れていくことにしたのだった。

ヴァレーダの容姿が少年の頃から憧れていた聖母子像のマリアの絵にそっくりなのに驚くシルバーラ伯爵。伏し目になっているため絵に描かれていない瞳の色をヴァレーダの瞳に見つけて、心臓がドキドキ。でも所詮、見目は良くても身持ちは悪く、地位の高い者になびくのだと冷笑的に分析。しかーし、ヴァレーダが国王に無理強いされている場面に出くわし、その後の彼女の怯えた様子に、無垢なる女性もこの世に存在するのだと嬉しい晴天の霹靂。その時点から、ヘルミオネへの求婚などあっさりとうっちゃてます。……変わり身の早さは、ヒーローの特権なのか(笑)
誘拐された彼女を救出するどさくさに紛れて、キスしたりとなかなか手段を選ばずなところも。
カートランド初読本。ウィンズピア作品のスペインものにハマッテいた時期に手に取ったようです。手に取らなければ、今頃、小金は貯まっていた筈(苦笑) そして内容、恥ずかしながら全く覚えていませんでした……でも、題名だけはしっかり記憶にあるのって不思議。


甘いフィナーレ 58 サンリオ  発刊:1990.01.31
ヒロイン:オレサ・アシャースト(裕福な旧家の娘・母は米国人・17歳/偽名オレサ・バロン) ヒーロー:サンダー・ゴールストン(公爵・インド駐留英国軍元大佐代理)

あらすじ
1年前に病弱だった兄が亡くなり、ゴールストン公爵の後継者となった時は、こんなにも早くに自分が爵位を継ぐとは思いもしていなかったサンダーであった。父が急逝した為に、慌ててインドから戻ってきた彼を待っていたのは、莫大な借金と修繕が必要な城や領地、開催する為の費用など考えたくもない行事の数々、そして一軍に匹敵する数の雇用人……全て、今すぐ宝の山を差し出さないと立ち行かない公爵家の内情だった。
背に腹は代えられないからと、父の友人であったアシャースト大佐に、代々受け継がれていた厩舎の閉鎖売却を秘密裏に持ちかけたところ、一考して頂ければと提案を受けたのだった。大佐曰く、
「私の一人娘は、亡き妻の祖父が米国でみつけた石油により莫大な財産を持っています。その財産を公爵家で有効に使えるよう、娘との結婚を考えて頂けないでしょうか。無理強いをするつもりはありません。一度、娘に合って頂けるだけでも……」

親身に心配してくれるアシャースト大佐の言葉に、公爵も耳を傾けざるを得なくて大佐父娘を狩猟会に招待することになるのですが、やっぱり金目当ての結婚はしたくない。
少しでも財政を建て直すために、売却できるものはないかと探してみれば図書室の蔵書に稀覯本がありそうだということで、専門家を呼び寄せます。現れたのは、とても華奢ですみれ色の瞳をもつ若い女性オレサ・バロン。
公爵、一目惚れの瞬間。
公爵家の財政のためには、アシャースト大佐の娘と結婚しなければならないけれど、オレサに惹かれていく気持ちを抑える事ができない公爵。
その公爵を金づるとしか考えてない従兄ハリーの暗躍。
貧乏公爵の恋の行方は如何に?
オレサが、自分を騙していたことに怒り心頭で無視するような態度をとるなんて度量が狭いよ、公爵(苦笑)
まぁ、賢し過ぎるオレサの天狗となった鼻が折れたからいいんだけどさ。オレサの「私は特別、賢くて、美しいの」という自信満々な押し出しに、若いって怖いもの知らずだわーと冷めた目で見てしまうのは歳をとった証拠ですね……


たわむれの宴のあとで 59 サンリオ  発刊:1990.02.28
ヒロイン:ライナ・クレシングトン=クーム(伯爵令嬢・18歳) ヒーロー:フェビアン・サヴァーネ(フランスの公爵・30歳)

あらすじ
母が亡くなってから父はカードギャンブルにのめり込み、ヘクター卿から借金を重ねているようだった。そして、とうとうその借金を帳消しにする代わりにライナを妻にしたいと言ってきたのだ。愛してもいない男性と結婚するなんてとても耐え切れない……ライナは、城から抜け出しロンドンに向かうのだった。
職業斡旋所で家庭教師の仕事を見つけようとしていたライナの耳に、フランス語を喋れる侍女を探している求人について話すのが聞こえた。これを逃したら、職にありつけないかもしれない。慌てて名乗り上げたライナだったが、彼女の容姿をみた雇い主が、とんでもない策略をめぐらすとは思いも寄らぬことだった。

ライナの雇い主となったキティは、彼女の若くて瑞々しい美しさをみて「意趣返し」を思いつきます。自分をあっけなく振ったフランスのサヴァーネ公爵に、報われない恋心がどれだけつらいものか身をもって思い知らせたい。ライナを裕福な伯爵夫人にしたてあげて、公爵につれない素振りで気を引かせ、恋心を募らせたところで、彼女がただの侍女だったと暴露し溜飲を下げたいといろいろと工作しまくるのよね。そのあたりの描写がとにかく……長かった(苦笑) 公爵自身が出てきたの半分過ぎてからだもんねぇ。半分以降から出てきた公爵ですが、ライナにがんがん迫ってます。言い逃れしようと先祖の事をきくライナに
「ぼくの先祖は死んだ。だが、ぼくはぴんぴんしている」という科白がフランス人らしい。
強引に迫りつつも、ライナを泣かせることを自分がしでかしたら、それだけで死にたくなる……切々と迫ってます。口説き落とす技が凄腕です、フランス人←いえ、フランス人を知っているわけではないんですけど(笑)


悪魔のささやき 60 サンリオ  発刊:1990.03.31
ヒロイン:ドリナ・スタンフィルード(牧師の娘・母はヤーデ一族出身・19歳) ヒーロー:オスカー・ヤーデ(伯爵・元軍人・大佐・29歳)

あらすじ
悪魔の呪いを叫んでいるジャーヴィスを見てしまったドリナは、牧師である父に相談をしようと初めは思った。しかし、母が亡くなり意気消沈している父の姿を見るにつけ、これ以上、悩みを増やせないと判断してしまったのだ。それが、更に問題を大きくすることになるなんて、思いもしなかったから。
伯爵の直系の血筋が次々と亡くなり、ようやく後継者となったオスカーが戻った時、 領民達は彼に何も期待することができないでいた。新しく任命された執事や家政婦頭は、元から仕えていた人間を辞めさせたり、安くこき使ったり、揚げ句の果てに久々に開かれたパーティは乱痴気騒ぎで、その夜、純朴な若い家政婦が客の1人に乱暴されかかったのだ。
ドリナは怒り心頭で、パーティの翌日、オスカーの元に意見をしに乗り込んだ。

女性の誘惑視線しか知らなかったオスカーが、女性から貰った初めての侮蔑の視線。ドリナの軽蔑を含んだ眼差しは、オスカーにとって強烈だったようです。それも初めて心の底から気になった女性から貰ったのだから、その落ち込みようはいかほどかと。名誉挽回とばかりに、いろいろと頑張るんですが、
「依然として嫌われているようだ……」との心情が至る所で出てくるのが、楽しい♪
疑わしいことばかりする品性下劣な人間だと思いつつもジャーヴィスの言うままに、毒の仕込んである高級ブランデーを飲んで命を落としかけたオスカー。それってオスカーの認識の甘さがあるんですが、ジャーヴィスが怪しい振る舞いをしていたことを誰にも言わずにいたドリナにすれば、後ろめたくて後ろめたくて……治療と看病に奔走し、ジャーヴィスのことを初めて他人に相談したりとようやく自分だけで解決するのではなく他人を信じて頼ることも大切だと知ります。