あらすじ
一人娘のヴィータの将来を案じたからこそ、地位も高く裕福な男に結婚の承諾をしたのだった。
たとえ、その男バンサム卿が自分と同年代だという事実があったとしても、アシュフォード陸軍大将にとって、それは瑣末なことでしかなかった。
美しく成長したヴィータは、アシュフォード一族から勘当されたジェーンにそっくりなのだ。幾度の結婚と離婚を繰り返し、その間にも派手な男性遍歴を経て、今はシリアの族長の妻となっている女性に。
ヴィータが一族はもちろんのこと、世間からも後ろ指を指されないような一生を遂げてもらうには、バンサム卿ような人物を夫にすれば間違いないと、アシュフォード陸軍大将は思い込んでいた。
まさか、ヴィータがバンサム卿との結婚を厭って、当のジェーンに相談に乗ってもらおうと計画を立てているとは思いもよらないことであった。
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