ダラス・シュルツェ
ヒロインが、天然の可愛らしさを無尽蔵に振りまいてます。ヒーロー、早々にノックダウン。登場人物の会話は、クスクスと笑える作品が多いです。
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心の扉を開けば LS-2 ハーレクイン社  発刊:1996.10.20
ヒロイン:ケルジー・ジャクソン(園芸家) ヒーロー:ゲイジ・ウォーカー(橋設計建築技師)

あらすじ:ウオーカー家三男
親友リックが結婚してしまった。リックとの仲も疎遠になるよなーと寂しい限りだったが、花嫁のケルジーは新居にゲイジの居場所を確保してくれていた。2人の間に生まれたダニーの名付け親にもなり、仕事柄、世界中を放浪している彼の休息場所を快く提供してくれたのだ。そのリックが、最愛の妻子を残して交通事故であっけなくこの世を去った。ダニーの名付け親として、リックの親友としてゲイジは、ケルジーをなんとか支えてあげたいと心底、思うのだった……。

15歳の少年ゲイジは、異父妹のシャノンを子守中に義理の父親だったセスに彼女を攫われてしまうという経験をします。自分は、親になる資格はないと思い込んでいるゲイジの心傷をケルジー親子が癒していく様が根底にある物語。
亡くなった親友リックの奥さんだったケルジーのことを、惹かれているとはっきり意識したのは、外し忘れていたクリスマスの葉飾り(ヤドリギ)の下でのキス。最初に出会ってから、6年以上の月日が流れてます。でも、2人の関係が動き出すのには、そこから更に、一年半。
ただ「親友の最愛の妻」という存在以外には、見ないようにしていただけなんですが……。なんせ、結婚式の披露宴でケルジーを見初めちゃった感のあるゲイジ。しかし、心の奥深くにその思いをしまい込んじゃったもんだから、母親にも「見かけ倒しのうすのろじゃないか」とか長兄のサムには100ドルの負け(求婚時期の賭けを次弟としたらしい)をしょい込ませる始末。
外し忘れのヤドリギ効果は効き目が遅かったようです(笑)


ひと粒の涙 LS-12 ハーレクイン社  発刊:1997.03.20
ヒロイン:アデレイド・スミス(古生物研究助手・27歳/愛称アディー) ヒーロー:コール・ウォーカー(航空配達サービス会社経営。と言っても従業員は彼1人・33歳)

あらすじ:ウォーカー家四男
乗客を乗せた時に限って(墜落するのは今回が初めてだッ)、ロッキーの山肌に不時着しなければならない事態に陥ったコール。同乗者のアディーがヒステリーな人間でないばかりか、墜落寸前の不時着事故の場合、これからもご同行を願い出たい程の女性だった。彼女が持参した巨大なバックには、この墜落を予見していたかのように見事にサバイバル用品が詰まっており、「テレビはないけれど」とトランプまで取り出してくるのだった……

この世で一番大切な7歳の娘メアリの心臓は、将来、手術をしなければいけないという心配事を持っているコール。メアリが幸福に暮せることを一番に心に砕いている彼が、飛行機墜落という事態に陥って娘に心配をかけてしまったことを悔いている姿が、胸を打ちます。メアリの為に、メアリの為にといつも思っている彼が、メアリを盾に大事なことから逃げていたと気付く場面も、なかなかのもの。
本当は、飛行機に乗るのがとっても嫌いなアディー。搭乗する時は、験をかついでいつもとんでもない大荷物(墜落した時に必要となる色々なものを詰めた大きな焦げ茶色のバック)を持ち込みます。運がいいのか悪いのか、そのバックが大活躍。恥ずかしそうに入り用なものを、次から次へとコールに差し出すアディーが初々しい。親子の情愛に欠ける父の接し方が、自分のせいだと思っていたアディーが、ウォーカー家の溢れんばかりの愛情に触れて自信を甦らせていくのが素敵です(戸惑っている姿がクスクスと笑えたりするのもグー)


藁くじの花嫁 HS-32 ハーレクイン社  発刊:1998.01.05
ヒロイン:エレナー・エメライン・ウィリアムズ(家事手伝い・20歳) ヒーロー:ルーカス・マクレーン(牧場経営・30歳/愛称ルーク)

あらすじ:
賭博師だった父が流れ弾にあたって亡くなり、叔父の家に引き取られた月日をエレナーは正確に言うことができる。叔父夫妻のケチぶりとその娘アナベルの我が儘ぶりに耐えること「6年4ヶ月と12日」 そこから逃れる為なら、4人も幼い子供のいる雑貨屋アンドリュー・ウェッブの再婚相手に選ばれてもイエスと言えるわ。エレナーは、ウェッブさんに愛想良くしなければと日曜礼拝に意を決して臨んでいた。
そこで、牧師からマクレーン兄弟の兄ルークに紹介されるまでは……

マクレーン兄弟は、豚小屋と成り果てつつある母屋には「女手」が、栄えている牧場には「跡取り」が必要だという認識のもとにどちらかが結婚することを藁くじで決めます。当り(?)くじをひいたのは兄ルーク。まるで気の無いまま、花嫁探しに乗り出して、まずは牧師に罰当たりな相談をして反対されます。牧師さんだって反対するしかないんですが……不都合のある女性をそれとなく排除してるのに笑えます。ルークの女性批評もなかなか辛口。
エレナーを花嫁に選んだ自分に大満足のルーク。その高くなった天狗の鼻は、ポキンとへし折られるんですが……。 そりゃ、藁くじで選ばれたと知ったらエレナーが激怒しないわけがなく……初めての夫婦喧嘩の幕が切って落とされます。その夫婦喧嘩の描写もその後の禁欲生活もなかなか笑えます。小柄なエレナーに振り回されているルークが可愛い作品♪


ラブ・ミー・テンダー PS-17 ハーレクイン社  発刊:2002.10.20
ヒロイン:マギー・ドラモント(ウェイトレス・23歳) ヒーロー:ライアン・ラシター(ロデオ乗り・牧場後継者・30歳)

あらすじ:
大おばが母に遺してくれた田舎の家に母と姉と共に引っ越してきて3年。マギーは、ウェイトレスとして稼ぐ一方で、家の雑用を一手に引き受けていた。母のテレビ好き、姉の男好きにうんざりする毎日がひたすら続く生活……そんな中、働いている店にライアン・ラシターがやってきた。一週間前、町から二十数キロ離れたところで、車が動かなくなった時に彼と友人に自宅まで送って貰えたのだ。
「また、町でばったり出会えるかもしれないね」という別れ際の言葉を、これほど期待していたなんて……

自分たちが遊び回るのに子供は不必要ということで、牧場経営をしていいる祖父の元に捨てられたライアン。祖父の元でその傷は癒えたものの、最愛の妻を難病で亡くして自棄気味な生活をここ四年ばかり送っている彼。
母は、姉ノーリンばかりを可愛がり、マギーの価値を一切認めない。その割には、マギーの愛情を言いように利用している母と姉との生活に縛られている彼女。
そんな2人がマギーの車の故障で出会って、ぎこちないながらに愛情を育んでいくのかなーと思ったら、急転直下のラスベガス挙式。
そして、いざ待ちに待った「初夜!!」(←ライアン、やる気満々♪) しかし、そうは問屋が卸さない。気付きたくなかったけれど、「マギーの瞳には怯えがあるよ〜」ということで、至難の業である高潔な精神を彼は発揮して、冷たいシャワーとお友達。このお友達と、その後1ヶ月近くも仲良くしなければならないなんて、思いもしなかっただろうなー(笑)
マギーのユーモアある会話に引き込まれて、相手が和んでいくのが楽しかった作品。


イエスと言えなくて PS-20 ハーレクイン社  発刊:2003.04.20
ヒロイン:ダーシー・ローガン(銀行員) ヒーロー:コリン・ロバーツ(建設会社経営・34歳)

あらすじ:「この恋は止まらない」所収
ダーシーがコリンと一緒に暮し始めて5ヶ月。 まさか、自分にこんな問題が降りかかってくるとは思いもしなかった。ずーっと避けてきた「赤ちゃん」が2人の生活に入り込んでくるなんて。
コリンの大事な姉スーザンが癌で亡くなった。遺されたのは6ヶ月の女の赤ちゃんアンジー。スーザンは両親ではなくコリンをアンジーの後見人に指名していた。

この世で一番苦手なのは、赤ちゃんというダーシー。それには悲しい理由があるのですが……。その傷というか2人にできてしまった壁を、コリンが何とか崩していく物語。
愛情はもちろんのこと子供に関心が無いのではないかという夫妻の元に生まれてしまった、スーザンとコリン姉弟。スーザンは、行き場のない愛情をコリンに注ぎ、辛うじてコリンは愛情の暖かさを知ることになります。そんな大事な姉が遺した姪アンジーを、両親に引き取らせてなるものかとダーシーには違う意見があることに気付かない振りをして連れて帰ってきます。初めの話し合いを互いに避けたので、3人の暮らしはぎくしゃく。
でも、アンジーの要求はお構いなしにコリンを襲って……。初めての紙おむつ替えで3枚を無駄にして、大汗をかきながらボスの座をアンジーにあっさとり明け渡してるコリンの育児奮戦記姿は笑えます。悲しい過去のある2人が、アンジーを介して癒されていくのがほのぼの〜。


レディとFBI A-118 ハーレクイン社  発刊:1988.10.05
ヒロイン:ホリー・A・レイノルズ(幼稚園教諭・28歳) ヒーロー:マッケンジー・ドナヒュー(FBI捜査官/愛称マック)

あらすじ:
怪しげな酒場で潜入捜査中に見初めてしまった女性ホリーが、次の任務での捜査対象者だったことでマックは悩んだ。ホリーの兄ジェイムズが美術品の盗難密輸に何らかの形で関わっている疑いがあるのだ。彼女自身は真っ白だが、ジェイムズの情報が入ってくる可能性がある。……他の捜査官が彼女の周囲をうろつくのは、我慢できない。不承不承ながらに、マックは任務についたのだった。

美術品の盗難密輸の情報を得る為にホリーに近づくことになったマック。しかし任務につく前から、何とかお近づきになりたいと職権をフルにいかして彼女の身元を探り出していたというイケナイ捜査官です。そんな内部事情などホリーは露とも知らず、熱々の恋人だと思っていたマックから内偵を受けていたと知って怒り駆られて、マックにそれだけは言ってはいけないことを言ってしまうのでした。こじれてしまった2人の仲ですが、ホリーに赤ん坊ができたということで、ラスベガスで挙式し、ぎくしゃくとした結婚生活が始まります。
互いに自分たちがおかした過ちを謝りあって、将来を共に生きていきたいと関係を修復するのですが、クリスマスのプレゼント交換が2人の仲を更に強固にするのでした。クリスマスイヴのツリーの下に置いてあるプレゼントを描写するシーンから、次第に盛り上がっていく展開はオススメ♪
あと、マックの相棒ケンが本当にいい味だしてます。潜入捜査している彼が、ブーツに公金600ドル投入。曰く「トカゲの革製ブーツは金持ちの美術品収集家として必要だ」 もちろん、上司からお小言を頂戴してます(笑)


ロッキーに燃えて A-133 ハーレクイン社  発刊:1989.06..05
ヒロイン:サラ・グラント(モデル・28歳) ヒーロー:コディ・ウルフ(牧場経営)

あらすじ:
5年前に兄夫婦を飛行機事故で亡くしたのに、今度は甥のカレンまでが兄の友人でもあったビルとともにロッキー山中に墜落したという……。たった1人の身内であるカレンの安否を何としてでも、この目で確かめるまでは諦めきれない。サラは捜索の打ち切りを告げる責任者に何とかくらいついて、一縷の望みとも言える男の紹介を受けた。その男は、今までに捜索隊では発見することが出来なかった墜落機を2度も発見しているというのだ。カレンの捜索を受けてもらう為に、サラはその男が経営する牧場へと車を走らすのだった……。

無愛想で無駄口を全くきかない割には、ムッすることばかり的確に言ってくれるコディ(苦笑) サラの怒りの平手打ち(←身体がかしぐほどの)を2度ばかり喰らってます、彼。それでも、互いに惹かれあう気持は、一目会った時からという展開で、捜索道中、池で水浴びするサラをのぞき見しちゃったりとその高まりがうふふ♪ そんな過程の中でサラは兄夫婦が亡くなった後の難しい年ごろの少年を引き取り育ててきた気負いとかがコディの腕の中で癒されます。彼も自分が孤独であったことに思い至り、サラが側にいるだけで満たされるという幸せに浸るわけで。
サラが、カレン捜索の報酬にとコディに支払った小切手が細断されて彼女の元に届いたのがクリスマス翌日。それ程までに、自分のことを拒絶したいのかとがっくりと落ち込むサラ。そんな彼女に元恋人のデイビットは「好きな人の金は使いたがらないだろう」と、ライバルに塩を送るような助言をしてくれて……デイビット、いい人すぎるわ〜。
クリスマス翌日に届いたコディからの手紙は、諦めようとしていた2人の絆を再燃させるきっかけとなったのでした♪


エンゼルの涙 A-148 ハーレクイン社  発刊:1990.01.05
ヒロイン:アン・ペリー(医師・31歳) ヒーロー:フリン・マカリスター(無職)

あらすじ:
3年前に殉職した兄マークの誕生日に、フリンは朝まで飲んだくれてアパートに帰ってきた。酔っ払いの為せる技なのか、どうみても目の前の新聞の山が動いている。確かめる為に踏み出した足は、幼い少女の足を踏んでいた。……ぐでんぐでんに酔った脳みそは、少女を宇宙人にしたがっているみたいだが、こんな路地裏に放っておくわけにはいかないとも言ってるような……。
良識を総動員して余っている寝室に少女レベッカ(愛称ベッキー)を招待して、フリンもようやく朝の6時半に自分のベッドに潜り込んだのだった。

父親との軋轢がテーマの作品。
アンの父親は立派な息子像を彼女に押し付け、出世はまだかとせっつくばかり。フリンの父親は、亡くなった上の息子マークが理想の息子であったためにフリンのことを全く認めていない。そして、ベッキーの父親は、ベッキー母娘を捨てた……。
そんな父親の呪縛から3人が解き放たれて、自分たちの道を探していくのですが、ベッキーの手料理は苦行を強いる程の不味さだったり(笑)、遊び人のフリンが生真面目なアンに趣味を見つけようとお節介をやいたりとかなりコミカル。
それぞれの父親との関係が、変化するのですが……上手くいった人とそうでない人との明暗がはっきり。だからこそ、アンとフリンの互いに支え合う姿は、読んでてほっとします。


いとしいシェリー A-183 ハーレクイン社  発刊:1991.07.05
ヒロイン:シェリー・ジョーンズ(妖精) ヒーロー:ジャック・ライアン(銀行経営)

あらすじ:
最期を看取ったジャックおじさんから、シェリーが頼まれたことはただ一つ。「甥のジャックの力になって欲しい」
3年間、心地よい居場所を提供してくれたジャックおじさんの頼みとあらば、何でもする気のシェリーだったが、如何せん、当のジャックが自分を受け入れてくれるかが心配だった。
妖精であるシェリーを、あるがままに受け入れてくれたジャックおじさんと同姓同名の甥ジャック・ライアンが、もうすぐやってくる。熱烈歓迎・準備万端のお出迎えを、彼は心地よく受け取ってくれるのかしら……?

ぼそっと紡がれるジャックの独白が、笑いを誘います。
婚約者エレナの香りは、10歳の時に亡くなった大おばアリスを偲ばせると、後ろめたい気分に陥ったり。
一つ屋根の下に若い男女が二人っきり♪な場面で「心配なら鍵をかけて」と気遣うジャックに、貴方が私を傷つけるはずがないから「鍵などいりませんわ」と断言するシェリー。無害だと思われたことを怒るべきなのか、清廉さを信じてもらえて喜ぶべきなのか……煩悶する彼。
論理的な彼が、シェリーの正体は妖精だと知ってから、更に気苦労を背負い込むわけで、なかなか笑えます。シェリーが何かをしでかすのではないかと、心配して(期待どおりに)引き起こす騒動の数々を、つぎはぎだらけながら繕うジャックの奮戦記。
最後の必死の愛の告白は、なかなかのものです。


運命からの贈り物 A-188 ハーレクイン社  発刊:1991.09.05
ヒロイン:レイシー・アン・ニュートン(ブティック経営・30歳) ヒーロー:キャメロン・デヴィット・マクリアリ(家具職人・36歳/愛称キャム)

あらすじ:
30歳なのに結婚しないなんてと母メイミがこの世の終わりのように、レイシーをうるうると見つめてくる。儚げな南部女性の風情で自分の要求は完璧に押し通す母の腕前に、レイシーは今日も這う這うの体で実家を後にした。
友人のジンボ達が開いてくれる誕生日パーティに行くのが億劫になるくらい、母の優しいお小言は効いていた。それでも行かなきゃとレストランに車を留めて降り立ってみれば、ドアにドレスの裾を挟み込み身動き一つ取れない始末……このままここで、飢え死にしなければいけないのかしら?

車のドアから救助してくれたのが、キャム。互いに一目会った時から、好印象を持ち合う2人。そりゃ、飢え死にの危機からスマートに助け出してくれたのだから(笑) 誕生パーティは盛り上がりを見せて、更にラスベガスにカジノをしにGOという展開に移ります。
で、翌朝2人に待っていたのは、酔っぱらったままベッドを共にしただけでなく、なんと結婚までしていたという事実が。
知らないもの同士が結婚生活を始めるのですが、その間にレイシーは自分が何に囚われすぎていたのか、キャムは子供時代に受けた傷から臆病になっていたことに気付いていくのでした。……結婚生活を始めたのに、「慣れるまでは寝室は別でいいよ」という紳士宣言をしたために大層苦しむキャムが、お約束(?)です♪
ジェイムズ・ロビンソン(愛称ジンボ)が、物語の狂言回しを握ってます。レイシーとキャムがお似合いの2人だからと、とんでもないことをしでかして、かなりお騒がせ人物。最後に反省…したのかな?
どちらが前か後ろかわからないヨークシャテリアの「ダーウェント」が良いペットぶりを発揮。誰にでもなつくのにジンボだけには唸ったり、噛みついたりという得意技をご披露(笑)


夢は西部に A-189 ハーレクイン社  発刊:1991.10.05
ヒロイン:ケイティ・アイリーン・マクブライド(お針子・19歳) ヒーロー:クウェンティン・スターリング(牧場主・33歳)

あらすじ:
舞台俳優であった両親が自動車事故で亡くなった後、ケイティはサンフランシスコで独立していた兄コリンの元に身を寄せた。コリンは酒場の賭博ディーラー、舞台衣装の裁縫でそれなりの腕があったケイティはお針子として、日々の糧を得ていた。そんな中、コリンはディーラーをしたテーブルで大勝ちをした客が帰り道に、暴漢に襲われているところに出くわし怪我の手当ての為に自宅に連れて帰る事態になった。クウェンティン・スターリングと名乗ったその男の負傷した腕をケイティは縫合したのだった……

クウェンティンのいとこ「不愉快なばか者(←作中の形容詞)」ジョゼフが、ケイティを襲うシーンがあって痛々しいのですが、その分、クウェンティンの清廉さが引き立ちます。随分、我慢に我慢を重ねて……その我慢具合が、とっても素敵な作品です。好ましいという理由だけで求婚した割には、彼のケイティを形容する独白「後れ毛とか、うなじとか、小柄だとか」の最初から愛おしさが滲み出ている数々の言葉。家事が上手くできないと落ち込む姿にさえ、ときめいてるのに最後までその思いがなんであるかクウェンティンだけが解っていなくて、ケイティもつらい思いをします〜。この辺りが泣きの見せ場かな〜♪
クウェンティンの祖父トビアスが、ちょっとオススメ(笑) 対戦相手にわからないように、チェスの駒を「変わった」方向へ動かすのが大きな楽しみの一つというおじいちゃん。クウェンティンが妹アンの結婚式に参列するためだけに故郷に戻ってきたわけではないのを察知して、いろいろと助言をします。クウェンティンの選んだケイティをスターリング家の中でただ1人、認めて祝福するのも彼。


スピード結婚 A-238 ハーレクイン社  発刊:1993.10.05
ヒロイン:アビゲイル・テイラー(スーパーのレジ係・26歳/愛称アビー) ヒーロー:ジョン・マイケル・ロニガン(酒店店員・元工作員・40歳)

あらすじ:
1年前に兄夫婦が銃の乱射事件の犠牲となって殺された。遺児となったジェイソンとマーラをアビーは兄夫婦の代わりに育てようと必死だった。植物学の学位を持っていてもお金を稼ぐ手だてにはなりはしないと、アビーは兄から譲り受けた莫大な修理費用がかかる小さな家の膨大な修理箇所を思ってため息をついた。
みすぼらしい自宅の前に場違いな黒塗りの高級車が停車している……玄関先でアビーを出迎えたたくましい男性ジョンの横には、しょげ返ったジェイソンが立っていた。
「これに見覚えは?」 ジョンに見せられたのは、クローゼットの奥にしまっておいた兄の銃だった。

肩に突然のし掛かってきた重責にアビーは疲労困ぱい。援助の手がたくさん差し伸べられているのですが、プライドとかいろいろあって1人で乗り切らなければと思い込んでいる彼女が頑固すぎるかな〜。ユーモアがあるので、悲愴感はないんだけど……誰かを頼っても負けにはならないよ〜と。
ジョンは、18の時に家を出て以来、根無し草のようにあちこちを流れ歩く生活。ひょんなことからアビー達に関わりあうようになって、自分に定住願望があることに気付き始めます。膨大な修理箇所のある小さな家に入り浸り、自分の手で家が修復されていくのを見るにつけ、気分が高揚。その高揚感には、アビーの存在もあるわけで♪
両親が惨殺される場面に居合わせていた5歳のマーラは、そのショックから失語症。両親が亡くなったのはマーラのせいじゃないと対等に向き合うジョンの姿に胸が打たれます。


結婚式は聖夜に A-241 ハーレクイン社  発刊:1993.12.05
ヒロイン:テス・アームストロング(手芸店経営・25歳) ヒーロー:ニック・マスターズ(建築家・マスターズ建設後継者・38歳)

あらすじ:
ハロウィーン・パーティで出会った最初からテスの何もかもをニックはどうしようもないくらい愛していた。出会って一週間でベッドを共にすることに成功し、その翌日にプロポーズ。結婚を承諾させるのに2ヶ月かかったが、それでも最初に過すクリスマスを夫婦として一緒に楽しんだのだ。だから、5年前にテスから離婚を切り出された時、ニックはどうしても納得がいかなかった。でも彼女の瞳から何かが消えたから、承諾したのだった。
そのテスが記憶の中よりも美しくなって、目の前にいる……

年の差一回り以上、身長差35cm(185と150)のカップルとくれば、それだけで私のツボだったり(笑) 18歳のテスを引っさらうように幼妻にしたニック。急かしすぎたツケは、テスの自信喪失を招き、そのことに気付けなかったのが離婚の原因となりました。テスの話しを聞かない夫ではなく、彼女が自分の出張の間に何をしていたかを気にかけるできた夫だったんだけどね〜。テスには、話せる出来事が何も無くて……。
過去急かしすぎて失敗したという反省から、今度はゆっくり迫ろうと策を練る割には猪突猛進ですニック。彼女の自信喪失がどこからきているのかを、なんとか探ろうと彼なりに根気よく頑張ってます。
ひたすら求愛行動をとるニックの甘々ぶりは、読んでて気持いいです♪