ディクシー・ブラウニング(ディクシィ・ブラウニング)

風が愛を教えてくれた エメラルド・エディション (株)サンリオ  発刊:1982.09.05
ヒロイン:ハンナ・ブランチャード(ウェイトレスをしながら夜学に通う・19歳) ヒーロー:ルシアン・トレント(戯曲作家・34歳)

あらすじ
母親の再婚でハンナに6歳違いの美しい義姉ジルができた。ジルは気まぐれで自己中心的であったが、接し方さえ間違わなければ問題なかった。
モデルとして成功した姉が離婚したあと、たまに手紙かハガキで連絡をとりあう程度の仲だったが、2年半振りに再会することになったのだ。
インフルエンザと肺炎がようやく完治しかけていたハンナにとってメキシコ湾岸沿いにある島への招待は、魅力的だった。
しかし、浮き立つような気分は島でハンナを出迎えたジルの言葉に水をさされた。
後妻の座を狙っている男性ルシアンの子ども達の子守りをさせるために呼び付けただけで、ジルの領分に絶対に首を突っ込むなと警告まで受けてしまったのだから。

性格的に問題のあるジルは、ルシアンにハンナのありもしない悪評を際限なく吹き込んでます。自分の離婚の原因が、夫とハンナの火遊びだとか、教養のない騒々しいだけの田舎娘だとか、散々の言い様で貶めてます。
最初、その虚言に惑わされていたルシアンは、かなりきつい態度でハンナを責め、侮蔑するということをしでかして、マイナス印象を持たれてしまいます。
子ども達がハンナを慕う姿や、親身に世話を焼いてる様子を見るにつけ、それが間違いであったと気付き始めるのですが……。
最初の態度があまりにひどかったため、早々に帰国しようとするハンナを引き止めるために、飛行機の空きがないとのらりくらり、子ども達が一緒に出かけたがっているからとのらりくらり。
その間に、強引に唇を奪うこと数回、なかなかの手腕をみせてくれてます。
ツボだわ

それにしても題材、設定等何もかも美味しいのに、訳し方があまりにゴニョゴニョ……一度も推敲しなかったんじゃないだろうかと思うくらい時系列表現がわかりづらい。
メモ:第2回愛読者プレゼント配本


子猫の爪あと L-143 (株)サンリオ  発刊:1984.09.05
ヒロイン:レイシー・デイビス(サマースクール卒業したて・代理教員希望・22歳)

ヒーロー:ジョーダン・ストーン(服飾チェーン店後継者)

あらすじ
サマースクールを卒業したレイシーに、
「カリブの海風を感じてみるのはいいものよ」と、叔母が旅行をプレゼントしてくれた。
心浮き立つ思いで旅立ったレイシーだったが、同行人が家庭の事情で帰郷することとなり、慌てた。旅行すること自体が初めてなのに、いきなり独りになってしまったのだから。
不安は的中した。乗ったタクシーの運転手に旅券も書類も洋服もお金も何もかも、持っていかれてしまったのだ。
茫然と立ち尽くしていたレイシーは、なんとか平静を取り戻した時、視線の先にいたサングラスをかけた男性に慌てて駆け寄るのだった。
それは、ジョーダン・ストーンと名乗ったその男性と二人きりで、ヨット航海をすることになった出会いだった。

男女2人が、ヨットでメキシコ湾岸沿いを航海してるうちに、高まっていく恋愛感情。
ジョーダンの幼馴染みの女性ローリンが、レイシーをライバル視してあれこれと意地悪を繰り出してきます。盗難にあった金品について嫌味を言ったり、遺跡に1人取り残されたり。
……ローリンがしたということは、すぐにジョーダンにばれると思うんだけどなー。彼の心象を悪くするなんてことを考えてないような言動をとるローリンは、かなり我が儘娘(そんな彼女を愛してしまう50代の男性ネイラーの恋心もちょびっと物語に噛んできます)
出会って2日目にして、レイシーに結婚を申し込む決意をしたジョーダン。最初は人畜無害の男性を装いつつ、徐々に誘惑を開始しだすのですが、何せ、異性に対する免疫のないレイシー。
ジョーダンみたいな男性が私に言い寄ってくるわけがないと思い込んでいた彼女を、だんだんと目覚めさせていくこととなります。
異性に免疫がないけれど、タバコはスパーッと吸っちゃうのね、レイシー(泣)
レイシーが、今一つ、煮え切らない態度を続けてなんだかなー、ジョーダンも、寸止めが続いているからか余裕がない。そのせいか言動に一貫性がなくて、その気持ちが読み取り辛い。


シークレット・バレンタイン L-165 (株)サンリオ  発刊:1985.03.05
ヒロイン:グレース・ブレイアー・スペンサー(短大でOA実務の教鞭をとる・カード意匠制作家・29歳)

ヒーロー:クイン・ドノバン(土木工事会社経営・30歳後半?)

あらすじ
QD土木工事(株)の従業員がグランドを掘り返し始めてから、グレースの授業の進捗は悪くなる一方だった。
どれだけグレースがOA機器の使い方をきちんと説明しても、女子生徒の視線は窓の外ではだけた胸に汗をたらしているがたいのいい男たちから外れることがなかった……。
女子生徒達の中で1番人気なのが、クイン・ドノバンという従業員のまとめ役らしい男性だった。

厳しさばかりの父親(元海軍大佐)と家族よりも慈善活動にばかり力を入れる母親。父にいいなりの兄達に、その愛らしさから父親の掌中の玉として溺愛されて我が儘になった妹。そんな家族に馴染めないグレースは、伯父が妻に先立たれ意気消沈していたのを慰めるために同居しだした屋敷から、伯父が亡くなった後も実家には戻らず仕舞いとなってます。
屋敷はあちこちにガタがきていて、どこもかしこも修理が必要で、大家の代理人をせっついて漸く修理をする人を回してもらえたと喜んだのも束の間、グレースの前に現れたのは、クイン・ドノバン。
彼は、グレースに楽しそうにちょっかいを出してきます。彼女の恋人エリオットが誤解するような言動をとったりと、やりたい放題。そんな態度をクインに取られるいわれのないグレースは、「?」な展開が続くこととなります。
真相は、グレースが作ったロマンチックな詩を、女子生徒がいたずらで彼に送り付けていたこと。そのことになんとなく気付くグレースですが、クインの側には目を見張るような美人秘書マーガレットがいて、どうして彼が自分に手を出してこようとするのか……確信が持てません。
クインは、父親がアルコール中毒の上、電車にひかれて亡くなった後、弟妹達を育て上げるのに身を粉にして働いてきた人物です。周囲の人たちの幸せを優先して、自分のことを後回しにしていたクインの前に現れたグレース。
世間にはひた隠しにしているロマンチックな彼女を獲得するために、クインも歯の浮くようなセリフを一生懸命考えたという告白が素敵。


年上の男 L-195 ハーレクイン社  発刊:1985.09.05
ヒロイン:リザ・キャラハン(ブティック店員を解雇されたばかり・20歳)

ヒーロー:サッチャー・ハミルトン(貿易海運関係の弁護士・34歳/愛称サッチ)

あらすじ
30を目前にした大人が、見初めたのは、15歳の少女だった。
ハミルトン家のはみ出しものだった伯父の娘であるコリンが、結婚と離婚を何度か繰り返した後に、妻に先立たれたキャラハン氏と結婚した。その後、キャラハン氏が急な病で亡くなり、その葬儀の席で、コリンの義理の娘となったリザ・キャラハンに出会ったのだ。葬儀の席で、悲しげに佇んでいた彼女は、大人びた風情を身にまとい、その姿はサッチャーの心を鷲掴みにした。
しかし、コリンから、彼女が荒れた生活を送って困らせてばかりいると聞いた時は、心が引き裂かれるような思いをしたものだった。
彼女の更生のために、援助して欲しいと頼んできたコリンにかなりの額のお金を融通したりもした……。
それは、忘れたくても忘れられない5年前の出来事だった。
その彼女が、いきなり目の前に現れて、胸に飛び込んできたのだ。

少女リザに惚れた弱みをつけ込まれたサッチャー・ハミルトンのご職業は貿易海運関係の弁護士。
本当に仕事は大丈夫かいな?というくらい、いとこのコリン(リザの継母)にコロッと騙され(荒れた生活をしているリザが妊娠していて中絶にお金がいるとかなんとか)、都合の良い金づると成り果てたようです。
リザの社会復帰のためにと渡していたお金はコリンの遊蕩費と消え、助けたかった少女は孤軍奮闘して生きていたということを知った時の怒髪天を衝くようなコリンへの怒り……。
でも、サッチャーてば、弁護士とは思えないような抜け作ぶりですよね(笑)
リザのことを不良少女だった過去を持つと思い込んでいるサッチャーが、ことあるごとに彼女を押し倒しては、邪魔が入って「致せない」という展開で物語が進行しております。
メモ:家ぐるみのつき合いをしている女性(イロナ)がサッチャーにべたべたと寄りかかり、リザへのイケズぶりも秀逸(?)


野獣のように D-192 ハーレクイン社  発刊:1986.10.05
ヒロイン:エミリー・マクロード(女子高の英文学教師・新聞に書評を書くアルバイトもしている・37歳)

ヒーロー:ベイヤード・ジョーンズ(ロマンス小説作家・32歳/ペンネーム ボニー・ジェリコ)

あらすじ
女子高の英文学教師であるエミリー(37歳)と、ロマンス小説作家であるベイ(32歳)の物語。
美貌、知性、家庭環境、仕事、自分の家、黄金のようにまばゆいばかりのエミリーにはすべてが備わっている。
それに比べたら自分はクズのようなもの。
父親が誰だかわからず、母親に捨てられてからは施設を転々としていた。
7歳の時からわずかな金を得るために身を粉にして働き続けたのだ。
兵役中に負傷したおかげで、書きはじめたロマンス小説が世間に受け入れられて、贅沢が許される身分になった。
生真面目に見えるエミリーの奥に情熱が隠れているのを、ベイは感じ取ることができたが、ロマンス小説家である自分を受け入れてもらえるかどうか。
もう少し、エミリーと親しくなるまでは、押し迫るのを我慢しなければ……と、思っているのに、つい身体は勝手に動き出し彼女に深く口付けてしまうベイだった。

ジャンルは、「ヒーローが年下もの」というか「ヒロインが年増もの」というか(笑)
ベイが、エミリーの年齢を全く気にしてません。どちらかというと、年上であることを好ましく感じているようです。
もう、出会った当初から、彼女に惹かれていてついつい会いに行ってしまうベイ。
エミリーは、家庭生活の温かさを知らずに育ったベイの寂しさを、癒してくれる存在となっています。
高校教師としての給料だけではやっていけないエミリーがアルバイトでしているのが、新聞に掲載されている書評。
で、新聞紙の経営者(←元婚約者)から渡される本は、自分の嗜好に全く配慮されておらず、四苦八苦の書評を書く羽目に陥ってます。
特に、読みたくもない殺人ミステリーの本を2冊、今週中にしあげないといけなくて、ちっぽけな手がかりを頭に入れておくだけでも頭痛がする始末。だから、
「その点、ロマンス小説はいいわよね。なにが起こったって、それを誰がしたかぐらいはわかるもの」 と、ロマンス小説に関しても辛口(?)な批評を書いて物議を醸してます(笑)