エリザベス・グレアム
NO.
題 名
備 考(設定・アクセサリー・キーワード等)
 I-2  ラーラの真実  牧場主と選挙運営の要・弟の婚約者
 I-75  マドローナの夏  
 I-135  青い湖  
 I-152  熱愛  
 R-183  夕なぎ  
 R-237  カナダの春  清純派モデルと猟師(大牧場主)・出自を偽る・病身の母親・祖父の嘘
 R-249  子馬を連れて  
 R-275  岬の家  メキシコの大富豪とファッションショーの責任者・父親が冤罪で投獄
 ヤシの実落下による頭部打撲で記憶喪失
 R-310  紙の指輪  幼馴染みもの・鷹・セスナ機墜落事故・流産
 R-328  牧場は緑  牧場主と社長令嬢・家政婦に扮する
 R-471  炎の木  メキシコの大富豪とロマンス小説家(外交官令嬢)
 R-495  一人ぼっちの人魚  



カナダの春 R-237 ハーレクイン社  発刊:1983.04.20
ヒロイン:ダニー・ベンソン(清純派モデル・20歳?) ヒーロー:バート(猟師?・本名:グラント・ウィルバート・キング

あらすじ
病に臥せっている母に、高い水準の医療を受けさせてあげたい。そのためには、多額の金銭が必要だったが、清純派モデルのダニーには、準備できずにいた。
時代の風潮で、清純派よりもお色気のある女性のほうがもてはやされているのだ。このままだと、日々の糧を稼ぐだけで精一杯で、医療費の捻出など到底できそうにない。
そんな時、祖父が亡くなったという連絡が入った。
大牧場を経営していた祖父の遺産を手に入れることができたなら、母に治療を受けさせてあげることができる。
そう思うと、矢も立てもたまらず、ダニーは牧場があるカナダにまでやってくるのだった。

ヒロインがすぐにばれる嘘をつく場面と、権利もない遺産を手に入れようと力説する姿が、読んでていたたまれない。
そして、出自を言わないヒーローの思惑。ダニーの祖父がついた嘘を正せば、彼女はこの地に留まることは無いと見て取ったバートは、口を噤むことにします。
洪水が引くまでの間、みすぼらしい小屋で、寝泊まりすることになった二人。
そして、無法者であるバートに恋していくダニー。
しかし、バートの身分が明かされた時、ダニーは自分が好きだった人が消えてしまったと感じてしまいます。身から出た錆とはいえ、バートという存在に嫉妬しなければならないヒーローがちと哀れかも。
自分の出自を偽って、その間、ダニーの言動を窺うという展開は、読んでいて居心地が悪い〜。


岬の家 R-275 ハーレクイン社  発刊:1983.10.20
ヒロイン:ローレル・トレント(メキシコでのファッションショーの責任者) ヒーロー:ディエゴ・ラミレス(メキシコの大富豪)

あらすじ
浜辺で見せびらかすだけの派手な水着のファッションショーなど、ディエゴには全く興味は無かった。夫を亡くしたばかりの義妹のエスコートでなければ、ここは足を運ぶ価値など何もない場所である。
しかし、ショーの司会をしている若い女性の存在に気付いた途端、目が離せなくなっていた。
ローレル・トレント、それが彼女自身モデルだと教えられてもおかしくないくらい優美な容姿をもつ司会者の名前だった。
ディエゴは、彼女と知り合いになろうと何度となく夕食を誘うがにべも無く断られることが続いた。
男性に対して警戒心が強いのは、褒められるべき資質だったが、それが自分に発揮されるのであれば、厄介でしかたない。
何とか、ローレルの気をひこうとディエゴは、彼女の行動範囲に出没を重ね、その視線の先に姿を表わし続けるのだった。

ディエゴのことを既婚者だとばかり思っていたローレルは、彼のアプローチをことごとく撥ね付けます。その潔癖さに、ディエゴは
「自分の妻にふさわしい」
しかしながら、ローレルには婚約者がいたということを知り、茫然。
でも、めげずに婚約者からローレルを奪い取る気満々で、アプローチを強めます。
女性に望む倫理観と自身の行動論理が違っているところが、傲慢さゆえというか。
でもなかなか親しくなれないでいる内に、ローレルの父が冤罪で投獄されてしまうという事件がおこります。
父親を助けるためには、自分の妻になるしかないと言いくるめて、ローレルを手中におさめるディエゴ。何が何でも手に入れたかったローレルを側に置くことに成功したディエゴですが、彼女は父親の安否ばかりを心配するし、夫となったディエゴに対する反感は強いし、と前途多難な結婚生活を送ることになるのは当然の結果。
嫉妬に駆られて、浜辺で無理やり奪った直後に、ヤシの実がローレルの頭に直撃。記憶喪失になった彼女からとげとげしい態度が消えた上に、慕ってくるというか誘惑されだしてりして、後ろめたさの余りにたじたじとなっております。


紙の指輪 R-310 ハーレクイン社  発刊:1984.04.20
ヒロイン:ローレル・トレント(祖父に代わって牧場を運営・21歳) ヒーロー:ブレット・スタフォード(チャーター機会社経営・大牧場の跡取り・30歳)

あらすじ
長年、仲の悪かった父が亡くなった。葬儀を行うために、故郷の牧場に戻ってブレットは参列者の中に美しい女性が遠慮がちに立っているのに気付いた。
その女性と、視線があった途端、ブレットの記憶を刺激するものがあった。
どこかで見覚えがあるんだが、と話しかけたブレットに、彼女は
「ジニー・オブライエンです」
隣接する牧場主デニスと一緒に暮らしていた二人の孫娘達の妹の方だったのだ。

牧場に居た頃、父親に疎まれ続けていたブレットは、ジニーの祖父デニスが暖かい手を差し伸べてくれたことを感謝しています。
だから、世話になったそのデニスが老衰もあって、もう先が長くない様子に心を痛めます。
そして、一人遺されるジニーは、今でさえ牧場の仕事に家事にと忙殺されていて、若い女性が楽しんでいるものを一切知らないでいる様子が不憫でなりません。
ブレットがデニスを見舞ってチェスをしている間、側で手仕事をしたり読書をしたりと静かに時を過しているジニー。
ジニーの何もかもが愛おしくなっているのに、それを口に出して言わないブレット。祖父が亡くなり、ジニーと結婚することになってもその思いを素直に表しません。
その態度が、ジニーを不安に陥れ、二人の新婚生活は暗雲の中で始まります。
ジニーの姉レスリーが邪魔に入ったり、ブレットが運転するセスナ機が墜落したり、言葉が少ないためにおこる勘違いの数々をブレットが謝るところが潔くてグー。


牧場は緑 R-328 ハーレクイン社  発刊:1984.07.20
ヒロイン:ジョアンナ・トーマス(社長令状・22歳/偽名アンナ・トーマス) ヒーロー:アレックス・ハーパー(牧場主・30歳)

あらすじ
牧場の家事を一切合切を任せていた家政婦が急病で倒れ、アレックスは妹リズに助けを求めた。
家政婦が戻ってくるまでの短期間、手助けしてくれるのは家族として当然だと思っていたが、そうではなかったらしい。
確かにリズは人材派遣会社を起業したばかりで大切な時期だということは理解しているつもりだった。だから、代わりの女性を派遣すると聞いて、渋々、了承した結果がこれなのか……。
リズが自分の代わりに送り込んできた若い女性アンナは、見るからに家事など一度もしてきたことがないのが見て取れた。
これでは、今まで数回に渡って理由をこじつけて、妹が送り込んできた花嫁候補と大差ないではないか。
アレックスは、リズとアンナの魂胆に怒りを禁じえなかった。

会社経営をしている父の愛娘ジョアンナ。学校を卒業してから自立を目指したものの何一つ成功せず意気消沈しているところに、母校の先輩リズ・ハーパーに再会します。
誘われるままに食事を一緒にしていた所、大規模牧場を経営しているリズの兄アレックスから家政婦が必要だという電話が入り、いつの間にかジョアンナが身分を偽って派遣されることに決定。
そして、ジョアンナとアレックスが出会うのですが、アレックスが……かなり暴走気味というかいきなり手を出しまくり(笑)
何せ、ジョアンナのことをリズが送り込んできた自分の花嫁候補(金に目のくらんだ女)だと思っているから、態度が悪い。寝室に押し入ること数回、ことあるごとにキスして、ブラウスのボタンを外してと普段の理性がぶっ飛んでるご様子。
牧場の家事を裏表なく必死になってやり遂げようと頑張っているジョアンナの姿が気になって仕方がない、番犬と化しているアレックス。
彼女に言い寄ってくる男ども(自分の弟2人を含む)を威嚇しまくってました。
固く決意をしてるんだからメロメロだよね〜。
「必ず正体をあばいてやる」
ジョアンナが、ライバル女性ポーラのことを気になるのは仕方ないんだけど、口に出しすぎているのがなー……


炎の木 R-471 ハーレクイン社  発刊:1986.07
ヒロイン:ローラ・ベンソン(ロマンス小説家・23歳) ヒーロー:ロマン・カスティリョ(メキシコ有数の大富豪・32歳)

あらすじ
ローラと同じ立場である外交官の父を持つ女性を、ヒロインにした第一作目の小説は好評だった。
「見知った世界を舞台にした作品なので、できが良いのは当たり前。次作で本当の力量がわかるだろう」という辛辣な批評に対して、ローラは発奮した。
アイデアのわき出たメキシコ植民地時代のロマンス小説を何としてでも、書き上げるのだ。
その資料集めとして、滞在する館の主人が母の旧友の女性ではなく、その甥であるロマン・カスティリョだったのが、大きな不安要因だった。

自分の半身だと確信できる女性ローラに出会えて、舞い上がったロマン。楽しんでもらおうと極上の接待攻勢で頑張るんですが、ローラの趣味にあわず敗色濃厚(笑)
うまくいかないことに苛立ちかけるロマンですが、ローラのユーモアのおかげで、隔たりが縮まります。
で、ますます、彼女に今すぐにでも買約済の印をぺたりん。
真剣勝負の情熱系求愛行動を恋愛に初心なローラに、誤解されて(情事相手にしないでと断られ)、血迷って求婚しちゃうんだよねぇ……。及び腰のローラに
「理性的な関係のお付き合い」から始めるからと約束しつつ、翌日、お喋りな叔母に「婚約」の報告をして、さくさくと逃げ道を断ってます。さすが、辣腕経営者。
しかし、いろいろと勝手が違って、嫉妬の余りに初めてだったローラを無理やり抱いて、
「なんて事をしてしまったんだー」
気も狂わんばかりの様子で、謝るんですけど……ローラの拒絶にがっくし。
憎まれるようなことをしでかした自分に権利はないけれど、ローラのいない屋敷は寂しくて、意を決して追いかけてきております。その様子が、叱られた大型犬のようでかわいい♪


ラーラの真実 I-2 ハーレクイン社  発刊:1982.04.05
ヒロイン:ラライン・スティーブンス(議員である父親の手伝い・22歳) ヒーロー:マット・フレイザー(大牧場主・32歳)

あらすじ
弁護士になった異母弟ジェリーが、故郷に戻ってきた。どうやら、この地で選挙に打って出るらしい。
その手伝いをしてもらうからと称して、若い女性ラーラを伴ってきた。この暑い中、涼しげに立ち居振る舞いをする彼女から、マットは目を離せなくなっていた。
弟の恋人らしい女に、気を取られている自分がどうにも嫌で、ついラーラにきつく当たってしまうマットだった。ラーラに傾く気持ちを何とか抑えようと努力を重ねたものの、気が緩んだ途端、彼女を怖がらせるような口付けを無理やりしてしまっていた。
翌日、ジェリーとラーラの婚約が発表されるという手痛いしっぺ返しが、マットに待っているのだった。

上流階級出身の冷たい女に見えたラーラ。
しかし、一緒に生活を共にするうちに、何事に対しても誠実で、両親の愛情に飢えた子供時代を過ごしていたことを知ります。
その上、不便なキャンプ生活を厭うどころか楽しんでいるし、料理人が盲腸で病院に搬送された後の台所を見事に切り回すに至って、完全にラーラの虜となっているマット。
しかし、ラーラはジェリーの婚約者で、
「子供の母親になってほしかった女性は……もう手が届かない」
と、切ない告白をしているのですが、つい、本気でキスをしてしまったりと足掻いてます。
誰よりも愛おしいラーラが、ジェリーとの結婚を夢見ていると思い込んでいるマットは、ひたすら二人の恋路を成就させようと涙ぐましい努力を重ねます。