エマ・ゴールドリック
コミカルな作品が多い作家さん。ヒーローとヒロインのやり取りも楽しいが、わき役の人たちも味があってなかなかのもの。登場人物全員が、漫才師の素質を持っているような……(笑)

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不思議な遺言状 I-241 ハーレクイン社  発刊:1985.10.05
ヒロイン:スーザン・アントニア・レベッカ・アンダーソン(看護婦/愛称セアラ) ヒーロー:ジョン・フランシス・エングルウッド(大学助教授)

あらすじ
看病していた母が亡くなりセアラは医療では救えないことへの疲労を感じていた。そんな中、ハマグリ獲りをしていた浜辺で、コンタクトレンズを落して難儀していた所を背の高い男性ジョンが助けてくれた。彼は、先日亡くなった「おば」の遺言状をセアラに伝えに来たのだった。遺言の内容は、おかしなものだった。この三年間の内に、ジョンの自宅でしばらくの間過ごせば、遺産がジョンのものとなり、行かなければセアラのものになる。セアラは、シンディーおばさんの言葉を思い出していた。「いつか、仕事の依頼をするかもしれないわ。身内の困った問題を解決して欲しいって」

誤解ものというのかな? セアラのことを娼婦だと思っているジョン。でも、つらく当たるわけではなくて、娼婦だろうが結婚したい女性だと思って行動してます。身長差カップルで、身長の低い女性が、キスに勝つ方法(笑)を教えてくれる素敵な作品。それにしても、間違いとはいえ、ジョンに横っ面を張り飛ばされて気絶したセアラ。セアラが怒るのは当たり前で、ジョンの懇願は「地獄が凍るまで」続くと宣言されちゃったりする会話が楽しいです。宝くじ協会長の長兄をナンバー賭博の仕事に従事、すぐ上の野球選手の兄を棒っきれを振り回してすごむ人と半分本当の嘘を途切れなくついてるセアラの天真爛漫さがグー。


言葉はいらない I-675 ハーレクイン社  発刊:1991.10.05
ヒロイン:アマンダ・スモール(ボランティア/愛称マンディ) ヒーロー:ブライアン・ストーン(作家)

あらすじ
アフリカの内乱で両親を殺されたマンディは、その衝撃で声が出なくなっていた。アメリカに戻って7年、しつけは厳しく愛情は乏しくをモットーにしているに違いない家政婦に面倒を見てもらっていた。それも21歳の誕生日に、突然、打ち切られるとの知らせに動揺するマンディだった。落ち込むマンディに、ホームドクターであり知人でもあるヒンソン医師が、慈善パーティに連れ出してくれた。アメリカに戻ってから初めて人込みに入った疲れから一息つくために、マンディはパーティを抜け出した。たったそれだけのことが、トラブルを呼ぶとは思いもしなかった……

ライザという犬が大活躍。マンディの窮状をことごとく助けてくれます。窮状に陥れた人間への仕返しもばっちりという躾けの良さ(笑) ライザの真骨頂は、シャワーを出たばかりのマンディの腕を軽く噛んで引っ張っていく先が、これまた浴びたばかりで腰にタオル1枚ブライアンの寝室という行動。そこをローズ叔母さんが目撃して、「あれほど、この娘に手を出したらいけないって言ったでしょうッ。責任を取って結婚しなさい!!」 凄い剣幕でブライアンの行状を詰るローズ叔母さんが、ライザにこの芸を仕込むのに3日かかったそうで……素敵だわ(笑)


山あいの家 I-765 ハーレクイン社  発刊:1993.01.05
ヒロイン:ケイト・ラブウェル(破産寸前の大農場所有者) ヒーロー:ジョン・リー(弁護士/愛称 ジャック)

あらすじ
父親が亡くなってから、ずっと曇っていた目とか頭の中が、ようやく晴れ出したケイト。
でも、晴れても、状況はどん底だわ。農場は破産宣告寸前で屋敷を売りに出さないといけないみたいだし、その上、婚約者のピーターは、マリファナを屋敷に持ち込み、罪をなすりつけてくる始末。ピーターに殴りかからないよう、こぶしを両わきでぐっと握りしめた時、横をさっと駆け抜けた男性が、ピーターを思いっきり殴ってくれた。その男性は、先程、猟犬に一緒に追いかけられ木に助け上げたノーラという少女の父親ジャックだった……

ジャックとノーラ親子は、悪いこと続きの人生だったケイトに、忽然と現れた白馬に乗った「漫才師」
他人を笑わせずにはいられない血筋は、おばあさまから譲り受けたもののようです。そのおばあさまの座右の銘が「女性たるもの『おばあちゃん』が最大許容範囲! あとはいくら生れても孫!」
修繕が大好きなジャックが、2時間分早く鳴る時計を直そうとするのを「時間がわからなくなっちゃう」と止める場面とか、クスクス笑えるシーンがずーっと続きます。
「破産寸前のケイトを助けて、気持ち良く奥さんになってもらおう作戦」を進行中のジャックの味方に、「母親(ケイト)獲得大作戦」を進行中のノーラと「孫の嫁(ケイト)獲得大作戦」を進行中のおばあさまが控えていて、鉄壁の取り囲み大作戦でした♪ 楽しかった〜。