あらすじ
セレナは、高校卒業を挟んで一年の内に、両親を相次いで亡くした。
年子の弟トムと力を合わせ、住んでいた屋敷を宿屋に改装し、何とか生活の糧を得ようと奮闘していた時に、客としてやってきたビル・ローレンと出会ったのだ。
ビルとセレナは20年という歳の差があったが、2人は恋に落ち結婚したのだった。
裕福なビルの援助と助言のおかげで、セレナが経営する宿屋と魔女関連の博物館は軌道に乗り、結婚生活も人が羨むほどの仲の良さだった。しかし、その幸福な結婚生活は2年前に終わりを告げた。
ビルがジョギング中に発作を起こし、急逝してしまったのだ。最初の一年は悲しみに暮れるばかりのセレナだった。2年目に、ようやく前向きになろうという気持ちがもてるようになり、友人として親しく付き合い出した男友達のマイクという存在も出てくるのだった。
マイクは、駆け出しの作家で、セレナは彼のために社交上の付き合いもするようになっていた。
今日も、マイクのためにボストンまで出向かなければいけないのだけれども……その準備をする前に、心身を休めようとセレナは宿屋の近くにある沼に水浴びにいくのだった。
何の警戒心も無く、水に飛び込んだ彼女のあとを誰かが、密やかに追いかけてくる。
セレナがその存在に気づいた時には、既に、古代ローマの騎士と思わせるようなたくましい男が彼女の指先に触れていた。
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