ヘレン・ビアンチン
世俗に疎いわけではないんですが、大抵のヒロインは世慣れてません。そんなヒロインのしぐさに、世俗にまみれて生きてきたヒーローの心は、最初から鷲掴みにされてるか、中盤辺りでにっちもさっちも恋のとりこ。ヒロインのライバル役が大抵、ヒーローの昔の恋人だったりして激甘になりがちなストーリーをピリリッとしめてくれます(笑) 優しいのに(!?)傲慢なヒーローが多いかな。


春めぐるとき I-28 ハーレクイン社  発刊:1982.10.05
ヒロイン:カレン・インガルス(タイピスト) ヒーロー:マシュー・J・ルーカス(エレクトロニクス社長/愛称マット)

あらすじ
19歳で結婚したカレンは、式の翌日に夫ブラッドを事故で亡くしたことを警察から知らされた。ブラッドがカレンに遺したものは男性に対する恐怖と不信、そして娘リサだった。未熟児で生まれたリサを育てて6年。祖父からの遺産で経済的には何も困ることがなかったカレンだが、育児から開放されるようになり持て余した時間をタイピストのパートに出ることで解消するようになった。
リサと2人で暮すことがどれだけ幸せであるかと言い張っても、母や友人達は男性との付き合いを半ば強制してきた。友人に連れ出された週末のパーティで知り合った強引に迫ってくる男性マットが勤務先の社長だと知ったのは、手ひどく拒絶した後のことだった。……一介のタイピストと社長との接点なんて無いはずという願いは、社長秘書からの呼び出しの内線で脆くも崩れ去ろうとしていた……。

浴室のペンキ塗りをしていて梯子から転落。呻いてる時に、ヒーローからの電話があってそれに出た子供が助けを求めて〜という、このエピソードパターンは、王道(笑) 今回、カレンの怪我は肩の関節が外れたということで、マットの世話焼きはもういちゃいちゃのオンパレードでいや〜ん♪ 食事の世話から(ステーキを切り分けたりとか、きっと「お口をあけて、あーん」もしたかったに違いない……)、お着替えのお手伝い、とどまることをしりません。マット、至福の時。
初夜に豹変した夫からレイプされた過去を持つカレンにとって、男性は恐怖と不信の対象でしかなく強引に迫ってくるマットに対しても及び腰なのは仕方ないかな〜と思いつつ、ちょっと頑なすぎる感じです。いや、でも本当に痛いくらい強引なのよね、マットてば(苦笑)


砂漠の宝石 I-115 ハーレクイン社  発刊:1984.01.05
ヒロイン:ジェイミー・プレンティス(ニュージーランド人・オーストラリアをワーキングホリディ・22歳) ヒーロー:ローガン(道路工事の作業員?・35歳/本名ローガン・ジョーダン・実業家

あらすじ
父親の代から家族ぐるみで付き合いのあったブレーク・カーティスが、作業員が足りなくて困っていることをローガンは知った。
しつこい女につきまとわれてうんざりしていたローガンは渡りに船とばかりに、ブレークの元へと駆けつけ、道路を補修するために、汗を流すことになったのだった。
巨大な道路工事車両を操作し、 木陰すら見当たらない砂漠をひたすら道路を慣らしていく。
そんな単調な作業をしていたローガンの目に飛び込んできたのが、小柄な若い女性の姿だった。

働きながら、オーストラリアを観光しているジェイミーは、借りていた車が砂漠で故障し立ち往生する羽目に陥ります。
車が通ることも期待できない状況に暗澹たる気持ちでいたところ、遠くの方でエンジンの音が聞こえ、覗いた双眼鏡の中には土煙。
運良く、道路工事車両を運転していたローガンに拾われて、工事のキャンプ地に連れていってもらいます。
女なんて懲り懲りと思っていたローガンは、無分別な若い女性の世話をしなければならないことにうんざり。そして、ジェイミーはオーストラリアで今まで出会ってきた性格的に素敵な人たちとは正反対の態度をとるローガンにイライラのし通しという展開が始まります。
恋に堕ちたと、早くに自認したのは、ローガン。キャンプ地でジェイミーと別れた後、すぐに会いたくなってあとを追っていき、デートに誘いまくってます。
今すぐにでも彼女をベッドに連れ込みたいローガンですが、初めてさんの防御は堅くて、良いわー、この展開。
ローガンの素性を知ってしまったあとも、なんとかうまくやっていこうとしていたジェイミーですが、彼の昔の女に小突かれて、あまりに生活が違い過ぎると怖じ気づいてニュージーランドに帰国。血相を変えて、ローガンが追いかけてくれる好みの展開へと続くのでありました。


天使のくちづけ I-121 ハーレクイン社  発刊:1994.06.05
ヒロイン:ジェニー・メレディス(秘書・24歳) ヒーロー:ザカリー・ルシアン・ベネディクト(弁護士・財産家・35歳)

あらすじ
結婚式の3日前に空港ポストに短い手紙を投函しただけでジェニーを振った婚約者マックス。ジェニーはその後の騒動を全て押し付けられての土壇場キャンセルをくらったのだ。いたたまれず故郷を飛び出し、オークランドで秘書の仕事を見つけてまだ1ヶ月。男性との付き合いは、もっての外のジェニーに、勤めている会社が入ってるビルに事務所をもつ弁護士ザカリーが、何かとちょっかいを出してきた。断っていた筈なのに夕食を共にすること数回、叔母夫婦と仲良くテーブルを囲んでるその強引さ。出会って10日目には、プロポーズまで!!

雨に濡れそぼったジェニーに一目惚れしたザカリー。突進、突進で迫ってます。男性に対して引けてる腰をぎゅっと自分に抱き寄せて、ひたすら食事に誘って画策して。気を失った彼女に気付け薬の代わりにブランデーを少し飲ませてみれば、可愛く酔っぱらって誘惑してくれる媚態にもう便乗してキスしまくり♪ 「これっぽちのブランデーでこうなるんなら、いつも持ち歩くことにしよう」
あっと言う間に婚約して、結婚式の準備が始まった途端に元婚約者マックスが自分の父の葬儀に戻ってきてジェニーに迫り出すんだけど、気持ちが揺れ動かないジェニーと嫉妬を見え隠れさせるザカリーがなかなか良い感じです。


じゃじゃ馬天使 R-111 ハーレクイン社  発刊:1981.07.20
ヒロイン:シャナン・フィッジェラルド(洋裁) ヒーロー:ニック・スタニッチ(ぶどう農園主)

あらすじ
姉夫婦が事故で亡くなり、その忘れ形見ケリーを引き取り育てて、既に6年。お針子として手に職を持っていたから、食べるのにはさほど困らなかったが赤ん坊を抱えての住い探しには本当に苦労したのだ。親切な不動産屋ジョン・ブラシッチが、これまた親切なぶどう農園主アイバン・スタニッチを紹介してくれなかったら路頭を迷っていたところだった。スタニッチ夫妻は、シャナンの苦境を農園の古い小屋を貸してくれるということで親鳥がひなを守るように取り除いてくれたのだ。そのスタニッチ夫妻が、相次いで急死した。遺産を相続したアイバンの甥ニック・スタニッチは近寄りがたい長身の男性で、シャナンはいつ小屋からの立ち退きを迫られるかと気が気でない日々を過していた……

相次いで亡くなったスタニッチ夫妻のお葬式で、シャナンに一目惚れしたニック。話すきっかけをなんとか持とうと頑張ったらしいのですが、彼女は台所にこもりっ放しで、機会が得られないじゃないかッ!! 彼女に小屋を継続して間借りさせることなんて、伯父が遺言しなかったにもかかわらず、進んで住居を提供しています。あと、仕事も、食事も、ドライブも、ピクニックも、甘やかせることならなんでも提供したいっと周囲をうろうろ。ケリーのためだけに生活をしているシャナンに、今度は自分自身を甘やかしてもいいんじゃないかと手ほどきを買って出てる彼。会う度に、ワインをプレゼントしキスをして抱きしめて。昼間っからワインを飲ませて、ほろ酔い気分にさせること数回。ニック、本当に楽しそうだ(笑) シャナンがプロポーズを承諾した記憶が定かじゃないという不安がるのを押しきって、結婚式の準備を整えていく周到さ。シャナン、安心してちょうだい、貴方は承諾してなかったわ〜(笑) ほろ酔い+キスされてぼーっとしてただけ。「承諾場面」を読み落としたのかと何度も確かめたけど、見つけれなかったもん、私。ニックが強引なんだけど、ほんわかとしていて楽しかった作品。……ほろ酔い効果かしら♪


花嫁の庭 R-291 ハーレクイン社  発刊:1984.01.20
ヒロイン:シェリー・アンダソン(教師・20歳) ヒーロー:ミッチェル・バランタイン(大規模サトウキビ農場後継者・33歳)

あらすじ
亡くなった母の再婚先バランタイン家を出て教師として自立していたシェリーの元に義兄のミッチェルがやってきた。義父のルークが心臓発作を起こし、余命いくばくも無いという悲しい知らせを持って。
取りあえずの帰郷の支度をしようとするシェリーに、「2度とここには戻らない」とミッチェルは告げるのだった……

怖がらせてはいけないと抑えた(思わせぶりな)ミッチェルの誘惑の機微をシェリーが理解できるわけがなく、死期の迫った義父ルークを喜ばせる為に結婚式まで挙げてしまったと思い悩む彼女。
この悩みは、王道♪
それにしてもミッチェル、自分の欲望のままに行動していたら、17歳の幼妻が存在した筈だと胸を張られてもなー(笑)
兄としてのキスだけで我慢しなければならなかったらしいですが、「兄としてのキス」はシェリーの度肝を抜くくらいのものだったようで、いや〜ん、ミッチェルが本気になったらどーなのよ?と下世話な想像ばかりしてた自分……シェリーの無垢さが際立ちます(笑)
今回、シェリーのライバルとなったルークの付添看護婦エンマは、ミッチェルが礼節をもって送り返したけど、チクリと自分の立場をわきまえろと釘を刺すところでプチ溜飲。ルークが亡くなった後も滞在したがるエンマに、父の見送りだけを丁寧にお願いする下りが、いたくエンマのプライドを傷つけたようでシェリーにとばっちりが向けられるのはお約束。
家を出てしまったシェリーを追いかけて、即効、捕獲するミッチェルの手際の良さは絶品(笑)


入り江のざわめき R-857 ハーレクイン社  発刊:1991.09.20
ヒロイン:サキ・タラント(室内装飾デザイナー・ウェイトレス・25歳) ヒーロー:ドミニク・プレストン(弁護士・37歳)

あらすじ
母が亡くなった後、大酒飲みのギャンブラーと化した父は車の事故で亡くなった。タラント邸まで売り払って、難病に冒された弟サムの高額な医療費に当てたが、それだけでは足りずに借金を重ねた。経済的な援助をアメリカで裕福な生活をしている姉シモーンに頼んだが梨の礫。犠牲的とも言える看護も実らず、サムは肺炎を併発して亡くなった。残った借金をサキはデザイナー会社の給料とレストランでの週6日の夕方からバイト代の大半を当てても、返却し終わる目処が立たない状況だった。そんな中、弁護士として成功しているドミニク・プレストンが勤めている会社にサキを指名して、旧タラント邸の内装デザインを依頼してきた。彼は、10年以上前、タラント邸の庭師のバイトをしている時にサキと会っていた……

10年以上前のサキはドミニクにとって、高嶺の花でとても手が出せない聖域の少女。どうしても手に入れたいとその時から、思って……いたんだよね〜(苦笑) 父親が破産の上に事故死、弟サムの医療費の捻出という苦闘をただ見守っていたらしい。いやーん、とっても冷酷すぎる。何年ものあいだサキが大人になるのを待って「頼れる相手がぼく一人になるのを待ち、じっと見守っていた」ですってーッ!! ……助けてあげようよ、サムの看護に苦闘している時にさー。
土曜日に再会して、翌週の土曜日の午後に結婚式をあげる準備をしている彼。プロポーズを断れば、デザイナーの仕事妨害も仄めかして、それでも弁護士!?という言葉が惜しみなく淀みなく発せられてます(苦笑)
サキを妻にする為のやり方が余りに非道だった分、結婚後は激甘路線を一直線。甘やかすのもちろんのこと、一夜たりとも離しはしない束縛ぶりがアッチッチ。
姉妹とは言えないことをしでかすシモーンの排除の仕方とかは、ビアンチンストーリーのお決まりコースです♪


お芝居が終わったら R-1609 (株)ハーレクイン  発刊:2000.09.20
ヒロイン:ミシェール・ジェラール(画廊経営・25歳) ヒーロー:ニコス・アレッサンドロス(電子産業で辣腕を振るう実業家・30代半ば)

あらすじ
母親が結婚相手にと勧めてくる男性ジェレミーに対して、ミシェールは二の足を踏んでいた。
共同経営している画廊が軌道に乗り、仕事が面白くて仕方がないのだ。恋人を作る気すら薄いのに、結婚だなんて……。
母達の社交上の関係に差し障りの無い程度に、やんわりとジェレミーに対して壁を作っていたミシェールだった。しかしミシェールの思惑とは別に、事が動き出した。
ジェレミーが不快感を伴う迫り方をし始め、それをさらに煽るような形でミシェールに接近してくる男性が新たに現れたのだ。
初めて会ったニコス・アレッサンドロスが、ミシェールのことを知人のように扱ってきたのだ……。

亡くなった親友の奥さんサスカから迫られて困っているから、その盾になってくれないか」とミシェールに提案するニコス。
「その代わりに、ジェレミーへの盾は自分がするから」と売り込むニコス。
ミシェールを搦めとる手際が早すぎ、強引過ぎ。
そして、ミシェールもまたニコスのセックスアピールに参り過ぎ。
なんかこう、もうちょっと、ためらいがあればニコスが悶々として楽しいのになぁと(ヒーローに理不尽な展開が大好きな私)
きらびやかな社交界の場面がこれでもか、これでもかと描かれてます。食事風景もふんだんにでてきてるんですが、ミシェールの食欲不振のせいで、豪華な料理がただフォークでつつかれる末路ばかり……勿体なーい(笑)


夜ごとの情熱 R-1850 (株)ハーレクイン  発刊:2003.03.20
ヒロイン:ダニエル・ダルボア(ランジェリー・ショップ経営者) ヒーロー:レイフ・バルデス(実業家)

あらすじ
母親と共同経営する高級ランジェリー・ショップが倒産の間際だった。何もかも失ってしまう前に、救いの手をのばしてもらおうと建物の持ち主レイフに面会を申し出た。その席で、援助の代価に自分の子供を産んで欲しいとの提案にダニエルは、断る術を持たなかった。こんな屈辱的な立場に、追い込んだレイフを憎み続けるわ……ダニエルはレイフの存在に圧倒されていた。

いつも思うのですが、ヒロインを囲ってしまう(笑)までに付き合っていた女性の趣味が悪すぎです、ビアンチンヒーロー。まぁその女性達もヒーローと付き合ってから、執着心が強くなるのかもしんないけどヒロインにとったら、いい迷惑。今回、小さいのは「当てこすり」「足のひっかけ」から始まって、「営業妨害」「強盗」「交通事故」までのエスカレートぶり。……ダニエル、タフです。ダニエルが窮地に陥ったときいて「へこんじゃうくらい」のめり込んじゃったレイフの過保護ぶりが、素敵♪


危険な結婚 R-1913 ハーレクイン社  発刊:2003.11.20
ヒロイン:アナ・ディミトリアデス(フラワーショップ経営者・27歳) ヒーロー:リューク・ディミトリアデス(金融家)

あらすじ:うるわしき姉妹(アナとリベカ姉妹)
夫リュークが昔付きあっていたセリーン・ムーアからの嫌がらせは日増しにひどくなっていた。自分が離婚したから、誘惑すればリュークも離婚すると思っているのかしら? パーティの席上で公然とでリュークにしなだれ掛かり、甘えてみせるセリーンも許せなかったが、拒否するわけでも無く受け流すリュークの態度にもアナは耐えきれなくなった。
大げんかの末、自宅から飛び出したアナをリュークは頭が冷えれば戻ってくるもののと高を括っていた。私立探偵から、彼女がアパートを借り仕事先を見つけたと報告があるまでは……。

夫リュークは最愛の妻を事故で亡くしていて、自分との結婚はこれから愛情を育んでいけばいいという発展途上の間柄(だと思っているのはもちろんアナだけで、リュークは彼女に惚込んでます♪) そんな今一つ自分に自信のないアナに、リューク争奪戦をしかけたライバルのセリーン・ムーア。これが、もー狡猾なんだけどさー、ばれた時でも、リュークが自分を選んでくれると思い込んでいるところが鉄面皮のトップモデルでした。
アナが、少し意固地かな〜と思えたり。セリーンからの嫌がらせを自分だけで頑なに処理しようとしてるんだもん。こうなんというか、私的にはもうちょっとリュークに甘えてもらえると好み倍増のヒロイン像です♪


愛の惑い R-1921 (株)ハーレクイン  発刊:2003.12.20
ヒロイン:リベカ・スタンフォード(フラワーショップ経営者・25歳) ヒーロー:ジェイス・ディミトリアデス(投資家)

あらすじ:うるわしき姉妹(アナとリベカ姉妹)
1年前の姉アナの結婚式で義兄リュークの付添人をしたジェイスがシドニーに来るらしい。姉から4人で食事をと誘いを受けたリベカは、ためらった。披露宴で、いきなりキスされたことを思い出したのだ。
2年前に暴力を振るうブラッドとの結婚生活を三ヶ月で終わらせた後、男性に対してどうしても不信感を抱いてしまうのだ。1年間の婚約期間にブラッドがみせた魅力的な男性像に騙されていた自分……。ジェイスがそういう人ではないと直感では理解できても、築き上げた防御の壁から出る意志はリベカに無かった。

1年前の従兄弟リュークの結婚式で出会ったリベカに心惹かれたジェイス。自分でもただの気まぐれかなと思ったものの1年経った今でも、気になって仕方がない。ということで自分の気持ちを確かめにニューヨークからシドニーにわざわざやって来てます。再会してやっぱり、気まぐれじゃなかったと確信したジェイス。強引に彼女の生活に割り込んでいきます〜。その仲を邪魔するのが、リベカの別れた夫ブラッドの暴力。精神的・肉体的にブラッドの暴力にさらされるリベカを、守りきることが出来なくて怒りをこらえるシーンが多く出てきます。その間にジェイスを頼ることに少しずつ慣れていくリベカの傷の深さが悲しいです〜。
傷ついたリベカが、そーっと寄ってくるのを待ちわびているジェイス。どっしりと構えようとしつつも、つい手をのばしちゃったりしてるのはお約束♪


許せないプロポーズ R-1938 (株)ハーレクイン  発刊:2004.02.20
ヒロイン:ターシャ・ピーターソン(法人専門弁護士・27歳) ヒーロー:ジャレッド・ノース(法廷弁護士・30代後半)

あらすじ
妊娠したから結婚なんて耐えられない。ジャレッドが他の女性に目を向けるかもしれないという不安を抱えて、結婚生活を送るなんて。
ターシャはジャレッドからのプロポーズを断り、同棲生活も終わらせる為にアパートを借り早々に引っ越すのだった。
しかし、社交上の付き合いから彼との関係を全く断つわけにはいかなくなった。その上、ジャレッドへの未練に苦しむのだった。

同棲し始めて2年。互いに誠実であったけれど、将来の約束を示さなかったツケを突然支払うことになったジャレッド。
「別れを切り出すのは自分からだろう」という予感をかすめたこともあったようですが、実際、置いてけぼりを喰らったのは自分の方で……。
今の関係が余りにも快適すぎて、父親が5回の離婚を繰り返すという家庭に育ったターシャが、安定感を必要としていたことを気付かなかったと反省しても遅すぎる〜。
ターシャが引っ越し、一人暮らしを始め、戻ってくる気配がないことに焦燥感にかられます。が、それを表に出さず、まずはターシャの意志を尊重しようと努めてます。
と、言っても社交上の付き合いに引っ張り出し、ミュージカルに誘い出しと、毎朝毎晩欠かさず電話しと、存在を忘れさせないよう圧力をかけてるわー♪
それにしても、ターシャの思い切りが悪くて……ジャレッドは性的魅力があるからと何度も何度も何度も、言い訳しております。……ベッドの上だけの関係を満足していたのは彼女の方じゃあないでしょっかねー(苦笑)


甘い屈辱 R-2025 (株)ハーレクイン  発刊:2005.03.20
ヒロイン:カサンドラ・プレストン=ヴィラーズ(宝石デザイナー・27歳) ヒーロー:ディエゴ・デル・サント(企業投資家・30代後半)

あらすじ
初めてカサンドラと出会ったのは10年以上もまえのことだった。どんな薬が飛び交っているか定かでない、いかがわしいパーティに兄と連れ立ってやってきた彼女に対して、いつもならしないお説教と今後の戒めのためにと理由付けて唇を奪ったのだ。
……そのキスを引きずったのは、ディエゴの方だった。
一年前にカサンドラと再会してから、折りにつけかけている誘いを、ことごとくディエゴは断られていた。
どうしても彼女をこの腕に抱きたい。
交際の手順を踏ませてもらえないのなら、強硬手段に出るまでだ。
カサンドラの兄キャメロンが経営する会社が倒産の危機に瀕していること、そして彼の抱えている秘密を切り札に、ディエゴは動き出すのだった。

融資と引き換えに、2晩と1回の週末を一緒に過すことを条件提示したディエゴ。
断ろうとしたカサンドラへ追い討ちをかけるように、キャメロンの性的嗜好を病に倒れて余命幾ばくもない父親へ話すとたたみかけてきます。
ディエゴの提示した条件をのむしかないカサンドラは、彼との情事に踏み出すこととなります。
ディエゴ視点の記述が多いにもかかわらず、白日の元で脅したその言動に対するディエゴの「後ろめたさ」が全く書かれてません。……うへぇ、最初の動機はただやりたいだけだったのか〜。
そして、そんなディエゴに対してカサンドラのする反発は表面上なものだけで、あっという間に屈して、ディエゴと寝ることを期待しまくってます。一応、全編を通してディエゴに対抗しようと気概を振り回してますが、薄っぺら……

翡翠色の情熱 R-2037 (株)ハーレクイン  発刊:2005.03.20
ヒロイン:アリアン・シレスト(テレビリポーター・バツいち・20代後半) ヒーロー:マノロ・デル・グアルド(実業家・30代後半)

あらすじ
1ヶ月以上前に、インタビューを自宅で受けることを了承したことを、マノロはいらだちの中で後悔していた。愛娘クリスティーナのナニーが、面倒をみきれないからと荷造りをしているというのだ。この5カ月の間に、辞めたナニーはこれで4人目だった。
リポーターは一時間後にはやってくる……。
20代後半とおぼしき小柄なブロンド女性であるアリアン・シレストは、有能なリポーターで、彼女からインタビュー受けるのは魅力的だと興味をそそられていたのだ。
ベテランのナニー達でさえ、匙を投げたクリスティーナの癇癪を、そのアリアンが見事になだめることになるとは思いも寄らぬ事だった。

代わりのナニーが来るまでの繋ぎをマノロがアリアンに頼んだところから、2人の間に私的な関係が流れ出します。
頼みごとはどんどんエスカレートしてマノロの妻になることになってしまったアリアン。
クリスティーナのために始まった2人の関係が、愛情に発展していく過程を本作品では描いているようです。
そんな2人の間にある障害は、いろいろとありまして。
アリアン(不妊症)の元夫がDV+ストーカー継続中。
マノロの前妻(故人)は故意に妊娠してマノロを罠にかけて結婚し、出産後、莫大な慰謝料とともに離婚。そして交通事故死。
マノロの妻の座を、現在、狙い定めている女優もストーカーまがいのことをしてるし……周囲の人間がかなりキテル人たち。

奔放な一夜の行方 R-2079 (株)ハーレクイン  発刊:2005.12.20
ヒロイン:ミア・フレドリクソン(薬学部の学生・27歳) ヒーロー:ニコロス・カレデス(企業グループのトップ・30代後半)

あらすじ
3カ月前、一夜だけを共にした女性のことをニコロスは忘れることが出来なかった。
退屈なパーティで、彼女に出会い、いつもの規範と違う行動を取ってしまった。初めて会った女性、それも名前も知らないままに、濃密な一夜を過してしまったのだ。
翌朝、ニコロスはベッドの中で一人で目覚めた。傍らに、彼女の姿はなかった。
彼女の素性を知るために、ニコロスはあらゆる手段を講じたが、その行方を掴むことは出来なかった。
だから、あれだけ探していたその女性を、弟クリスが大事な友人だからと家族の食事に連れてきた時には、動転するしかなかった。
小柄で黒い髪、表情豊かなミア・フレドリクソン 。2度と、彼女を見失う気は毛頭なかった。

結婚するまではベッドを共にしないというのが信条だったミアですが、ニコロスに出会った途端、その気持ちは消え去り、奔放な一夜を過すこととなります。
その代償は、妊娠。
姉の助けを借りて、妊娠、出産を乗りきる決意をしたところに、ニコロスと再会。
辣腕の企業家であるニコロスは、ミアの生活にぐいぐいと入り込み、そして彼の住む世界(上流社会)に彼女を引っ張り込んでいくこととなります。
まぁ、ミアがさほど抵抗をしていないということもあるのですが。ミア、ニコロス、双方ともに葛藤がほどんと見受けられず、淡々と話が展開されていくこととなります。
で、お約束のライバル女性アヌーシュカが、一人、気炎をあげて物語を盛り上げてくれてました(笑)

一夜の波紋 R-2121 (株)ハーレクイン  発刊:2006.07.20
ヒロイン:ティナ・マシソン(ブティック経営・27歳) ヒーロー:ニコス・レアンドロス(レアンドロス財閥の御曹司・37歳/愛称ニック)

あらすじ
大事な異母弟バシリが、21歳という若さのまま事故で亡くなった。16歳も年の離れた弟の成長を本当に楽しみにしていたニックはもちろんのこと、義母ステイシーや父の落胆ぶりは痛ましいものだった。
そんな中、バシリの恋人が妊娠しているということだけが、残された人たちにとっては一筋の救いだった。
ティナ・マシソン
彼女は、バシリが自宅のアパートで一緒に暮らし始めるほど付き合いを深めた最初の女性だった。
葬儀の最中、墓前にたたずんでいたティナは自制心を失っていなかったが、何かの拍子に壊れるのではないかというもろさがうかがい知れた。
今のところ、彼女は、義母や父が申し出た援助を素気なく断り、レアンドロス家と一切の係わりを持とうとしない。我が身に宿ったバシリの忘れ形見を利用して、更なる援助を引き出す手だてを講じているのか……?
嘆き悲しむステイシーの心が、ティナのお腹にいる赤ん坊の存在で、少しでも和らげることが出来るのなら、どんな手だても行使する。
しかし、彼女が住んでいるバシリのアパートに出向いたニックは、そこが既に無人となっていることに、苛立ちを募らせるのだった。

「I-37ある出会い」の主人公達の間に生まれた息子がバシリというスピンオフ作品となってます。
ということで、今一つ、割り切れない思いのまま読了。
だって、ティナは流産してしまうし……。
赤ん坊にレアンドロス家の名を継がせるためだけにティナはニックと便宜結婚。その理由が消失した今、2人の仲をどう築き上げていくのかという展開は王道だけど、以前の主人公たちの悲しみを踏み台にして成就する恋愛は痛いですよねぇ。
主人公達は末長く幸せに暮らしましたというおとぎ話前提が崩れちゃうじゃないですか。
スピンオフの作品でなく、単体だったらこれ程までに割り切れない思いをしなくて済んだんだと思います。
メモ:今作品でもライバル女性サビーヌがストーカーとなって大暴れ。強盗の被害者。


まやかしの社交界 R-2174 (株)ハーレクイン  発刊:2007.03.20
ヒロイン:ジアンナ・ジャンカルロ(重役・20後半)

ヒーロー:フランコ・ジャンカルロ(経営者・30後半)

あらすじ
3年前、両親が亡くなって、フランコが受け継いだのは巨大な会社ジャンカルロ・カステリ社だけではなかった。
両親を奪った飛行機事故は、共同経営者の命もこの世から消し去った。遺されたのは一人娘のジアンナ・カステリ。
会社と、孫の行く末を案じたフランコの祖父と、ジアンナの祖母は、2人に政略結婚を勧めたのだ。
10歳以上年下のジアンナは、美しく華奢だった。会社でのパートナーとして、社交生活、夜の営み全てにおいて夫婦生活は円満だった。
フランコが過去に付き合った女性が、彼を手に入れようと現れるまでは……。

円満な夫婦生活を堪能しているジアンナですが、政略結婚から始まったということで、二人の間に愛がないことが、常々頭の隅で不安を抱かせてます。その不安に、フランコが過去に付き合ったオランダ人女優で、絶世の美女であるファムケが攻撃をしかけてくることとなります。
2人が出席するチャリティー会場に必ず顔を出し、それぞれにメールや郵便物を送り届けるというストーカー行為をファムケは働いてきます。
ジアンナはファムケに対して必死に冷静を保とうとし、フランコに対して怒りと遣る瀬無さを抱くという展開が長々と続くのでありました。
それにしても、どこまで自信家なのか、ファムケ。フランコにまとわりつきまくってます。
ジアンナが、フランコに愛されていないと苦しみ、思い悩むお話しなんですが、苦悩が上滑り〜。ひたすら、チャリティー&ディナーパーティ、お買い物三昧の話が続きます。そんな場面ばかりが読みたくて読んでるんじゃないんだよー……。


縛られない関係 R-2271 (株)ハーレクイン  発刊:2008.03.20
ヒロイン:リセイン・デブロー(公訴局員・27歳)

ヒーロー:ザカライアス・ウィンストン(刑事訴訟専門の法廷弁護士・30後半/愛称ザック)

あらすじ
策略やあざとさから無縁のリセインと付き合いだして一年。
彼女との付き合いは、ザックにとって心地よいものだった。出自や財力に惹かれて側にいるのではなく、本当に彼自身と親密に付き合うためだけに存在してくれるのだ。
2人の関係は、このまま変化せずにいるのが一番だとザックは、心底、感じていた。
しかし、 その関係は砂上の楼閣だった。
リセインの姉ソーレンの挙式に参加するために彼女が長期休暇をとり帰省したあと、そのことが次第に明らかになってくるのだった。

親密な付き合いを一年間、続けているリセインとザック。
その蜜月のような付き合いに満足しているザックですが、リセインには不安を抱かせる要因が見え隠れしてます。
名門財閥の一員であるザックには、両親が結婚を望んでいる女性アレグラの存在があり、またアレグラ自身が事あるごとにリセインに牙を向けてます。
そんな中、リセインの姉であるソーレンが結婚することになり、その挙式のために3週間ほど帰郷。その期間にザックとの関係が大きく動き出すこととなります。
アレグラの画策によるザックとの婚約発表やリセインの妊娠発覚が立て続けに起こるのでありました。
うじうじと悩んだり怒ったりしているリセインに対して、どーんと構えながらも行動しているザック。
社交界の華やかさを前面に押し出してロマンスが進行するいつものパターンとなってます。
昨今のヘレン・ビアンチン作品の必須アイテム「ストーカー」も健在。ザックとの法廷闘争に敗れた男が復讐心をリセインに向け刃傷沙汰をおこしてます。


忍び寄る悪夢 R-2310 (株)ハーレクイン  発刊:2008.08.20
ヒロイン:イレーナ・ジラード(デザイナー・20代後半)

ヒーロー:アレクサンドロス・カラマニス(金融王・30後半/愛称サンドロ)

あらすじ
サンドロは、亡くなった父から受継いだ事業をさらに拡大させ、金融帝国を築くまでになっていた。仕事に忙殺される日々は、充実していた。
仕事中毒だった父は、家庭においても妻に対して傍若無人だった。跡継ぎであるサンドロを得てからは、若くて綺麗な女を妻に据えて、賞味期限がくればすげ替えていた。肉親からの愛情を知らずに育ったサンドロには、愛という感情が一体なんであるのか、未だに理解できない。
しかし、愛というものがなくても、家庭生活は成り立つ。結婚生活をビジネスと見なし、跡継ぎを産んでくれる妻さえいれば。
慈善パーティに出席したサンドロは、そこで、自分の妻に丁度いいと目している女性、イレーナ・ジラードが母親と一緒にいるのを見つけ出した。

元婚約者によるストーカーもの。
昨今のヘレン・ビアンチン作品のなぞり書きですなー。
30代後半になり、そろそろ跡継ぎ&見栄え&しっかり者&分をわきまえた妻が欲しいと思い出したサンドロが、周囲を見渡した時に、条件のあった女性イレーナを見つけて、ロックオン。
しかし、その女性は男性を頑として寄せ付けない態度をとってきて、さて、その理由は……?
イレーナを偏執的に追い回す元婚約者を、金にあかせて排除したサンドロ。
イレーナを妻にしたいと求婚するのですが、そのプロポーズの言葉がロマンチックでなかったために、大失敗。
失地回復をするために、イレーナの母親、友人に手を回してますが、なんというか、焦燥感とか堪え切れない恋情とかが漂ってこない……。
あと、サンドロの妻の座をつけ狙っている一流モデルのダニカが、イレーナにちくちくと突っかかってます。


捨てたはずの愛 R-2327 (株)ハーレクイン  発刊:2008.10.20
ヒロイン:シャネイ・マルティネス(薬剤師)

ヒーロー:マルチェロ・マルティネス(スペインの大富豪)

あらすじ
最愛の妻シャネイが出奔して4年が経った。結婚生活は2年しかもたなかったことになる。
慣れないスペインでの生活、そして、大家族が引き起こした軋轢にシャネイはオーストラリアに逃げ帰った。伯母のペネが、自分の気に入っていた娘をマルチェロの妻にしようと、動き回っていたのだ。
シャネイとの絆は、そんな些細なことで壊れるわけがないと思っていたマルチェロを嘲笑うかのように、彼女は短いメモだけを残して、立ち去った。
すぐに戻ってくると高を括っていた予測も外れ、マルチェロが迎えに行こうにも、事業の状況が予断を許さなかった。
結局、自分は切り捨てられたことに怒り狂っていたのだ。そして、その燻り続けていた怒りに、更に油が注がれた。弟サンドロが、パースでシャネイを見かけたと報告してきた。
傍らには、3歳の娘がいたと言う……。

別居夫婦のやり直しもの。
マルチェロの祖父ラモンが癌に冒され、余命いくばくもない状況を利用して、スペインにシャネイ母娘を連れ戻しにかかります。娘のニッキは早々に、マルチェロの魅力に取り込まれ、孤軍奮闘することになるシャネイ。
でも、7割、シャネイが、4年前まで享受していたマルチェロとの「愛の営み」をひたすら回想してるんですよ。どれだけ2人の身体の相性が良かったかと悶々。
もう、くどくどくどくどと身体を熱くさせて回想。他にもっと考えることがあるやろうに(苦笑)
残り3割が、やっぱりマルチェロとの夜は素晴らしいと……という作品。
なんだかなー。
ニッキが誘拐されたりするんですけど、上滑りなエピソード。


運命に身を任せて R-2444 (株)ハーレクイン  発刊:2009.12.20
ヒロイン:テイラー・アダムソン(小説家)

ヒーロー:ダンテ・ダレッサンドリ(イタリアを本拠とする実業家・ワイン醸造家)

あらすじ
弟レオンとその妻ケイシーが、交通事故で亡くなった。一人息子のベンは、まだ3才だというのに。
ダンテが、葬儀などの対外的な手配に振り回されている間、ベンの悲しみに寄り添ってくれていたのは、ケイシーの妹であるテイラーだった。
レオンとケイシーが万が一のためにと、用意していた遺言書には、ベンの共同後見人としてダンテとテイラーが記されていた。互いがベンを手元で育てたいと強く願っているのだから、その処遇を巡っての話し合いは、すんなりと決着はつかないことになるのだろう。
テイラーに初めてあったのは、5年前のレオンとケイシーの婚約パーティの席上で、ダンテに対して、初々しい態度で頬を染め上げていた。そんな彼女が、この5年の間に、ダンテに対して用心深く身構える女性へと変化していた。それは、小説家として成功をおさめたからではないと、ダンテの勘は告げている。

ダンテ、テイラーともに、葛藤が薄いです。妙にお行儀の良いカップル。
そして、エピソードが盛りだくさん。
テイラーには、2年前、居直り強盗に強姦されかけ重傷を負ったという過去があり、逃走していた犯人と偶然出会うという場が、さらり。
ダンテの妻の座を狙う美女の当てこすりに登場するものの、暗躍まではしてくれず。
テイラーが訪れた取材現場の警察署で薬物中毒者にナイフで脅され傷つけられるとか。
盛りだくさん過ぎて、希釈された感じの仕上がりなのが、残念。