ヘレン・ブルックス
純真無垢なヒロインと世慣れたヒーローというカップリングが多い作家さん。世慣れたヒーローですが、ヒロインに対して四苦八苦している姿は、とても……素敵(笑)

魔法のキス I-1051 (株)ハーレクイン  発刊:1997.01.05
ヒロイン:アンジェリーナ・マリ(開業医院の受付・23歳/愛称エンジェル) ヒーロー:ハンター・ライアン(世界屈指の心臓外科医・39歳)

あらすじ:永遠の愛を込めて1
心臓外科医として極度に重圧を感じる状況と、喧騒真只中のロンドンから離れようと、ハンターは田舎に買った優雅な別荘へと向かっていた。あと、もう少しでそのゲーブルズ荘というところまできて、緩やかなカーブを曲がろうとした時、車の前に少年が飛び出してきた。
ハンターは、咄嗟に急ハンドルを切るしかなかった。男の子を轢かずに済んだ車は、道端に止めてあった軽自動車に突っ込むことになったのだった。
状況を把握しようと、慌てて車から降りたが、飛び出してきた少年の姿は既にない。
ハンターは、大破させてしまった軽自動車の具合を確かめていた時に、一人の若い女性が家から飛び出してきた。
「信じられない! 一体これはどういうことなんですか!」

大破した車をみて頭に血が上ったアンジェリーナは、ハンターの言い分を一切聞かず、まくしたて始めます。大人しくて自分の意見を他人に言えないと世間から評されているらしい彼女ですが、なんのなんの、勇ましく突っかかること突っかかること。
ハンター曰く、
「ファイトがある」と形容されるアンジェリーナですが、ただ単に口うるさいだけの女性のような気がしないでもない状況が延々と続く……。
難病(心臓疾患)に罹った弟を何としてでも助けたいと苦悩しているアンジェリーナですが、実際のところ、ハンターに抱かれたいという思いで頭の中が一杯になってたりして、なんだか、うーん。対して、ハンターは、彼女を抱きたいとひたすら、迫ってるし。医者の倫理として、その姿勢はどうよ?と思う点が……。


偽りの婚約者 R-1088 (株)ハーレクイン  発刊:1994.06.20
ヒロイン:ケルシー・ホープ(インテリアデザイナー・21歳) ヒーロー:マーシャル・ヘンダーソン(実業家・30歳)

あらすじ
「ケルシーが、グレッグという男と真剣な交際を始めている」
耳に入ってきた事実にマーシャルは、狼狽した。
マーシャルにとって、ケルシーは、何にも取り替えることなどできない珠玉のような存在だった。
6年前に初めて出会った時、世間の汚さなど全く知らない14歳の彼女のおかげで正気に戻ったのだ。夢中になっていた妻に裏切られ、他人を信頼することができなくなっていたマーシャルにとって、ケルシーの汚れを知らない健全さがどれほど救いになったか……。
けれども、成長するにつれ、彼女もまたすれていくのだろうと冷めた目で観察していたマーシャルだったが、17歳になった時でさえ、変わらなかった。
そして、まもなく21歳を迎え、インテリアデザイナーとしての道を歩き始めたケルシーが、将来を共にする男を見つけたらしいのだ。
「もう遅過ぎるかもしれない」
焦燥感にいても立ってもいられなくなったマーシャルは、 1本の赤いバラを添えてディナーの誘いをかけるのだった。
「今夜いっしょに夕食を」

なんとしてでも、ケルシーを手に入れようという決意が満々のマーシャル。社会に出たばかりのひよっこであるケルシーが、敵う相手ではなく、毎度毎度押し切られてます。
捨て子だったマーシャルは、17歳で仕事に就き始め、22歳で起業。26歳の時には既に事業は拡大していて財力も地位も欲しいまま。そして、群がる女も数知れず。
人間の欲望の汚さを充分に知っているマーシャルが、心の聖域に掲げていたのがケルシーです。
大事に大事に接して、世間の汚さからも守ってやりたいと心底、思っているのに、ついついいじめてしまうんですよね。で、やり過ぎた……と、慌てて身を引いているマーシャル。
付き合っていた男性グレッグが、ろくでもない人間で、どれだけ別れを切り出しても理解しようとしない状況下にあったケルシーは、偽装婚約をすればすんなり別れることもできるし、ゴシップにもならないというマーシャルの弁舌に丸め込まれて婚約をしてしまいます。
その上、ポルトガルまで連れ去っていくあたり、マーシャルの手際は本当にお見事としかいいようがありません。彼のメロメロぶりと最後の告白の熱烈ぶりが、秀逸な作品。
メモ:コンクリートミキサーの横転事故。


すり替わった恋人 R-1095 (株)ハーレクイン  発刊:1994.07.20
ヒロイン:リア・クィントン(モデル派遣会社の社長アシスタント・21歳) ヒーロー:デミトリオス・クウツウピス(ギリシアの実業家・30代半ば過ぎ)

あらすじ
両親亡き後、デミトリオスを引き取って育ててくれた姉夫妻には、返しても返しきれない程の恩があった。だから、甥のニコスがしでかした異性問題にも、デミトリオスは口を出さずにはいられない。
姉クリスチナが難病をようやく克服しかけている今、その闘病生活を脅かすものは何としてでも取り除きたかったのだ。
だから、ニコスが付き合っている相手が売春婦まがいの女であろうが無かろうが、クリスチナが会ってみたいと望むのなら、首に縄をつけてでも掻っ攫ってくる。
デミトリオスは、ニコスが夢中になっている女が住まうロンドンのフラットに押し掛けるのだった。

7歳の時に、飲酒運転の車に両親と赤ん坊だった弟を殺されたリアは、叔父に引き取られ、そこの一人娘ポピーと姉妹のように育ちます。このポピーが、騒動を起こすのはお手の物という存在で、リアは、幾度となくその尻拭いをさせられています。
今回も、一ヶ月半の過酷な出張から帰宅したばかりだというのに、居丈高な大男デミトリオスにポピーのしでかしたことでガンガン責められていくこととなります。
最初は人違いだと口を挟む余地がなかった上、最後の方ではポピーには対処できないだろうと替わりを務める羽目に陥るリア。
中盤に入るまでに、その入れ替わりがばれて、デミトリオスは怒りのあまり、雷をドカーンッと落としてしまい、後でそのことを謝ってきた時に
「いいのよ、謝ってくれなくても。私が悪いんですもの。それに、あなたの言葉の半分も理解できなかったし」 と、ユーモアを含めて答えるリアの優しさが素敵。
この後、上っ面だけご立派なライバル女性が出現して、もう一波乱。そして、リアはトラックとの接触事故で生死の境をさまようというエピソードが続きます。


イタリアン・クリスマス R-1130 (株)ハーレクイン  発刊:1994.12.20
ヒロイン:タニア・マイルズ(ナニー) ヒーロー:エンリーコ・メリオラ

あらすじ
暴走族の車にはね飛ばされかけたタニアを助けてくれた男性エンリーコ・メリオラは、偶然にも翌日、就職の面接をうける相手だった。
最初、自分には不向きだと就職を断ったものの、エンリーコの亡くなった妻の忘れ形見である姉弟のナニー兼秘書の仕事をいつのまにか、受けることになっていた。衝突するたびにキスで罰しようとしてくるエンリーコの真意が、まるでわらないタニアはいつのまにかイタリアでクリスマスを過ごすことになっていた……

「朝食の席できみが何を口にしたか、すべて覚えている。トーストに嫉妬したなんて、生れて初めてだ」
私もトーストに嫉妬するヒーローを読んだのは初めて(笑)
タニアが、物語の中盤辺りからエンリーコに愛情を寄せていることを隠さないので、この話は、ヒーローが純真無垢なヒロインのアタックにどれだけ足掻けるかが大筋と言ってもいいぐらいです。足掻いてる割に、自分から迫ったり拒絶したりしてるので……身勝手な仕打ちにヒロインが逃げ出すのは当然のこと。
ということで、エンリーコ、自業自得のタニア探求が待ってます(←嬉しそう)


異国のプリンス R-1179 (株)ハーレクイン  発刊:1995.07.20
ヒロイン:ルイーザ・コリンズ(会社員・28歳) ヒーロー:メリック・ハマン(実業家・父がトルコ人、母がフランス人・37歳)

あらすじ
店の前で、美しい桃色のシルクのショールを腕にかけて女性が佇んでいる。購入を迷っているというより、心ここにあらずという風情の彼女を一目みて心を奪われた、メリックは声をかける機会をうかがっていた。
「買い物に困っているようなので」と、声をかけたメリックはそのまま店主にショールを買い上げることを伝え、彼女に贈ろうとしたが、案の定、警戒心をいだかれ受け取ってもらえそうになかった。
ルイーザ・コリンズと名乗った彼女を、なんとか喫茶店まで連れ出したメリックだったが、急用の電話をかけている間に忽然と消えてしまった。
喫茶店に彼女を誘う時にメリックが言った
「 本当に迷惑なら、このまま春の訪れとともに解け去る霜のようにきみの前から消えるよ」
その言葉を逆手にとったかのように、どれだけ探しても彼女を見つけ出すことができずにいた。

バザールの出会いから2週間後、イギリスとの事業提携で向こうから出向してくる筈の女性社員が急病にかかりその代理となる人員のリストに、
「ルイーザ・コリンズ」の名前が記載されていて、メリックは彼女の捕獲に乗り出すこととなります。
互いのことしか愛せない両親の元で成長したルイーザは、愛情に餓えていたところにオリヴァーという男性と出会い、愛情を注がれることの心地良さを初めて知ります。しかし、正式に婚約し、結婚式を間近に控えた時、オリヴァーが病に罹りそのままこの世を去るという悲劇に見舞われてしまいます。生きる気力をなくした彼女は、仕事でトルコへと赴任され、そこでメリックと出会います。
ひたすら、メリックがルイーザを追い掛け回す展開の作品。
メリックと家同士の付き合いをしている隣家の、我が儘娘がいろいろとちょっかいを出してくるのが更にいい塩梅。
自分がもつ魅力はもちろんのこと、地位や権力を使いまくって目の届く範囲にルイーザを留めて、必死のアプローチ。強引に迫りすぎて泣かせること数回、反省はするのですが、やっぱり抑えきれなくてつい手を出しちゃうメリックが素晴しいです。
「自分のものはしっかりつかんで放さないし、人の所有物でないかぎり、欲しいものはなんとしてでも手に入れる」


薔薇の棘は鋭く R-1193 (株)ハーレクイン  発刊:1995.09.20
ヒロイン:ベス・ケリー(家庭教師兼ナニー・25歳) ヒーロー:ジャイ・デ・ロハス(競走馬を扱うメキシコの大牧場主)

あらすじ
夫婦喧嘩の絶えなかった弟夫妻は、自動車事故で亡くなる寸前までその醜い争いを、一人息子のマテオの目前で繰り広げていた。
目前で事故を起こした弟達の車の中から、ジャイが救出できたのはマテオ一人だけだった。その悲惨な事故以来、甥は情緒が不安定で、大事業を見事にさばいているジャイでさえ、お手上げ状態だった。
父親のメキシコ人の血よりもイギリス人であった母親の方にマテオは似ているのかもしれない。ならば、亡くなった義妹の希望でもあった英国の寄宿学校にマテオを入学させるために家庭教師を雇おう。
ジャイは、ロンドンで面接を開始したが、派遣会社が送り込んでくる家庭教師たちにはマテオの情緒不安定な状況を改善できないだろうと断り続けていた。
そして、7人目の女性ベス・ケリーがあらわれた。体調が万全でなかった彼女が、面接の途中で気を失い、自分の腕の中に倒れ込んで来た時………。

ジャイが素敵過ぎるーーーッ。
何か暗い、おどしをかけるような残酷さを秘めている雰囲気をまとって、ベスに迫っていくんですもの。
ジャイのことを避けようとするベス。でも、ジャイはその反対の決意を心中に秘めてます。
その2人が、知りあっていく(ジェイが機を逃さず近寄っていく)エピソードの1つ1つが良い感じでつながってます。
マテオの愛馬の出産シーン前後に判明する彼のいき過ぎた行動の真相とか、拒絶しているベスにムリに乗馬を習わせたりとか。
最大の見せ場の始まりは、ベスが乗っていた馬の脇腹に、ライバル女性がピンを突き刺したことによる暴走から。
強引に迫られて(←ベス基準。でもジャイにすれば忍耐の限度を試される日々〜)、男性に対する警戒心が揺らいでしまうベスの様子が初々しい。


暗闇のオアシス R-1257 (株)ハーレクイン  発刊:1995.09.20
ヒロイン:サマンサ・キトゥン(デザイナー・25歳/愛称キット/仔猫くん) ヒーロー:ジェラール・デュモン(実業家・マラケシュを拠点とする)

あらすじ
部下が、強盗に頭を殴打され路上で倒れた若い女性がいると慌ててジェラールに知らせにきた。
記憶に混乱があるような言動を取ったあと、意識が朦朧としている彼女をジェラールはオフィスに運び寝椅子に横たえた。
女性にしては長身の彼女の肢体は、少年のようにスラリとしていた。
光の具合いによっては赤みがかって見える栗色の髪はボブカットにされている。
ほんの少しではあるが、意識がはっきりとしだした彼女が、起き上がろうともがく様子を見せた。
慌てて近づいたジェラールが見たものは、彼女が彼を恐れるかのように寝椅子に深く身を沈め少しでも離れようと取った態度だった……。

記憶喪失と児童虐待もの。
男性に対してかなり警戒の強いキットの様子に、過去に何かあったと感付くジェラール。
彼女のことを「仔猫くん」と愛おしそうに最初から呼び、心開くのを理性ではいくらでも待つつもりなんですが、嫉妬やどうしても急いてしまう感情につい、
「僕はただひたすらきみに迫っていった。きみを失うんじゃないかと、心配が先走ってしまって」
16歳の時に継父と母が交通事故死するまで、虐待を受けていた彼女がおちいっている闇の深さに対峙していくこととなるジェラールは、かなり忍耐の人であります。
話しかわって、再版の表紙(長い黒髪の見るからに
女性らしい美人さん)とオリジナルの表紙って違っているんですねー。
ヒロインは光の具合によっては赤みがかる栗色の髪をボブカットにしていて、少年のような肢体を持つ女性という重要な設定が今作品にあるんですが……全く、無視?(苦笑)
オリジナルのイラストが傑作というわけではないんだけど、だけどなー、もうちょっとヒロインの容姿に配慮して欲しい〜。


不死鳥の翼 R-1301 (株)ハーレクイン  発刊:1997.02.20
ヒロイン:リー・ウィルスン(新進の画家・24歳/本名リー・ド・シュヴネイル) ヒーロー:ラウル・ド・シュヴネイル(フランス人・大富豪・32歳)

あらすじ
ようやく、ここまでたどり着けた。
ささやかな集いと称されたパーティ会場には、名高い画家や顔の知れ渡っている裕福な人たちが談笑している。このパーティに招待されれば、画家としての地位を認められたと言っても過言ではなかった。
だから、何週間も前からこのパーティを楽しみにしていたリーの高揚とした気分は、背後からかけられた声で一気に消沈した
「ずいぶんしばらくぶりだね、リー」
それは忘れたくても忘れられなかった夫ラウルの声。
5年前、ラウルが人妻マリオンと浮気をしている場面を見せつけられたリーが、立ち去って以来の再会だった。
18歳の時に出会い、互いに深い愛情を抱いていると思っていた結婚生活は2年すら持たなかった。

別居夫婦のやり直しもの。
リーが画家として自信をつけるまで見守ることにしていたラウル。まるでストーカーじゃないかと思うくらい、彼女の生活をしっかり監視し続けてます。
しかし、彼女の側に極上の部類にあたる男が現れたことから、見守っているうちに掻っ攫われてしまったら元も子もないということで、動き出すこととなります。
3ヶ月、同居生活をしてそれでもやはり離婚したいのなら、やり直すのは諦めるという提案をリーに強引に了承させます。
5年前の浮気場面の真相を、あまりの傷心から聞けなかったリーが、その3ヶ月間の紆余曲折の間に耳を傾けて2人の絆を取り戻していくわけですが、最後にもう一波乱。
5年前の諸悪の根源、マリオンが登場して、また、ラウルと仲睦まじげにキスをしてる場面に遭遇してしまうリー。
挨拶だろうが親愛のあらわれだろうが知らないけれど、ラウルはリーとの関係がまだ危うい状況だということを認識しなきゃー。マリオンとのキスの代償は、飛出してしまったリーを探し出すために2ヶ月もかかってしまうということ。
序盤から中盤にかけて、リーの頑なさとラウルの強引さがちょっとしつこいかなーと感じてしまうんですが、最終章の展開が本当に好み。


氷の炎 R-1312 (株)ハーレクイン  発刊:1997.04.20
ヒロイン:リディア・ワース(秘書・27歳) ヒーロー:ウルフ・ストレード(取締役会長兼社長・38歳)

あらすじ
モデルでもあった美しい妻とまだ幼くて可愛らしい盛りの娘。
その2人を交通事故で亡くし、その後、知ることになった妻の背信が原因で、女性に対してかなり不信感と見下したような態度をとるようになったウルフ・ストレード。
そんな彼の前に現れたのは、3歳の娘をもつリディア・ワース。
秘書として雇うことになった彼女は、夫と子どもがいる身でありながら、どうみても無垢で無防備だと思えて仕方がない。
この初々しい無防備さ。純真で、無垢で……だが実際は、彼女は無垢じゃない。
そんな彼女の様子を、ウルフは餓えたように見つめてしまうのだった。

幼馴染みでもあった夫マシューを3年前に心臓病で亡くして、母親の手を借りながらも、形見となった一人娘を育てているリディア。
職を得るために面接に出向いてみれば、社長室から漏れ聞こえてくるのは、いくらリディアの前にやってきた秘書達が使い物にならないほどお粗末なことをしていたとしても、失礼な言葉の羅列。
ひと言反論してから、帰ろうとするリディアが格好いいです。
余りに、女性に追い掛け回されることに嫌気をさしていたウルフは、既婚女性であるリディアが秘書となったことを最初は善しとするのですが……最初の出会いで一目惚れに近い衝撃をうけたウルフは、
「僕は君がほしかった。どれほどほしかったことか。オフィスの床に押し倒したい思ったことも一度や二度じゃない」
リディアのことを既婚者だと思っているウルフの、苛立ちとかがもう美味しくてたまりません。
脚立から落下して頭部を強打したリディアを、救うべき駆けつけたり、彼女が夫とどうやら別居していることを察した時のこうなんというか、自分にも機会があると前のめりになる瞬間がかなりいいんですよ。うっとり。


許されぬ結婚 R-1353 (株)ハーレクイン  発刊:1997.11.20
ヒロイン:ケイティ・ホワイト(特別養護学校教諭・23歳) ヒーロー:カールトン・リーフ(大富豪の実業家・36歳)

あらすじ
新聞の一面を見て、カールトンは先日、行った莫大な投資について自分が騙されていたことを知った。
業績のあるディヴィッド・ホワイトが勧める事業だからと、信頼したのが間違いだったのだ。
事の真相をきちんと知るためには、本人から弁明を聞くしかない。
彼の自宅にカールトンは電話をかけたが、本人には取り次いでもらえず、若い女性の苦し紛れの言い訳を聞かされるばかりだった。
「父は具合が悪くて、今、お医者様に診ていただいているんです。今日は些細なビジネスの問題で父を患わせたくないんです」
「君の父親の無能と暗愚のせいで大金を失ったことは些細な問題とは言えないがね。連絡は一時間以内に私のオフィスへ。それを期限に、私はこの問題を弁護士の手にゆだねる」

カールトンの脅しに近い命令に、ケイティは彼の会社まで出向く事となります。
母の死後、冷徹な実業家である父親との関係が、うまくいってなかったケイティは、 実業界についてとんと疎い状況にあります。
はめられたと怒り心頭のカールトンを前に、心臓発作で倒れ緊急治療を受けている父の病状を伝えようとするのですが、信じてもらえません。
カールトンが信じたのは、医者と直接話した後というくらい現実主義な側面を見せつけられます。
父親が莫大な負債を抱えて破産した事をカールトンから知らされたケイティですが、自分の稼ぎで父親を養っていかなければとすぐに決意する芯の強さを持ちます。
でも、百戦錬磨のカールトンにかかればその手に落ちてしまうのは仕方ないのかも。
心臓発作で倒れた父親の負債の肩代わりをする代わりに、カールトンの求婚を受けざるを得なかったケイティ。
ケイティの弱みにつけ込んだことを重々、承知しているカールトンは、結婚さえしてしまえば後は彼女の気持ちをこちらに振り向かせてみせると固く決意しております。
ケイティが、少しでも歩み寄ってくれるよう涙ぐましい努力を重ねるカールトン。
「出会い方が悪かったし、長期戦でいくしかないと思った」
しかしながら、内面を見せないカールトンの性格から、ケイティが誤解してすったもんだが始まってます。
加えて、ケイティの姉ジェニファーの性格の悪さ(妹の幸せを妬んで毒を撒き散らす)や、カールトンの弟の状況(車イス生活)をからめてロマンスが展開されるのでありました。


愛に踏みだす日 R-1650 (株)ハーレクイン  発刊:2001.02.20
ヒロイン:デイジー・サマーズ(元保育士・三人姉妹の長女・24歳) ヒーロー:スレイド・イーストウッド(実業家・34歳)

あらすじ
夫ロナルドは付き合い始めた時から、離婚に到るまで不実なままだった。そのストレスに晒され続けたデイジーは。早産することになり生まれてきた女の赤ちゃんは、一瞬しか生きていられなかった。
生活を立て直すため、ロンドンに出て求職活動をしようとした矢先、デイジーは不注意から車に跳ねられる事故にあった。病院に運び込まれ、意識を取り戻し、状況を把握しようと必死になっている時、車を運転していた男性スレイド・イーストウッドが病室に入ってきた。

自分の下心を見透かされて、6歳の息子の養育係の依頼を断られかけてると思ったスレイド。しかし、デイジーはそんな不道徳なことを思いつきもしなかったと、当惑と憤りでなんて、応えていいのやら。
「デイジーが自分のことを魅力ある異性として見ていない 」と、初めにガツンと思い知らされてるスレイド。うふふふ、前途多難♪
スレイドの亡くなった妻の母が、デイジーを毛嫌いして、かなり悪辣なことをしでかしてます。孫の誕生パーティに、ロナルドを連れてくるなんて……母親を事故で亡くした不憫な孫を、わたくしは親身に可愛がってるのよという姿勢が、とっても薄っぺらいものだったということがばれるわ、スレイドから訪問拒否を言われかけるわ、で、溜飲の下がるシーンがあります(←因果応報がきちんとしている作品は、好みです。「正義は勝つ!!」というのは、いいですよねぇ〜)


結婚はだめ R-1739 (株)ハーレクイン  発刊:2002.01.20
ヒロイン:キム・アレン(秘書・未亡人・一人娘あり) ヒーロー:ルーカス・ケイン(実業家・37歳)

あらすじ
10年来、身を粉にして勤めてくれている秘書が、近々、結婚退職するため、早急に、新しい秘書を雇わなければならなかった。
新聞に出した求人広告のおかげで、多数の応募者が履歴書を送付してきていた。経験、資格を考慮し、面接にまでこぎつけることのできた応募者は少なかった。
その面接まで残った応募者の内の一人、キム・アレンの存在が、ルーカスの琴線に触れていた。
彼女以上の技量を持つ応募者は他にもいた。その上、彼女には幼い子どもがいて、急な残業に対応できない可能性の方が高いのだ。
それでも、キムの仕事に対する真面目な姿勢とやる気、ルーカスに対して唯々諾々と従うタイプの人間ではないということに採用を決意するのだった。

25歳の時、病に倒れた父から会社を引き継ぎ、発展させてきたルーカス。かなり度量の広い男性です。早々に、キムに対して自分が真剣に惹かれていることに気づき、それとなく彼女にアプローチするのですが、ガードが堅く、苦戦。
対して、キムもルーカスに惹かれる気持ちがあるものの、亡くなった夫がアルコール中毒で娘メロディ共々、暴力に曝された経験から、
「メロディと私は今は安全よ。私が未来に望むのはそれだけなの。安全であること」
ルーカスは、キムが抱えている心の傷を癒そうと、頼りがいのある上司&友人として辛抱強く接し、何とか信頼を勝ちとろうとします。
でもまぁ、キムの魅力に参っているので、ちょっとした拍子につい強く押し迫ったりという誘惑場面が多めです。
メモ:メロディが、髄膜炎に罹る。


情熱のゲーム R-1786 (株)ハーレクイン  発刊:2002.07.20
ヒロイン:ジョージナ・ミレット(秘書・元広告会社勤務・23歳/愛称ジョージー) ヒーロー:マット・デ・カピストラーノ(実業家・36歳/愛称マシュー)

あらすじ
10歳の時に、突然、両親を亡くしたジョージーは、年の離れた兄夫妻に引き取られた。兄のロバートとその妻サンドラは、心細い思いをしているジョージーを支え、大学まで出してくれたのだった。
いつか、恩を返したいと思っていたジョージーだったが、まさか、サンドラが不治の病に倒れるとは思ってもいなかった。兄達から、サンドラが余命幾ばくもないと知らされたのは、亡くなる直前だった。サンドラの亡き後、勤めていた広告会社を退職し、ジョージーは遺された双子の面倒をみながら、兄の建設会社の秘書として奮闘していた。
しかし、会社の経営状況は思わしくなかった。
どうしても欲しい仕事も取れるかどうか……発注する側のデ・カビストラーノ氏は人柄も仕事振りも冷酷きわまりないと、評判の人物だった。

ジョージーを一目見た時から、「今すぐ、抱きたい」と思ったマット。欲情の感じるままというか、ラテンの血の成せる業なのか(父親がスペイン人、母親がイギリス人)、がんがんと迫ってきます。
対して、幼馴染みで初恋の人だった婚約者に手痛い裏切りを受けたジョージーは、男性に対して不信気味。そして、親密なお付き合いをするのなら、愛情に基づいたものであるべきと固く思っています。
ジョージーが、若い身空で兄達の世話をひたすら焼き続けている姿や何事に対しても真摯な態度をとっているのを見るにつけ、マットの心に居座っている女性に対する不信感(警戒心)が氷解。
マットは、大学生の頃、同棲していた女性が麻薬にのめり込み、薬代欲しさに彼の友人達を巻き込んで誘拐されるという体験があります。5日間、狭い地下室に閉じ込められるという悲惨な経験を癒す存在となるジョージー。
今の自分にとって何が一番大切で、必要なのかを互いに悩みながら、結論を出していく展開となってます。


愛の異邦人 R-1841 ハーレクイン社  発刊:2003.02.20
ヒロイン:ソフィー・ファーン ヒーロー:アンドレアス・カリディス

あらすじ
双子の妹ジルの夫テオドロスが事故で亡くなった。あんなに明るかった妹が物静かというより影が薄くなったのは、あのいけすかないテオドロスの所為に違いない。これ以上、妹を傷つけさせないためにテオドロスの実家に一緒に出向くことになったソフィーは、父親違いの弟アンドレアスの出迎えを受けた。傲慢で優しさのかけらも感じられないのに……どうして、アンドレアスに惹かれるんだろう……

アンドレアス、振り向いて貰おうと頑張ってます。小旅行に誘うのに
「部屋は別にする。みんなにもその点をはっきりさせる」と言いつつ納得してません(笑)
「いい年をした大人がなぜそんなことを人に言い訳しなければならないのか理解しかねるけどね」
でも 約束をしちゃったから、小旅行の間中、何度も冷たいシャワーを浴びて部屋の中をうろつきまわる羽目に陥ってます。
「5年、10年、15年待つことになっても諦めないよ」と言い募って10ヶ月後に陥落させているのは流石というのか、ギリシア男性にしては時間がかかり過ぎ、いえいえ詰めが優しいというのか(笑)


傷心のクリスマス R-1922 ハーレクイン社  発刊:2003.12.20
ヒロイン:マリーゴールド・フラワー(デザイナー・25歳) ヒーロー:フリン・モンロー(脳外科医・38歳)

あらすじ
婚約者ディーンに二股をかけられていた上に(それも三度目だったらしい……)、このクリスマスに彼はハネムーンに行く予定にしていたカリブ海の島で、その彼女と休暇を過すのだとか。
マリーゴールドは、婚約破棄の痛手を1人で癒す為に会社の同僚エマが相続した田舎のコテージに向かっていた。コテージまで、あと数キロの地点まで来たところで、車が動かなくなってしまうまでは、その逃避はとても良いアイデアだったのだ。そして、車から下りて歩き出した途端に脚を捻挫するまでは、すぐに行き着くものだと思い込もうとしていた。
運良く車がやって来た時は、これで助かると心底、安堵しかけたのに運転者フリンはマリーゴールドのことを「薄情なエマ」だと勘違いし、侮蔑と押し殺した怒りで非難し始めたのだった。

互いに思い込みでまくし立てて、相手を傷つけたり怒らせたりと忙しい二人。特にフリン、怒鳴ってます(苦笑) マリーゴールドが「どなったわ。今、本当にどなったわ。患者に対するマナーを知らないんじゃないの?」と思っているところで、笑っちゃった。
マリーゴールド・フラワーという「ふざけている」としか思えない名前の由来を説明するくだりもいいなー。彼女に早々に夢中になってしまったフリンと男性不信のまっただ中にいるマリーゴールドの引け気味なお付き合いがほのぼの。
最後の一波乱もあって、その波乱ってフリンの説明の無さが原因じゃー……マリーゴールドが非をきちんと謝って株を上げる形になってるから……でも、私としてはフリンから動いてほしかったなぁ思うのでありました。


火遊びはお好き? R-1929 ハーレクイン社  発刊:2004.01.20
ヒロイン:ホリー・スタントン(タイピスト・テキスタイルデザイナー・25歳) ヒーロー:ジャック・ケリュエル(実業家・32歳)

あらすじ
生まれてすぐに捨てられて里親達の間を転々とたらい回しにされていたホリーは、問題児だと思われていた。それでも不屈の頑張りで大学を出て一流企業のイギリス支社にようやく就職できたのだ。やりたい仕事はテキスタイルなのに、現実はタイピストであったけれども。それでもこの会社で出世していくつもりだった。しかし、堪忍袋の緒も切れかかっていた。支社長の溺愛する息子ジェフ・ロバーツのセクシャルハラスメントに晒されているのだ。到頭、きつく胸をもまれた瞬間、ホリーはジェフの頬をきつく叩き倒していた。
その瞬間を、社長であるジャック・ケリュエルが見ていたのだった。

勤め始めて8週間のホリーは、自分の言い分を信じてもらえないだろうと思い込んでますが、ジャックは、過去にジェフ・ロバーツの無能さ素行の悪さを確認せずに雇ったツケを今、きちんと清算しなければいけないと認識。そして、ホリーに興味を抱いてしまった自分に戸惑ってます。女性に追いかけられ追従されることに慣れているジャックが、この戸惑いをいらただしく足掻いてる〜♪
まぁ、早々にホリーのことを本気で愛していることに気付いて、真剣なお付き合いに臨むべきと結論づける彼の前に、彼女は押されっぱなしなんですけど。
でも、8歳の時に里親からレイプされかかったという過去を持つ彼女にとって、男性との付き合いは恐怖を思い出させるもので……このあたりの葛藤には読んでて涙ぐむものがあります。過去を話すことすらつらいホリーにとって、試練の時なんですが、彼女に触れたくて抱きたくてすぐにでも結婚したいジャックにとっても、ひたすら抑制の日々で、色々と大変だったようです(苦笑)


あなたに会えた奇跡 R-1984 ハーレクイン社  発刊:2004.08.20
ヒロイン:ロザリー・ミルバン(公認積算士・31歳/愛称ロージィ又はリー) ヒーロー:キングズリー・ウォード(米国系高級ホテルチェーン経営・35歳)

あらすじ
嫉妬にかられた父の暴力によって母はこの世を去り、父もまた裁判の日に自ら命を絶ったのは、ロザリーが5歳の時だった。自分さえいなければ、母の死はなかったかもしれないという罪の意識は、どれだけ祖父母や叔母達がロザリーを慈しんで育てても拭うことが出来なかった。
そして、自分に自信のないロザリーをとことん卑しめたのが、学生時代に出会ったマイルズだった。魅力的で誰からも好かれていた彼は、ロザリーと結婚後、豹変したのだ。
度重なる浮気と暴力を振るわれ続けた結婚生活は、3年で終止符がうたれた。
もう2度と、男性に支配はされない。
その決意のもと、積算士としてのキャリアを伸ばしていたロザリーに大きな仕事が舞い込んできた。
大企業家であるキングズリー・ウォードが、依頼してきた高級ホテルとそれに付随するゴルフコースの建設に対する見積もり依頼は、ロザリーにとって魅力的な仕事だった。ただ、キングズリーという存在だけが、彼女の直感に関わりを持つなと警鐘を鳴らしているのだ。

誰よりも愛していた父親と夫に手ひどい裏切りをされたロザリーは、男性を信じることができないでいます。
対するキングズリーは、若かりし頃、婚約していた女性に二股をかけられ、捨てられるという経験から、女性とのお付き合いはゲームをするようなものという考えの持ち主。
パーティで偶然出会った2人は、互いに興味を持ちますが、ロザリーは彼を避けようとし、キングズリーは彼女に近づこうと行動しはじめます。
失礼に当らないようロザリーが二歩も三歩も後退しているのに、突き進んでいくキングズリー。強引にプライベートまで踏み込みますが、彼女が背負っている悲惨な過去を知らされるにつれ、自分の熱情を抑える姿勢で頑張ってます。
ロザリーに自信と信頼を甦らせようと一生懸命、掻き口説くキングズリーの姿は誠実そのもの。


聖夜のシンデレラ R-2007 ハーレクイン社  発刊:2004.12.20
ヒロイン:ケイ・シャーウッド(メール便会社経営・26歳) ヒーロー:ミッチェル・チャールズ・グレー(国際通運会社経営・35歳)

あらすじ
何せ、夫の度重なる浮気が原因で離婚したケイは男性に対してかなり懐疑的だった。
その上、子持ち(それも双子の幼稚園児)で、寡婦である母親を養って、小規模ながらも軌道に乗っている会社の経営者でと、身体がいくつあっても足りない状況にいる。
そのことを承知の上で、大企業を経営するミッチェルが、誘惑をしかけてきた。
「仕事の話しがしたい」というミッチェルからの呼出しを真に受けて出向いてみれば、ただランチデートをしたいからと彼に告白されて、ケイは怒りを抑える事が出来なかった。
怒りのままにレストランの化粧室の小窓から脱け出すというとんでもない行動が、更にミッチェルの関心を引くことになろうとは、思いもしなかった。

今までのライフスタイル(特に女性関係)とは、全く相容れないタイプであるケイの事が気にかかって仕方がなくなったミッチェル。
ケイの過去も状況も、ミッチェルの前に立ちはだかる壁としては、かなり手ごわい。
なのに、百戦錬磨の強者であるミッチェル、ケイを強引に昼食、夕食、映画、観劇とお誘いをかけては成功しております。
シャーウッド一家がインフルエンザにかかった時に、さっそうと助けの手を差し伸べて看病に勤しみ、完璧なクリスマスを演出。押込み強盗に入られたとの連絡にも機敏に行動。
ロマンスから実生活まで、完璧な対応を見せてくれるミッチェル。
不仲な両親に育てられた彼は、永続的な女性関係を築くつもりなど全くなかったのですが、ケイがどれほど、母と双子の子供達を大切にしているかを身近に感じるにつれ益々深みにはまっています。
対するケイも、
「実は彼の存在自体が誘惑なのだ」と気付いてドキマギの連続。
登場人物が傷ついた過去から、開放されていく過程が上手く描かれている作品。


愛しすぎた報い R-2049 (株)ハーレクイン  発刊:2005.07.20
ヒロイン:マーシャ・ゴスリング(TV局のアシスタントプロデューサー・27歳) ヒーロー:テイラー・ケイン(音響設備会社経営・35歳)

あらすじ
最愛の妻マーシャが、こちらには全く身に覚えの無い秘書との浮気を疑って、家を飛び出していった。
あんなに愛し合っていたのだから、彼女が冷静にさえなれば、すぐにでも戻ってくると高を括っていたテイラーは、結局のところ、1年半もの別居を耐えることになったのだ。
このままだと、マーシャが申請している離婚が通ってしまう。
テイラーは、マーシャが側にいないつらさに気が狂いそうだった1年半が、生涯続くことになるなど絶対に認めるわけにはいかなかった。
何としてでも、マーシャをこの手に取り戻してみせる。
そして、彼女の心に、
「夫が浮気性だ」と、悪意ある嘘を吹き込んだ人間を、決して許しはしない……

何としてでも、マーシャを自分の手に取り戻そうと動き出したテイラー。
かなり強引です。
マーシャが勤めているTV会社の音響設備入札をダシにして乗り込み、待ち伏せし、食事に誘い、別居宅に押し掛けたりと、行動の人。
1年半、大人しくしていたせいか、タガが外れてます。
対して、2歳の時に未婚だった母に捨てられ孤児院で育ったマーシャは、テイラーの愛情を信じきれてません。
「あなたのような人が私みたいな人間を一生好いてくれるなんて、とにかく信じられなかったのよ」
悪意のある嘘を吹き込んだ人物(テイラーの実妹)に誠実でありすぎるマーシャ……なんというか、一番、誠実にしなければいけない相手は夫であるテイラーだろうに、という突っ込みをしながら、読んでた私。


かたくななレディ R-2127 (株)ハーレクイン  発刊:2006.08.20
ヒロイン:リバティー・フォックス(事務弁護士・30歳) ヒーロー:カーター・ブレイク(実業家・36歳)

あらすじ
約束の時間を既に遅れていたカーターは、最新型のメルセデスを快調に走らせて時間を取り戻そうとしていた。
しかし、駐車していた小型車が後方確認もせずに発車したために、接触事故を引き起こす羽目に陥った。
車を止め、無謀な発進をした車の運転手の無事を確かめに出向いたカーターが目にしたのは、高級なスーツを身にまとった堅苦しい髪形の女性だった。
リバティー・フォックスと名乗ったその女性は、大きく取り乱すこともなく事故処理について、事務的な会話を口にする。
驚いたことに、彼女は馬鹿正直に事故の責任が自分にあることを認めるのだ。
一見、平凡な女性だと思っていたカーターは、彼女の容貌、素っ気無い口調に隠された感情の揺れを見るにつけ、強烈な性的魅力を感じずにはいられない自分に苛立ちを感じずにはいられなかった。

リバティーは、余所の家庭を壊しては、夫をとり替えていく母親を見て育ちます。また浮気性の男性が如何に多いかという現実も小さい頃から見せつけられて、かなり男性不信。
そんな中、婚約者が他の女性とベッドを共にしている場面に出くわし婚約破棄に到ることとなります。
男性に対しての不信がピークに達していた頃に、カーターと出会ってしまったために、2人の仲が一進一退するというロマンスが展開されます。
気軽な関係をしようとしていたカーターが、リバティーへの気持ちがそんな軽いものではないと早くから自覚しています。
がんがん、リバティーに迫るカーターですが、彼女が築いた壁は堅牢。
けれども性的相性の良さを武器に、リバティーを陥落させようとはせずに、彼女が抱えている根本的な問題(傷付いた心)の解きほぐそうと長期戦で臨んだ姿勢が良いです〜。
メモ:リバティーに教えずに、結婚式の準備をする。


ロンドンの眠り姫 R-2152 (株)ハーレクイン  発刊:2006.12.20
ヒロイン:コリー・ジェイムズ(ソーシャルワーカー・25歳) ヒーロー:ニック・モーガン(エレクトロニクス関連の大企業の経営者・35歳)

あらすじ
躾けのなっていない大型犬に突き飛ばされた挙げ句、携帯電話をかみ砕かれたニックは、側に立った飼い主の若い女性に冷めた視線を投げつけた。
「犬のしつけ教室に通ったほうがいいんじゃないかな」
ニックの言葉に、彼女がその大型犬が伯母の犬であること、前の飼い主に虐待されていたことなどを告げた。その上で、壊した携帯も含めて弁償させてほしいとしつこいほどに、言ってくるのだ。
コリー・ジェイムズと名乗った彼女の四角四面な性格に興味が湧き、つい遊び心から、携帯電話を弁償してもらう代わりに主催するパーティの女主人役を頼むことにするのだった。

「私には人から愛されない何かがあるのだ」
両親から疎んじられながら育ち、3年前には結婚まで誓い合った男性に二股をかけられ体験を持つコリーは、「愛情」が一体、どんなものなのか理解できずにいてます。
自分に自信がない上に、男性に対して信頼を抱けないコリーを見初めたニック。
コリーが、「愛情」に気付くのを待つ気長戦法に出ています。その間、冷たいシャワーと仲良しこよし(笑)
ニックのことをつけ狙っている幼馴染みの女性マーガレットも後半に出現。マーガレットに対するニックの態度の素っ気無さはあっぱれなのに、それでもなお、2人の関係を疑ってしまうコリー。自信がないから余計に嫉妬は苦しい……でも、ちょいとばかり頑な過ぎるかなぁと思うのでありました。
その分、ニックが頑張ってます。辛口な説教をコリーにして、殻に閉じこもっている彼女を引っ張り出そうと頑張ってます。


過去が奪った愛 R-2198 (株)ハーレクイン  発刊:2007.06.20
ヒロイン:メロディー・テイラー(言語療法士・30歳?) ヒーロー:ジーク・ラッセル(弁護士・35歳)

あらすじ
婚約者のメロディーから、雇ったばかりの秘書アンジェラとの仲を邪推されたことに対して、ジークが抱いたのは怒りだった。メロディーに対しての深い愛情を否定されたにも等しい邪推に、失望と憤りが渦巻いて、うまく説明ができなかった。
……メロディーの頭が冷えれば、1カ月もしないうちに戻ってくるという甘い考えがあったのも事実だった。けれども、連絡がないまま、2カ月、3カ月が過ぎてようやく事態の深刻さが身にしみた。
彼女は、本気で去っていったのだ。彼女が新しく就こうとしていた仕事に対して否定的な態度をとったのも自分の驕りだったのだろう。
しかし 、連絡がないまま6カ月が経った頃、突然、彼女から電話をもらった。
それは、ジークが一流の弁護士であるからかかってきた、仕事の依頼の電話だった。

婚約者であるジークが美人秘書と浮気していた写真を母親から見せられて、婚約を破棄したのが6カ月前の出来事。
もう2度と、彼とは交差しない筈だった人生に、皮肉な巡り合わせがやってきます。
信用して雇っていた秘書の詐欺が原因で、母親アンナが経営している会社の存続が危うい状況に陥っているのを何とかして欲しいとジークに弁護を頼むことになるテイラー母娘。
ジークとメロディーの別離には、アンナの言動が大きく影響していたのでなんともいたたまれない雰囲気の中の再会となります。
再会したメロディーとジークの再縁ものとなります。
ジークと秘書の仲を邪推したメロディーに非があるのは確かなんだろうけど、彼女の不安を軽く見ていたジークの態度も問題あるよなぁ。
魅力的な女性が婚約者の周囲にいれば、不安になって当然だと思うんですが……どうして、盲目の信頼を期待するのかしらん。
メモ:川で溺れた幼児を救助・父親の失踪と母親の自殺未遂で自信のなさが根底にあるメロディー


ソレントの赤い薔薇 R-2215 (株)ハーレクイン  発刊:2007.08.20
ヒロイン:メイジー・バーンズ(動物看護士・28歳) ヒーロー:ブレイン・モロシーニ(イタリアのホテルチェーン経営・31、2歳)

あらすじ
父が心臓病で倒れた。予断の許さない状況にいる父が願ったのは、長男との和解だった。
ブレインの異母兄であるロベルトに会いたいというのだ。イギリスの女性を伴侶に選んだことを許さなかった父との縁を切ったロベルトを迎えに、ブレインは、イギリスに飛んだ。
ロベルトとその家族達との対面は、当然、ぎこちないものとなった。母親が米国人だというブレインの血筋にもわだかまりがあるのだろう。
ぎすぎすした空気が漂うのをなんとかしようと、ロベルトの娘ジャッキーが、友人達とお喋りをするから一緒にどうぞと、ブレインを外に連れ出すのだった。
待合せの喫茶店で、一番最後にやってきたメイジー・バーンズの急いできたせいかピンク色に染まった頬とくしゃくしゃの髪、そしてブレインに向けられた遠慮したような笑み……どれもが、一瞬にしてブレインの目に焼き付くのだった。

婚約者の浮気が元で、結婚式を間近に控えていたものの破談となったメイジー。その上、婚約者が上司だったこともあって仕事まで失うこととなり自己憐憫に浸りまくっている状況にあります。
どん底で足掻いていた彼女の前に現れたのが親友の叔父にあたるブレイン。
彼も又、過去に女性から受けた傷で一筋縄ではいかない男性となっていまして、前途多難な恋模様がイタリアのソレントで展開されていくこととなります。
メイジーが割と卑屈な思考を最初の頃、しまくってましてそこまで自分を卑下しなくてもいいじゃんと思ったり……ということで、男性視点で書かれたら、ブレインの悶々ぶりとか、メイジーに対する自分の気持ちの深さに動揺している姿とか、読むのが楽しかっただろうなーと思えた作品。
メモ:馬のお産、ブレインの妻フランチェスカは遺伝的な精神障害を患う(最後は白血病で亡くなっている)


恋と惑いの週末 R-2238 (株)ハーレクイン  発刊:2007.11.20
ヒロイン:ベス・マートン(建築士・30歳) ヒーロー:トラビス・ブラック(工業デザイン会社経営・34歳)

あらすじ
激務に近い仕事や都会の喧騒から離れて田舎の別荘にもうすぐ着くというところで、トラビスは、暗がりに浮かんだピンクの物体を目にして慌てて引き返した。
空き家となっている筈のコテージの前に、妙齢の女性がピンクのパジャマ姿で立ち尽くしている。吠え続けている番犬を静める気配も無くトラビスをうさん臭そうに眺めている彼女は、途方にも暮れているようだった。
知らない男とパジャマ姿で対峙していることで怯えているせいか、少しばかり混乱している彼女から、犬の世話をしようとして家から閉め出されたという状況をトラビスは言葉巧みに聞き出した。そして、今にも逃げ出しかかっている彼女とどうにかしてお近づきになるために、強引としか言いようがない態度で自宅に誘うのだった。

両親を無謀な飲酒運転をしていた若者が引き起こした事故で亡くし、その処理で神経を参らせていたところに、夫のキースには7年も前から同棲している女性がいてその人と間に2人も子どもがいたという事実がつきつけられます。
離婚し、つらさを忘れるために仕事に没頭したベスは到頭、身体を壊してしまい半年程の療養をするために田舎のコテージに滞在することにします。
そこで出合った隣人のトラビスが、殻に閉じ籠もろうとしているベスに対して外の世界に目をむけるべきだと口うるさく指図しています。
そりゃ、自分を見てもらうためには殻から出てきてもらわないと困るよね。
ベスがいじいじとしている間中、口を出したり見守ったりし続けるトラビス。ベスが自分にとって、世界でたった一人の大事な女性だとわかっているからこそ、愛の告白をするのもひたすら我慢し続けてます。ベスの思いは最後まで迷走しがちなので、トラビスの胃はキリキリ痛むこととなります。


クリスマスに再会 R-2334 (株)ハーレクイン  発刊:2008.11.20
ヒロイン:ブロッサム・ホワイト(ファッション写真家・34歳) ヒーロー:ザック・ハミルトン(エレクトロニクス会社経営・38歳)

あらすじ
開発で要の仕事をしているグレッグが要領のえない電話を一ついれて欠勤したまま、その後、連絡が入ってこない。
ザックは、グレッグの自宅へと車を走らせ、呼び鈴を強く鳴らした。
物理関係の事柄だとその才能を遺憾なく発揮するグレッグだったが、その他の事象はどうも不得手なのが気にかかる……。
扉をあわてて開けてきたのは、グレッグではなかった。
Tシャツに食べ物の汚れがべっとりつき、髪を振り乱したかわいい女性が怪訝そうな顔でザックを見上げていた。
その面立ちは、グレッグの妻、メリッサに酷似していたが、彼女ではなかった。
食い入るように強く見つめ続けているザックに、その女性が弱々しい声で問い掛けてきた。
「こんにちは、何かご用でしょうか?」

メリッサの双子の妹、ブロッサムに一目ぼれしてしまったザック。
ブロッサムが3年前の離婚の痛手からまだ立ち直っておらず(売れないモデルだったディーンと出会って結婚し、彼に仕事を紹介してトップモデルとしての道をつけてあげた途端、預金口座をすっからかんにされて、捨てられて、その上、出会った当初からディーンには本命の彼女がいたという……)、男性に対して極度の不信感を抱いていて、交際はしたくないとはっきりと拒絶しているにも関わらず、あの手この手で、彼女のテリトリーに侵入してます。
ザックの強引な押しはいいんですが、問題はメリッサ。
ザックが女たらしだというお節介な先入観をブロッサムに忠告しておきながら、さっさと意見を翻して、ザックをお勧めしだしたりと、かなりごにょごにょな言動を取ってます。
メリッサが引っかき回したおかげで、ブロッサムがしなくてもいい気苦労をしたような気がしてならない……。
メモ:過労で二日間爆睡。


架空の恋人 R-2366 (株)ハーレクイン  発刊:2009.03.05
ヒロイン:ジーナ・レイトン(重役秘書・32歳) ヒーロー:ハリー・ブリードン(米国で実業家として成功・父親が倒れたために英国に戻って家業のテコ入れに当っている・30過ぎ)

あらすじ
1年前に父が倒れたとの連絡で、ハリーは急遽、米国から帰国した。父がヨークシャーで経営している会社は、それなりに実績を上げていたが、どこかしか旧態依然としていた。色々な改善をしていくのに、父の秘書をしていたジーナはありがたい人物だった。
ジーナは、ハリーが米国へと飛び出していった時期に、入社してきたらしい。それ以来、着実にキャリアを積んでいくとともに、会社にはなくてはならない存在だった。
だから、その彼女が、退職を申し出た時は、誰もが引き止めにかかった。
けれども、彼女の決意は固く、今日が仕事納めとなってしまった……。

30も過ぎた男女が、何をもたもたとしてるんだーと、思わずにはいられない展開の作品。
退職したジーナを食事に誘って、そこで、彼女が付き合っていた男性との関係を清算したくてロンドンに行くと勘違いしたハリー。その誤解を訂正せずにハリーへの想いを胸に秘め続けて、一人になると泣きっぱなしのジーナ。側からジーナがいなくなるのが確定した時から、背けてきた自分の感情と正面から向き合うこととなり、彼女のことを愛していたんだと気づくハリー。
気づいたんなら、さっさと行動して!!

ジーナもあきらめるためにひたすら泣くという後ろ向きな行動を読まされても、ちっとも胸がきゅんきゅんしない(だって、2人は相思相愛だと読者にはわかっているから)
この不器用さがたまらないっっという読者向けの作品なのかな。
愛がなければどーのこーのって、乙女の夢見がちな言動をジーナがしつこく言い募ってます。30過ぎた女性が臆面も無く言い切っちゃうのに、なんだかなぁと引き気味で読んでました。
ヒロインが二十歳前後だったらわかるんだけどさ。
相手に愛はなくても好意は持ってもらっているんだからとか、一夜の夢とか、思い出だけでも欲しいと、行動していく女性はすれっからしのようで、古いタイプの彼女はそんなことはできないそうです。


聖夜に永遠の愛を誓って R-2554 (株)ハーレクイン  発刊:2010.11.20
ヒロイン:ミリアム・カーター(弁護士秘書) ヒーロー:ジェイ・カーター(会社経営)

あらすじ
最愛の妻ミリアムが、秘書ベリンダとの仲を疑って家を出ていったのは、10ヶ月前のクリスマスイヴの前夜だった。
説明すれば、誤解はすぐにとける。
しかし、ジェイの説明を頭から信じようとしないミリアムに、ジェイも又、癇癪を起こしてしまったのだ。
でも頭が冷えれば、間違っていたことに気付いて戻ってくると思っていた。
……10ヶ月経った今もなお、ミリアムは戻ってくる素振りすらみせないでいる。
このまま別居が続けば、自分以外の男がミリアムを掻っ攫っていくのではないかという嫉妬ばかりが大きくなっていく。
ジェイは、ミリアムを誰にもやるつもりはなかった。

別居夫婦のやり直しもの。
ベリンダの仕組んだ「不倫」にまんまとひっかかったミリアム。そのことで、別居生活が10ヶ月に及んだのですが、本当の問題はそこにあったのではないという、展開となってます。
愛しているけれど、ジェイのことを信頼できないミリアム。
いつか、ジェイは浮気をするにちがいないと確信しているミリアムの、心の問題にジェイが奮戦する物語となってます。