ハーレクイン・イマージュ
ドロドロ感の少ない作品が多い……かな? 清らかさん率かなり高し。

アン・チャールトン
誘惑のシドニー I-463 ハーレクイン社  発刊:1988.11.05
ヒロイン:テレサ・ラドクリフ(コンピューター関係の仕事を退職、現在、隣人の清掃会社の手伝い・22歳/愛称テス/偽名テレサ・リチャーズ) ヒーロー:アッシュ・ウォリック(投資会社経営・小説家・34歳)

あらすじ
アッシュは、自社ビルの清掃を頼んでいる会社のアルバイトとしてやってきたテレサ・リチャーズのことが心配で、目が離せなかった。
アッシュが近づくと自信なさ気に下を向いて受け答えをしてくる彼女。不器用なのを、やる気と努力でなんとかしようと頑張っている健気さ。そして何より夢みがちなその言動。
テレサは、まだまだ少女なのだと思っていた。しかし、くたびれている上にだぶついた服でいつもは隠れている身体が、今、アッシュの前に横たわっていた。
驚いたことに、浜辺でくつろいでいる赤いビキニ姿のテレサは、息を飲むほどに見事だった。
その姿に、抑えきれないほどの情欲をアッシュは感じたのだ。
しかし、アッシュが近づこうとすればするほど、テレサは身を引いてしまう……。
その上、アッシュのことを年代の違う人畜無害の人間だと、テレサは分類してしまったらしい。
しかし、アッシュは、どうしても彼女を振り向かせたくなっていた。

6年前、父親が破産するまで、姉シスリーの婚約者であったアッシュ。婚約が破談したのは、無一文となった姉に魅力を感じなくなったからだと、テレサは思い込んでいます(実際はシスリーの性モラルの低さが原因)。
アッシュに対して、復讐心を抱いているテレサが、アッシュを窮地に陥れようと想像たくましく考えるのですが、育ちが良いせいで、實行には移せずにいます。
そのうちに、偽名を使っていたことがばれ、アッシュからの攻勢にさらされることになります。
ニューイヤー・キスの場面の艶っぽさなんて、ほんと秀逸。
しかし、魅力的なテレサを獲得しようとしているのが、アッシュだけではなかったのがトラブルとなり、強硬な態度を取ることになるアッシュ。
でもまぁ、アッシュが善人なので、ほのぼの感が漂いつつも、彼の必死さが伝わってくる絶妙な作品となっております。


エッシー・サマーズ
美しい予感 I-377 ハーレクイン社  発刊:1987.08.05
ヒロイン:モニク・ベルフィールド(骨董店のバイヤー・27歳) ヒーロー:エドワード・ファーガソン(牧羊場主)

あらすじ
アマベルは姪のモニクが家族を世話するために、自分を犠牲にしていることに心を痛めていた。家族への義務感のために、愛する人と一緒になることを選ばなかった今までの自分の人生を、本当に後悔していたから。
その愛する人と一緒になれることになり、ちょっとした財産を贈与できる今、モニクに人生を謳歌してもらいたかった。
「仕事を辞め、家から離れて一年間、自分のしたいようにすること」という条件の下でのみ、贈与が成り立つようアマベルはお膳立てしたのだった。
叔母が、一年間の船旅に使って欲しいと送ってくれた資金を、モニクは、ある旧いお屋敷の修繕や一般公開に持っていくまでの費用に充てたいと思っていた。

屋敷を一般公開するための準備に勤しむモニクの前に、現れたのがエドワード。
以前、出会った時、とても親切で優しかったのに、その瞳に宿るのは冷たい視線と声には侮蔑が滲み出ています。何故、エドワードの態度が変ってしまったのか。
そして、屋敷に収集されていた古いスケッチがモニクの鑑定ではどうやら高価なものであるにもかかわらず、それをエドワードが隠しもっているのは何故か。

エドワードの態度と隠匿を悲しく思いながら、正せる機会があればと悩むモニク。
エドワードの態度が変ったのは、モニクの異父妹の陰湿な意地悪が原因で、そのことにきっちりと対応する彼がいいっすー♪
モニクの正直さ謙虚さが、清々しい作品。


不純な動機 I-456 ハーレクイン社  発刊:1988.09.05
ヒロイン:レティシア・グリーナウェイ(デパートの化粧品売り場販売主任→家庭教師・26歳/愛称レティ) ヒーロー:ナサニエル・ペンジェリー(高地の牧羊場経営者/愛称ナット)

あらすじ
兄がクリスマス休暇をとるということで、その穴埋めとしてナサニエルは父が経営するデパートの手伝いにやってきた。
一ヶ月間というその期間は、高地にある牧羊場を立て直している真っ最中のナサニエルにとって手痛い損失だったが、仕方がなかった。
できれば、デパートの仕事を手伝っている間に、雇用人の子ども達の勉強を高地で教えてくれる家庭教師を探し出したいと父トリスタンに話した所、意外な人物を推薦された。
化粧品部門の主任であるレティシア・グリーナウェイが、辺鄙な高地の牧羊場の家庭教師にうってつけだというのだ。
「僕が欲しいのは、緊急事態に羊の世話をさせてもびくともしない家庭教師だ。厚化粧で歩き回り、つけまづけを人に向かってしばたたいてみせる、ハーレムの妾みたいな女じゃなくてね!」
その中傷を扉1枚隔てた向こう側で、本人が聞いていたとは、思いもよらないナサニエルだった。

ナサニエルのいわれ無き中傷に憤慨するレティシア。立ち聞きしてしまった後ろめたさはあるものの、ナサニエルの言葉に深く傷つきます。
しかし、すく後にナサニエルと二人で今度は、彼の牧羊場にかける情熱を馬鹿にする女性達の話を立ち聞きすることとなり……因果応報みたいな展開で話が進んでいきます。
ナサニエルは売り言葉に買い言葉みたいにレティシアを家庭教師として雇うこととなり、牧場での生活が始まります。
トラブルが起こったりするその生活の中で、レティシアはちゃらちゃらした化粧好きの女だというナサニエルの先入観がどんどんと崩されていきます。
レティシアの方も、ナサニエルの中傷に最初は憤り、自分に惚れるよう仕向けて求婚されれば素気無く断ってやるんだからという楽しい想像をしていたんですが、彼の誠実さを知るにつれそんな卑しい動機を持っていた自分に恥じ入ることとなります。
緩やかに展開されていく、二人のロマンス。
牧羊場のある高地の風光明媚さを、本当に詳しく描写してます。


エレン・クレア
城のある丘 I-164 ハーレクイン社  発刊:1984.09.05
ヒロイン:ローズ・ロビンソン(大学入学試験受験したて・18歳) ヒーロー:フィリップ・ド・ケーヌ(ぶどう農園主・シャンデール城主・31歳)

あらすじ
親友ケリーの泣きそうな電話に、ローズは慌てて南フランスへと車を走らせた。途中、車の赤ランプに気付いたものの何が原因かわからず村の修理工場まで車を急がせた。工場に着いた途端、ボンネットから蒸気が噴出……フランス語の余りわからないローズには工員の説明はちんぷんかんぷんだった。助け船をだしてくれたのは、大型の青いスポーツカーの持ち主で、フィリップ・ド・ケーヌというとても背の高い男だった。その黒い瞳から値踏みするような視線を投げつけられて、ローズの反抗心がむくむくと沸き上がってきた……

ローズが自分の魅力に気付いてなくて、その天然言動にきりきり舞いしてるフィリップが、とってもよろしうございました♪
戯れに触れかけて、ギョッとされて「こっ、これは急かしてはいけない」と気付くのですが、いつでもどこでも触れたいんだよねぇ。ストールをかけたりする時に、しっかり肩にタッーチ(笑) 髪の毛までかき上げてくる親密さにローズは、もうどきどき。
でも、それが更にローズを怖けつけてるのがありありとわかってフィリップ、手も足も出ないようです。ローズのボーイフレンドが、出現するに当たって、嫉妬の余りに激情にかられたキスをしちゃうわ、求婚しちゃうわで、いつもの冷静な自分はどうしたんだ!?と煩悶しまくってます。
一度はイギリスに逃げ帰られて、慌てて追いかけて外堀を埋める(ローズの両親を味方にする)ところは、さすが領主様、抜かりなし。31歳と18歳の恋愛経験のギャップが、良かったです〜。


キャシー・ウィリアムズ
魔法の瞬間 I-1166 (株)ハーレクイン  発刊:1998.07.05
ヒロイン:リサ・フリーマン(園芸店員・24歳) ヒーロー:アンガス・ハミルトン(広告会社経営・30代)

あらすじ
アンガスは、出張に出かけるために、土砂降りの雨の中、空港へと車を急がせていた。しかし、視界が悪かったのと横断歩道でもないのに、道路に飛び出した女性を運転手はよけることができなかった。
アンガスは、道路にたたき付けられたその女性を病院に運ぶために救急車を手配するのだった。
骨折した脚の処置のあと、意識を取り戻した彼女と、ようやく自己紹介をしあったアンガスは、リサと名乗ったこの若い女性がとても楽しみにしていた海外旅行の機会を奪ってしまったことを知らされるのだった。
その上、気持ちの急くままに、リサの身の上を知りたがったアンガスに、彼女は警戒するかのように身を引こうとしていた。そのことが手に取るようにわかってしまい、なんだか、気持ちがふさぐアンガスだった。

真面目で浮ついたことが苦手なリサを、散々追い掛け回してものにしたアンガス。
「イケナイ」ことを率先してしたのは、アンガスなのにリサが妊娠したのを伝え聞いた途端、妊娠を武器に金をせがむのかっと、押し掛けて暴言を吐きまくってます。
おいおい、それはないでしょう。なんの確認もせず、避妊しなかったのは自分じゃないのさー。
浜辺で経験にものを言わせて奪ったあと、愛人にならないかと持ちかけたりしたために落ちていた信頼を、更に、貶めたアンガス。
信頼回復の道はかなり険しいこととなるのは当然の展開。
亡くなった両親がロマンチックなプロポーズをしたことで、
「いつかは自分もすてきなロマンスをみつけたいと思うようになっていた」というリサの告白場面が切ない。
メモ:ダメにしてしまった海外旅行の代わりに、ヨットでのクルージングに誘う。


ケリー・オライン
カーペンタリアの月 I-457 ハーレクイン社  発刊:1988.10.05
ヒロイン:イーデン・チャリナー(法律事務所の元受付・アマチュアカメラマン・22歳) ヒーロー:コート・ブキャナン(牧場主)

あらすじ
義兄アリックがまたもや、女を連れてきた。アリックは、つき合っている女性に飽きると、コートが経営している牧場に送り付け、仕事をあてがうように頼んでくる。それは、まるで用のないものを捨てるような行為だった。
そして、アリックを求めていた筈のその女性達は、ほんの数日の内に、今度はコートに夢中になる。仕事をする気のない女性がどれほどトラブルの元になるか……。
コートが求めていたカメラマンとしての技量が彼女にあろうが、なかろうが関わり合いを持ちたくなかった。
しかし、その女性イーデンは、ツーリスト・マネージャーとして雇うというアリックの甘言に騙されていただけなのだった。

牧場のことなど何一つ知らないイーデンが、怖いもの知らずであちこちを見学して、騒動を起こしております。気の強い性格だかなんだか知らないですが、トラブルの元になっていることを自認している割に、頭を下げることを潔しとせず、きゃんきゃんきゃんきゃんとうるさいのなんの。
コートの態度が悪いので、似た者同士というとっかかりで、話は展開していくこととなります。
その内、牧場の仕事に慣れ出したイーデンが、早々に観光客をうまくさばき出すという能力を見せて、株を上げていくのでありました。
ライバル女性のクリスタルが、いろいろと画策するのですが全てコートにばればれ。
でも、彼女に対して解雇の素振りすら見せず、その上注意すらしていない様子なので、スッキリとせず。あと、男性経験は全くないイーデンが大量のたばこをスパーーーーッとするシーンがあるのも、なんだかなぁ。


ジャッキー・ブラウン
あなたの腕に守られて I-1825 (株)ハーレクイン  発刊:2006.06.05
ヒロイン:ロザリンド・ベネット(ウェイトレス・26歳/愛称ローズ又はロズ) ヒーロー:メイソン・ストライカー(バー経営・元私立探偵・元警官)

あらすじ
メイソン・ストライカーは、付き合っていた女性のトラブルに巻き込まれ、肩に銃創を負った。まさか彼女が、麻薬常習者で薬欲しさに売人と懇ろ状態になっているとは思いもしなかったのだ。
退院後、女性絡みのトラブルには今後一切巻き込まれたくないと固く決意していたのに、零下の路上をトボトボと歩いているロザリンド・ベネットを拾ってしまい、経営するバーでのウェイトレスとして雇うことになった。
メイソンは、傷つけられた者だけが、漂わせる痛々しい雰囲気を身にまとった彼女をどうしても放り出す事ができなかったのだ。

宿泊するためのお金もないからメイソンが経営しているバーに忍び込んで夜を明かし、翌朝、お腹をすかせたローズは、無断でサンドイッチを作り出します。
それを食べようとしていたところに、メイソンが出勤してきて鉢合わせ。
「これを取ったの」と、シャツの中に慌てて突っ込んだハムサンドを取り出したローズに、メイソンが
「こいつをさっさと食べるんだ、ローズ」と怒って言う優しさがいいなぁ。
本当に美味しそうにいただく人とか、食べ物をけちらない人が大好きです。
捨て子だったローズが歩まなくてはいけなかった道に憤り、幼い頃に差し伸べられなかった手を差し出すメイソン。学習障害で読み書きに難があるローズのためにテキストを用意して教えていくその度量の広さが格好いい。ローズも隠れた才能がありまして、ビリヤードの腕はなかなかのもの。
身構えるローズに、欲情してしまう自分をもてあましているメイソンの心情が可愛かったりします。むふふふーな下着に関する彼のはしゃぎようも。


スザンナ・ファース
初舞台 I-98 ハーレクイン社  発刊:1983.10.05
ヒロイン:バネッサ・ハーバード(駆け出しの女優・臨時秘書・22歳) ヒーロー:マックス・アンダーソン(演劇評論家の権威・34歳?)

あらすじ
下らないパーティの会場に出向いたマックスの目に止まったのは、突き抜けるような強い視線を彼に向けてきた若い女性だった。その女は、こちらがその誘惑に乗るのが当然のような目つきでマックスを凝視している。
会場についてからヒルのように吸い付いて離れない女優を放り出して、マックスは彼女の元に歩み寄った。
彼女がシャンパンのお代わりをしようとしているのを制し、
「ぼくに飲み物を注文させてくれたまへ」
ぎょっとした顔で振り向いた彼女との会話は、マックスが思い描いたものではなかった。すぐにでも自分を売り込んでくるかと思ったのに、身元をはぐらかし、あろうことかマックスの仕事に批判的な態度が見え隠れしているのだ。何としてでも、彼女が何ものか口を割らせてみせる。

マックスが、1カ月前、ぼろくそにこき下ろした舞台で主演をしていたバネッサ。当然、彼女の演技も辛辣にこき下ろしてます。そのおがけで、舞台は1週間も続かない内に閉幕という憂き目に。自分の演技がひどかったのはわかっているけれど、余りの酷評を書いたマックスを恨むバネッサ。
対して、若かりし頃、恋人の女優に手ひどく裏切られた体験があるマックスは、女性に対して相当、斜に構えて接してます。
売り出し中とはいえ、身体を餌にのし上がっていく気など毛頭ないバネッサに対しても、アイタタタな言動を取りまくり。
バネッサのことを身持ちの悪い、倫理観など一欠片も持ち合わせていない女だと思い込んでいるくせに、強く惹かれてしまったマックス 。
マックスの親友であるダニエル(カナダ人の大富豪)がバネッサと仲良くしているのも気に入らない。バネッサがダニエルの懐をあてにしていると思い込んでるし、自分は退けたくせにダニエルとはよろしくやっている状況が苛立たしくて仕方がないようです。
脚本家としての仕事を受けたマックスが、作品の清書をしてもらうために派遣会社からやってきたタイピストがバネッサを渋々雇うこととなり、2人は四六時中、顔をあわせる状況に陥ります。
で、仲良くなるわけもなく、マックスは小姑並みにバネッサをいたぶっていくこととなります。
彼の矛盾だらけの行動に振り回されていくことになるバネッサは、抵抗したり、退却したりと必死。
メモ:ダニエル出資の舞台に主演することになるバネッサ。その見事な演技にマックスは……。


銀のあざみ I-129 ハーレクイン社  発刊:1984.03.05
ヒロイン:ヴェリティ・ウィリアムズ(牧場の家事手伝い・18歳) ヒーロー:ラモン・ヴァンス(牧場の改善を図るため派遣された会計監査係・30歳過ぎ)

あらすじ
経営不振に陥っている牧場の現状を正確に把握するためにやって来たラモン・ヴァンスを出迎えたのは、小汚い格好をした少女とも呼べるような痩せっぽせの娘だった。ラモンは、彼女がてっきりメイドか何かだと思い込み、取った態度は、後々まで2人の間に、しこりを残した。
まさか、牧場を監督しているマーク・ウィリアムズの愛娘ヴェリティだとは、思いもしなかったのだ。
経営が思わしくないため、人手が足りないのは牧場だけに限らない。だだ広い屋敷を維持するために、ヴェリティが朝早くから駆けずり回っている。18歳というまだ遊びたい盛りである彼女が文句を言うことも考えつかないのか、黙々と仕事をこなしていた。
いけ好かないと思っていても、父親の仕事上楯突くわけにはいかないために、ラモンにも礼儀正しく接しようと努力をしている。そんな彼女を、ラモンはことあるごとに必要以上に近づき揺さぶりをかけるのだった。

毛嫌いされているのは、重々承知の上で、汚い手を使ってでもそれをひっくり返すべく、大人の手練手管を駆使するラモン。修道女学校を出たばかりのヴェリティが敵うわけがなく、ラモンの仕掛けてくるアプローチにからめ捕られていくことになります。
ラモンの思惑どおりに嫉妬心を煽られて苦しい思いを胸の内に抱え込んでしまうヴェリティ。
ラモンのことを年の離れた男性、どちらかというと父親の知り合いという位置づけで見ているヴェリティの見かたをなんとか、異性に対する視線に替えるために、荒療治をせざるをえない彼の切羽詰まった立場も嗅ぎ取れて、楽しい。
毎日、コマネズミのように働いているヴェリティに息抜きをさせたいと都会に連れだしたラモン。待合せ場所にやって来た時、買い物袋の一つも持っていない彼女に問い質して返ってきたのが、
「文なしなの。ウィンドーショッピングも楽しかったわ」
お金を渡したのにと言うラモンに
「どうしてあなたが? 私の保護者でもないのに」
うはー、ラモンてば保護者扱いされてる(笑)
ちょっとばかり、ヴェリティがキャンキャンしすぎですなー……。


ステイシー・アブサロム
作品数(2冊のみ)が少なくて、とっても残念。もっと、刊行して欲しい作家さん。
基本的に、終始一貫ラブラブものが好きなんですが、この作家さんの、策略にはまって、ヒロインがとってもつらい目にあい涙する作品も何故だか読んでしまいます。ヒーローの猛反省があるからかな〜、それでも反省が足りないと思ったり(苦笑)
暁のソナタ I-325 ハーレクイン社  発刊:1986.12.05
ヒロイン:アビゲール・パストン(ピアニスト → 作曲家) ヒーロー:キア・ミント(実業家)

あらすじ
将来有望な若手ピアニストだったアビゲールは、ひき逃げ事故にあい左手の機能を失った。事故の直前に、婚約者キアからは、「君の異常深い嫉妬」には耐えられないと婚約を破棄されたばかりだった。キャリアも愛情も失ったアビゲールは、「死にたい」毎日を過ごしていた。事故から一年が過ぎ、ようやく作曲家として社会に向き合おうとした矢先、キアが目の前に現れた。アビゲールは、キアの姿に、恐怖で身がすくむのだった……。

出会った最初から、別離の火種はあったんだよね。今まで付き合ってきた女性、よっぽど品性低いのばかりだったんだろうキアの態度は、ホント、マズイの。札束さえ、ちらつかせたら女は何でも言うことを聞くと思ってるのが、ありあり。イヤだわ〜。
「なんてうぶでおろかだったのかしら」というアビゲールの自嘲が哀しいよぅ。それに、最後の最後までキア、アビゲールが自分を信頼しなかったことを詰ってます。この期に及んで、まだ、悪いのは全て秘書のジナの所為にしちゃう辺り、アビゲールが言い返したのは、エライッ。結局、ジナが助長したのはキアの影響があったわけだから。何も悪くないのにアビゲールばかりが、つらい目にあって、だからアビゲールがキアを非難してもそれは、甘んじてでも受けるべきなの。それが、「無実なぼくを責める」と、アビゲールに意見するのよ……唖然としちゃった。と、キアの悪口ばかり書いてるのですが、お気に入りの作品 ← フォローになってない……(苦笑)


イシュベルの誕生会 I-379 ハーレクイン社  発刊:1987.09.05
ヒロイン:ベサニー・スティール(看護婦) ヒーロー:フレイザー・ローリー(実業家)

あらすじ
10年前に飲酒運転で少女を死に至らしめたベサニーは、罪を少しでも贖えたらと、看護学校卒業後は、危険な地域での医療に従事し続けるつもりだった。しかし、赴任地ベイルートで市街戦に巻き込まれ瀕死の重傷を負い、送還されたイギリスで、療養を兼ねて一人の女性ローナの世話をする仕事につくことになった。そのローナが、フレイザー、イシュベル兄妹の伯母にあたる人だとは、思いもよらなかった……

フレイザーの誤解と矛盾に満ちた行動におかげで、ベサニーが本当に、可哀想で可哀想で泣けてきます。死にかけたベサニーの身体に過酷な労働を強いるフレイザー、「真相がわかった時、きちんと謝ってねッ」と思って読んだのに……謝りが足りないよーーッ!! 婚約者シリオルにもその事を言わないし、ホント潔くない。ベサニーが告げ口すらしない高潔な人という証明になったんで、フレイザーに罪悪感を抱かせ、真相に迫る第一歩になった出来事なんだけど、なんだけど、納得が行かない。フレイザー、イシュベル兄妹と義兄マークによって、踏みつけられた10年という年月が、長いです。読んでて、涙ぐむのはもちろんのこと、あまりの仕打ちに結構、ブルーになりますがついつい読み返す作品。


パトリシア・レイク
銀の小箱 I-228 ハーレクイン社  発刊:1985.07.05
ヒロイン:ローラ・ドレーク(イラストレーター・23歳) ヒーロー:トム・ファーレル(劇作家・38歳)

あらすじ
グレースの童話にローラが挿し絵を描いている本の売れ行きは、好調だった。それなりに良い所に住めて、余裕のある生活もできるようになったけれど、骨董屋さんに飾られている銀の小箱を買う余裕はなかった。でも、眺めるだけで幸せ……ウィンドウを覗いているローラの背後から
「きれいだね」
飛び上がって振り向いた先には、先程までグレースといたレストランで彼女の知り合いということで紹介された劇作家のトム・ファーレルがいた。彼が投げ掛けてくる視線の中には荒々しい、何か得体のしれないものが潜んでいる……その視線だけでたじろいでしまうローラだった。

年の差カップル(たぶん38歳と23歳)で、トムにはルークという19歳の息子が。息子まで、恋のライバルな彼の奮闘記です。偶然、目が合ったローラに一目ぼれして、彼女と同席していたグレースが知り合いという運の良さ。運が良かったのは、そこまでで(笑)後はもう、壁・壁・壁の連続〜。ローラに会った翌日に、16年間、別居し続けた妻との離婚協議に入るくらい本気のトムですが、そんなことローラが知る由もなく、「奥さんのある身で誘惑するなんてッ」とえらく太い一線を引かれしまいます。自分の作品の挿し絵を頼んだり、欲しがっていた銀の小箱をプレゼントしたり、なんとか繋がりをもとうとするのですが、既婚者のつらい定めっすね〜。本気の女性には、手が出せません♪ ローラと一軒家をわけ合って(1階と2階で)暮らしているジーノとの仲の良さにヤキモキし、別荘をグレース経由で貸せば、息子のルークと仲の良い所をみせつけられ……「若い男を誘惑する癖があるようだ」と暴言を吐いております(笑)
惜しいのは、ローラがバカスカと煙草を吸うシーンがあるのが、ひっかかるかなー。


ピッパ・クラーク
人形使い I-301 ハーレクイン社  発刊:1986.08.05
ヒロイン:アンナ・ダン(元建設会社受付) ヒーロー:クリスチャン・カサス(ナイトクラブ経営者)

あらすじ
婚約者に二股をかけられ、揚げ句の果てに「君が冷たいから他の女性に手を出してしまったんだ」と責められる始末。勤めていた建設会社は、アンナのやる気を認めてくれず、ただ彼女の容姿が良いということで受付の仕事をあてがうに至って、イギリスを飛び出す決意を固めた。姉がスペインに嫁ぎ、夫婦でバーを開店したばかりなのだ。余りの忙しさを助けてあげることができると、姉の元に身を寄せることにしたのだった。開店準備を1人でしていると、磨き上げられたすきのない感じをもつ男性が声をかけてきた。クリスチャン・カサスと名乗ったその男性は、姉の夫トニの前雇主で、自分の店に戻ってくるよう圧力をかけてきているというのだ……「彼は人を所有したがるの」、姉の口調の苦々しさにクリスチャンに感じた冷たさを思い出したアンナだった。

大好きな画策しまくりヒーロー。行動の素早さは、思い立ったら吉日くん。自分の運転手にアンナのカバンを引ったくりさせて、それを助ける「出来事」を初めて出会った翌日に仕掛けるぐらいだから。しっかり彼女の動向を調べて(運転手につけさせて)、行く先々に現れますが、そこはちょっとお間抜けさん。絶対、その格好で偶然、出会ったはないだろうという高級スーツ姿で裏ぶれた「海辺をよく散歩するんだ」と話しを続けるんだもんなー。権力をもつ人間にありがちな命令するタイプですが、アンナに対しては「取り合えず」腰が低いです。なんか、尻尾を熱烈歓迎とばかりに降りまくっている大型犬のよう(そのまま押し倒したりもして♪)。彼女と会えばとっても嬉しそうにするし、一緒にいたいから一生懸命、食事に誘ったりパーティに招待したり。
アンナが見せてくれる特技(ダンスとかピアノ)の紹介に、自分の特技の無さを恥ずかしがってるところなんか少年みたいです。一度は完全に手に入れたと思ったアンナからの拒絶に、訳が分からず最終手段とばかりに誘拐してヨットに連れ込んだりする強引さも、微笑ましかったです♪ スレたヒーローなのに初々しく読めるのは、アンナのユーモアのおかげなのかな。


メアリー・ウィバリー
五年目のシンデレラ I-108 ハーレクイン社  発刊:1983.11.05
ヒロイン:ターニア・ディーン(小学校教諭・24歳) ヒーロー:ブライダン・カーン(自称何でも屋・35歳)

あらすじ
持ち主の大佐が亡くなってから7年近く放置され、荒れ果てるままになっていたお屋敷に誰かがいる?
敷地内に不審なポンコツ車を発見したターニアは、恐る恐る屋敷に向かった。てっきり不法侵入をしていたと思われた男は、ブライダン・カーンと名乗り、屋敷の相続主であるジョン・テンプルの依頼でここを修繕する為にやってきたと告げるのだった。
そして、あろうことかターニアが住むロッジに下宿させてくれないかと頼むのだ。断りかけたターニアに、
「ロッジに住む権利が、君に無いことを知っている」
半ば、脅しともとれる言葉を散らつかされたターニアは、しぶしぶ、水道と電気が屋敷に通じるまでならと下宿を了承するより他なかった。

ターニアを見てるだけで幸せで楽しくてならないブライダン。
5年以上前に出会った彼女のことが、ずーっと気になっていて、今回、意を決して会いに来てみれば、自分の好みのど真ん中。
お屋敷の修繕中に、自然とお近づきになって、関係を是非、育んでいきたいッ。勢い、脅かすような形で、彼女のロッジに下宿を頼んでしまい、心底、怯えさせてしまってます。
ブライダンの本来の姿(冷徹な面)が、ふと浮かび上がって、それに気付いて一歩引き下がられては、
「女性を脅かす趣味はないんだ」と、ソフトにソフトにを心がけてるようですが……トラブルを呼び寄せる男。
ターニアに言い寄ってきていた酔っ払い男を投げ飛ばし、修繕しようとしていた屋敷に放火しようとしていた悪漢を叩きのめし、悪徳建設業者をやり込めとハードな面ばかりをターニアに見せてしまう事態に陥ってます。
でも、まぁそれは年の功で、「ターニアに好かれ出した♪」と気付いている彼は、ちょっかいを出すのをとても楽しんでいるようです。
赤毛のターニアの癇癪が、いまひとつ私の好みに合致せず残念至極……


夜明けのプロムナード I-150 ハーレクイン社  発刊:1984.06.05
ヒロイン:アーウェンナ・ホームズ(喫茶店代理店主・元ナニー・23歳) ヒーロー:ガース・バナー(不動産業者・34歳)

あらすじ
12歳の時に両親を交通事故で亡くしてから、アーウェンナを親身に育ててくれた伯母の体調が思わしくない。胆嚢を患って、身体に激痛が走っているにも関わらず、気丈に振る舞う伯母を何とか助けたいと、アーウェンナは願っていた。
だから、「札付きの不良」とレッテルが貼られていたガース・バナーの申し出にも屈したのだ。
彼が現在、不動産業者として大成功をおさめたからといって、過去にこの地でしでかした悪行は、帳消しにはならないはず。その噂は、幼かった彼女の耳にさえ、入っていたのだ。
本来なら、彼が示した仕事など就く気など到底、起こらなかった。
けれど、アーウェンナが仕事に就けば、伯母の胆嚢の手術の手配をすぐにしてくれる上に、婚約者ジェームズの父親が経営している工場が倒産寸前で、そこに融資をしてくれるというのだ。
アーウェンナには、ガースの申し出を断ることはできなかった……。

アーウェンナに一目惚れしたガースが、彼女を自分のものにしようとがむしゃらに突き進んできます。
……その強引なアプローチは、
「 結婚を前提にしたお付き合いを」というものではなく、ただ彼女を抱きたいという、なんというか、本当に男として正直なガース(笑)
アーウェンナの婚約者を他愛もなく蹴散らすとともに、さっさとロンドンに所有しているマンションに連れ去っていく手際の良さはピカイチ。
ガースが若かりし頃、故郷でしたとされる悪行の真相や、不動産売買で成功の道を歩み出すきっかけは何であったかが、語られることで彼の複雑な性格が浮かび上がってます。
愛を信じない男と、愛を知らない女のロマンス。


メリンダ・クロス
愛のレイアウト I-542 ハーレクイン社  発刊:1989.12.05
ヒロイン:ホーリィ・シャーウッド(広告のレイアウト作成者・25歳) ヒーロー:ダニエル・チェスターフィールド(新聞のコラムニスト/愛称ダン)

あらすじ
恋人だったロバートが居眠り運転の末、事故死してから一年が経った。胸にぼっかり空いた大きな穴を、ホーリィは埋めきれずにいた。
外見上、立ち直ったかのように見えるホーリィだったが、瞳には哀しみが宿ったまま。
そんな彼女に、上司がキャリアアップになるからと、仕事先を紹介してきた。
新聞紙上に辛辣なコラムを書くことで有名な、ダニエル・チェスターフィールドがホーリィのレイアウトの腕前を必要としているらしいのだ。
仕事としては、大層興味のあるものだったが、ダニエルはロバートの兄だったのだ。
詳しい事情は、ホーリィには皆目見当がつかなかったが、ダニエルとロバート兄弟の仲は冷えきっていたらしい。

ダニエルとロバートの兄弟は、生き方の違いと過去に引き起こされた悲劇が原因で、仲が険悪です。
ホーリィは、見下げ果てた弟ロバートが付き合っていた女性だから、底が知れているという先入観がダニエルにはあります。
けれども、面接してみれば、仕事に熱心で、人間的にも極上の部類に入る女性だと気付きます。
ということで、ダニエルが即効、彼女に手を出しまくるのでした。
……でも、けんか腰で迫られてもなぁとか、善行をひた隠しにしておいて、ホーリィの非難を不当だと怒りまくってもなーとか、ヒロインがエスパーでないとムリ(笑)


大地のときめき I-656 ハーレクイン社  発刊:1991.07.05
ヒロイン:エミリー・スワンソン(花屋経営・27歳) ヒーロー:ニコラス・サイモン(医者・27歳/愛称ニック)

あらすじ
エミリーが小さい頃に、
「泣いても何も解決しない」と教えたのは間違いだった。
実際、ひどいことをしたものだ。開拓者魂と不屈の精神を娘に吹き込むとは。
カール・スワンソンは娘エミリーが働き者で生真面目な生活を27年間、1人で過していることを気にしていた。
浮いた噂の一つもない、そんなエミリーが、恋人同士の喧嘩をし、相手の目尻からこめかみにかけて赤紫のアザをお見舞いしたらしいのだ……。
先日、95歳で亡くなったアート・サイモンの孫息子ニックが、エミリーの経営する花屋に日参しては、痴話げんかを繰り返しているという聞き伝えは、干ばつで意気消沈しているこの田舎で最高の噂話であるようだった。

幼なじみもの。
中学・高校を一緒に過したものの接点はほとんどなかったエミリーとニック。エミリーはニックのことを軽薄な人間の見本だと思っていたのに対して、ニックの方は複雑な感情を持ってます。
うふふふ〜、そう、気になって仕方のない女の子だと思ってる♪
牧場主の父親に仕込まれて(やらざるを得なかったんだけど)、40kgはある干し草の束を男顔負けの距離を放り投げれるくらいタフで、手ごわくて頑固で、友達と遊んでいる暇も無いエミリー。なのに、野生のどこにでも生えている花の香りを幸せそうにかいでるエミリー。で、到頭高校の卒業式の日につい、断りもなく真剣にキスをして憤然と逃げ去っていくエミリーを見送ってしまったニック。
……これって、恋煩いだと、思いません?
10年後、故郷に戻ってきたニックの前に、変わらないエミリーがいて、その生真面目さが愛おしく。卒業式に交わしたキスは最高の大事な思い出で、もう一度、不意をついてしてみれば
「自分には彼女しかいない」と確信させるものだったようです。
エミリーの迷惑を顧みず、がんがん迫ってます。
「男性に対して従順な女性にだけはなりたくない」エミリーが、ちょっと頑なすぎるかな〜。  


モーラ・マクギブニー
葡萄園の家 I-287 ハーレクイン社  発刊:1986.05.05
ヒロイン:ミーガン・クレーン(画家・24歳) ヒーロー:リチャード・タルボット(葡萄園主・32歳)

あらすじ
「修道院で育てて何も知らないままにしておいたのはいけなかった」
ミーガンが修道院から出る時、修道女たちは心配そうに顔を曇らせた。4歳の時に修道院前に母親に捨てられ、外の世界を何も知らないまま修道院で育った。そのまま修道女になるとばかり思っていたミーガンは院長から外の世界を知らないまま、修道女にならせるわけにはいかないと諭されたのだ。
修道院から出た彼女は、今、オーストラリアのアデレードに滞在している。6カ月前までニューヨークにいたのに……。
発端は、ミーガンが描いた男の子の絵を、非売品であるにもかかわらず画廊の新人店員が売却してしまったことだった。購入した男性がこれからアデレードに戻るという話をしていたという店員の記憶をただ頼りにやってきた。

アデレードで絵を探すミーガンは、世間知らずのためにしなくてもよい苦労していくこととなります。娼婦と間違われ、男の子を描いた作品を必死に取り戻そうしていることから、子どもを捨てた女だと誤解を受けています。
住込みで僻地の葡萄園に患者の世話のためにやってきているのに、持ち主のリチャードから、ひどい扱いを受けてるし。患者のスーザンは狂気にかられて身の危険を感じるほどの暴力をふるう人物で、そのことに関して、リチャードが黙認しているってのが何とも厭な感じ。
リチャードは一人娘のシャーロットに対しても冷たくてそれも含めて何故なのかも次第に明らかになるんですけどね。極度の復讐心と女性不信に凝り固まったリチャードの心根はねじ曲がってます。
常軌を逸したことをしでかしていたと気付いてからは、ちょっとマシになるんですけど、やっぱりミーガンに対して上から目線です。
葡萄園に手伝いにくるフランツという青年(少年?)が素敵で、ミーガンはこっちと引っ付いた方が幸せになると思うのですが、シャーロットとカップルになるんだろうなぁ。


ローワン・カービー
ニアミス I-381 ハーレクイン社  発刊:1987.09.05
ヒロイン:ジュリア・ウェイクリング(陶芸家・25歳) ヒーロー:セバスチャン・トレント(獣医師・玄人裸足のジャズピアニスト・35、6歳/愛称バス)

あらすじ
出産間近の山羊の元気がないとの連絡に、セバスチャンはカーブが多くて見通しが悪い山道を車で走行していた。きっと、こんな山奥で山羊を飼っているのはひねくれ者のばあさん2人に違いない。
瑣末な仕事が立て続けに起こったために、セバスチャンの心は少しばかりささくれ立っていた。
これで幾度目かになる急カーブを曲がりきろうとした時、前からジグザグ運転をしている車が突っ込んできた。慌ててハンドルを切ったセバスチャンの車は、生け垣に鼻を突っ込んで停止した。
怒り心頭のまま、相手の車に詰め寄りかけたセバスチャンの瞳に映ったのは、黒いレオタード姿で見事な脚線美を惜しげも無く見せている若い女性だった。
彼女に見とれてしまった自分に更に苛立ちながらも、
「いったいなんだってこんなところで遊んでいるんだ」
彼女を糾弾しようとしたセバスチャンは、逆に制限速度を30kmもオーバーしていると非をつきつけられることになった。

「きみの存在はぼくにとっていい試練なのかもしれない」
年を重ねて欲望にだらしなくなっていると自嘲しているセバスチャンは、ジュリアが望む速度でお付き合いを深めていくこととなります。
ジュリアに一目ぼれだった彼は、出産を終えた母山羊のと生まれたばかりの子山羊の様子を確認するためと公言して、足繁く往診。
ジュリアは、親友のピップと一緒に陶芸家として細々ながらも順風に事業を経営。けれども、ピップが経理を管理して貰っている会計士のマルコムと結婚することになって動揺を隠せません。親友の幸せを喜ぶべきなのに、置いてけぼりの孤独感が悲しくて。動揺するジュリアにセバスチャンがよりそっていくこととなります。
アフリカで、親密な関係のあった女性との破局に傷心したセバスチャンですが、ジュリアと親しくなるにつれ女性に対するこだわりから解放されていきます。