ジェシカ・スティール

謎のミセス R-296 ハーレクイン社  発刊:1984.01.20
ヒロイン:ペリー・メサイア・グレインジャー(裁縫師・24歳) ヒーロー:ナッシュ・デバルー(大企業経営者・36歳)

あらすじ
「結婚などする気はない」
付き合っていたリディアに、言ったところ、彼女は腹いせにナッシュの父と結婚し、義母となった。リディアはこれ見よがしに父を操って浪費の限りを尽くし、挙げ句の果てに遺言まで書き換えさせたのだ。
父の死後3ヶ月以内に、結婚しなければ遺産相続権を失効させるというその遺言に、ナッシュは怒りを禁じえなかった。しかし背に腹は代えられず、結婚相談所に足を運んだところ、昼休みだったようで扉は閉じられていた。
ただ運の良いことに、その場に若い女性が居合わせていた。ペリーと名乗ったその女性に、ナッシュは事情を話し、結婚さえしてくれれば5000ポンド支払うことを告げるのだった。
逡巡しながらも結婚することを承諾したペリーに、自分が持ちかけたことであるにもかかわらず、ナッシュは軽蔑を感じずにはいられなかった。

義父ラルフがギャンブルでこしらえた借金の額が5000ポンド。この支払いに頭を悩ませていたペリーは、ナッシュの申し出に躊躇しながらも了承。その結婚は紙切れの上だけのもので、2人が再会するのは6年後のこととなります。
本当に、結婚したい男性が現れて、ナッシュに離婚を求めるペリー。
6年間、全く音沙汰のなかったペリーから連絡が入って驚いたナッシュ。
ペリーもナッシュも、
「相手のことを愛してる」と自覚するのが遅くて、やきもき。
自覚していないくせに、自分から離れていくことが許せないナッシュの御託(笑)が見事で、それに丸め込まれて、謝ったり怒ったりとペリーが振り回されてます。
ペリーは前に進めないから、離婚の申し出を受けてもらおうとナッシュに何度もお願いしてるのに、のらりくらりとかわしまくるナッシュが本当にイジワル。


熱いレモネードを R-470 ハーレクイン社  発刊:1986.06.20
ヒロイン:キャリー・シアマン(家事手伝い) ヒーロー:ハビエル・サラスワ・ゲレロ(牧場主)

あらすじ
冷たい父の監視の元、父が気持ち良く過せるようコマネズミのように働かされ続けたキャリーは、兄ロルフからの「結婚式に出て欲しい」との手紙にメキシコにやってきた。結婚式の前日になんとか兄のアパートに着いたものの、引き払った後で婚約者の元を訪ねれば、とんでもない事実を突きつけられた。兄が結婚式の前日に既婚女性と駆け落ちしたというのだ。婚約者の親戚の男性ハビエル・サラスワ・ゲレロが侮蔑を隠さずシアマン兄妹を糾弾し始めた……

インフルエンザが治りきらない内に、メキシコにやってきてイギリスに帰る飛行機代+ホテル立替代を稼ぐためにハビエルの下働きをする羽目になったキャリー。冷たい父親から自由になったと思った途端、豚小屋のような廃屋の清掃を言いつけられて、情けないやら悔しいやら。でもプライドがあるから、ふらふらする身体にむち打って清掃に励むんです。でも2階から清掃してそれで疲れ切ったキャリーがうたた寝していたところにハビエルがやってきて、1階をそれもちらっとしか確認しないまま「なまけ女」呼ばわりをするの。← きーッ、なんかもう、この時点で、ハビエルにはきちんと激甘くんになってもらわないとやってらんないわーッ。案の定、清掃2日目終了時点で、キャリーは喘息の発作。そこから、身体の調子が悪いこと、清掃もやり過ぎるほどしていたことに気付いた彼が、失地挽回の為に甘やかそうとするんですが……時、既に遅し。キャリーの中には、ハビエルの仕打ちから来る不信の根がしっかりと〜。自業自得なんですが、ハビエル、それはそれで置いといて(マテ)いろいろとちょっかい出してます。無理やりキスしてキャリーの経験の無さに喜んだり、着替えを手伝ったり、ホテルのスイートルームを同室にしたり(苦笑) キャリーを振り回してるかのように見えるハビエルですが、初心すぎるキャリーに天を仰いで我慢の日々だったようです♪
記念すべきジェシカ・スティール初読本。同じ喘息持ちなのになーと、妙な感想を持った覚えが……いや、決して廃屋の清掃をしたいわけではありません(笑)


気まぐれな姉 R-498 ハーレクイン社  発刊:1986.11.20
ヒロイン:レジャイナ・バリントン(秘書・22歳/愛称レギー) ヒーロー:セベロ・カルデノーサ(ウルグアイの大牧場主・36歳)

あらすじ
姉の身代りにウルグアイに出向くことになってしまったレギーは、迎えの人間がホテルに現れないことで、日に日に不安が高まっていた。
結婚も視野に入れたお付き合いをしていたクライブが実は妻子持ちで、離婚の話し合いをしている間、レギーと同棲をしたいと言ってきたことだけでも動転していのに、姉のベラまでもが、トラブルを抱えていたのだ。
ウルグアイでダンサーとして働いていた時に、ベラはセベロ・カルデノーサという大富豪の名目上の婚約者になることを了承していたらしいのだ。セベロの余命幾ばくもない祖父を喜ばせるため、婚約者になる代わりに1万ポンドを受け取ったベラだったが、無責任にもその大役を放り出して、イギリスに帰国し、その上、1万ポンドを既に使い込んでしまったと言うのだ。
離婚協議中とはいえ、妻子ある男性と同棲することは、レギーの倫理に反するものと理性では思えるのに、クライブに会えば、その倫理観など塵のようなものだった。ロンドンを離れる決意をしていたレギーに、ベラはある提案をしてきた。
「あなたはクライブの手の届かないところにいくの。南アメリカにあなたがいることなんか、考えもしないわよ」

セベロに翻弄されまくっているレギー。
セベロが、ベラの少々(?)身勝手な言動を利用して、レギーを手中におさめようと画策しまくり。搦め捕られたレギーは、あれよあれよと言う前に、結婚式まであげることになってます。
レギーの弱者に対して優しい気質までをも、利用しているところが流石!!
それほどまでに、心惹かれたレギーには、愛する男性がいるという状況下なので、形だけの結婚を望みます。了承した振りだけのセベロなので、ちょっとしたことで、自制心がプッツン。
まぁ、運が良いことに、激しい雷雨のおかげで(レギーの大の苦手は雷)、恐慌をきたしたレギーは、セベロの裸の胸の中に飛び込んでしまうのでした。
……もちろん、セベロは据膳をペロリ(笑)


愛人と呼ばれて R-1254 (株)ハーレクイン  発刊:1996.06.20
ヒロイン:ジョージーナ・アンダーウッド(秘書・義母、義弟妹に仕送りを欠かさない・25歳) ヒーロー:タリス・ヨーク(大企業経営・37、8歳?)

あらすじ
吸収合併する会社の従業員の一人の処遇をめぐって、合併に関する合意がもめた。
人員の削減をしないことを第一条件とする相手側と、ジョージーナ・アンダーウッドを解雇しろと、私的な理由から強固に要求している部長エドガー・ランキン。
合併後、件の女性を本社に呼び付けたタリスは、彼女の容貌を間近に見て、エドガーが躍起になって喚いていたことが真実であると確信するのだった。
エドガーの愛娘であり、タリスにとっては従妹にあたるララの夫デズモンド・ワーナーと、ジョージーナが不倫関係であるということを。
ジョージーナと夫との関係に耐えかねて、ララは傷心の余り実家に帰っていた……。

ララが我が儘なお嬢さんで、夫であるデズモンドがしがない工場経営者であるよりも、タリスが経営している大企業の重役に就任することを強く望んでいます。けれども、デズモンドは工場を経営することに将来性を感じ、奔走。自分の思う通りに動かないデズモンドへの当てつけとして、ララは実家に戻ります。
タリスは、従妹ララの都合のよい愚痴から、夫デズモンドの不倫相手がジョージーナであると思い込んでます。
そのため、ジョージーナに対して態度がかなり悪い。
最終的に、愛人疑惑の誤解はとけるのは当然のことで、ジョージーナに許しを求めることとなります。
「君にした仕打ちを思えば、僕は君に愛される資格なんてない。だが、これだけは言わせてくれ。悪夢のような嫉妬から解放された今、僕はまともに考え、理性的にふるまえる、恥ずかしくない人間に戻った」


雨のなかの出会い R-1839 (株)ハーレクイン  発刊:2003.01.20
ヒロイン:マロン・ブレイスウェイト(家政婦・22歳?) ヒーロー:ハリス・クウィリアン(金融会社経営・30歳半ば)

あらすじ
少女時代に義父とその息子から性的嫌がらせに脅かされていたマロンの中で男性不信が、芽生えるのは当然の事だった。
それを更に根深いものにしたのは、同僚で真面目につき合っていた男性の裏切りと、新しく雇い主となった男性に襲われかけたという今の状況だった。
危うく難を逃れることができたマロンは、大雨の中、怒りに任せて歩いていた。
そんな彼女に救いの手を差し伸べてきたのが、ハリスという男性で、あろうことか、先ほど襲ってきた男性の義兄にあたる人物だった。

妹の夫が仕出かした不始末に責任を感じたハリスは、マロンに住む場所と仕事を提供。
ハリスが購入した屋敷の改築修繕の管理人としてマロンは雇われることとなります。
男性に脅えるマロンに対して、誠実に接していくハリス。
まずは信頼してもらおうと物腰柔らかな姿勢を構えてるんですが、ついキスをしてしまったり、抱きしめてしまったりと、煩悩に負けてしまってあたふたとしているのが微笑ましい限り。
ひっつきアクシデントが淡々+次々と起こりすぎて、臨調感が散漫化してるのが勿体ないかなー……。


婚約は偶然に I-1659 (株)ハーレクイン  発刊:2004.02.05
ヒロイン:クレア・ファーリー(自動車事故が原因で記憶喪失/ラーチ・バートン・事務員・23歳 ヒーロー:タイラス・カーショー(経済アナリスト・36歳/愛称タイ)

あらすじ
ロンドンで自動車事故に遭った若い女性は病院に運び込まれ、懸命な手当てのおかげで順調に回復しつつあった。
問題は、頭の中から自分に関する記憶が全く無くなってしまっていることだった。
「クレア・ファーリー」だと、教えてもらった自分の名前に対しても、なんだか他人の名前で呼ばれているようで居心地が悪い。
そして、何よりも問題なのは左手の薬指にはめられている婚約指輪の存在だった。
婚約した相手は、胸が痛くなるほどすてきな笑みを浮かべて、
「自己紹介しよう。タイラス・カーショーだ。よろしく」

記憶喪失ということで、混乱しているのはわかるんだけど、何に対しても突っかかりすぎるクレア。親身に(いそいそと)世話を焼くタイに、
「これ以上の迷惑をかけたくない」を金科玉条に振りかざして、自力で生活しようとしています。
大体 1/3頁ぐらいで、クレアの記憶が戻ります。
けれども、頭の中には忘れ去っておきたかった記憶もある。
その消し去って欲しいものは、クレアにとって大事な姉の夫ネヴィルがしでかしたこと……。
義兄に襲われて、ベッドに押し倒されたその記憶を隠そうとするクレアを、親身に支えるタイ。
ひたすら優しいヒーローです。


偽りの代償 I-1763 (株)ハーレクイン  発刊:2005.07.05
ヒロイン:ヴァーニー・サットン(元家族経営のホテル手伝い) ヒーロー:レオン・ボーモント(会社経営)

あらすじ
意中どころか、髪の毛一筋も心を動かせられない女に追い掛け回されるのは、心底うんざりしていた。
ゴシップ記事では、レオンが既婚女性に手を出し、結婚生活を破綻させたと賑わしている。
しかし真相は、大きく勘違いをした女性が、レオンを追い掛け回した揚げ句の離婚騒動だったのだ。
嫉妬にかられた夫からの暴力を、レオンは甘んじて受ける気など毛頭なかった。
殴りかかってきた男を反対に殴り倒したところを写真に撮られ、ゴシップ誌の一面を飾った時、到頭、忍耐力が切れた。
静かに仕事をする時間と空間が欲しい。
レオンの心境を深く理解した新任アシスタントが、貸してくれた屋敷へと身を隠すことにしたのだった。
翌朝、部屋で眠り込んでいたところ、突然、明かりがつけられ、瞬きをしていたレオンの目の中に入ってきたのは、素っ裸の若い女性だった……。

誠実な恋人だとばかり思っていたマーティンが、実は妻子持ち。彼と2週間のスイス旅行を予定していたヴァーニーは、傷ついた心を立て直すため実家に戻ろうとします。
けれども、ようやく平穏な暮らしを楽しみ始めた両親の邪魔をすることはできないと思い至り、最近亡くなったばかりの祖父から譲られた屋敷へと向かいます。
そこで、1人静かに失恋の痛手から立ち直ろうとしていたのに、思いもしない居候を発見。そこに居たのは、義兄の雇い主であるレオン。
ヴァーニーはシャワーを浴びようとしていたため、彼の前で素っ裸で立ちつくすという消し去ってしまいたい出会いを果たします。
女性に対して懐疑的なレオンと、男性に対して不信感一杯のヴァーニー。そんな2人が、次第に歩み寄ってロマンスが進行していくこととなります。
メモ:タイヤのパンク 義兄の恋人の振りをする。
ヴァーニーがね……取り柄が、突っかかるだけというなんとも、なんだかなぁというヒロインでありました。
家政婦として働いているんですが、その手料理の描写がベーコンを焼いてばかり。あとサンドイッチしか出してないじゃんというレパートリーの少なさ……