セカンドチャンスアトラブ
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アン・リード
きらめく涙のあと 52 (株)日本メール・オーダー  発刊:1983.08.19
ヒロイン:ジェニファー・デニング(特殊学校の教師・美術と外国語担当) ヒーロー:スティーブン・アレン・ディレンツォ(建築家・32歳)

あらすじ
一代で財をなしたカート・サンダーの気まぐれなのか、フィレンツェに所有している広大な別荘地に、特殊な教育を施すことで有名な学園の校舎が建つことになった。その設計と工事について一任されたスティーブンは、いつものように現場を見回ったあと、16世紀に立てられた豪勢な別荘の建っている方へと向かった。
早朝だというのに、広々としたテラスには、思いも寄らぬ先客がいた。小さなビキニを身に着けただけで、寝椅子に横たわり片腕を頭の下に引き、今にも眠りにつこうとしている若い女性の姿が目に入ってきたのだ。
スティーブンは音もなく彼女に近寄り、思わず声をかけてしまっていた。
「失礼ですがお嬢さん」

ジェニファーは離婚したばかりの夫から、スティーブンは婚約同然の恋人から手ひどい裏切りを受けたという過去を持ちます。2人にとって過去はまだ生々しく引き摺っているため、異性に対して警戒心&猜疑心が高め。そんな2人のロマンスなので、互いの行動を悪く取りがち。
ジェニファーは、前夫から都合のいい家政婦兼金づるという扱いを受けたことから、男性に利用されるということに過敏です。スティーブンが近づいてくるのは、ベッドを楽しませる相手が欲しいからだけだと受け取ってます。
対して、スティーブンの方は、ジェニファーの弁明を聞こうともしません。
彼女がカートとしんみりと話し合っているだけで、金がありさえすれば初老の男にでも媚びを売ると詰る始末。ジェニファーの同僚の女教師とあちこちのパーティやディナーに出かけている行動を棚に上げて、糾弾してるので男の身勝手さ全開です。まぁ、その言動の裏には、ジェニファーにやきもちを妬かせたいという、小狡い策略があるわけですが……策に溺れてます(笑)





ウィンター・エイムス

唇にピンクのルージュ

27 (株)日本メール・オーダー  発刊:1983.03.18

ヒロイン:サラ・マンシーニ(カリフォルニア農務局勤務・農学者)

ヒーロー:エリック・ソアソン(パナマ奥地のコーヒー園経営者・35歳)

あらすじ
友人であるリカルド・バルデスが開く豪勢なパーティにエリックは招かれていた。
そして、エリックの側にはいつも、リカルドの愛娘リマがいた。
会場には、政府高官から、パナマのデビッド市と姉妹都市にあたるカリフォルニアのバインヤード・ヒルからの客人もいた。エリックの視線を釘づけにして離さない見事な金髪の持ち主である若い女性が、
視察に来ていた彼らの中に交じっている。
卓上に用意されている料理を真剣に吟味しているその女性の下へ、エリックは足を踏み出すのだった。

パーティ会場で一目ぼれした相手が、既婚者だと知ってがっくりしたエリック。それでも、彼女を自分の経営する農園に掻っ攫っていってしまうその思いの強さ。
そして、父親がコーヒーの接ぎ木の指導を受けたがっているのを大義名分にて、長期滞在を強引に決めていきます。
しかしながら、エリックは側にいるリマという若い女性が自分の恋路の邪魔になるということに気付かないお間抜けさん。リマに呼び付けられる度に、駆けつけてたら誤解されても仕方ないと思うのですが。リマは、自分の飼い犬をけしかけて、サラを落馬させようとするくらい後のことを何も考えていないお嬢さん。ことあるごとに、サラの職業等を見下した発言を繰り返してます。
サラの方は、エルサルバドルでの暴動の取材中に報命を落とした夫ビニーの双子の弟トニーとの結婚を、相手の家族から強く勧められている状況などを話していないし。
互いに、詰めが甘いんですが、エリックがぞっこん惚れている様子がだだ漏れでニマニマしながら読了。


そっと愛して

38 (株)日本メール・オーダー  発刊:1983.05.19

ヒロイン:ナン・ギリアム(不動産会社勤務

ヒーロー:ロバート・イーストン(ホテル、カジノ経営・ナンの4歳上)

あらすじ
ナンが勤める不動産会社に大口の依頼があった。
映画のロケに使用したいからと売れっ子の監督から、豪勢な別荘の貸出の斡旋を依頼されたのだ。
伝手を頼りに、貸出をしてくれそうな人たちにあたりをつけたが誰一人、色よい返事をしてくれない。
あとは、頼むとすれば……ロバート・イーストンだけだ。
彼にだけは、頭を下げたくなかった。
6年前、ナンが高校生だった時、大学生だったロバートにパーティに誘われ、 有頂天に会場の入り口に着いた途端、奈落の底に突き落とされたのだ。
地方検事の父の娘であるナンは、生真面目で内向的な少女だった。その彼女をパーティに連れ出すことができたら、という賭けをロバートのグルーブがしていたのだ。
目の前で、掛け金の10ドルがロバートのポケットに友人の手で突っ込まれた。その場はなんとか、取りつくろったナンだったが、ロバートと二人きりになった時、
「神さまはわたしの味方よ、ロバート・イーストン。この仕返しはいつかきっとしてみせるから」

4歳も下の内向的な少女に対して自分がした卑劣な行為について、謝ることもできない度量の持ち主であったロバートは、ナンに対して後ろめたい思いを抱き続け、再会後、乱暴なキスをするという行為に出てしまうんですよね……。
「仕返しをするつもりだろう。なにをたくらんでいるんだ?」 と、6年前、彼女が最後に言い放った言葉を気にしてます。
完全に好きな子イジメをしてます。ナンに心酔してしまっているからこそ、彼女の元夫クレイグの存在に嫉妬に苦しみ、暴言を吐いてしまいと冷徹な実業家の面影なしでありました。
ナンの病身だった母親が亡くなったことに間接的に関わっていたロバートは、手厳しい拒絶にあったり、クレイグの逆恨みにさらされたりとかなり大変な思いをしてナンを獲得していくこととなります。
うん、ロバートは苦労するべきだと思うね。



エイミー・デュバル(シルキーロマンスの作品はコチラ)

恋のパトロール

30 (株)日本メール・オーダー  発刊:1983.04.19

ヒロイン:マギー・サリバン(企業アナリスト)

ヒーロー:ジェイリッド・ウォルシュ(巡査部長)

あらすじ
保険会社から、市の保険料率を決定するために警察官の仕事ぶりを確認したいとの依頼があり、ジェイリッドは、パトカーに調査員を同乗させるようにという上司に命じられていた。
紹介された調査員の顔をみて、冷製沈着な態度がはがれ落ちかけた。
二日前の夜に、ナンバープレートが外れていた車を停止させたところ 、運転していたのはウサギの着ぐるみだったのだ。免許の確認をしようとしたところ、着ぐるみの中に携帯していたらしく取りだすのに、ファスナーが絡まるなどして大騒動だっだ。
そのうさぎちゃんが、仕立ての良い明るいグレイのスーツを見事に着こなして、ジェイリッドの前に立っていた。

危機的な状況にある市の財政を建て直すためには、経費の圧縮で臨むしかなく、聖域もなしということで、警察組織にもメスが入ることとなります。
どうすれば経費が削減できるのか、調査するために派遣されたのがマギーとなります。
覆面調査をするマギーを、パトカーで案内するのがジェイリッドという関係。
父親から多額の株を受継いでいるジェイリッドにはどうやら女性が群がっていたらしく、女性に対する態度が今一つ……。
対して、マギーの仕事に対する態度がどうにもこうにも。
警察官の危険が伴う仕事について、かなり認識が甘いです。パトロールをしている車に同乗しているというのに、勝手なことばかり。
あと、仕事先でも自宅でも部屋をいらいらと歩き回ってばかりいてたなー。
2人の仲について、マギーが
「破鍋に綴蓋っていうこともあるじゃないの」と言うのですが、ホントその通り。


愛のセレナード

35 (株)日本メール・オーダー  発刊:1983.05.19

ヒロイン:ジリアン・ロックウッド(警備システム設計者・元連邦捜査官)

ヒーロー:ビル・ヤングブラッド(原子力安全委員会の調整役、警備担当者・元連邦捜査官)

あらすじ
七年前、親友のジェイクが無謀な突入捜査をして、殉職した。
その当時、ジェイクには真剣に付き合っている女性がいた。
ジリアン・ロックウッド。
彼女は、新人の連邦捜査官だったが、優秀な人材だった。
ジェイクから、恋人だと紹介された時から、ビルは彼女のことが欲しくてたまらなかった。
間の悪い時に、ジェイクが仕事に忙殺され、ジリアンの面倒を見てやって欲しいとビルは頼まれてしまったのだ。
それは悪魔のささやきだった。
ビルの激情に引き込まれたジリアンが、身体を委ねるようになるまで時間はほとんどかからなかった。
しかし、2人のつき合いをジェイクに打ち明けることを承知してくれたジリアンに、彼女との未来は自分のものだと安堵できたのは束の間の間だけだった。
ジェイクが殉職して、その早すぎる死を悼む余りに、ビルはジリアンに対してひどい態度を取ってしまったのだ……。

本作は、ジリアン視点で物語が進んでます。なので、上記のあらすじは妄想入りまくり(笑)
急ピッチで、プルトニウム燃料倉庫となる保管庫の警備システムを作り上げて行くジリアン。一心不乱に仕事にのめり込んでます。
ジリアンは仕事上のトラブルに見舞われる度に、ビルに疑惑の目を向けてしまってます。そのことで、ビルは信頼されなかったと激怒するんですが、七年前、ジリアンが取った行動に対しての説明を最後まで信じずに糾弾した事は忘れてしまったのかしらね。
仕事も頑張りつつも、プライベートの楽しみも積極的に参加しているジリアン。 バイタリティがあります。


雨に燃えて

117 (株)日本メール・オーダー  発刊:1984.09.20

ヒロイン:カテリーナ・スティーブンス(広告代理店経営)

ヒーロー:ミッチェル・ロックリッジ(大手広告代理店経営・35歳/ミッチ)

あらすじ
開発中の高級リゾート地を広告宣伝する会社を選定するために、当地にまで招集された広告代理店の数は多かったが、ミッチはこの仕事を取る事に何の不安も感じていなかった。
自社のアイデアが他より優れているの自明の理だった。彼女に出会う前まで、その自信は揺るぎのないものだった。
大雨の中ずぶ濡れ女性、カテリーナを救出したミッチは、彼女も又、同業者であることを自己紹介から早々に知った。
カテリーナの、ものごとを見極め、その本質を表現する力は、好敵手が現れたとミッチに思わせるものだった。そして、何よりも彼女の仕事に対する姿勢は、過去の自分の姿に重なっていた……。

開発中の高級リゾート地の広告宣伝のために、招集されたカテリーナとミッチェル。
1年余り前に、最愛の夫ジョーを急な病で亡くしたカテリーナは、夫が成し遂げようとしていた夢を実現させるために死に物狂いで働いてます。
その姿は、10年前の自分を彷彿させると、余裕のある態度で接してくるミッチェル。
カテリーナの意気込み、ユーモア、何もかもがミッチェルのストライクゾーンに入ってきたようで、機会がある度に迫ってます。
仕事に全身全霊を傾けた結果、得られたもの。それは、何もかも犠牲にしてまで欲しかったものなのか。
功を成し遂げたミッチェルが、我が身の経験を謙虚に伝えてます。仕事にかまかけすぎて、妻に三行半を告げられた過去とか。


すべてが愛に変わる日

141 (株)日本メール・オーダー  発刊:1985.02.20

ヒロイン:カサンドラ・プレンティス(新任の獣医師・28歳/愛称キャシー)

ヒーロー:ポール・ケリー(アルバカーキ市立動物公園の主任獣医師兼副園長・35歳)

あらすじ
キャシーが現れてから、ポールはトラブルに巻き込まれっぱなしだった。
初めてあった時、彼女はポールのスポーツカーを傷物にしている真っ最中で、仕事仲間としての紹介を受けかけた時には、キリンの柵内の空堀に落とされ、患畜の大蛇に2人一緒に巻付かれて……。
「いつもはこんな不器用じゃないのに」
しょんぼりとうなだれる彼女に、トラブルに見舞われた為に湧き上がった苛立ちは長続きしなかった。

何よりも動物に対する深い愛情と、仕事に対する真摯な態度、そして、どんなトラブルに見舞われても、ユーモアを探し出して浮上しようとするバイタリティ。
ポールは、次は何をしでかすのだろうと、どこか楽しむ気持ちまで湧いてきて、彼女から目を離せないでいた。

最愛の妻だったルースを肝炎で亡くしているポール。
前任地の病院で付き合っていた男性が、気軽な恋人同士の関係以上のものを結びたがらないことに傷ついて別れてきたばかりのキャシー。
ポールはルースのことを既に乗り越えているつもりのようですが、周囲からすれば重く引きずっているように見えてます。ルースが亡くなってから、刹那的な女性関係しかもたなかったり、大切な存在になりそうな女性が現れると、冷酷に突き放したりという言動を取り続けたら、周囲もそう思うしかない。
その辺りのギャップから、キャシーはポールに振り回されてます。
ポールを前にすると、アクシデントが次から次へと起こってくるという不運にも見舞われるキャシー。
起こしてしまったトラブルに謙虚に謝りつつも、前向きな彼女の態度は好感触。
そんな彼女を早々に見初めたポールがあの手この手で、誘惑しております。


水色のイマジン

155 (株)日本メール・オーダー  発刊:1985.04.20

ヒロイン:ミーガン・ロード(ギフトショップ経営・26歳)

ヒーロー:セバスチャン・グラッドストーン(ショッピングセンター経営・コンピューター会社経営)

あらすじ
もう二度と、女性に対して信頼することはできないだろうと、セバスチャンは思っていた。
結婚したアンは幼馴染みで、気心も知れていて、セバスチャンの父親から解き放たれたいと言う気持ちを汲んでくれると思っていたのだ。
しかし、家業を継がずに起業しようとしたセバスチャンを父親が勘当同然に放りだした時、アンも又、離婚を突き付けてきたのだ。
その上、彼女は父親の商売敵と再婚までするという裏切りを見せつけた。
興した会社が成功した後、セバスチャンのもとに手の平を返したかのように群がってくる女達には幻滅しか感じなかった。
そんなセバスチャンの前に現れたのが、ミーガン・ロードだった。
セバスチャンが所有してるショッピングセンターの店子で、小さなギフトショップを切り盛りしている若い女性だった。
8年近くも結婚生活を送っていたとは到底、思えないくらい、彼女の言動は晩生で誠実さがにじみでていた。
手を伸ばせば、全身がおっかなびっくりしていると訴えている……。

14歳の時に両親を交通事故で亡くして、独身のおばに厳しくつつましく養育されることとなったミーガン。
高校を卒業した時には、おばが勧めるままに14歳上の男性ジムと結婚。彼には2人の連れ子がいて、夫よりも年の近い彼らとの関係にミーガンは四苦八苦のまま8年近くの結婚生活を送ることとなります。
おばもジムも、ああしろこうしろと命じてばかりいたのは、ミーガンに良かれと思ってしていたことですが、2人の言うがままに動かされる人生にほとほと嫌気が差して、離婚に踏みきります。
サンフランシスコに出て、死に物狂いに働いて資金を貯めて、ようやく小さなギフトショップを経営しだしたミーガン。
人生をようやく自分の手に取り戻した気がし始めた時に、賃貸料の値上げという現実が襲いかかってくるわ、氏育ちも別世界の上にハンサムな男性からの求愛にパニック寸前となってます。無駄な時間を使うことなく、なんでもかんでもごり押しで勝ち取った人生を歩んできたセバスチャンが、人生を取り戻した幸福を噛みしめているミーガンのスピードにあわせるからと言いくるめる場面がよろし。
言いくるめて、そっこうベッドに連れ込んでる手腕、これ如何に? いや、ちょっと待て(笑)




エリエル・ティアニー(アリエル・ティアニー)
雨のニューオリンズ 44 (株)日本メール・オーダー  発刊:1983.06.18
ヒロイン:アニー・キャロル(テレビ局の人気リポーター) ヒーロー:エリス・グレイストーン(著名な心臓外科医)

あらすじ
エリスは、先進的な手術を行う心臓外科医として着実に腕も、地位も上げていた。
周囲の人間たちが、大抵、彼におもねる態度しか取らなくなっていたのが原因だったかもしれない。
長年親しくしていた友人の奥さんのナンシーが新たに画廊を開くのを祝すパーティに顔を出した席で、アニー・キャロルという名の美しい女性に、つい失礼な態度をとってしまったのは。
会場への道中、道に迷っていた彼女を助けたという気安さや、心惹かれる女性に久方ぶりにあったために、舞い上がってしまっていたのも理由の一つになるのだろう。
彼女の気持ちを逆撫でするようなことばかりしてしまったのだ。
親しく声をかけようとした時には、アニーの瞳には明確な拒絶が宿っていた。

4年前、学生結婚した相手ゴードンが、弁護士資格をとるまでアニーは生活を支えていたのですが、資格を取った途端、性格の不一致を言い立てられ離婚をつきつけられることとなります。その後、ゴードンはすぐに上司の娘と再婚したことが、アニーに大きな傷を残してます。
陰でこそこそと信頼をあざむくような言動や、彼女の目指している道を軽んじる人に対して、どうしても厳しい目を向けてしまうアニー。
……間の悪い事に、エリスがそういう態度をとってしまうんですよね。エリート人生を歩んでいたために、天然で俺様なエリス。本人は全然そのつもりがないのですが、アニーの気持ちを思いやれなかったり、それ以上に踏みにじってしまってます。まぁ、医者としての守秘義務があって真相を明かせないという苦しい立場もあるんですが、どうにも説明が下手。信頼してくれの一点張りだけではねー。
でも、反省して軌道修正してくる柔軟さを持ち合わせてます。というより、アニーに嫌われたくない一心で、エリスが頑張ってます。
出会いの躓きを挽回しようと、伝手を駆使して、会食の席を設けたというか乱入したり、一回目の破局で、振られたにもかかわらず、やり直しをかけて、アニーが出席するだろう仮装パーティに出向いたりとかなり健気です。
アニーに一目ぼれしたエリスが押せ押せで迫ってて、素敵すぎるっっ。うっとり。


愛しのクォーターバック 98 (株)日本メール・オーダー  発刊:1984.05.20
ヒロイン:ラニー・リチャーズ(大手広告代理店重役・制作担当) ヒーロー:ロバート・コーネル(アメフトのプロ選手・クォーターバック・38歳/愛称ボー)

あらすじ
ボーも38歳になり、体力の衰えと、何よりも長い選手生活で身体のあちこちに故障を抱えていた。試合に出れば、チームを引っ張り上げていくクォーターバックとして血潮がみなぎったが、そろそろ引退を視野に入れる時が来ていた。
彼を起用したコマーシャルのおかけで、ブランドものの男性肌着の売り上げは爆発的に伸びたらしい。その影響もあったのか、シェリー酒の広告にも主演することになったが、その撮影現場入りに彼は遅刻をした。
重苦しいスタジオの空気が、ボーの出現でさらに重くなった。
突如あたえられた48時間の休暇にメキシコまで釣りに出かけ、そのままとんぼ返りしてきたボーの格好は、どこぞのむさ苦しい大男という風体だったのだ。
現場の責任者にあたる女性からは隠しきれない非難の色があった。ラニー・リチャーズと名乗ったその女性は、印象的な青い瞳と、スラリと均整のとれた長身の持ち主だった。

引退を考え始めているボーの周囲には、グルーピーがひしめいてます。レストランのウェイトレスは、ラニーが同席しているにもかかわらず、電話番号を記したメモをボーに渡してるし。
ボーの引退後の代理人は自分だと勘違いしている女性が、威を借ってみっともない真似を堂々としているし。
そんな彼に興味をもたれたラニーは、陸上選手との婚約が破局した学生時代の体験からスポーツ選手との恋愛は避けたいと思っています。が、自身がボーに強く惹かれているので見事、彼に落とされます。それが前半部分。
後半は、付き合いだした2人のアメフトに対する考えの違いが問題になってきます。
「子どもがするゲーム」に既に満身創痍となっている身体で向かっていくのかと言ってしまうラニー。うーん、心配なのはわかるけれど、プロスポーツの一流選手としての男のプライドを踏みにじっているよなー。
頑なだったラニーの考えが、どう変化していくのかが描かれる作品となってます。




エリノア・スタントン
四月のパリで 37 (株)日本メール・オーダー  発刊:1983.05.19
ヒロイン:モーリー・ペイン(出版社の編集者・29歳) ヒーロー:ロジャー・ヘリック(人気作家)

あらすじ
前作「か弱き性」でベストセラー作家となったロジャーは、次作「恋する女」もまたあたるという感覚があった。しかし、その自信作を契約しているニューヨークの出版社に送ったロジャーは、賛美をうけるかわりに、男性的な文体を、ことごとくオールドミスの教師みたいな文章に訂正された原稿がもどってきたのだ。
新しく担当となった女性に、こちらの言い分を直接言わずにはおられないほどのものだった。
出版社に怒鳴り込むようにやってきたロジャーは、自分が描く女性像は2つしかないと断言している場に行き当たった。
「彼は海月かピラニアみたいな女性以外には会ったことがない、としか考えられないわ」

ロジャーが狭量というか、気分屋というか。
モーリーが率直に作品の意見を述べればヘソを曲げ、彼の女性観について反対意見をちょっと口にしただけで態度を冷たくしと、どうにも会話をするのが厄介な男性です。
まぁ、読み進めていく内にそういう難点な性格をモーリーにだけ見せているらしいとわかりまして……他の人には愛想も使うし、人好きで面倒見の良さを発揮しているので。
でもなー、好きな女性に不愉快な気持ちを抱かせるアプローチの仕方は、情けないと思うのよね。永続的な関係を自分は望んでいるくせに、モーリーには遊びだと思わせていて、それでもいいと彼女をひざまずかせるやり方は、読んでてあまり気持ちの良いものではありません。屈折しすぎだよ、ロジャー。




キャサリン・スウィンフォード
さようなら アフリカ 17 (株)日本メール・オーダー  発刊:1983.02.04
ヒロイン:キャサンドラ・ディアボーン(駆け出しの写真家・27歳/愛称キャシー) ヒーロー:ジョナサン・バートン・ハイド(コーヒー農園と禁漁区のオーナー/愛称ジャック)

あらすじ
東アフリカでジャックが管理している禁漁区を撮影場所とするために、アメリカからくる団体がやってきた。ナイロビのホテルまで迎えにでたジャックだったが、出発時間を一時間近く過ぎても離れられないでいた。
肝心のカメラマンが、外出から戻ってこないのだ。今回の撮影隊をまとめているダグラスは、出発できないことで苛立ちを隠せないでいるようだ……。

ナイロビの市場風景の撮影に夢中になって、出発時刻に戻ってこれなかったキャシー。
慌てふためいて、ホテルロビーに駆け込んできた彼女に、ジャックは一目ぼれ。
ついからかうような軽んじるような態度をとってしまったことで、キャシーから大反発をくらうこととなります。
ジャックのことをただの運転手だと思っていたキャシーは、居丈高に彼をクビにしてと撮影隊のまとめ役ダグラスに言い募るわけですが、彼が撮影場所を提供する立場にあることを知り愕然。
しかし、ジャックの財力、立場を知った後も、彼におもねるような態度を見せず、ピシッと一線を引いてくるキャシー。
そんな彼女に、ジャックはますます惹かれていくのでありました。
1年前から別居していた夫との離婚が三日前にようやく成立して、挫折感に心が折れそうな気分でいるキャシー。元夫の浮気癖が大きな原因となって離婚したため、女癖の悪そうなジャックに対してとても辛辣な見方をしてしまってます。アプローチをかけようとするジャックと、自分の魅力を最大限に知って迫ってくる男性はもう懲り懲りのキャシー。そんな2人の出足が良いわけがなく、ジャックが肘鉄を喰らいまくってます。大人の余裕で構えてますが、内心忸怩たるものがあったのではないでしょうか。
物語の内容は、キャシーがジャックとともにアフリカで生きていこうというものなので、『さようならアフリカ』という題名には違和感が。
内容的には「こんにちはアフリカ」もしくは「さようならアメリカ」。しかし、それだと情緒が全くない(笑)
ちなみに、原題は『PRIMITIVE SPLENDOR』




キャサリン・ミルズ
カリブの熱い風 12 (株)日本メール・オーダー  発刊:1982.12.18
ヒロイン:ミリンダ・マテューズ(化粧品会社経営・28歳?) ヒーロー:リチャード・カーソンズ(イルカと鯨の海洋公園経営・35歳)

あらすじ
5年前、ミリンダは最愛の人ジムを目前で亡くした。スタントをしていたジムが、撮影中の事故で命を落としたのだ。それ以来、彼女の生き甲斐は家業の化粧品会社を建て直し、発展させることだけだった。
働き過ぎだと父や姉夫妻が口を揃えて、ミリンダに忠告してくるが、会社を成長させていく喜びは各別のものがある。今回も、ジャマイカの別荘にやってきたのは静養のためでなく、現地の香水会社を獲得するためだ。
しかし、買収契約が大詰めを迎えている中、時間も注意力も相手方の社長、ジョン・レイノルズに集中しなければならないのに、会ったばかりのリチャード・カーソンズという男性のことだけが、ミリンダの心を占めていた。
それも、リチャードは、レイノルズが経営している香水会社が仕入れる大量の鯨油で、対立している相手だった。

捕鯨問題を感情論で訴えてくるリチャード・カーソンズ。自分の仕事の崇高さを大主張。
リチャードにとって、ミリンダが会社を発展させるために、レイノルズの会社が必要だというのは、瑣末なことらしい。
話し合いをしなければならないと、リチャードが言うわけですが、ミリンダの主張を端から拒否してる態度がなぁ……。
大体、自分に色気を振りまいてくる小娘に、ミリンダへの大事な手紙を渡すようにと頼むというスカポンタンなことをしでかしてます。
ミリンダがジムを亡くした時のつらさや、もう一度、誰かを愛することが怖いと打ち明けているにもかかわらず、フォローがイマイチなことが多々ありまして……鯨やイルカの気持ちがリチャードにはわかるらしいんで、あんたは異種恋愛に進めばいいんだよと、すっきりしない読み心地。




キャロライン・ホルター
想い出のシントラ 6 (株)日本メール・オーダー  発刊:1982.10.18
ヒロイン:アレックス・ジェイムソン(旅行会社の新人・25歳) ヒーロー:ビンズ・リアドン(旅行会社経営・31歳)

あらすじ
「あの、マネージャにお会いしたいのですが」
打合せをしていた部屋の外から、忘れたことのない声が聞こえた。
アレックスだ。
7年前、兵役についていたビンズを見捨て、金持ちの息子というだけで、後は人間として屑のようなコートニーに彼女は嫁いでいったのだ。
その彼女がドア1枚隔てた向こうにいる。
聞き耳をたてているビンズに、離婚して職を探しているとの彼女の話し声が聞こえていた。
2人の昔の仲を知っているマネージャが、アレックスの求職を断ろうとしていることを察知したビンズは、慌てて内線をかけるのだった……。

財力も社会的地位も手に入れた今、アレックスの横に立つのにビンズは相応しい立場にあります。
ようやくアレックスを手に入れるチャンスを掴んだビンズは、研修と称して、ポルトガルに連れ出し観光地を巡りへ。もう一度、彼女と親しくなっていこうとするわけですが、悲惨な結婚生活(浮気、ギャンブル、暴言にさらされたり)を過ごしてきたアレックスが、結婚はもう懲り懲りと思っていることを知らされがっくり。
それでも必ず、陥落させてみせると固く決意したところに、アレックスがコートニーとよりを戻そうとしているとの連絡が入り、2度めの大失恋に直面します。
手に入れたと思った瞬間に、すり抜けていってしまう愛しい存在に、ビンズの心は頑なになってしまいます。ビンズの子供を宿したことで、結婚することになったアレックス。傷ついた彼の心が自己防衛のためにこれ以上つらい思いをしないようにと、とってしまう冷たい言動に、アレックスは日々身がすくむ思いをしていくこととなります。
この試練を必死になって耐えて乗り越えていくお話し。




クラウディア・ビショップ
雨音は愛の調べ 166 (株)日本メール・オーダー  発刊:1985.07.20
ヒロイン:バネッサ・ハリントン(産業コンサルタント・博士号・30歳/愛称バン、螢) ヒーロー:ジェイソン・カーライスル(会社経営)

あらすじ
叔父が舵取りをしていた支社の業績が振るわないことから、ジェイソンがてこ入れにやってきた。ジェイソンは支社に勤務している従業員のクビを切ることなど考えていなかったが、疑心暗鬼の労使関係が潤滑に動いてくれない。
どうすれば、この混乱した支社を立ち直らせることができるのか……考え事をしていたジェイソンは、出張でワシントンへ向かう飛行場で、一人の女性とぶつかり、彼女が抱えていた書類がそこら中に散らばった。
書類を拾い上げているジェイソンの視線が、記載されている内容に吸い寄せられた。そこには会社の問題構造がフロー・チャートで描かれていたのだ。
そして、書類の持ち主である女性のなんと、魅力的なことか。

バツいち同士の恋愛。
前夫、前妻に現在も生活をかき乱されている2人です。それも根深く。
ジェイソンの離婚の理由は書かれているのですが(妻の度重なる浮気)、バネッサのは性格の不一致なのかな?
2人とも別れた相手のことを毛嫌いしているのに、なんだかんだと親密(?)に連絡をとりあっているのが、理解の範疇を超えるなーと思いながら読了。
怒ってばかりのバネッサと、余裕ぶっているジェイソン。なんか座り心地の悪い恋愛ものでありました。
あと、ジェイソンの会社の立て直しについて、彼の秘書の暗躍などが書かれているんですが、どうしてそんなことをしたのか? 処遇の問題など、きっちりと確定されておらず、中途半端な感じ。




クレア・エバンス
カーテンコール 20 (株)日本メール・オーダー  発刊:1983.02.18
ヒロイン:ステイシー・ベネット(未亡人・タイピスト・26歳) ヒーロー:マイケル・ハモンド(舞台演出家・人気俳優・画家/愛称ハム)

あらすじ
近々舞台演出をすることになっている劇団のオーナー、カートが開いたパーティに、マイケルは気乗りしないまま顔を出していた。喧騒、おべっか、妬みが渦巻いているパーティに出るより、カートの伝記を書き上げる方がよっぽど充実した時間を過ごせる。
マイケルは喧騒からのがれる為に、バルコニーへの扉を少し開いた。
しかし、そこには既に、先客がいた。華奢な肢体をゴールドがかった黄色のドレスが包んでいる。深い悲しみが窺い知れる表情は、パーティを楽しんでいるとは言えないものだった。彼女とどうしてもお近づきになりたい。
「そこは気持ちいいですか?」

マイケルが多才。演出家、伝記作家、舞台俳優、画家と興味の赴くままに才能を開花させていたようです。
大きな挫折を知らなかった彼が、初めてぶつかった壁はステイシーの今は亡き夫。
7カ月前に最愛の夫ジムを亡くしたばかりのステイシーに、未来を生きろと迫ってます。でもまだ、ジムとの生活を引きずっているステイシーは、何事にも受け身で殻に籠りがち。
そして、ステイシーの親友で女流画家であるマーシャは、マイケルの昔の女だったらしく、今もその関係は続いているし彼の性癖はちょっと特殊なのと、本人が聞けばぎょっとすることをしれっと喋って、釘をさしてます。
でもまー、押しの一手で一夜を共に出来たマイケルですが、ステイシーにすれば展開が早すぎたらしく、反省。今度は、ゆっくり確かな絆を築いてからと構えていたら、なんとステイシーが運転する車にトラックが突っ込んできて、生死の境を彷徨う彼女を見守る羽目に……。
退院後の療養場所に自宅を提供し(母親も駆り出して引っ攫う手際の良さ) どんどん、深みにはめていくのですが、精神的に最後の一線を超えてきてくれないステイシーが抱える闇をマイケルは突き詰めていくこととなります。
夫のことを一途に愛したのに、そのことを信じてもらえず、浮気をしたと罵倒されることもあった夫婦生活……愛する人に信じてもらえないあのつらさは二度と味わいたくないとステイシーが告白する場面がいいなぁ。


ときめきの朝 39 (株)日本メール・オーダー  発刊:1983.05.19
ヒロイン:ダイアナ・ウィリアムス(ソプラノ歌手・療養中・24歳) ヒーロー:ステファノス・メレシアス(実業家・ギリシア系米国人/米国名ステファン・メルトン)

あらすじ
世界屈指のソプラノ歌手であるダイアナ・ウィリアムスが、ローマでの舞台を最後に、忽然と姿を消してしまった。舞台上で、突然、声が出なくなった彼女は、数千人の観客からの嘲笑を浴びることになったらしい。
彼女の活躍が掲載されている新聞記事だけが、その動向を知る手立てだったステファノスは慌てた。ダイアナの側には、辣腕を振るっているマネージャー、マックス・スタインがいる。そのおかげで、もう2年もステファノスは直接彼女に近づくことができずにいた。
腕の立つ探偵を雇い、ダイアナの動向を必死に探らせていたところ、彼女が故郷で療養するらしいという消息をようやく得ることができた。不確かな情報であったが、ステファノスはこの機会を逃すわけにはいかなかった。
都合の良いことに彼女の故郷にはギリシア人町があり、同胞達は不況に喘いでいる。その援助も兼ねて産業を興せば長期滞在をしても怪しまれずに済む……。ステファノスは、その地で弁護士をやっているダイアナの父親の元に出向き、地域振興策への手助けを依頼するのだった。

家族の絆が強いギリシアものにありがちな、大切な恋人を自分の母親の魔の手(笑)から守れなくて、2年前に破局したカップルのやりなおしもの。
母親が古風な考えの持ち主だと分かっているんだから、ステファノスはそのフォローぐらいしとけと思わず突っ込むこと数回。ええ、再会後も母親がダイアナに暴言を吐いてます。いくら、夫を亡くしたばかりで情緒不安定になっているからといって、その矢面にダイアナを立たさなくてもいいと思うんですよ。ダイアナだって、歌手生命の危機をようやく乗り越えようとしている療養中の身なのに。
破局してから2年間、ストーカーのようにダイアナの動向を探り続けたステファノス。
財力にものを言わせて、ダイアナの故郷に産業を興して常時、彼女の周囲をうろちょろできるよう画策してます。
この執着ぶりに、読者側はステファノスの足掻き具合を楽しめるのですが、ダイアナは遊び相手としか思われていないとやりきれない思いを抱き続けてます。だって、彼には婚約者と目されている美女がしなだれかかっているから。
対して、ダイアナの周囲には、幼馴染みの男性や、辣腕のマネージャーががっちり脇を固めてるので、ステファノスは嫉妬の余り荒れまくってます。ついついダイアナを乱暴に扱ったり、暴言を吐いたりして傷つけてます。情熱を分かち合った後にもかかわらず、
「欲深いぼくのアフロディーテ」とか「男殺しのダイアナ」と冷酷に呼びかけておいて、「なにかぼくの言ったことが癇にさわったのかい」 とか「気に障ることを言ったのなら、謝る」
馬鹿じゃないか、この男。睦言の勉強をし直してこいっ。
ダイアナの歌に対する情熱の深さを、ステファノスは理解して受け入れなければ2人の未来は確固たるものにはならないということを学んでいく作品。


冬の木洩れ陽 85 (株)日本メール・オーダー  発刊:1984.01.20
ヒロイン:キャロライン・ソーン(雑誌記者・失業中・27歳/愛称キャリー) ヒーロー:モーガン・キング(画家・元売れっ子の商業デザイナー・32歳)

あらすじ
もう2度と、女を寄せ付けはしない。
モーガンが盲目的に愛した前妻エリサは、天使のような容貌の女性だった。しかし、その無垢な容貌の下に隠されていたのは、少しでも惹かれる男がいれば、寝ずにはいられないという倫理観の欠如した女の姿だった。
結婚は暗礁に乗り上げ別居に踏み切り故郷に戻ったモーガンはそこで、風景を中心に描くことで生活を建て直そうとしていた。しかし、エリサはモーガンを追いかけ、更に絶望の淵へと追いやったのだ。
心を入れ替えたかのように田舎でモーガンと暮らしたエリサだったが、男友達からの電話を貰うとすぐに乱痴気パーティに顔を出したがり、そのまま立ち去る準備を始めた。妻の妊娠を喜んでいるモーガンに、中絶するからと告げて。
醜い争いをして、凍った道路を走り去ったエリサを慌てて追いかけたモーガンは、事故に遭い、脚に障害を負うこととなった。入院先で、妻が本当に中絶をしたことを知り、後は弁護士に離婚の手続きをまかせるだけだった。

モーガンのへたれ具合がキャリーの母性本能をくすぐったのか……。
前妻の仕打ちにボロボロになったモーガンは2度と女とはかかわりたくない、かかわる勇気も無いと言いきります。そんな彼の言葉に永続的な関係を続けられないのなら、身体だけの関係は辛すぎるし、そんな良いとこどりなんてずるいと、
キャリーがモーガンを拒絶するのは当然の展開。
でも、モーガンが食い下がってくるんですよ。
「ずるいのは……きみのほうだ。この寒々とした世界で、ただ一つぼくを暖めてくれるものを拒む、きみのほうだ」
もう、駄々っ子(笑)
キャリーの方は、前夫にレイブのような初夜を味あわされたあと、どうしても馴染めず、その後、散々不感症な女だと罵られた経験を持ちます。ようやく離婚を勝ち取った彼女は、男はもう懲り懲りと思っていたのですが、モーガンと出合い、共に人生を歩んでいきたいと思える男性もいるのだと前向き。2人の仲に未来がないと思いきったキャリーは立ち去ることにするのですが、道中に、事故をおこしたジープを発見。意識のないモーガンを運転席に発見したキャリーは否応もなく看病する立場に置かれることとなります。
地元民なのにモーガンは、凍った道路で事故を起こし過ぎですなー。




ケイト・ネビンズ
想い出の北京 64 (株)日本メール・オーダー  発刊:1983.10.19
ヒロイン:ジリアン・ウェスト(中国語の大学教授) ヒーロー:バーク・フェララ(有名映画監督)

あらすじ
義和団の乱を題材にした映画「反乱」を北京で撮り出したバークに、映画会社が余計な人間を押し付けてきた。
映画を米国だけでなく、中国においても興行させ成功させるために、現地の人達の反感を買うのを避ける措置をとってきたのだ。
時代考証に詳しい人間を寄越し、監視させるらしい。
そういう輩は、壮大さや叙情的なことを無視して、瑣末なことに目くじらをたてる。
ただでさえ、撮影のスケジュールや予算は超過の一途をたどっているというのに、これ以上のトラブルは願い下げだった。
空港までの出迎えをアシスタントに任せて撮影に没頭していたバークは、現場にその人物がやってきたことに気づいた。
栗色の髪と同じ色の大きな瞳が、バークの強すぎる視線を受け止めていた。

映画撮影現場でのロマンス。
バークの元妻で、今作のヒロイン役を演じているアンドレアの類いまれなる演技力と美貌が、実はガラス細工にも似た危うい状況にあるという緊迫感が根底にあります。
何故、これ程までにバークがアンドレアに配慮の手を差し伸べるのか……。その疑問をはらみながら、ジリアンとバークの情事がそこかしこで。
バークが、車の中で、どれだけジリアンに手を出しちゃってるか。ふむ、数えておけばよかった(笑)


海辺のネプチューン 123 (株)日本メール・オーダー  発刊:1985.01.20
ヒロイン:ダイアン・ジェイムズ(オペラ歌手志望・28歳) ヒーロー:グレゴリー・キンボル(水力発電のエンジニア・名家キンボル家の私生児・35歳?/通称グレッグ)

あらすじ
異母弟ライルが婚約をしたらしい。しかし、そのお相手が異母妹バネッサのお眼鏡にかなっていないらしく、普段は連絡すらしないのに、グレッグに注進を寄越した。
大体、あのバネッサが弟であるライルの妻として気に入る女性など、この世に存在するわけがない。
ライルの婚約者であるというだけで、目の敵にされるその女性が気の毒でもあった。
丁度、大きなアフリカでの仕事が終わったこともあり、休暇もかねてグレッグは、件の女性が現在、住んでいるというフランスの避暑地まで足を伸ばすことにするのだった。

異母弟の婚約者に一目ぼれしたグレッグが、ひたすらダイアンを追い求めてます。
2人の間に、ただようこの火花があるのにライルと結婚するのか詰め寄ったり。
でも、ダイアンには白血病で亡くなった夫マイケルから受けた仕打ちが未だに、忘れられない状況にあります。出張する度に浮気に精を出す夫に自尊心を傷つけられまくった結婚生活と、離婚を決意した途端に発病したために看病に明け暮れることになった日々。
自分の仕事をしっかりと確立し、ただ傷つけられるだけの存在にはなりたくない。
婚約者ライルとの間には穏やかな愛情が流れていて、結婚生活は安定した感情の元で送り続けるのが一番と思っているダイアンをグレッグが押し迫っていくのでありました。
ライルとの婚約は、早々に破棄となるのですが(ライルにも大本命の女性が現れて、姉バネッサに対しても断固とした態度を取り出す変わりよう)、 だからといってグレッグとの結婚に踏み出せないダイアン。自分の中にある不安とどう向きあうのかを描いた作品。


ブルー ファンタジー 139 (株)日本メール・オーダー  発刊:1985.01.20
ヒロイン:ミランダ・ダン(米国の生化学者・29歳) ヒーロー:ブライアン・オバノン(アイルランドの著名な詩人)

あらすじ
門外漢ともいえる生化学研究所で、詩の朗読会を開催してもらえないかという依頼をうけたブライアンは、主催者であるロイス氏の研究室のドアを開けたつもりだった。
しかし、そこにいたのは、とろけたバターのような髪をもったいなくも引っ詰めにした、女らしい完璧な体形をもつ若い女性だった。そして、向かってくる注射と彼女のかわいらしい左手から小さな鼠が必死になって逃げようともがいていた。
ブライアンの呆気にとられていた視線に気づいたのか、彼女がこちらに顔を向けてきた。視線が絡み合い、怪訝そうに彼女がブライアンの素性を尋ねてきた。心に思い浮かぶままに紡ごうとしたブライアンの言葉は、急に遮られた。
「鼠! 逃げたわ」

ブライアンの科白ひとつひとつに、叙情あふれる形容詞が飛び交っている作品。
詩の心を理解できないミランダは、ブライアンに振り回されて動揺の余り、子供っぽく反発したりと理性を重んじていた今までの自分は一体どこに行ってしまったの〜状態に陥ります。
ブライアンは絶好調とばかりに、ミランダの美しさを饒舌に滔々と朗読。
で、公の場で、2人の親密な情愛を詩にして朗読しちゃうんですよ!!
怒りまくったミランダの感性の方が正常だと思うんですが、周囲の人達は「ロマンチック〜」
で、ミランダも最後はブライアンのその感性に感化されてます。
この作品、経験は芸の肥やし、ネタ帳になるっていうお話しのような気がする……。
メモ:父との確執・仕事と愛情のどちらを取るか・泥沼地にはまり込む


謎めいた出逢い 167 (株)日本メール・オーダー  発刊:1985.07.20
ヒロイン:ティファニー・ブラッドフォード(ミステリー小説専門書店経営・私立動物園の元広報・27歳) ヒーロー:カーク・デイビス(サンフランシスコ市警の巡査部長・30代初め?)

あらすじ
サンフランシスコ市警巡査部長のカークは、こそ泥の被害が続いている地域で怪しいと勘が告げている建物に入って行った。そこは、本を売るにしては薄暗く、怪しげな雰囲気を醸し出している書店だった。
丁度、何かのイベントが行われようとしているらしい。
書店主らしい妙齢の女性が、不審げな表情を浮かべてカークに一瞥を投げかけてきた。
……変装のために、浮浪者のなりをしていれば、そう見られても仕方の無いことだった。

獣医師だった夫が、2年前に隔離していたシベリア虎に殺害され、精神的に参っていたティファニー。
ようやく、生活を立て直そうと昔からの夢だったミステリー小説専門書店の経営に乗り出します。
店を開いて一年が経ち、経営はまだ安定したとまではいかないまでも、贔屓にしてくれるお客さんも掴み出していたところ、店に怪しげな風体の男がやってきます。
浮浪者のようなその男が、近辺を荒らし回っている泥棒を捕まえるために変装した警察官のカークという設定となってます。
もう2度と危険な仕事に就いている男性との恋愛や結婚はしないと思っていたのに、心惹かれてしまうのはカークただ一人という状況に、ティファニーは惑うばかり。
カークもまた、その昔、ボディガードという職業をしていた時に、雇用主の一人娘との恋愛に破れた時のやるせない痛手がうっすらと残っていたりしてます。
身体を重ねるごとに、求婚をするカークに対して、彼が危険な任務に行く度に、気も狂うような待ち時間をまた過ごすことになるのかと、煩悶するティファニー。
そんな思いをするのなら今の内に、別れてしまった方がいいと決断してしまったティファニーを、こそ泥の魔の手が襲いかかるのでありました。

書店のイベント(作家を招いたり、講演会を開いたり、ミステリーツアーを企画したり)、こそ泥の正体、危険な仕事に就いているカークとの未来などをからめて物語が展開されてます




ケリー・アダムス
狂おしい雪どけ 42 (株)日本メール・オーダー  発刊:1983.06.18
ヒロイン:マーラ・スタンフォード(会社創設者の娘・24歳) ヒーロー:ブレント・フティーブンス(実業家)

あらすじ
1年前、恋人のマーラと蜜月を過している感じていたのは、自分だけだったのをブレントは嫌というほど思い知らされた。
出会ってから2ヶ月という駆け足のような交際だったが、結婚の約束まで会話にのぼっていたのだ。なのに、マーラは突然、ブレントを捨て去った。
「他に付きあっている男性がいるから」
これほどまでに深く女性を愛したのは、マーラだけだった。
だから、マーラの実父が創設し、今は義弟カールが経営している会社が倒産の危機にあると知り、ブレントは救いの手を差し伸べた。多額の融資の見返りに、マーラを手に入れようと決意したのだ。
彼女に虚仮にされたことへの恨みは大きかったが、それ以上にマーラを自分だけのものにしたいという思いが強かったから……。

1年前、ブレントがマーラと結婚すれば、彼が会社経営に口を出すのは当然のこととなり、今までのように多額の横領ができなくなるという理由で、義弟カールは二人を別れさせようと悪巧みを企みます。
そういことをしでかしておいて、会社が危機的状況に陥った途端、ブレントを頼ろうするカール。それも、マーラをブレントに差し出すことにこれっぽっちも躊躇いを見せません。見下げ果てた存在です。
ブレントの病的なまでに強いマーラへの執着心が、そこかしこに滲み出ている作品で、その暗い情熱をマーラだけ気づいていないのはお約束。
それにしてもマーラは、お酒の飲み過ぎ。毎回、酔っぱらって、二日酔いに苦しんでます。


旅立ちの朝 73 (株)日本メール・オーダー  発刊:1983.11.19
ヒロイン:キャスリン・ダイアン・フラネリー(海洋生物学者・27歳/愛称ケイティー又はケイト) ヒーロー:ジェームス・カーリスル(石油工学社・カーリスル製油所の重役・33歳/愛称ジム)

あらすじ
祖父が骨折したために、ただでさえ重労働だったカキ漁が、その倍以上にケイトの身体を酷使させるのだった。元々、海洋生物学者だったケイトは、チェサピーク湾の生物の研究に従事していた。しかし、今年になって研究費の打ち切りを告げられたところに、祖父が脚を骨折してしまったのだ。
日々の請求書、そして、祖父の治療費を稼ぐためには1日たりとも、カキ漁を休むわけにはいかなかった。
一人で黙々と出漁の準備をしていたケイトの元に、おじが一人の青年を連れてやってきた。
「臨時雇いを使ってみる気はないかな?」
青年は、印象的な薄茶色の瞳を持っていたが、そこから表情は読みとれなかった。そして、着ているものはとても漁夫とは言えないような高価なジャケットとジーンズだった。

ケイトは、カーリスル石油精製所がチェサピーク湾に垂れ流した汚水が原因で、カキはもちろんのこと魚が大量に死んだことを新聞に投書したことから、ジムが彼女の元を訪ねてくることとなります。
ケイトは、離婚した夫が不実であったおかげで恋愛に対して不信気味。
そして、ジムは死別した妻がうわべだけの我が儘娘だったことで女性や上流社会に対して厭世気味。
初めは反発しあう2人ですが、過酷なカキ漁を黙々と一緒にすることで惹かれあっていくこととなります。
早々に、ケイトに対して恋に落ちるジムですが、石油精製所の度重なる油流失事故や彼の伯母ルイーズのいただけないエリート意識が2人の恋路の障害となります。


春風のエチュード 168 (株)日本メール・オーダー  発刊:1985.07.20
ヒロイン:キャリー・テイラー(未亡人・農場主・油井堀りに励む) ヒーロー:マイク・ドノバン(石油採掘会社経営)

あらすじ
夫ダンが、悪徳業者の油井掘りに騙され大金を失ったあと、農場の経営は益々、厳しくなった。そして何よりも、痛手だったのは、失意のままにダンがトラクターの事故で命を落としたことだった。
キャリーは、農場経営と、いつか石油を掘り当てるという夫の夢を叶えるために、奮闘していた。
泥にまみれて作業していたキャリーの目に入ったのは、一台のトラックが冬小麦をなぎ倒して走っていく姿だった。土地の境界のことで諍いのあった隣人が、先日、雇ったらしい石油採掘会社のトラックだった。
怒り心頭のままに、そのトラックを追いかけたキャリーの前に、降り立ってきたのは青い瞳を値踏みをするように冷たく光らせた大柄な男だった。

孤軍奮闘しているキャリーを一目みて、恋に落ちてしまったマイク。彼女を少しでも楽にしてあげたいといろいろと手助けをしようとするのですが、ちょっとばかり強引過ぎて、快く受け取ってもらえません。もともと、キャリーが油井掘りの人間に対して、悪感情しか持っていないし、未だに、ダンを失った悲しみにとらわれているので、上手く行きっこないんですが……。
ということで、マイクの前途多難のアプローチが始まります。
かなり強い肘鉄をキャリーからくらっているマイクですが、打たれ強いようで、頑張っております。
マイクの粘り強い求愛の中で、キャリーは次第に未来へと踏み出していくこととなります。
農場に油井はあるのか、そして、マイクの愛を受け入れた時、生活が激変することにキャリーは耐えることが出来るのかという悩みを抱えながら、ロマンスが展開されることとなります。




サマンサ・キャロル
シルクの手触り 5 (株)日本メール・オーダー  発刊:1982.10.18
ヒロイン:タイラー・ベネット(タイの高級ホテル副支配人・27歳) ヒーロー:リック・スチュワート(難民キャンプを運営)

あらすじ
ポールとは互いに真剣なお付き合いをしていると思っていた。けれども、タイラーにつきつけられたのは、彼には妻子がいたという事実だった。
ずたずたに心は切り裂かれたが、ポールから連絡があればなびいてしまう心境なのが更につらかった。
そんな状況にいたタイラーに、タイの高級ホテルの副支配人として配置転換の辞令がおりた。
支配人が急病で倒れたために、3カ月ほど代理でホテルの監督をすることになったのだ。
ポールから距離的にも離れれば、思い切ることも出来るはず……。
タイに赴任したあと、ひたすら仕事に打ち込む彼女の前に現れたのは、リック・スチュアートだった。
彼の周りに群がる女性達に対して見境なく愛想を振りまくその姿に、タイラーは嫌悪感を抱いた。

イラーとリックは、早とちりをしあう似た者同士さん。
難民キャンプ運営の資金を獲得するために、有閑マダムたち愛想を振りまかざるを得ないリック。
仕事を円滑にするために、男性として見栄えのする同僚テディをいつも腰ぎんちゃくのように連れ回しているタイラー。
嫉妬しあう2人のすったもんだというか、嫌みの応酬がちくりちくりと。
タイラーのことなんて、気にしていないという虚勢を張るために若い女性といちゃつくリックの侠気のなさがなー……。
取材活動でやってきたポールが、タイラーと一悶着をしている場面に遭遇して誤解し、その後、サマンサからの連絡を一切、取り次ごうとしない狭量さなども露呈しております。
可愛さあまって憎さ百倍に走るタイプ。最後も、タイラーがもう一度、リックに説明したいと動き出していくんですよ。女にばかり行動させる男は、ごにょごにょだっ。




サラ・クルー
愛は陽炎の向こうに 107 (株)日本メール・オーダー  発刊:1984.07.20
ヒロイン:ジェニファー・アームストロング(デザイナーの卵/愛称ジェニー) ヒーロー:マッシモ・シルバーノ(ジェノバ有数の財閥総帥・銀行家)

あらすじ
3年前に交通事故で亡くなった妻の不品行は、マッシモを苦しめた。若い妻を大人の世界へと手塩をかけて手解きしたところ、教師も生徒も優秀すぎたのか、妻は男漁りに精を出したのだ。
愛する妻が、少しでも気に入った男と簡単に寝てしまう女に、成り果ててしまうとは……。
マッシモにとって何よりもつらかったのは、複数いた愛人の中に、弟のルカまで名を連ねていたことだった。
当分の間、女と真剣に付き合うのは懲り懲りと思っていた彼の前に、あらわれたのがニューヨークからデザイナーの勉強をしにやってきたジェニーだった。
前夫に傷つけられた経験から、自立することをとても大切に思っているらしい彼女の真っすぐな気質、そして、明るい笑顔に急速に惹かれていくマッシモだった。

操り人形のように管理をしたがるサイモンとようやく離婚したばかりのジェニーは、デザイナーの勉強をするためにジェノバにやってきます。
そこで、出会ったのがマッシモ。
彼は、ジェノバでも有数の財閥を率いている男性。
危なっかしい言動をとるジェニーを守ろうと(イタリア語がほとんどダメなんですよね……)、色々と手配をしたがります。
しかし、ジェニーはサイモンからようやく勝ち取った自由を満喫したい、自立を損ねようとすることに対して過敏すぎる反応を示します。
マッシモの好意をことごとく撥ねつけて、身勝手な行動をとりまくって、周囲に多大な迷惑&心配をかけてます。
……こんな幼稚な女が本当にいいのか、マッシモ。
マッシモの亡くなった前妻も、浮ついた手のかかる若い女性だったんで、彼の好きなタイプはそういうのなんだなー……。
ああ、過去が全く教訓になってません。マッシモがジェニーに言い寄っていく場面が艶っぽいだけに惜しい作品。


あの歓びをふたたび 171 (株)日本メール・オーダー  発刊:1985.08.20
ヒロイン:シャーロン・ダイサート(ビジネスコンサルタント・33歳) ヒーロー:マーク・バイロン(御曹子・工場長・35歳)

あらすじ
その日は、身重で情緒が不安定になっている妻のことを心配している守衛を、早く帰宅させるために、マークが仕事をかわった日のことだった。工場に忍び込んでいた女性を見つけたのだ。
懐中電灯の中に浮かび上がったその美しい顔立ちは見覚えがあって、帰宅後、その素性を思いだした。
シャーロン・ダイサート
2つ年下で、マークが20歳で、大学からの帰省中にデートを数回した相手だった。翌日、大学に戻るのを控えて、約束したデートをマークの都合で取りやめたのだ。
そして今、彼女の名前は手がけた鉄工所の近代化の幾多の成功によって業界に知れ渡っていた。
彼女が、工場にやって来たということは、近代化の嵐とともに大量の解雇が断行されるということ……マークは暗澹たる気持ちで明日の重役会議に出席することになりそうだった。

近代化の名の元に、工場で働いている人たちを路頭に放り出すことは一人たりともしたくないマークと、工場を近代化し生産性をあげて欲しいとマークの父親に頼まれ、故郷にやってきたシャーロン。
そして、マークとシャーロンの間には、15年前の苦い思い出が横たわってます。
御曹子とヒラの工員の娘が付き合い始めて、すぐ、破局するわけですが、その原因がマークの身勝手さだったことが告白によって明かされてます。後ろめたさにシャーロンに突っかかってるのかも。
2人の育ちの違いを、シャーロンがどうしようもないと説明するくだりが切ない。
けれど、その育ちを核として人生を歩んできたシャーロンの強さがいい。
マークがどれほど望んで頑張っても、その核は身につかない。
2人の生き方の対比を描きながら、物語が進んでます。マークとシャーロンとのいちゃいちゃ描写よりも、鉄工所内の様子が生き生きと描かれているような……。
溶鉱炉とかの描写の萌えっぷりというか、溶けた鉄鋼への愛が溢れてます(笑)
圧巻は危うく大惨事となりかけた事故を、シャーロンが見事にさばいていくシーン。格好いい〜。




ザンドラ・コルト
あの熱い胸のなかへ 23 (株)日本メール・オーダー  発刊:1983.03.02
ヒロイン:ステーシア・マーシャル(写真記者・24歳) ヒーロー:ポール・カーティス(自動車メーカーの御曹子・)

あらすじ
ポールが、母親のお膳立てした結婚式に異を唱えなかったのは、相手が幼馴染みのグローリアで、互いに金目当ての求婚者達をこの結婚で退けることが出来るだろうという打算的な思いがあったからだ。
結婚式を報道する取材陣の中で、仕事の関係からカーティス財閥が用意したチャーター機に搭乗できなかった写真記者を送り届ける役目を、ポールは母親から言いつけられていた。
ステーシア・マーシャル
彼女が切り取る写真は、被写体の本質を鋭くとらえ、書かれている辛辣な文章は読んでて小気味が良かった。
自分がその対象となるのは願い下げにしたかったが、母親は心証を少しでも良くすれば、こちらに好意的な記事を書いてくれるだろうと思っているらしい。
しかし、その思惑はどうやら、外れたようだ。彼女が、この取材を同僚に代わって欲しいぐらいだと投げやりに言っているのが聞こえてくる……。

自家用飛行機で、ステーシアを結婚式会場まで運ぶことになったポールですが、機体のトラブルで山中に墜落。
二人きりのサバイバル生活が始まります。
非難がどうしても口を突いて出てしまうステーシアですが、次第に協力しあって、そしてロマンスへと進んでいくこととなります。
ポールのようなプレイボーイだった恋人ジョージに捨てられて間もないというのに、結婚式の取材なんて、やってられないというのが正直な心境だったステーシア。
その上、5年前に仲の良かった両親が2度めのハネムーンと称してギリシア旅行に出かけ、その帰りの旅客機の墜落事故でこの世を去るという経験をしているので、飛行機に対する恨み辛みもあって、操縦者であるポールへ辛辣なことをつい言ってしまいます。あと、墜落の際にひどい捻挫をしたおかげで身動きが取れないことの苛立ちも。
でも、へこたれないで、痛みや恐怖を抑えて、険しい山道や崖を踏破していくんですよ。
裏表のないステーシアに、強く惹かれるポールは、今すぐにでも彼女の身体にこの身を埋めたいという強い衝動を必死に隠して、抑制してるんですが……。
「きみが月の光に照らされるとどんなになるかわかっていない。銀色になるんだよ、髪も、肌も、そして目も……」
ステーシアに好かれていないと思っているポールが、吐露する告白場面が神秘的です。
で、文明社会に戻った後、二人の間に立ちはだかるのは、ポールの母親と婚約者。
そして、ステーシアの傍らにもジョージが登場してます。


荒野を駆ける愛 89 (株)日本メール・オーダー  発刊:1984.02.18
ヒロイン:クローディア・ホルボーン・スペンサー(宝飾デザイナー・25歳) ヒーロー:リック・モーガン(牧場の副支配人/本名リチャード・モーガン・マロリー3世・牧場及び大企業の経営者)

あらすじ
経営してる観光牧場にやってくる女性客の扱いはお手のものだった。
一年ほど前に経験した泥沼の離婚で精神的苦痛と莫大な慰謝料を支払わされたおかげで、リックは女性に対して何の幻想も持たないことを勉強したのだ。
牧場には、独身男が少ないせいか、女性客がリックに群がってくる。不満の出ないよう、うまくさばきながら日々の雑用をこなす。
乗馬のための小馬を搬送していたリックは、あと3kmという地点で道の真ん中で停止している車に舌打ちをした。派手にクラクションを鳴らしても、動こうともしない。
鳴らし続けたクラクションに根負けしたのか、運転席から小柄ではっとするほど見事な赤い髪をもつ若い女性が降りてきた。
「ごめんなさい」と、かわいく口をついていたが、リックを眺める印象的な緑の瞳には親しみの欠片すら見当たらなかった。

金に目のくらんだ女性(実母と妻)に捨てられたリックが受けた傷は、全く癒されてません。
攻撃は最大の防御とばかり、クローディアを初めて見た時、
「きみには近よらないほうがいいと、自分に言い聞かせた」らしく、態度がよろしくありません。
そんな彼と衝突することになったクローディアとて、離婚した夫(その後、事故死)との問題を引き摺ってます。
だからといって、近寄ってくる男性に対して敵愾心を抱かないところが、素敵な女性。
地に足がついている女性です。
リックの素性を知っていたけれど、その事を黙っていた件について彼から金目当ての女だと罵られて、プツンと切れた後の言動は読んでてスッとします。
リックが謝りたがっていると、クローディアの兄ジム(リックの会社の弁護士をしていた)が仲介役をしてきて、リックは別れた妻に莫大な慰謝料をむしり取られて傷ついていたんだと知らされるのですが、
「どこが傷ついたっていうの……、心? それとも札入れ?」
電話も住所も知らせないクローディアに、詫びをいれるためにリックが奔走してます。
牧場での休暇中、リックを含めて独身男性に言い寄ってる女性のみっともない言動の描写が素晴らしいです。犯罪や地震にに巻き込まれたクローディアは自力で窮地を脱した後、リックの腕の中で休息をとり、親密感が高まっていく展開が好き。
メモ:クローディアの元夫ジョニーは、人生にスリルを求めるタイプの人間。クローディアの幼馴染みで親友のプルーデンスと再婚し、3ヶ月後にハンググライダーので事故で死亡。



ジェニー・ノーラン

悲しみよ,さようなら 103 (株)日本メール・オーダー  発刊:1984.06.20
ヒロイン:ジャニス・モーガン(洋裁店経営・24歳) ヒーロー:チェイス・ブランドン(元軍人・博物館館長就任予定・30歳)

あらすじ
マーシィ・エドワーズにとってジャニス・モーガンは本当に歯の立たない相手だった。強いていうなら、マーシィの父親が大層な資産家であるということだけが、優位な点だった。
ジャニスを無視することができたらしたかった。でも彼女が作り上げるそのドレスの素晴らしさと言ったら、息をのむほどで、そのドレスを身につけたら自分が世界一の美女になったような気分に浸れるほどのものなのだ。
ジャニスは、裁縫の技もデザイナーとしての力量も素晴らしい上に、見事な美しい金髪ももっていて容貌も美しい。そんな彼女を妻にしたいと、デパートを経営するマック・マクリーンが狙っているというのは町でも有名な噂となっていた。2人の婚約発表は秒読み段階だという者までいる。
そんな発表など一生、聞きたくないと祈っていたマーシィの願いが少し叶えられたのかもしれない。
町に、チェイス・ブランドンという男性が戻ってきたのだ。彼は、ジャニスの昔の恋人だったらしい。うまくいけば……。

7年前、恋人同士になったばかりだったジャニスとチェイス。
けれども、チェイスは軍に入隊予定で、ジャニスは奨学金を貰って専門学校にいく予定の身。
分別を働かせたのはもちろんチェイスだったんですが、その別離の時のごたごたでジャニスは今なおかなり傷ついてます。
17歳だったジャニスに分別を期待するのが無理だったわけですが、7年経った今でも、悪いのはチェイスの方だったという意識があるのが、うーむ。
再会したあとのチェイスの言動も、今一つ、しゃっきりとしないからいけないんですよね。
彼女が独り身だと知った途端、いろいろとちょっかいを出し始めるわけですが、あまりに美しい大人の女性となったジャニスにチェイスは気後れしちゃってます。
ジャニスの側には、婚約者同然の男性が鎮座しているし、デザイナーとしての腕前を買ってニューヨークでの仕事を用意している人間も出てくるわで、外へ羽ばたいていこうとしている彼女の邪魔をしてはいけないのではないかと、また、分別を働かせようとしてるんですよね。
7年前の決断と今回の決断の違いは、いざっっ。




ジェニィ・ベイツエメラルドロマンスの作品はコチラ

きらめきの旅路 154 (株)日本メール・オーダー  発刊:1985.04.20
ヒロイン:イーデン・アインホーン・ウィンスロー(宝石バイヤーの叔父の手伝い・28歳) ヒーロー:アロン・バーカー(ダイヤモンドのバイヤー・35歳?)

あらすじ
敬愛する先輩バイヤーのバルーク・アイホーンが選んだ後継者が姪だったことに、仲間内からは賛否両論が上がっていた。女性の進出が極めて少なかった業界であるから、当然のことといえる。

しかしバルークの教え方がいいのか、件の女性は着実に仕事をこなしているらしい。
アムステルダムでの仕事を終えて、帰国したアロンは、バルークから彼女を紹介された。表面上、波風の立たないそつのない対応をしてきた彼女だったが、アロンに対して何らかの反発心を抱いているのが、感じ取れるのだった。

3年前に、15歳年上の夫カルを飛行機事故で亡くした過去を持つイーデン。イーデンのことを従属物のように扱うカルの態度に、次第に反発し出し、溝がどんどんと深まりつつあった頃、夫を亡くしています。結婚生活5年の間に慣らされ、強まっていた依頼心から、独立独歩の道を歩もうと固くイーデンは決意しています。
そんな状況下で、イーデンに一目ぼれしてしまったアロンは、まずバルークに彼女に恋人がいるかどうかを確かめたりと動き出します。バルークの心臓病が原因で、ロンドンにダイヤモンドを買い付けに行くのがバルークからイーデンへと変更になったのを幸いに、迫っていくこととなりマす。
亡くなった夫の影ような存在だった過去の自分には、もう戻りたくないと決意している彼女気持ちを汲み取る優しさは天下一品。
そして、的外れな断罪をしてくるイーデンを、結局は許しているアロン。惚れた弱みですよね〜。




ジェニファー・ローズ エメラルドロマンスの作品はコチラ
エメラルドの季節 2 (株)日本メール・オーダー  発刊:1982.09.17
ヒロイン:マギー・デブリン(演劇雑誌の記者・24歳) ヒーロー:ジョージ・マクドナルド(映画監督・29歳)

あらすじ
文芸作品「ダブリンの夢」で若くして一流監督の座についたジョージは、その後、大衆に迎合したような作品を連発していた。近作「恋人志願」は長蛇の観客を動員したものの、見識のある批評家からは、
「真に偉大な監督によって作られた、史上最悪の映画」と言い放たれていた。
本人も、そんな制作状況に焦燥感を抱いていたが、売れるものを作り上げていくことに流されていた。そして到頭、ロックミュージカルまで手がけることになり、その宣伝のため、ニューヨークでも一番影響力のある週刊演劇雑誌「ライムライト」の記者マギー・デブリンからのインタビューを受けることになるのだった。
マギーは、エメラルドのような瞳をもつ赤毛の長身美人で、幸先が良いとばかりに浮かれた挨拶をしたジョージに臆面もなく、彼の生活スタイルを辛辣に批判した。
「どうしてそんな道化役になり下がったの?」
図星をさされてインタビューの席を怒りにまかせて中座したジョージは、映画監督としてどうありたいのかを見つめ直すことになるのだった。

故郷アイルランドで18世紀の女流詩人の生涯を映画化することを決意したジョージは、マギーに広告担当者として同行を求めます。
ジョージとのインタビュー記事を編集長に没にされたマギーは、衝動的に退職。その上、一年前に離婚した夫が復縁を迫ってくるという私生活から逃げ出したくもあり、アイルランドに同行することを了承します。
ジョージに強く惹かれながらも反目してしまうマギーは、アイルランドで彼の過去、女性との付き合い方に振り回されます。対して、ジョージは彼女が自分の作品(それも文芸作品)にしか興味がないのかと凹み気味。
メモ:作風なのか間怠っこしい展開が続く〜。


湖畔の二重奏(デュエット) 10 (株)日本メール・オーダー  発刊:1982.12.18
ヒロイン:アイリーン・コナー(広告代理店の秘書・24歳) ヒーロー:マット・エドワーズ(建築家・30歳)

あらすじ
情熱的に愛しあっていたと思っていた夫キースが、スチュワーデスと懇ろになった上に駆落ちをしたことから離婚して8ヶ月。アイリーンは、離婚の痛手を引きずっていた。最愛の人だと思っていたキースが、ただの軽佻浮薄な男だったということなのだ。
仕事に没頭することで、くよくよと考えてしまう時間を少しでも無くそうとしていたアイリーンに、海外出張が命じられた。スイスのジュネーブを本拠地とする高級時計会社の宣伝をする仕事を受注するためのプレゼンテーションに同行しなければならなかったのだ。
飛行機に乗ることに恐怖はなかったが、スチュワーデスを一目たりとも見たくないアイリーンにとって、頻繁に声をかけてくる彼女達は不快でしかなかった。けんもほろろなアイリーンに対して、担当のスチュワーデスであるバイオレットは愛想と根気の良さで2人の間に友情を作り上げていった。
そして、ヴァイオレットは自分の自慢の弟をアイリーンに紹介したいと言い始めたのだ。

八カ月前に離婚した夫の不誠実さ(浮気のやりたい放題)に傷ついているアイリーンを見初めたマット。彼女が服を選んでいた時、強引に、アドバイスをして服を買わせています。
その上、カフェに誘い、夕食も一緒にと有無を言わさず待ち合せ場所まで決定してしまうマット。たたみかけるようにつながりを深めようとするマットですが、アイリーンの遅刻癖が原因で躓くこととなります。
スイスのジュネーブを舞台に、行き違ってしまうロマンスが描かれます。
……作風なのか、読んでて気恥ずかしくなるほど、ヒロインが芝居じみた独白をしまくってます。


さよならレディ・ブルー 60 (株)日本メール・オーダー  発刊:1983.09.20
ヒロイン:ローレル・キャンピオン(未亡人・アマチュアゴルファー・32歳) ヒーロー:ダグ・スチュアート(有望新人ゴルファー・37歳/本名ダグラス・クラプトン・スチュアート・旧家の出・医師・名門料理学校卒

あらすじ
2時間後に開始するアマチュアとプロが混成チームを組んで対決する18ホールトーナメントにローレルは出場することになっていた。
高ぶる気持ちを静めるために、打ちっぱなしでもしようとやってきたところに先客がいることに気づいた。
30代後半のその男性が見せたスウィングは、2年前に落雷に打たれて急死した最愛の夫リードのものにそっくりだった……。

ダグが、有望な新人ゴルファーと言っても、37歳とかなり薹の立った新人。
皮肉屋で感情の起伏が激し過ぎて、すぐに機嫌を悪くしてはローレルにツンケンしてます。
過去に真剣に付きあった女性の裏切りも原因にあるのですが(人妻で夫が金持ちだったため愛人関係を強要された。その後、ダグが莫大な遺産を相続した途端、夫と離婚するからとすり寄ってこられた)、何でもかんでもローレルを色眼鏡で見て嫌な性格丸出しであります。
でも、ローレルの隣にはキャンピオン家のお抱え弁護士がいて、端から見たら本当にお似合いのカップル。ダグの嫉妬の余りの言動だったり。
出自を隠して、プロゴルファーなりたての自分を見てくれる人を探しているダグ。正直でないのは彼の方なのに偉そうだわー。




シェリー・カー 
愛の幻影 74 (株)日本メール・オーダー  発刊:1983.11.19
ヒロイン:キャシー・ダニエルズ(システムエンジニア・28歳) ヒーロー:ジェイク・ウェストン(会社経営者・30歳後半)

あらすじ
会社内のコンピューターシステムを刷新するために、ジェイクは自らシステムを練り上げた。そのシステムの稼働を早急にあたらせていたが、どうにもうまくいかない個所がでてきているらしい。
システムの検分をしている部署に顔を出したジェイクは、そこで他社からヘッドハンティングしてた程、優秀なキャシー・ダニエルズの冷たい視線を浴びた。
彼女はほっそりとした若々しいからだを無様なスーツで隠し、漆黒の豊かな髪を引っ詰めにしていた。仕事だけの冷たい人間の雰囲気を醸しだしていたが、彼女の藍色の瞳が、その雰囲気を裏切っていた。押し殺した感情の塊を奥深くに隠している。
キャシーから、システムの欠陥を上司に進言してももみ消されてしまったとの報告とともに修正案を、突き付けられた。
書類に呈示されていた事実は、ジェイクをうならせるものだったが、それを素直に認めるのはしゃくだった……。

結婚式を三日後にに控えていたキャシーですが、婚約者が新居となるアパートでブロンド娘といちゃついている場面に遭遇し、破談。開き直った婚約者からの暴言に深く傷つけられたキャシーは、仕事にのめり込み、ヘッドハンティングされた会社でも頭角をあらわすほどの成果をあげます。しかし周囲の男性陣(特に上司)はそれを快く思わない状況が続いてます。
社長自ら作り上げたシステムに欠陥があることを指摘し、修正した書類を上司に提出するのですが、なかったことにされる始末。
そのことを社長に進言しても、女のくせにという態度を取られ、キャシーの堪忍袋の緒が切れてます。
口が上手くて見栄えの良い婚約者に真心を踏みにじられたキャシーは、その類いの男性とは2度と親密なお付き合いをするつもりはないと固く決意。その類いどころか、人畜無害っぽいのもはねつけて、仕事だけの生活。
そんな状況下に現れたジェイク。
キャシーの美しさに興味を示し、彼女のアイルランド気質を気に入り、殻に閉じ籠もっている彼女を連れだして親密なお付き合いをしようとあの手この手で迫っていきます。
ジェイクのそんな態度を、キャシーは一夜の情事の相手にするためにしかけてくるのだと思うんですよね。
ジェイクは、飽きるまでというか、期間長めの情事相手としてキャシーを見てます。
一夜の情事よりは格が上だという意識があるジェイク。
……それって、どうなのよ?
キャシーに対する思いが、深い愛情だと気付く場面があるんですが、いつから気付いたのと彼女に問われ
「今夜からだよ」
えっ、今夜だったの!?(笑)
あれだけ追い回しといて、鈍っっ。





ジーナ・ハントシルキーロマンスの作品はコチラ
まろやかに酔いしれて 65 (株)日本メール・オーダー  発刊:1983.10.19
ヒロイン:ダイアナ・キングストン(ワイナリー経営者・24歳) ヒーロー:ジェイムズ・スチュアート(実業家・30歳?/6年前に名乗った時は、ジェイミー・モレル)

あらすじ
魅力的な女性リサに出会い、その姉がダイアナだと知った時、ジェイムズは封じ込めた筈の記憶が一挙に甦った。6年前、結婚しようと誓い合ったのに良家の男に走ったダイアナの卑劣なやり口は未だに、ジェイムズの心を苛んだ。
季節労働者としてダイアナの父が経営していた葡萄園に雇われていたあの時と違い、今の自分なら、対等に、いやそれ以上の立場でダイアナの前に立てる。
リサの話によれば、父親が亡くなったあと、葡萄園の経営は年々厳しくなっているとのことだった。資金繰りに喘ぐダイアナをみれば、この復讐心も少しは和らぐのだろうか……。

6年前の破局はダイアナの父親の差し金が原因ですが、ジェイムズの劣等感が更に事態を悪くしたんですよね。
で、今回、再会したあと、ジェイムズがダイアナを底意地悪くというか卑小なまでにいじめまくるんですよ。
挙げ句の果てにワイナリー目当てじゃないダイアナが欲しかったんだということを証明する為に、ぶどうの摘み手がダイアナの葡萄園で働かないよう裏で手を回すという……はぁ!?なにそれ!?
権力財力の誇示をして、ダイアナより優位に立っている自分の立場を見せつけて、彼女が大切にしている葡萄園なんてこれっぽちも欲しくないことの証明をしたらしいんですが……とても大事にしているものをそんな風に足蹴にされて喜ぶ人がいるわけないじゃん!!と思っていたら、ダイアナがえらく感動というか納得していて、驚愕!!した作品。
あと、ダイアナの妹リサの男を手玉にとっている態度がいただけない限りなのに、因果応報にならないのは何故〜。


翡翠の誘惑 88 (株)日本メール・オーダー  発刊:1984.02.18
ヒロイン:ソーン・カールトン(環境調査員・28歳) ヒーロー:ラファエル・アームストロング(映画プロデューサー兼監督・38歳/愛称ラフ)

あらすじ
祖父の代に蔓延したインフルエンザは一族の命を根こそぎ奪い、ただ一人生き残った祖父はあまりのつらさから彼の地を去った。それでも、死ぬまで望郷の念を抱き続けたことをラフはしっかり受け止めていた。
だから、ハリウッドの虚飾に満ちた生活に倦み、大事な妹の療養地を作る為に、一族のルーツとなるこのカリフォルニアの沿岸に戻ってきたのだ。
祖父が出た時にはあった屋敷は残骸すらなかったが、もう一度、一族の「よすが」を建てるつもりだった。
郡に建築の許可申請も出し、仕事を詰め込まず、この夏は家ができ上がっていくのを見守っていくつもりだった。
その土地に無断で入り込み調べまわっている女の姿をトレイラーの窓から見つけたラフは、怒りを押さえようともせず大股で彼女に近づいた。
「わたしの土地から、いますぐ出ていきたまえ」
ここまでやってくるレポーターのハイエナ根性には嫌悪感しか湧かなかった。

ラフが郡に提出した建築許可申請に基づいて調査にやってきたソーンはいきなり、彼の不機嫌な態度に晒されることとなります。
ハリウッドに住む人達と自分は相容れないということを身をもって知っているソーン。
結婚まで考えていた恋人マークが、仕事をとるためなら誰とでも寝るという現実。そしてそのことを愚痴った相手は、ゴシップ記事に面白可笑しく書き立てるという世界と、すっぱり縁を切った筈なのに、その業界の重鎮がやってきてソーンを掻っ攫っていきます。
でも、これは一夏の情事だとわきまえてしまっているソーンの考えを知らされ、本気で付き合っていたラフは愕然。そして、レポーターが彼女につきまとった事を知り、嫌な思いをさせてしまったとラフ自身が傷ついた顔をするんですよね。最初あれだけ偉そうだった彼が、
「どうしたら、ぼくを愛してくれるんだい?」
一冊の中で、ラフがぐぐっと人間的に成長を見せてます。
ジーナ・ハントの作品ばかり立て続けに読んで、この作者さんとは、萌え要素が違うみたいだと思ったのですが、この作品はなかなか良かったです。


まばゆい海に抱かれて 90 (株)日本メール・オーダー  発刊:1984.02.18
ヒロイン:ヘザー・ワーシング(新進の肖像画家・25歳) ヒーロー:ロス・アンドリュース(医師・僻地医療に従事・35歳)

あらすじ
ヘザーと離婚したの間違いだった。僻地医療というやりがいのある仕事に打ち込んでいても、心が満たされない。この9カ月間、考えることはどうしてあの時、ヘザーをあきらめてしまったのだろうという悔いだけだった。
彼女をこの島に呼び寄せたかった。そうすれば、いつも彼女の周囲に群がっていた輩のいないところで、もう一度2人の絆を取り戻し深めあうことができる。
絵を描く彼女が住みやすいように、新居も建てた。
後は、彼女がこの島までやってくるのを一日千秋の思いで待つだけだった。

僻地医療という崇高な仕事をしていると強く自負しているロスの態度が鼻につく。
金もうけとか社交にうつつをぬかしている人達に対して、大層、辛辣だし。
自分の生き方を曲げず、他人が変わることを強要するばかりなのは、ちょっとね。あと、身体の相性がぴったりだったことから、問答無用でヘザーを押し倒してます。そしてヘザーも流されっぱなし……。




シビル・ルグランド
シルクのささやき 120 (株)日本メール・オーダー  発刊:1984.10.20
ヒロイン:シドニー・マッケーナ(6カ国語を操る翻訳者兼通訳者・29歳) ヒーロー:フィリップ・オリバー(難民キャンプを運営・35歳/愛称チップス氏)

あらすじ
経営する会社を倒産させないためには、抜本的なコストダウンが必要だった。フィリップは、それぞれの候補地から上がってきた書類が本当に、添付されている英語訳と同じことをいっているのか確認がとりたかった。
知人の弁護士から、丁度よい人材がいてると紹介されたのが、シドニーだった。
……彼女はなんというか、ビジネスの会合にくるような格好からはちょっと外れていた。待合せの時間を過ぎていたこともあって、急いできたせいで、髪はくしゃくしゃに乱れ、あろうことか足下はナイキのジョギングシューズだった。

前妻への莫大な離婚慰謝料が原因で、会社運営に支障がきたしているフィリップ。
打開策として、南米に工場を建ててコストダウンをはかるために大臣クラスとの交渉に入ろうとしてます。
その資料の翻訳と交渉の通訳としてフィリップに雇われることになったシドニー。
公私混同をしたくないと公言しているフィリップの方が、押せ押せで迫ってます。
シドニーのことが好きで好きでたまらないという高揚感が滲み出ている言動をとりまくり。
彼女が宿泊している部屋を訪問するために、
「窓からはいだしてきたんだよ。三十五にもなる大の大人がだよ。こんなことをするのは、寄宿学校にいってたとき以来だ。まったくどうかしているね」




シモーヌ・ヘイダリー
運命のポルトフィノ 8 (株)日本メール・オーダー  発刊:1982.11.19
ヒロイン:クリスタ・ロゼッテ(商業デザイナーの卵・2人の子持ち・30歳/愛称クリス) ヒーロー:マーロ・デブリス(有名画家・34歳)

あらすじ
シカゴで美術学校に通っていた頃、マーロはクリスタを一目見て思い焦がれた。
田舎娘だと自負する通り、彼女の身持ちは固く、マーロがどれほど誘惑しても肌を許してはくれなかった。付き合いは2年に及び、思いの深さはますます、つのるばかり……。
けれども、パリでクリスタと共に暮らして、画家として大成したいという、マーロの野心や思惑は、彼女が他の男と結婚するからという言葉に砕け散った。
あれから、10年。
イタリアのポルトフィノに大邸宅を建て、暮らしているのは一縷の望みが捨てきれないからだ。
ヨット遊びの帰り、涼みに入ったカフェで、マーロは後ろから声をかけられた。
「こんばんは……」

学生時代から一途にクリスタを愛し続けたマーロ。彼女が離婚し、自由の身になったことを知り、今度こそと強く迫っていくこととなります。彼女が欲しい余りに、17歳の頃のようにがっついてしまうこと数回。
マーロと再会して、気が動転しているクリスタは、急速に仲を深めようとする彼のやり方についていけず、何度かこじれる展開が続きます。
その上、過去の出来事がマーロの行動をいろいろと妨げます。まだ20歳になったばかりの美しいニコルという女性が、マーロの周りをうろちょろ。2人の親しな様子に不信感を強めざるを得ない状況にクリスタは陥ります。
なのに、マーロは、ニコルとの仲をきちんと説明せずと、ダメ男振りを発揮。
10年間ただひたすら、想像して描き上げたクリスタの裸婦画の存在は圧巻。


不確かな愛の眼差し 62 (株)日本メール・オーダー  発刊:1983.09.20
ヒロイン:キャシー・トーマス(大学の英文学講師・離婚後10年・4人の子持ち・35歳) ヒーロー:ロビー・ダロー(大学生・財閥の三男坊・25歳)

あらすじ
キャシーが手間ひまかけて改造している家は、ロビーが幼い頃から恋い焦がれていた家庭そのものだった。
財閥の三男坊に生まれ、お金だけがふんだんに与えられてロビーは成長した。
ロビーには家族としての暖かい記憶がない。長じてからは、父の掲げる経営理念を、ロビーはどうしても認めることができず、2人はぶつかり合うだけの親子関係だった。
だから、キャシーが末娘に注ぐ愛情の深さ、そしてロビーを受け入れてくれた度量の広さは、どれもこれも彼には、世界で一番、大切なものに思えた。
キャシーが気にしている年の差ぐらいのことで、別れようだなんて絶対に許さない……。

10年前、他に好きな女性ができたからと離婚を突き付けられたキャシー。その時、お腹の中には末娘アミーがいて、息子2人を夫の元に置いていくのもつらかったけれど、7歳の長女とこれから生まれてくる赤ちゃんとどうやって暮らしていけばと、キャシーは経済的に苦しい時期を経験しています。
長女が大学に入り、9歳になった末娘も手がかからなくなり、ようやく自分の時間を持てるようになった時に、ロビーと出会います。
元夫と休暇を過ごすために娘達をつれていった帰りみち、故障して動かなくなった車のフェンダーに腰掛けていたキャシーの側を通り過ぎようとしたロビーが助けの手を差し伸べます。
ほとんどキャシーに一目ぼれ状態のロビー。
初めは教師と生徒という間柄を理由に迫ってくるロビーを拒絶し、次は年齢差で躊躇し、そしてロビーが子どもを欲しがっている様子に、ようやく子育てが終了したのにもう一度する気力がわかないと別れを決意し……。
年上ならではの悩みで離れていこうとするキャシーに、別れを撤回させるべく、誠実に話し合ったり熱い時を過ごしたりと若さで勝負していくロビー。キャシーに言い寄る男(大学のバスケットコーチ、離婚したばかりの38歳)の存在に嫉妬に苦しむ姿なんて良かったわ。
ロビーとその父親であるレイモンドとの確執を、年の功でキャシーが解いてます。
キャシーの親友スーザンが、
「貴方の為を思って言っているのよ」を掲げて、さんざん年下である男にのめり込むなと口をだしています。スーザンが助言をする度に、「やっかみ?」
スーザンの見方は、世間の視線を端的にあらわしていてうまい作り。




シャーロット・ハインズ(シルキーロマンス、別名ジュディス・マクウィリアムズ

天使のいたずら 115 (株)日本メール・オーダー  発刊:1984.09.20
ヒロイン:ルーシー・トラバース(システムエンジニア・27歳) ヒーロー:カレブ・バニスター(ベンチャー対象の投資家・弁護士)

あらすじ
いつものジョギングを開始したカレブは、今まで見かけたことがない長身の女性が、走っているのに気づいた。
……見るからにずぶの素人の走り方だった。あのままでは、身体を悪くする。
そのことを忠告してあげたい、というより、カレブは彼女とお近づきになりたくて仕方がなかった。
一心不乱に走り続けている彼女を2度追い抜かして、3度目に入ろうとした時、彼女が急にカレブの方に振り向いた。
運の悪いことに、散歩に来ていた小型犬に足をひっかけて彼女は転倒してしまったのだった。

隣人のベスが玉の輿に乗りたいと言いだし、その相手は名うてのプレイ・ボーイであるカレブ・バニスター。カレブに見初められるために、ベスは彼の好みの女性になろうとするわけです。
カレブについてわかったことをデーター入力をしていくのですが、そのプログラムを作ったのが、ルーシーとなります。
隣人ベスの恋路というか「目指せ、玉の輿!!」のために、インドアのルーシーがジョギングをする羽目に陥ったりとコメディタッチで物語りが進んでます。




シャーロン・フランシス

陽は東から 101 (株)日本メール・オーダー  発刊:1984.06.20
ヒロイン:リー・ハーリィ(ボストンのリース大学社会史助教授・31歳) ヒーロー:イワン・アキラ(日本の大企業の御曹子・父が華族「男爵家」母がロシア人のオペラ歌手)

あらすじ
リー・ハーリィは男なら誰でもその身体を組み伏せたくなるような容姿の持ち主だった。その見目に惑わされたイワンは、社会史を勉強し本を執筆するのだという彼女の真摯な言葉を、煩げに聞き流すだけだった。

日本を舞台に、リーとイワンのロマンスが紡がれます。
……イワンのパワハラ&セクハラがひどくて、読み初めはひくことひくこと。女性蔑視がここまで凄いのにびっくり。まぁ後に、リーに対する見方が変わるんですが、それまでの失礼な態度をちゃんと謝って欲しいものですー。
あと、日本社会が良く描けているようでいて、変だよなぁというなんだか納まりの悪い設定となってます。イワンの異母妹ミドリとお見合い相手であるヒデオ(イワンとは友人)とのロマンスの方が読みたかったよなぁ。かなりピュア路線だったので。


忘れえぬ面影 119 (株)日本メール・オーダー  発刊:1984.10.20
ヒロイン:グエン・トラバート(法律専門秘書「パラリーガル」・25歳) ヒーロー:ジェイソン・コーネル(若手建築家・28歳)

あらすじ
湖面を我を忘れたかのように眺めている若い女性の憂いを帯びた美しさに、ジェイソンはつい声をかけてしまった。
グエン・トラバート
彼女の夫レイフは、上院議員を目指していた道半ばにして35歳という若さで交通事故死したという悲劇もあいまって、この地方ではすでに伝説のような存在となっていた。

脱け殻となりかけていたグエンは、夫が愛していた美しい故郷で、生きる術を再構築しようとやってきたらしい。
しかし、風光明媚な田舎町ウェイボローは、現在、開発か環境保護かで大揺れに揺れていて、レイフ・トラバートの名前を利用すれば優位に立つことができる踏んでいる両陣営にとってグエンはシンボル的存在となっていた。

偉大なレイフ・トラバートの影にしなくてもよい嫉妬をしてしまうジェイソン。
グエンの何気ない一言に過敏に反応して、機嫌を急降下したりしてます。
まだ、将来を見据えてのお付き合いをするところまで気持ちの整理がついていないグエンに惚れ込んでしまってます。最初から真剣なお付き合いをしたいと願っていたのに、期間限定の情事以上のものは求めていない振りをしてます。
2人が抱いている愛情のアンバランスに、ジェイソンが影で苦しんでます(たぶん)


胡蝶蘭の咲くころ 145 (株)日本メール・オーダー  発刊:1985.02.20
ヒロイン:アリックス・ディレーニー(貿易会社幹部/モデル名アレグザンドリア) ヒーロー:ギャビン・アラン(グループ企業総帥・タイ王家縁戚)

あらすじ
忙しすぎる仕事の合間をぬって公園の散歩に出かけたギャビンは、そこで、紛れ込んでいた水牛の大きさに度肝をぬかれて立ちすくんでいる女性を見かけた。
流れるような金髪に、人目をひく容貌、そして淡い紫の瞳が水牛の大きさに見開いている。
「大丈夫ですよ。人間には危害を加えませんから」
ギャビンは声をかけながらゆっくりと近づいていったが、彼女の視線は水牛に釘づけになったままだった。
迷い込んだ水牛の持ち主があらわれて、ようやくこちらに意識を向けてきたと思えた瞬間、立ち去ろうする彼女をギャビンは追いかけた。
なんとか自己紹介をしたギャビンに、彼女が慌ててアリックス・ディレーニーだと名乗ってきた。
驚いたのは、モデルばりの美貌の持ち主である彼女が、アラングループが生産するシルクのアメリカでの独占販売を得たいと仕事の話しをしてきたことだった。

アリックスは夫ブレーディーを水難事故で亡くし、ギャビンは五年前に妻セラニーを病気で亡くしてます。
5年前セラニーが重病に臥せっていた時、ギャビンは、ブレーディー・ウェアが仕掛けてきた不正な取引に足下をすくわれかけるという嫌な過去があります。
過去の不正の真相は、割と早い時期に明らかになってます。
仕事に全力投球するアリックスをなんだかんだと連れ出すギャビン。硬軟とりまぜて、求愛しているのですがなかなかうまくいってません。
うまくいっても、アリックスの仕事中毒ぶりにはじき飛ばされてたり。
その度に、つい言わなくてもいい一言をつきつけたり、捨て科白を吐いてしまったりするギャビン。
憔悴するほどに落ち込んでは、アリックスの元に舞い戻ってしまうんですけどね。
俺様的な言動をとるのに、アリックスがのめりこんでいる仕事に嫉妬し、亡くなっている夫をライバル視しています。
作中で、アリックス、ギャビンが「大阪」を会話にとりあげてます。桜並木とか銀杏並木とか。あと、公正な取引に関する商売感覚が日本の商法に近いなぁと感じて、巻末の作者紹介を確認してみたら、「芦屋うまれ」
物語の展開とか、仕事にのめり込みすぎることを除いてアリックスに非がない設定等、かなり私好みの展開で、この作品って日本人仕様なんではないかと思いました。




ジャン・マシューズ(ジャン・マース)
前夫や元恋人の仕打ちに傷ついたヒロインは、そのつらさ故に男性に対してかなり攻撃的。対して、ヒーローはヒロインの傷をこれでもかと毎回、つつきまわしてます。そういう設定が好きなのかしらん?
シルキーロマンスの作品はコチラ


愛は雪原に燃えて 49 (株)日本メール・オーダー  発刊:1983.07.19
ヒロイン:ジニル・セルトン(看護婦・26歳/愛称ジン) ヒーロー:ノア・グレイディ(神経外科医・30歳)

あらすじ
ミネソタのレイクサイド総合病院の神経外科医として一線で働いているノアに逆らう人間は、今まで一人もいなかった。ノアは研修医であったが、その腕前は自他共に認めるほどのものだったのだ。
また、その際立った容貌のおかげで、女性に不自由していないことも彼の傲慢さに拍車をかけていた。
だから、2日前にやってきた看護婦ジン・セルトンがとってくる態度は、ただひたすら腹立たしかった。
同じ職場で働き出して2日も経つのに、ノアの顔すら覚えていなかったのだ。

誰もがちやほやしてくれる環境にいたノア。その中で、仕事に真剣に向きあわない人間は認めないという態度を貫くジンに出会ったノアは、反発から、ひたすら彼女に対して居心地の悪い職場環境を作っていくこととなります。
看護婦として経験豊かな彼女にいらぬ説教をたれたり、神経外科から産婦人科へ配置替えを強要したり。
看護婦としての仕事に疲れを感じ始めていたジンは、あまりの仕打ちにさっさと退職。慌てたノアは、賄賂を使って彼女の住所を調べ上げてアパートまで押しかけてます。
そこからは、自分の良い面を見せようと躍起になるのですが、いかんせん、それまでの言動がアイタタタだったために根本的な所で信じてもらえず……。
両親を交通事故で亡くした日の夜に、慰めてもらおうと婚約者だった男性(産婦人科医)の元に行けば、他の看護婦とベッドでよろしくやっている真っ最中だったということが最近あったばかりのジン。傷ついた心が全く癒えてなかったところに、ノアが乗り込んできたので、元婚約者への不信感をそのまま突き付けたりと、ジンの方にも問題がおおありの展開となってます。
逃げ出すジンを必死に追い求めるノア……ジンが逃げ出したくなるような言動を慎んだらもっと楽に事が進むんだよー。でも、男が追いすがっていく展開は大好き。


恋は謎めいて 149 (株)日本メール・オーダー  発刊:1985.03.20
ヒロイン:カーリンダ・アンダーソン(ワイオミング牧場主・24歳/愛称カーリー) ヒーロー:ジョシュア・デイビッド・ケイド(地質学者・内務省土地管理局の局長・34歳)

あらすじ
もう随分と長い間、カーリーが経営している牧場は、地元の石油会社に目を付けられていた。埋蔵されている石油が桁違いらしいのだ。
「土地を売れば金持ちになる」
業者が手をかえ品をかえて土地の売却を迫ってきたが、祖父の代から続く牧場を手放す気は毛頭起こらない。
膠着状態にあったところに、一帯の地質調査をるすために、地質学者のジョシュア・ケイドがワシントンからやってきた。彼は、カーリーが5年前に離婚することになった夫と良く似ていた。
ハンサムで、口がうまく、自分の意見を押し通す……。

祖父の代から続く牧場を愛しているカーリー。その牧場に莫大な石油が埋蔵されているらしく、地質調査にやってきたのがジョシュ。
キャンキャンと怯えて鳴き喚く犬のように、カーリーが事あるごとにジョシュに楯突いてます。
そんな井の中の蛙であるカーリーを更につつくような言動をとるジョシュもある意味、人間ができていないというか……大人げないです。
でも、カーリーの為に必死になって政治的駆け引きを駆使してくれる誠実な人でもあります。
思い違いをしているカーリーの、早とちりが一番悪いんだろうけれど、それに乗じて自分の素性や立場を言わない大人の狡さが、ジョシュにはあります。ワシントンの政治的駆け引きにはウンザリしているらしい彼ですが、自身がどっぷり漬かっていて田舎の純朴な人たちを良いように扱っている感じ……。


ねらわれたヴィーナス 152 (株)日本メール・オーダー  発刊:1985.04.20
ヒロイン:ローリーン・リーゼル(未亡人・フットボールチームのオーナー・25歳) ヒーロー:ビンス・ディモロ(有名なクォータバック・31歳)

あらすじ
離婚寸前だった夫スティーヴが飛行機事故で、亡くなった。酔いどれたまま操縦していたのだから、当然の結果だったのだろう。二人の仲はもう修復ができないほどとげとげしいものになっていたが、悲嘆に暮れてしまうほどの大きなショックをローリーンに与えた。
あれだけローリーンに愛を囁いたスティーヴの目的が、彼女の受継ぐ財産だけだったことが明るみに出た時から、二人の関係は崩壊の一途をたどったのだが……。
浮気に豪遊に、果ては無謀な投資まで、これみよがしにし続けたスティーヴに、幻滅していったのだ。
もう2度と、男なんて信じない……。

スティーヴが遺したものは、莫大な借金と成績のぱっとしないフットボールチーム。その上、共同経営の一人は、女性のことを格下だと思い込んで、バカにした態度ばかりとってくるから、いやになることばかり。それでもオーナーになったからには、チームの再建のために踏ん張ろうとするローリーン。
チームが勝つためには、優秀な選手を獲得しなければいけないということで、目をつけたのがビンス・ディモロ。
実業界でも名も実もある男性の私生児としてこの世に生まれたビンスは、父親から一切の援助をしてもらえず底辺からはい上がってきた人物です。その恨み辛みから、上流階級に属しているローリーンを目の敵にしてつつき回してます。
まぁ、ローリーンも無自覚で階級意識を振りかざしてしまったりしてるんで、余計にぶつかるぶつかる。2度と男に騙されてなるものかと身構えているローリーン。
対して、彼女のことを本気で好きになってしまったことを早々に自覚してしまったビンス。ローリーンの主張なんて馬耳東風&口の上手さで粉砕して、追い掛け回してます。




ジョリーン・アダムス
結婚協定 56 (株)日本メール・オーダー  発刊:1983.08.18
ヒロイン:アントワネット・マクレガー(弁護士を目指す・莫大な遺産相続人・25歳/愛称トニ) ヒーロー:ニコラス・コールドウェル3世(コールドウェル産業の御曹子・35歳/愛称ニック)

あらすじ
祖父が興したコールドウェル産業の取締役会長に就任することが、ニックにとって妄執になっていた。
会社を運営していくだけの能力はあるし実績も積んでいる。しかし、株主たちは、ニックの女遊びがすぎるという素行の悪さに眉をひそめているらしい。
株主たちに良い印象をもってもらうために、ニックがしたのは、結婚することだった。相手の女性は、旅先で偶然知りあったトニ・マクレガー。
彼女は、巨万の富を持つニックの懐になど興味を持たない希有な存在だった。

会長の座を手に入れるために契約結婚したトニについて、ニックは幻想というかロマンチックな妄想を抱いています。トニのことを身寄りのいない貧しい娘だと思い込み、自分の財力で幸せにしてあげるというのを夢みる御曹子。
実際は、莫大な遺産相続人であるトニはその財力のおかげで、婚約者だったボブから手痛い仕打ちをうけてます。トニの財力をあてにして老舗弁護士事務所の共同経営者になろうと躍起になった婚約者に三行半をたたき付け婚約破棄したのですが、傷は癒えてません。
トニが財産家だった上に、その母親キャサリンとニックは敵対関係にあるというややこしい人間関係があとから判明し、ニックはぶち切れ。吐き捨ててしまった暴言は、当然とり戻せず、ニックに対して身構えることとなったトニを前に深く後悔する事となります。一目ぼれだったトニにどんどん執着していくニックですが、トニが複数の男性と情事を楽しんでいるような写真が送り付けられ、その写真をネタに強請られたりと、心痛に見舞われてます。
嫉妬心を煽られ、会長就任の前途多難に憂え、と公私共々ニックは心が休まりません〜。
何とかしてトニを喜ばせたいと、高級車を贈るもののその車種がボブの運転していた車だったせいで喜んでもらえなかったり、血統種の子犬をプレゼントしても今一つの反応しかみせてくれないトニに、落ち込んでます。その落ち込みを男の沽券にかかわるからと隠しているのがなんだか初々しいというか不器用で、好きな場面です。




スザンナ・コリンズ(セザンナ・コリンズ)
渚の出会い 3 (株)日本メール・オーダー  発刊:1982.09.17
ヒロイン:ティターニア・エバンス(高級ブティックの経営者・29歳) ヒーロー:アチェソン・レーン(建設中の高級リゾートホテルの経営者・31歳)

あらすじ
アチェソンの亡くなった両親は、財を食いつぶすだけの飲んだくれのどうしようもない大人たちだった。
保護者である彼らから、気にもかけられず、邪魔者扱いされながら育ったのだ。
アチェソンには叶えたい夢が2つあった。
祖父が一時期経営し見事に采配していた高級リゾートホテルを自分も経営したみたいというのが、一つめ。
もう一つは、12年前に出会ったきりの少女と、生涯をともにしたいという叶えられそうにもないものだった……。

ティターニアとアチェソンが最初に出会ったのは12年前で、17歳と19歳だった若い2人は夜の浜辺で、最後の一線は超えないのですが、親密な時を過ごします。
再会した2人のロマンスとなるわけですが、アチェソンの方は早々にティターニアを生涯の相手だと自認して迫っていくこととなります。
「ぼくは、きみを島に取り戻すためならなんでもする気だった」
対して、ティターニアは離婚した夫ジェレミーに思いを残しまくっていまして……。
結婚していても異性関係を含めて束縛しあわないでおこうというジェレミーの考え方に付いていけなくて、離婚に到ったティターニアは自信喪失気味。
「男の人をずっと惹きつけておくことができない女なのよ」
色んなことを言い訳にして、2人の仲を進展させようとしてくれない彼女に対して、アチェソンは彼女と生涯を共にすること以上に大切なものは何もないという考えに到っているので揺らぎがありません。
アチェソンのパトロンである女性が、ジェレミーを情人にしているというアイタタタな乱れた関係を織り交ぜながらロマンスが展開されることとなります。
ティターニアと再会してからのアチェソンは一筋なので、ご心配なく。どちらかというと、ティターニアのジェレミーに対する感情のほうが不倫ぽい感じ。


すき透るように愛して 19 (株)日本メール・オーダー  発刊:1983.02.18
ヒロイン:アリアンヌ・チャールズ(元調教師・未亡人・米国人・27歳) ヒーロー:ジャック・バルボンヌ(ベルギー貴族・世界的に有名な調教師)

あらすじ
母亡き後、父親に甘やかされて育った妹ダニエルが、米国で種牡馬を購入してきた。その受け取りに港にやって来たジャックは、馬を下船させている人物を見て驚いていた。
妹は、長年連れ添った夫を落馬事故で失った未亡人が馬に付き添ってやってくると言っていたのだ。
てっきり、年のいった白髪の女性だとばかり思っていたのに、目の前にいるひとは赤みを帯びた褐色の髪を持ち、馬を扱う毎日で鍛えられたしなやかな身体からは魅力が滲み出していた。

落馬のあと、蹄に胸を踏み潰されて命を落とした夫を目前にして、アリアンヌは乗馬することができないほどのトラウマを負っています。仔馬の時から、調教していた愛馬ウィリーの世話もできなくなって、悩んだ末に大事にしてもらえる人の元に売却することを決意して、ベルギーの地を踏むこととなります。
出会った2人は、最初から惹かれ合うのですが、ジャックには10年前、一方的に別れを告げた女性シモーヌがべったり張り付いています。離婚間近と噂されるシモーヌには、ジャックに瓜二つの息子ピエールがいるから更に、ややこしいことに。
ジャックが、あけっ広げにアリアンヌをくどいたり隙あらば言い寄ったりしてるんですが、迷惑な性格を持っているシモーヌが影を落としてます。
ジャックと付き合い出すにつれ、アリアンヌは、否応なく乗馬に対する恐怖心を取り除いていかれ、女性としての自信をつけていく展開の作品。


マタドールの甘い囁き 22 (株)日本メール・オーダー  発刊:1983.03.02
ヒロイン:ロージー・パウェル(新進画家/愛称ローザ) ヒーロー:ファン・デ・アレバロ(有名なギタリスト・スペインの侯爵)

あらすじ
ファンにとって、一目見ただけで、こんなに心を鷲掴みにされた女性に出会ったのは、初めてだった。
プラド美術館でゴヤの「裸のマヤ」を一心に見つめている彼女を見かけた時に、
「彼女がどうしても欲しい」という強い想いがファンの身体を突き抜けたのだ。側にたつ男が、彼女にとってどんな存在であっても奪って見せる……と、息込んでいたファンに、その男性は彼女の兄だと名乗ったのだった。
ロージー・パウェルと紹介された彼女の方も、こちらに惹かれているという信号は出ていた。
二人の間に障害はなかったのだと、ホッとしたのも束の間、彼女の兄がレストラン「コネホ・ブランコ」の看板娘ラファエラと結婚しているという事実を知り、過去の自分の所業を悔やむしかなかった……。

侯爵という血筋の上に、世界的に有名なギタリストであるファン。もう、女なんて取っ換え引っ換えの生活をしていたところに、ロージーが現れます。
情欲の赴くままに、ファンは迫り出します。けれども、結婚式を間近にして幼馴染みでもあった婚約者に捨てられたロージーは、ファンが差し出す情事を手に取ることを躊躇するのは当然のこと。
二人の間に恋の駆け引きが展開されていきます。
そんな状況下の中、ロージーにちょっかいを出す男性陣に振り回されるファン。
そして、先日までファンと付き合いのあった有名女優ジェーンが彼の周りをうろちょろし出して嫉妬に苦しむロージー。
前半は、
「ファンとラファエラの関係は、一体何なのか?」
後半は、
「仕事とファンのどちらを優先するのか?」
という話の筋の中で、恋敵達が暗躍しまくってます。
ジェーンなんてファンの寝室に勝手に入り込んで、素っ裸になってファンをお出迎えした挙げ句、ロージーをこき下ろしたり、そりゃーもーやりたい放題なライバル振りでした。
作品内で、闘牛の観戦はするし、ファンの恋敵として闘牛士は登場するんですが、「マタドール」が主人公の話ではありません。とりあえず、スペインっぽい題をつけとけーてな感じなんでしょうか(原題は「FLAMENCO NIGHTS」)
話の筋的には粗があるんですが、展開の減り張りや、ファンの強引な迫り方(恋敵の振りをしてまでロージーを抱くというくだりとか)など、好み。


情熱のアカプルコ 36 (株)日本メール・オーダー  発刊:1983.05.19
ヒロイン:キャロル・ブレイダン(若手アニメーター・25歳) ヒーロー:ラウル・デッツァ(現代メキシコ絵画の人気画家)

あらすじ
ロサンゼルスからやって来たアニメーター、キャロル・ブレイダンが落とした美術学校の案内図を拾い上げた時から、ラウルは彼女に夢中になった。ほっそりとした手足は長く、茶色の巻き毛は突風のおかげで奔放になぶられている。こちらを見返している大きな黒い瞳が、ラウルを虜にして離さない。
しかし、彼女の容姿以上に惹かれたのは、その創造力だった。 あらゆるものごとを動きのあるものとして捕えていく、その表現力は、ラウルが持つ画家魂とひどく共鳴するのだった。

メキシコ人であるラウルの来る者、拒まずの姿勢が後々大きな問題となります。自宅がまるでホテル並みと言っていいほど、いつも誰かがお泊まり。
まぁ、その精神のおかげでキャロルが好物件のマンションを借りることが出来るようになったんですけど。
しかし、ラウルとキャロルが同棲し出した後も、入れ替わり立ち替わり友人達が泊まりにくる、パーティが随時開かれるという状況に、キャロルが参ってしまいます。
2人の仲がこじれかけている時に、キャロルが親友だとばかり思っていたエリーズが、ラウルを手に入れるためなら手段を選ばずという手ごわいライバルになってしまい、とうとう2人の仲がご破算に。
別離から1年後、再会するわけですが、キャロルはあの時受けた痛手をもう一度繰り返す気概が湧いてこず、ラウルとは友人の関係でいたいと宣言。
友人としての線を引いたキャロルを氷のような冷たい目つきで見続けるラウル。
ラウルのその執拗な視線を
「荒れ狂っている嫉妬なの。絶望的な思いで愛している女性が離れていく、そういうときに男ってあんな目をするものよ」 と、経験豊かな年上の女性(←ラウルの大昔の恋人。この女性に大失恋したために性格が変わったらしい)が教示しております。


暁の乙女ジュリアナ 54 (株)日本メール・オーダー  発刊:1983.08.19
ヒロイン:ジュリアナ・アノーナ・ブレア(産婦人科医) ヒーロー:スコット・オースチン(競走馬の牧場主)

あらすじ
父であるロバートからの電話にスコットは苛立った。父はどうやら、4番目の妻とまもなく離婚するらしい。
そして、スコットの幼馴染みであり、父の同僚でもあるジュリアナ・ブレアの事を熱っぽく語るのだ。
親子ほどに年が違うくせに、彼女にまで手を出すのか……。
ジュリアナは、スコットにとって思い出の中の大切な女の子だった。
二人で過した夏休みは、いたずらのやりたい放題で、興に乗りすぎたスコットは、ジュリアナの見事な金髪の巻き毛にガムをべったり張り付かせた。当然のことながら、ガムは取れなくなり、付着した髪を刈り上げるという荒技をしでかした。
スコットは泣きじゃくるジュリアナを慰めたくて、彼女の唇にそっとキスをしたのだ。
「愛してる」と言いながら。あんなに真剣に愛を告げたのは、それ以降なかった。
休暇をとりにやってくるらしいジュリアナに、スコットは絶対に会いに行こうと決意を固めるのだった。

休暇に入る前に、ロバートと食事をしたジュリアナは、その席でいつもと違う接し方をしてくる彼にドギマギとすることとなります。
そして、故郷にたどり着いてみれば、ロバートの息子が熱くお出迎え。ジュリアナの揺れ動く心の在りようが、全編を通して感じられます。
スコットは
「ジュリアナを父親に何ぞ、決して渡しはしない」と宣言して、頑張っております。


春風のパリで 91 (株)日本メール・オーダー  発刊:1984.03.20
ヒロイン:ダーナ・マクニール(コンピューターグラフィックデザイナー・米国人) ヒーロー:エドゥアール・ルベ(パリで新設されるテレビ局のニュースディレクター・フランス人)

あらすじ
自由であることを何よりも望み、束縛されることを嫌がっていたエドゥアールにダーナは心底、惚れ込んでいた。彼に嫌われたくない一心で、仕事のためとはいえ、連絡もなく夜更けまで帰宅しなくてもそのことに文句も言えなかった。
自分の思いを極限にまで抑えてでも、ダーナはエドゥアールの元を離れられない。なのに、彼はそんな彼女を一顧だにもせず捨て去り、中東での危険な地域でレポーターをする仕事を選んでしまったのだ。情緒不安定になったダーナは、パリを去り、サンフランシスコに戻った。
そんな彼女を追うようにエドゥアールの親友マルセルがサンフランシスコに転勤してきた。傷ついた心を慰めてくれるマルセルの優しさに頼ったダーナは、彼のプロポーズを受け入れ婚約するのだった。

裕福な遺産のおかげで遊び暮らしていた両親が、交通事後に遭って父親は即死。母親も重症を負ったものの完治後は、男遊びが増えて更に育児放棄がひどくなったという家庭状況で育ったダーナ。一人の男性に愛されたいと願っているのに、心惹かれるのは性格的に大層問題のあるエドゥアール。
父親が
外交官であったため世界中を転々として育ったエドゥアールは、親密な人間関係に対して斜に構えた生き方を選択しています。人間関係は、遠からず別離という結末を絶対に迎えると思い込んでいるので、2年前、ダーナとの別れを躊躇いもなく実行にうつしてます。
ダーナを切り捨てた後、かなり後悔したエドゥアール。意を決して連絡を取ってみれば、親友マルセルと婚約したという現実をつきつけられてしまいます。で、その婚約をぶっ壊しにいくんですよ。
それが、2年前までの話で、再会したあともかなり傍若無人に振る舞ってます。相変わらず、連絡はマメじゃないし……。
ダーナのことを大事な人だと言う割りには、行動が伴ってないよー。そんな男で本当にいいのか、ダーナ〜と、イガイガな気分満載で読む羽目になった作品。


メルヘンに惹かれて 172 (株)日本メール・オーダー  発刊:1984.08.20
ヒロイン:サンディ・オサリバン(大学の仏文講師・17世紀に活躍した詩人の研究者・米国人) ヒーロー:アントワーヌ・ド・ルジャニン(侯爵・世界有数の製薬会社経営・フランス人・30代後半)

あらすじ
17世紀に活躍した詩人ガストン・ド・ルジャニン7世について研究しているサンディ・オサリバンが、どうしても確認したい本があった。ガストンの最愛の人であるブレルボン公爵夫人の直筆手記である。
その本は、ルジャンニ一族の居城内にある図書館が所蔵しており、サンディは閲覧の許可を当代の城主に求めたが、許可は下りなかった。
サンディは、オサリバン家の特技である粘り強さを発揮すべく、城主との直接交渉に乗り出すのだった。

ガストン・ド・ルジャンニの直系の子孫であるアントワーヌに、彼ら一族の城にある図書館を閲覧させて欲しいとサンディは渡仏してきます。
サンディの「キュート」な姿に、ノックアウトしてしまったアントワーヌは図書館閲覧をチラつかせながら誘惑に乗り出してます。
城に引き入れた途端、豪奢なバスルームでアチチチな展開にもっていくアントワーヌの手腕の鮮やかなことといったら(笑)
青空の下でも励んでいるし……アントワーヌてば、サンディに溺れきっています。
すぐになびく女性は、アントワーヌの興味を引かないだろうと、女性の手練手管を駆使するサンディですが、アントワーヌの方が一枚も二枚も上手でありました。
サンディが、昔の男に対してもうちょっと毅然とした態度を取ってくれたら良かったな……。





セレーナ・アレキサンダー

めぐり来る愛 再び 28 (株)日本メール・オーダー  発刊:1983.04.19
ヒロイン:キャシー・ドーソン(伯父が経営している野生動物保護区の後継者・26歳) ヒーロー:デレック・ギュンター(青年実業家・26歳)

あらすじ
身を粉にして働き、ヤマを読んで投資した結果、デレックは使いきれないほどの財力を築くに至った。何もかも手に入れた今、郷愁にかられるのは20歳まで住んでいたマラウィだった。
酒と賭博で身を持ち崩した父のおかげで、ギュンター家は、鼻摘み者のような扱いを受けた土地だったが、デレックには心休まる場所だった。
土地を買い、贅沢なロッジを買うのは今のデレックにとって造作もないことだった。
仕事の合間になんとか時間をこじいれて、マラウィで休日をとるのが、唯一の楽しみとなった。
……そこに、何が足りないのかということには蓋をして。

6年前、家同士の確執から隠れて付き合っていたキャシーとデレック。人目のつかない場所での切なくて甘い逢瀬が、ある日、悲惨な結果を引き起こす。
デレックが運転していた車が事故を起こし、キャシーは瀕死の重傷を負ってしまいます。虫の息だった彼女を車中に残したまま、デレックが姿を消したという事実を、後から知らされたキャシーは打ちのめされます。
その真相は、ひどい脳震盪による記憶障害にデレックは陥っていたそうで何とか正気を取り戻してすぐに、入院しているキャシーの元に駆けつけるのですが、彼女の伯父に拒絶されます。それも、キャシーが二度と会いたくないと言っているからという虚言つきで。
デレックが、その言葉を信じちゃうんですよね。いや、もーうちょっと頑張ろうよ〜。
互いに失恋した思った2人は、マラウィを去って、今までとは違う人生を歩みだし、6年後、再会することなります。
セカンドチャンスアトラブシリーズには珍しい、26歳という若さの同い年カップル。
……両人とも、言動が若さゆえに直情で峻烈。
情欲に突き動かされてつい身体を重ねてしまう、互いに譲らない、自分の気持ちが一番、ちょっと電話をかけるという気配りができない……ということで、寝たものの仲がこじれまくってます。
再会後の2人の、トゲトゲ全開なコミュニケーション。
嵐の中、川が反乱して土手が結界をしかけている最中に、外へと飛びだすキャシーの無謀さ。
彼女のことを妻にしたいと本気で思っている男性を利用する身勝手さ。
一時の激情のままに行動してしまうので、やることなすこと、子供っぽいカップルでありました。