あらすじ
デブリンは、3年前、求婚を断られた相手である若手でも人気の映画女優、タラ・コリンズを未だに心底、惚れ込んでいた。
彼女の姿を見るためだけに、出席したくだらないパーティも数知れずだった。そんなデブリンの想いを関知するどころか、タラは蛇蝎のごとく彼を嫌い、避ける態度を取り続けている。
彼女が出演している映画の出資者であり、プロデューサーという立場でなければ、声をかけることすら許されなかったに違いない……。
今回、制作している映画の最大の見せ場である砂漠での撮影現場で、デブリンは、タラとの関係を少しでも改善できる道が全くみつからないことに、暗澹たる気分に浸っていた。
そんな中、転機が訪れた。
タラとデブリンの不穏な関係のせいもあって撮影が長引き、出演者はもちろんのことスタッフも疲労困憊しかけている中、彼女が過労で意識不明の重体となったのだ。
タラの迫真の演技を撮り終え、賞賛の眼差しで見つめていたデブリンの前で、彼女は熱い砂の上に崩れ落ち起き上がらなかった。
体調が悪いので夕刻の撮影予定分を翌日に回してもらいたがっていたタラに、自分への当てつけから仮病を使っていると邪推したデブリンが撮影を強行した結果だった……。
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