あらすじ
世界で一番欲しいと思った女は、父親の後妻になったひとだった……。
ひっそりと挙げた結婚式のあとのささやかな披露宴に参列したジャイルズは、父の側できれいな白いドレスに髪を白い花で飾って、とまどいがちに立つインディアの若さに驚いた。そして彼女を欲しいという思いが痛烈にその身を貫いたのだ。
49歳の父に嫁いできた彼女は、まだ20歳にもなっていなかった。父の金が目当ての女だと決めつけたジャイルズの邪心と当てつけた態度は、その後の父達の仲睦まじい様子に引っ込めざるを得ない筈であった。
しかし、ジャイルズのひどい態度を、インディアが夫に告げ口しないことを笠に着ての卑劣な行為は密やかに続けられるのだった。
彼女が、父しか見ていないという状況で、それ以外の態度をどう取ればよかったと言うのか……。
幸せな結婚生活は、 父の急死によって4年で終止符が打たれることになった。
「こんどは僕の番だ」
父が亡くなって、悲しみと絶望のさなかにいるのに、思わず希望してしまった自分に、嫌悪するしかなかった……。 |