あらすじ
クールの婚約者が、共同出資者の息子コリン・マーティンと駆け落ちをした。コリンは何かと、クールと張り合うことがあったが、まさか、婚約者を掻っ攫うような暴挙にでると思いもしなかった。クールの鼻を明かすことと、彼女の莫大な財産が目当てだったに違いない。
怒りのおさまらないクールの元に、マーティン家からの使者がカサブランカまでやってきたと連絡が入った。マーティン家の長女であるマキシーンとは10年前に会ったきりだったが、どんな種類の女だったかはよく覚えている。男にだらしなく、欲の皮のはった人間だった。身体を差し出して、クールの怒りを静めようと魂胆なのだろう。
数日、彼女に待ちぼうけを食わせた後、マラケシュの郊外の城まで来るよう振り回した。
しかし、クールの前に現れた彼女は、記憶にあるスレた女性ではなかった。30前だった筈の彼女は、どう見ても16歳にしか見えなかった。
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