マーガレット・ローム
割と、俺様ルールに乗っ取って行動してるヒーローが多いです。……えぇ、最終場面でどれだけヒロインに陳謝するかを楽しみに読んでます(笑)
作品リスト


ルシールの夏 R-9 ハーレクイン社  発刊:1979.10.20
ヒロイン:ルシール・ラム(アイドル女優である従姉の付き人・旅行記事を一冊の本にまとめようとしている) ヒーロー:タレック・ホーク(人気映画俳優・モロッコ王族)

あらすじ
ルシールが付き人をしている従姉のシャニ・シャロンはアイドル女優として人気急上昇中だった。今度の映画で相手役となる人気俳優タレック・ホークと豪華客船でロケ先のモロッコまで同行するにあたり、いつのまにか、ルシールはシャニの用事だけでなく、タレックの秘書としても働く羽目に陥っていた。
我が儘な芸能人とは、なるべく関わらないよう目立たないように立ち居振る舞いするルシール。しかし寄港地であるリオで到頭、タレックと一緒に観光をすることになるのだった。その食事の席で、まさか彼から求婚されるとは思いもしないことだった。

ルシールに出会った瞬間から、彼女を自分のものにしようとタレックが張り切って画策開始。着手は早いんですが、なんだかもう、下手すぎ(笑)て全然、ルシールにその「真剣な愛」が通じてないです。
船旅の間中、毎朝2時間、秘書として側に留めて彼女ととっかかりをつかもうとして果たせず。
ようやく(脅して)デートにこぎ着けて、妻が欲しい状況を説明をした上で求婚の返事を待てば、
「興味深い生涯ですもの、その先を続けて」と天然のかわされ方を受ける始末。
どさくさに紛れて婚約を押し付けて、老いた母の頼みだとか色々と複雑な事情を駆使して結婚式まで持ち込んだのに、ルシールは砂漠に逃亡。
追いかけた先で、誘惑すれば「致す寸前」に頭の傷が原因で意識不明に陥られ、あたふた。
目覚めた時、彼女の記憶が、あやふやなことを幸いに、肉体関係になったからと結婚式続行のごり押し。
頑張ってるんですが、ルシールを怖がらせ、怒らせるばかりで万策尽きた時、母親の助言、
「まず友達から始めなさい」
不本意ながら「お友達」の振りをするんですが、不本意がどうしても露呈しちゃうタレック……業を煮やして結局、迫ってます(笑)
「好きなのにプラトニックの関係なんかできるわけがないッ」


キャロラインの結婚 R-46 ハーレクイン社  発刊:1980.07.20
ヒロイン:キャロライン・リンゼイ(子守り) ヒーロー:ドメニコ・ヴィカーリ(イタリア旧家の出・実業家)

あらすじ
両親を交通事故で失ったのは、ドメニコが7歳の時だった。
伯父夫妻に引き取られたドメニコは、同い年のいとこヴィトーと一緒に大切に育てられることになった。独占したかったであろう両親の愛情をドメニコと分かち合うことを許してくれたヴィトー。
その優しいヴィトーが飛行機事故で亡くなった。
当然のことながら、伯母は失意の底に沈みがちで、彼の死後、ドメニコは事業を掌握するのに多忙を極めていた。
そんな中、1通の手紙が、ドメニコの元に転送されてきた。
若い女性が書いたと思われるその手紙には、ヴィトーへの愛が切々と訴えられており、その上、赤ちゃんができたことが記されていた。
財産狙いの女が書いたたわごとだと思いながらも、その真偽を確かめるために、ドメニコは手紙の差し出し元の住所を訪ねるのだった。
ドメニコが、突然、訪問した家で見かけたのは、赤ん坊を楽しそうにあやしている若い女性の姿だった。赤ん坊とのたわむれで、彼女の金髪は乱れ、そのすみれ色の瞳はきらきらと輝いている。
彼女の名前は、キャロライン・リンゼイ。ヴィトーが愛した女性だった。
彼女の気持ちが、少しでも自分に傾く可能性があればいいのにとドメニコは願ってしまっていた。

両親の再婚で義姉妹となったドーリンダとキャロライン。2人の仲の良さは本物です。
トップモデルとなっていたドーリンダはヴィトーと出会って恋仲となり、妊娠してしまうのですが、その直後から彼と連絡が取れなくなります。実家に居るキャロラインの元に戻って出産後、恋人にそっくりの赤ん坊の世話をすることがつらいのと、どうしてもヴィトーの消息を掴みたいということで、単身、家を出るという思いきった行動をとるドーリンダ。
赤ん坊の世話を任されることになったキャロラインは、親身に世話をしているところに、ヴィトーのいとこであるドメニコが登場。
ドメニコは、キャロラインが赤ん坊の母親であると勘違いし、キャロラインは本当のことを言えば赤ん坊を取り上げられてしまうと怖れをなして、その勘違いを正さないまま物語が進むこととなります。
キャロラインに一目惚れしたドメニコが、あの手この手で彼女の心を得ようと頑張ってます。
両親亡き後、愛情に餓えていたドメニコ。本来なら妻の愛情を一身に浴びたいのですが、キャロラインが、ヴィトーのことを偲んでいる(と思い込んでいる)ので、かなり切ない嫉妬に苦しんでます。その上、キャロラインてば、深く傷ついている彼の心に、更に塩を擦り込むよな態度をとるんですよ……惚れた弱みはつらいですなー。


ジプシーの花嫁 R-85 ハーレクイン社  発刊:1981.02.20
ヒロイン:マリエール・ムーア(踊り子) ヒーロー:ロム・ロボ(放浪の音楽家・ジプシーの首領)

あらすじ
最初は厄介なものを押し付けられたという認識しかなかった。
懇意にしているソフィ・バレブスカヤの姪マリエールが、他人のパスポートを使ってワルシャワに入国しているのをソ連将校が気付いたらしいのだ。
何としてでも、ウィーンへと脱出させて欲しいというソフィの懇願に、ロムは渋々了承するのだった。

東西冷戦下のワルシャワからチェコスロバキアを抜けて、ウィーンへと向かうマリエールの脱出行はすんなり成功するわけもなく、ジプシーの仲間内の諍い(ロムに懸想する女性の嫌がらせを筆頭)に巻き込まれることとなります。
諍いの決着をつけるために、ロムと結婚する羽目に陥るマリエールですが、危うい状況にいるという自覚が薄いため、その後もトラブルを引き起こしてばかり。
社会情勢に疎過ぎる彼女の驕りは、逃亡生活が続くにつれ、影を潜めていくのですが、やっぱり危機意識が薄いせいで、ロムを含めて周囲に迷惑をかけることとなってます。
狭い馬車内ですごす内に、2人の間で高まっていく情感。異性とのお付き合いにも疎いマリエールの側にいなければならなかったロムにすれば、かなりの忍耐を使い果たしてます。
「君の寝事や甘い寝息を聞きながら眠れずに過ごした夜のことを忘れろと言うのか?」
マリエールは、ロムが心の底から愛している女性は叔母のソフィだと思っているため、じれったい展開が続くこととなるのでした。
メモ:表紙のマリエールはごっついからいらないんですが、ロムがね、好み(←これだけで蔵書にしてる私って……)


遙かなるアンデス R-96 ハーレクイン社  発刊:1981.04.20
ヒロイン:セレナ・ペイン(会社員・19歳) ヒーロー:ドン・ファン・デ・ヴァルデビア(チリの大農場の後継者)

あらすじ
一週間後にアパートから追い出される事態に陥ったセレナは動揺していた。歳の離れた妹ウェンディの泣き声に、他の住人から苦情が出たのだ。
「施設に預けてしまえば」と助言してくる友人もいたが、ウェンディは半年前に相次いで亡くなった両親がのこしてくれた、たった1人の身内だった。
「ウェンディと一緒に暮らせるのなら、何でもする」
彼女の決意は、セレナとウェンディをチリの大農場へと運ぶのだった。

意向に逆らってばかりいる孫息子ファンを大人しくさせるためには、妻が必要だと考えた祖父アルベルト。イギリスの新聞に変わった求人広告
「英国女性求む。慎重、率直、かつ明朗な性格の方。条件―完全拘束。報酬―終身保障。金銭的憂慮なし。扶養家族歓迎」を載せて、応募してきたセレナを「孫息子の妻」として雇うことにします。
セレナの方はウェンディと一緒に暮らせるのならとアルベルトの条件を飲むわけですが、落とし穴が一つ。アルベルトは孫のことを
「結婚する相手を見つけられないくらい内気な男性」のように言い繕っていたんですが、これが大嘘。
祖父の陰謀に怒り心頭のファンの批判の矢面に立たされることとなります。
初めてあったファンの傍若無人な言い様と、女遊びは十分しておりますという姿勢にセレナが圧倒されたの当然で、
「あなたと結婚するくらいなら飢え死にした方がまし」と、言い返したのがマズカッタ(笑)
意のままになる女性しか知らなかったファンの狩猟本能を目覚めさせることとなります。
結婚を承諾させるためにセレナを説得にかかるんですが、かなり苦しい理由をあげてます。
ウェンディをセレナの娘だと思い込ませられたファンが見せる
「セレナの存在すらしない男への」嫉妬ぶりとかやるせなさが、かなりツボだった作品。


少年の約束 R-133 ハーレクイン社  発刊:1981.10.20
ヒロイン:エリーズ・ポートランド(教養学校卒業したて・19歳) ヒーロー:ジャック・ド・モンターギュ(ジャマイカ島の伯爵・25歳)

あらすじ
10年前に幼馴染みのジャックと交わした結婚の約束は、エリーズにとって神聖なものであり支えだった。
退屈な教養学校の日々を耐え切れたのも、卒業さえすれば育った島、引いてはジャックの側に戻れると知っていたから。
しかし、10年ぶりにあったジャックは、記憶の中にある幼馴染みとは違う人物となっていた。
あの優しかったジャックが、傲岸で無軌道な遊びに現をぬかし、そして、エリーズ以外の女性カミラを妻にしたいと願っているのだ。
しかし、現実を思い知らされ意気消沈していたエリーズの耳に入ってきた噂は、カミラに振られたジャックが自暴自棄になって夜遊びに繰り出しているというものだった。
ジャックの手助けがしたい……エリーズはジャックを探しに夜の酒場に赴くのだった。

成長し切れていないヒーローの我が儘に振り回されるヒロインの苦難物語。
カミラに振られた痛手を、幼馴染みであるエリーズに求めたジャック。エリーズと結婚式を挙げた夜に、そのカミラが島に戻ってきて、実は振られていなかったことを知ります。
まぁ、そこからエリーズに冷たくあたることあたること。でも、エリーズが他の男性と仲良くするのは絶対に許せないという独占欲も見せて、ジャックの言動は矛盾だらけ。
そして、自分の人生の中で何が一番、大切なのかがわかった時に、その宝物を粉々に壊してる真っ最中だったジャック。
なんとか、エリーズとやり直したい願いながらも、どうすればよいのかわからないジャックのやつれようは、当然のことでしょう。
まぁ、エリーズもジャックに嫉妬してもらいたくて他の男性と仲良くしたので、自業自得だよねーとも言えます。


あなたのイブ R-218 ハーレクイン社  発刊:1981.10.20
ヒロイン:タミー・マックスウェル(大富豪令嬢) ヒーロー:アダム・フォックス(イングランド北部牧羊業経営・男爵)

あらすじ
アダムは羊毛の買い取り価格値上げをまとめるためにロンドンに出向いた。買い手である大手毛織物工業の経営者ジョク・マクスウェルの都合で、カクテルパーティに出席しなければならなかったのだが、正直なところ迷惑な話だった。
案の定、パーティではジョクの一人娘タミーに絡まれ、早々に仕事の詰め合わせに入れてホッとするのだった。しかし、誘われるままに父娘と夕食を共にし、その後、仕方なしにしたタミーとの散歩が思わぬ方向に転がってしまった。
アクシデントで朝帰りとなってしまった2人をゴシップ記者がすっぱ抜いてしまったのだ。
新聞に掲載された2人の写真をみたジョクが、スキャンダルを消すためには結婚するしかないと迫り、しないのなら仕事の話は無かったことにすると突きつけてきた。

ちやほやとされて天狗になっているタミー。
他人にもプライドがあるということを思い遣れないアダム。
アダムを得ようとタミーは果敢に挑戦し過ぎるほど迫っては、素気なく追い払われてます。猪突猛進なヒロイン。
対するアダムは、 仕方なしに結婚する羽目に陥ったから機嫌の悪いこと、悪いこと。2人の結婚生活は暗礁に乗り上がった状態から始まります。
少しでも近づこうとするタミーと距離を置こうとするアダム。タミーはもちろんのこと、アダムまでもが感情的になって、やり合ってます。
血の気が多過ぎる、そんな2人のロマンス。


マジョルカの真珠 R-239 ハーレクイン社  発刊:1983.04.20
ヒロイン:ヘイゼル(弁護士事務所タイピスト・子守) ヒーロー:フランシスコ・カルベンテ・イ・フォルメントール(ドラーク侯爵)

あらすじ
あれほどまでに、浜辺で遊ぶことを嫌っていた姪のカルメンが、朝食もそこそこに駈けていく。フランシスコは、興味に誘われて、プライベートビーチを覗いたのだった。
彼が浜辺で見たものは、少女とも呼べるような大人しそうな女性ヘイゼルがカルメンの相手をして遊んでいる姿だった。この地がプライベートビーチだと知らされた彼女の動揺ぶりも好ましく、カルメンを通して招いた昼食の後、姪の子守として働く気はないか、その上、衝動的に結婚の申込みまでしてしまうのだった。

旅行者だったヘイゼルを自分の元に縛りつけておきたくて即効、求婚したフランシスコ。突然、愛の告白をしても信じてもらえないだろうから、雇用主と使用人という関係から初めて、自分のことをよく知ってもらえたら……と熟考〈?〉したらしいんですが……厳しい雇用主を演じすぎて、ヘイゼルの瞳に怯えを宿らすばかりという手際の悪さ。
かんしゃくにまかせて怒鳴ったり、ヘイゼルが大事にしていた扇子を踏みつぶして壊したりとやることなすことが、自分から心が離れていく所業となってます。どうしたらいいのか解らない……と焦っているところに、姪のカルメンの助言を頂き行動するんですが、時既に遅し。彼の言動に振り回されっ放しだったヘイゼルは、その行動に何か裏があるのではないかと素直に喜べなくなってます。
今回、ヘイゼルの幼なじみである女性キャトリンの殺意を伴った策略のおかげで、半日近く洞窟に閉じこめられ、生死を彷徨う目にもあった彼女を前にしてようやく、愛の告白をしだすのでした♪ ← 遅すぎる〜〈苦笑〉


三日月の向こう側 R-304 ハーレクイン社  発刊:1984.03.20
ヒロイン:ジェード・マイティ(製菓工場員) ヒーロー:ディエーゴ・ダ・ルース・ペレイーラ・ダ・シルベス(ポルトガル貴族/モロッコではシェイク・アナと呼ばれる)

あらすじ
宝くじに当たって、一生に一度の贅沢旅行を自分にプレゼントしたジェードは、ポルトガルにやってきた。製菓工場で働いてる彼女にとって、旅行すること自体が贅沢なことなのだ。この休暇を楽しく過ごせたらと、少し怖けつきながら、ぼーっと並んでいた税関の列がいつの間にか、自分の番になっていた。慌てて、パスポートを取りだそうとした時、後ろから声がかかった。
「どうぞ、ごゆっくり。あなたの後は僕だけですから」

ただの工員だということを黙っていたのは悪かったけど、裕福な家の娘じゃないってプロポーズされた時に告白したのになー。「金持ちの男をみつけて良かったわね」という親友からの手紙を見てからのディエーゴの態度、悪すぎ……。可愛さ余って憎さ百倍ってことで、ジェードのこと、いじめぬいてます〜。やり方がね、うっわ、きっつー……ため息がでるくらいいじめて、おどおどしているジェードに満足してるんだもん。それもこれも騙されたと思って腹が立っているのと、自分の一挙一動に反応してくれる彼女に甘えてるというか。暗すぎるわ、ディエーゴの情念。足の傷から入った病原菌で、意識不明になるほどの重体に陥らせて、初めて気づく自分の傲慢さ。傷を負った事すら、自分に打ち明けれないほど、怖がらせていた……気づくのが遅いっ!! ジェードに向ける情念が暗いものばかりで良いわけはなく、輝く愛情をどうして注がなかったんだろうと枕元で悔悟するディエーゴ。うーん、ポルトガル男も侮りがたい人種だった(苦笑)


花嫁はお買得 R-452 ハーレクイン社  発刊:1986.03.20
ヒロイン:モーバ・イーデン(伯爵令嬢・21歳) ヒーロー:トロイ・ビーバー(カナダの資産家・十代目ハウギル伯爵)

あらすじ
トロイの元にもたらされたイギリスからの知らせは、唐突なものだった。彼が、古城とともに伯爵位を受け継ぐ知らせだったのだ。
取り合えず現状把握の為にと、引き継いだレイブンズクラブ城を訪れたトロイを待ち受けていたのは、自分が伯爵になるとばかりに思い込んでいた男パーシーと、その祖母である伯爵未亡人だった。
そして、貴族階級を鼻にかけていることを隠そうともせず、見下すような態度をとる2人に、心を痛めている様子を垣間見せるパーシーの妹モーバ。
自分たちの自尊心を満足させ、贅沢で安寧とした暮らしを得るために、モーバを犠牲にしようするパーシーと伯爵未亡人から守ってあげたいと、トロイは切実に思うのだった。

祖母とパーシーが、トロイに孫娘を売りつけてまで今の暮らしにしがみつこうする姿が醜悪。そんな2人から、少しでも早くモーバを保護したいとトロイが動き出します。
祖母の提案に乗り、さっさとモーバと結婚式を挙げてしまう周到さ。
祖母とパーシーの影響下からさっさと連れ出してます。
ただやり方が強引だったおかげで、トロイとモーバの仲はぎくしゃく。
トロイ自身はモーバへの愛情を認識しているのですが、モーバは萎縮してしまってそんなつもりは全くなかったのに、トロイのことを毛嫌いしていると取り兼ねない言動ばかりを繰り返してます。
モーバの心の中にほんの一欠片でもいいから、自分に対する好意がありはしないかと、いろいろと尋ねてくるトロイ。
……遠回しに聞きすぎて、1番、聞きたくない答えばかり聞かされる羽目となり、落ち込んでます。
モーバのことが大好きで大切で、彼女の為なら何でもしてやる気満々のトロイが素敵。


私のエル・ドラド R-562 ハーレクイン社  発刊:1987.10.20
ヒロイン:アビイ・テンプル(学位を持つ・祖母の看護をしていた・20歳) ヒーロー:コンドル・ルイ・ディアズ・ド・ビバズ(ペルーの鉱山主)

あらすじ
祖母が亡くなった時、今までの贅沢な暮らしが身分不相応なものであったことをアビイは知った。
蝶よ花よとアビイを大事にしてくれていた婚約者トビイが、ただの金目当てだったと気付かされたのも、彼女の心を傷つけるに充分だった。
気分を一新するために、ペルーのジャングルで植物学や鳥類学を研究している伯父夫婦と、しばらく生活を共にしようと決意するアビイだった。
ペルーの空港で出迎えてくれたのは、礼儀知らずで女性に対して、辛辣な批判を口にする男コンドルだった。

コンドルが所有する金と地位にひかれてやってくる女達。しかし、ジャングルの奥深い地で暮らす気はなく、貰えるものさえいただけば逃げるように去っていく。
そんな女性ばかりと付き合っていたコンドルの女性観は限りなく低空飛行。
対してアビイは、幼なじみでもあり、婚約者でもあったトビイから金が目当てで求婚されていた事実を突きつけられ男性不信の真っ最中。
何たって、アビイが裕福でないと知った後、自惚れの強いトビイは、いけしゃあしゃあと、
「結婚はできないけど、情事を楽しむのは大歓迎だ」と大演説をぶつのだから……。
そんな、2人が出会って、恋物語が始まります。
まぁ、コンドルがささくれ立っているアビイの本質を知ろうと、あの手この手を出しまくり。
事あるごとに、キスをして抱きしめて、ジャングルを知らない彼女を怖がらせて、抱きついてくるのを楽しんでます。むふふふー。


花の館 I-29 ハーレクイン社  発刊:1982.10.05
ヒロイン:フルール・メイナード(牧師の娘) ヒーロー:アラン・トレヴィーユ(盲目の伯爵)

あらすじ
この盲だ瞳に光を取り戻す為の手術を前にしながら、アランは投げやりだった。どうせ今回も失敗するのだろうとこの2年間、6度の手術の度に味わされた失望感に浸り切っていた。執刀医も見舞いにきた牧師も、全てが鬱とおしい 。
そんなある日、以前見舞いにきた牧師の娘が性懲りもなく、自分の気を引き立たせようとやって来たのだ。
最初は無下にしていたアランだったが、彼女が事細かに状況を説明してくれたりするのを楽しみに待っている自分がいるのに気付くのだった……

7度目の手術も失敗に終わり、故郷に戻る段になってアランはフルールを自分の妻として連れて帰ることを決意します。フルールのことを人が良すぎてオールドミスになってしまったと思っていたらしいんですが……。そうでないことを従弟ルイの称賛や母からの言葉で知り、驚くアラン。オールドミスだから、目の見えない自分でもオッケーするだろうと……結構、自分の評価が低いアラン。でも、もしかして愛情があるから結婚してくれたのかもと期待してみれば、フルールからは手痛い拒絶があったりして。……尋ね方がマズイんだよね〈苦笑〉
いろいろと矛盾した感情や心の鬱屈をフルールにぶつけて発散しているアラン。
最後の懺悔に近い愛情告白は、当然のことと言えましょう!!


アイルランドの誇り I-54 ハーレクイン社  発刊:1983.02.05
ヒロイン:ジョージナ・ルーニー(電子産業会社の共同経営者/愛称ジーナ) ヒーロー:ライアン・アージュリアン(アイルランドのケリー州の部族長・商工大臣

あらすじ
過労による体調不良で倒れた後、意識の朦朧としていたジーナを叔父マイケルは、アイルランドのケリー州へとこっそり運んだのだった。何としてでもジーナに、ケリー州への投資をしてもらいたい気持ちからだったが、姪の健康も心配だった。義姉ステラが、ジーナを完全に管理し、若さと無縁の生活を強要しているとしか思えないのだ。
宿泊先の主人であるライアン・アージュリアンに、「君の魅力でちやほやすれば、ケリー州に工場を建ててくれるさ」
その軽口をジーナが、部屋の外で偶然、聞いているとは思いもしない2人だった……

ジーナの体調回復とケリー州の発展の為に良い事をしたとご満悦の叔父マイケル。対して、ジーナの母ステラは、会社の利益最優先で一人娘の体調の心配をこれっぽちもしないということで、まだマイケルの方がマシな存在なのかなぁ。まぁ自分勝手な叔父さんですが、かなり可愛らしい性格の持ち主でもあります。
「女性は家庭を守るべき」という考えが頭にあるライアン。婚約した日の夕食の席で早速、その考えを振りかざしてジーナを頑なな境地に追いやってます……交渉事の不手際さが目立ちすぎるというか、不運というか。ジーナが誤解してることに気付かなさ過ぎるかと(苦笑)
アイルランドの人って、血が熱いというか血気ばやいっすね。激情を必死に抑え込んだという記述がかなりあります。
自分の激情を抑制できたことを「神に感謝したいくらいだ」と求愛する彼が素敵♪


愛はばらの香り I-95 ハーレクイン社  発刊:1983.09.05
ヒロイン:アンジェリーナ・ローズ(牧師の娘・21歳?/愛称アンジー) ヒーロー:ターザン・ヘリオス(たたき上げの実業家・ギリシア人)

あらすじ
未熟なカーレーサーが起こした衝突事故で、運転手を助け出そうと駆け寄ろうとしたターザンの目の前で車が爆発した。破片が、降り注ぐ中、かろうじて一命をとりとめたかわりに、ターザンは視力を失った。
視力回復のために幾度も試みた手術の結果は芳しくなく、人目を避けるために故郷の島で静養している彼に、婚約者であるプリシラ・ローズから婚約を破棄することを冷たく告げる手紙が届くのだった。
ターザンは、誠意を見せに島にやってくるようプリシラに手紙を何度も出し続けた。
脅しを含んだその手紙に、恐れをなしたのか、ようやく島にやって来たのは、プリシラの姉アンジーだった。見えない目も、言うことを聞かない元婚約者のやり方の何もかもが、ターザンは気に入らなかった。
不機嫌なままに当たり散らした矛先は、何の罪も無いアンジーに向けられた。

不行跡なことを繰り返す妹の尻拭いをいつもしているアンジーは、今回も、うまく丸め込まれてギリシアに足を運ぶこととなります。ターザンに妹との婚約破棄を伝えるとともに、指輪を返却するだけのつもりだったアンジー。
しかし妹から、ターザンが失明していたことを聞かされてなかったアンジーは、申し訳なさの余り、彼の視力の代りになることを言い出してしまいます。
体のいいドアマットとなってしまったアンジーは、ターザンの不機嫌で辛辣な性格に踏みつけられていくこととなります。
でも、流石に牧師の娘だけあって、ターザンが環境の激変に苦しんでいることを思いやって献身的に支えていく日々が続きます。
……そんな彼女に惚れない男はいない。ということで、ターザンは自分の境遇を利用し、アンジーの負い目にもつけ込んで、彼女に結婚を申し出させるという知略をめぐらします。
曲がりなりにも上手くいきだした結婚生活は、プリシラが訪問してくることで、大波乱をおこすこととなります。ターザンと姉との仲を壊すために手段を選ばない彼女のやり方は、強烈〜。


コッペリアを踊って I-149 ハーレクイン社  発刊:1984.06.05
ヒロイン:ジェニフアー・レン(元バレリーナ・20歳/愛称バーディー) ヒーロー:コンデ・デ・ラ・コンキスタ・デ・レッツ(伯爵)

あらすじ
最初に逢った時、バーディーが車道に急に降りてきたものだから、もう少しで轢きそうになったと、車から降りて伯爵は怒鳴りつけたのだった。そして、2度目は泥棒と間違えて、肩を万力のように掴んでサロンに突き出した。守るべき存在である女性に対して、失礼としか言えない態度をとってしまった伯爵は、落ち着かなかった。
事故で足を引きずるような歩き方をするにもかかわらず、ちょっとした立ち居振る舞いにさえ、優雅な気品を感じさせるバーディー。同じように足に障害を持つ姪のルシータの家庭教師兼、話し相手として雇おうと固く決心する伯爵だった。

生活の全てをバレエに投入して、ある意味、俗世間から隔絶したところで暮していたバーディー。ようやく世間に認められるようになりだした時に、足に怪我を負うことになります。その怪我はバレリーナとしては致命的で、バーディーはこれからどうやって生きていけばいいのか、戸惑うばかり。
バレエ団の主催者であるトニーとその恋人から、ヨットでの旅行を誘われ、気晴らしの為に乗船することになるのでした。
伯爵との出会いは最悪だし、
「現実を直視しろ〈←俺を見てくれと言いたいらしい〉」と
何かと説教臭いことばかり言ってくるし、求婚の時はロマンティックだったのに〈酒に酔わせて承諾させたような感が無きにしもあらず〉、その後は姪の為だとか、トニーとその恋人の仲を邪魔するなとか見当違いのことを言い放つ伯爵。
初めて恋に落ちた伯爵、全編を通してかなり動揺中(笑)