あらすじ
この大事なときにホイットニーが、記憶喪失になった。
前日に、おおきなこぶを作るほど額を強打した影響が翌朝に顕れたわけだ。昨晩、診てくれた医者は正常で問題ないとの所見を出していたが、自分の名前すら覚えていないような状態は、正常とは言い難い……。
準備に気の長くなるほどの年月と、莫大な予算をかけ、ようやく王手を詰もうとしているこの時に、彼女の頭の中が真っ白になるなんて。
しかし、走り出した計画を、練り直す時間など今さらあるわけがない。
ようやく裏稼業を牛耳っているリチャード・クイントンと知り合い、その懐に飛び込める切符を手に入れたのだ。
ゼーンは、慎重に慎重を重ねても足りないこの計画の推進に、大きな爆弾を抱えることになるのだった。
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