マージョリー・ルーティ

楽園の虜 I-117 ハーレクイン社  発刊:1984.01.05
ヒロイン:サラ・ティルズリー(孤児・義父に連れられてホテル暮らし・18歳) ヒーロー:ジェイスン・ナイト(造船会社経営)

あらすじ
ジェイスンは、両親亡き後、幼かった弟ティムを父親のように面倒を見てきた。
父が起こした造船会社の経営も軌道に乗り、更なる発展を求めて、22歳となったティムと一緒に海外輸出を図っていた。
メキシコへの出張もその一環だった。
しかし、思わぬ落とし穴が宿泊していたホテルに存在した。
サラ・ティルズリーという見た目は清楚な女に、ティムがのめり込んでしまったのだ。サラの義父は、詐欺を働いて贅沢な暮らしをしており、破産間近で金づるを欲しがっている事実をジェィスンはつかんでいた。
ティムが、サラの周りをうろうろとしていない時を見計らって
「弟から手を引いてもらいたいんだ」と、迷惑をかけた詫びにと、 侮蔑とともに小切手を手渡すのだった。
しかし、サラは小切手をビリビリに破いた上に、ジェイスンの唇を叩たき、その場を走り去った。

寄宿学校での生活しか知らなかったサラは、17歳の時に義父であるラルフに攫われるように学校から連れ去られ、あちこちの保養地のホテルを点在することとなります。
ラルフは、サラをメキシコの大富豪である老人に売り渡そうとし、それを阻止するためにティムが、動きます。
もともと、彼女のことを激烈に愛していたティムなので、これ幸いと結婚に走るのは当然のわけでして、サラは動揺している内に幼妻に。
そのまま、何事も無ければ良い夫婦となったんですが……挙式後、2日で列車事故に遭って、ティムは帰らぬ人となってしまい、ジェイスンがサラの面倒を見ることとなります。
海外進出の準備で忙殺されていた上に、大切な弟を亡くすわ、性悪女だと思い込んでいるサラを背負い込むことになるわで、ジェイスンの機嫌は、そりゃーもう最低最悪。
サラに対して、ろくでなしのように振る舞ってます。サラに逃げられて、そのことを最後に悔やむのは当然のことかと。
「僕はこれまできみにろくでなしみたいに振る舞ってきた。とり返しのつかないほど僕はきみを傷つけてしまったのか? こんな子供みたいなきみを」


アマンダの瞳 I-203 ハーレクイン社  発刊:1985.03.05
ヒロイン:アマンダ・ドーソン(タイピスト志望・18歳) ヒーロー:ブレア・クラドック(繊維会社の共同経営舎)

あらすじ
共同経営者であるジェームズ・ドーソンの義妹イレインが開いているいかがわしいパーティに、ブレアが顔を出したのは、単なる気まぐれだった。澱んだ空気が漂う中、ギャンブルに興じる客達を冷めた目で見渡していた時、一人の女性の存在に気付いた。
ネックラインがウエスト近くまでくれて、バストがようやく隠れている。長いスカートは、腿の上までスリットになっていた。
そして、彼女がブレアと視線があった瞬間に見せた微笑みに、心をとろかすような一撃を受けるのだった。
ブレアは、彼女の側にいた貧相な男を追い払い、二人きりになるために散歩に誘い、お喋りを楽しんだ。アマンダと呼ばれていた彼女は、ブレアの自室がある別棟への誘いにも素直についてくる。
だから、これから情事に耽るのだということを彼女は理解してついてきているものだとばかりブレアは思っていた。しかし、ドレスを脱いでローブ姿になっていた彼女が、服を脱ぎ始めたブレアに、涙を流して抵抗をし始めたのだ。彼女の余りの変りように詳しい事情を聞き出したブレアは、顔色を失うことになった。
アマンダは、ジェームズが随分と昔に切り捨てた一人娘で、いまさらと言われようが何とかしてでも親子の絆を取り戻したいと切望している相手だったのだ……。

アマンダが生後半年の時に父親は妻子を捨て、間も無く離婚。3歳の時には母親が他界。その後、育ててくれた母方の祖母が亡くなって、一人きりになったアマンダに、父親の弁護士から「会いたい」との連絡が入ります。
初め、父親と会うことを渋っていたアマンダですが、多額の養育費を出してもらっていたことを知り、どうしても会いたいという父の願いを無下にすることは礼儀に反することだと気付きます。
父が住む邸宅に出向いてみれば不在で、アマンダの都会慣れしていないことを馬鹿にする感じの悪い女性イレインの出迎えを受けることとなります。
いかがわしいパーティに無理やり出席させられるわ、そこであった素敵な男性ブレアに訳も分からないままにベッドに押し倒されかけるわ、で、もう今すぐ故郷に帰りたいっ!!
そんな中、父親であるジェームズがアマンダとの絆を取り戻そうと必死になっているのが手に取るように感じ取れて動けなくなってしまいます。
それを誰よりも喜んだのがブレア。
自分がしでかした失態を挽回できる機会を与えられたとばかりに、アマンダに優しく接していれば、イレインの馬鹿息子が彼女にちょっかいを出してる場面に出くわし、ぶちッ。思わず強引な態度をとってしまい、アマンダの反感を買う羽目に陥ります。
利用できるものは何でも利用して、アマンダを獲得しようと画策している彼の言動(ジェームズの身体の不調を理由に、彼を安心させるためには婚約をしなければいけないと言いくるめちゃったり)は、美味しい限り。
ブレアの見え見えの愛情をアマンダは全く気付かないのはお約束で、田舎出の子どものような小娘の世話を仕方なくしていると思っているのでありました。
アマンダにすれば、ブレアの側には仕事仲間であるジュリエット(仕事もできて、美貌の上に、性格も良し)がいつもいてるから、そう思うのも仕方がないという展開となってます。
メモ:アマンダの「瞳」より「微笑み」が重要アイテム


青いダイヤモンド I-220 ハーレクイン社  発刊:1985.06.05
ヒロイン:ジェム・ローソン(秘書養成学校の生徒・18歳) ヒーロー:ハーン・ダラント(義父と実父から受け継いだ会社を経営)

あらすじ
両親が離婚し、母親とその再婚相手に育てられたハーンは、実父が経営していた高級紙を扱う会社には足を踏み入れたことが無かった。
義父が経営している電子工学の会社を継ぎ、事業を発展することに没頭していたのだ。
2カ月前に実父が亡くなり、その会社も継ぐことになったハーンは、更に多忙となった。なんとかスケジュールを組み、会社に乗り込んでみれば、唖然とする他なかった。
オフィス機器が、前時代のものしかないのだ。早速、新しい機器を設置させ、使いこなすよう亡くなった父の秘書ベス・ローソンに命じれば、強い拒絶が返ってきた。
相性の悪い秘書と、やっていく暇など、ハーンには無かった。
ハーンは、即刻、ベスに一ヶ月後の解雇通知を申し渡すのだった。
翌日、ハーンの目の前に現れたのは、ベスの義妹であるジェムという若い女性だった。
姉を不当に扱っているハーンに対して、ジェムは憤りを隠しもせず、意見を述べきった。そんな彼女に、ハーンは自分でも思いもかけぬことを言ってしまったのだ。
「どうだろう? 一カ月ほど、試しに働いてみないか?」

ジェムに一目惚れ状態だったハーンは、年の差、彼女の純真さに悩みます。
けれども、ジェムの周囲に彼女に見あった男性が現れた途端、嫉妬心がぐつぐつと沸き上がり、二人の仲を進展させないためだけに、ロンドンに連れ去るという行動にでております。
ジェムに大人の男の魅力を振りまいてみたり、そのことで彼女が怖けづけば一旦、身を引いたりと一生懸命。
「ほしいものをどうしても手に入れようするときは、けっこう謙虚になれるんだよ」
歓迎パーティで、少しばかり酔っているジェムを、自分のアパートで休憩させる際に、コヒーを出そうとしたハーンに、
「それよりわたしたち……」と、いいかけてやめたジェムの次の言葉を期待している彼が可愛い。
もちろん、ジェムはそういう意味ではなく
「コーヒーの代わりに紅茶じゃだめかしら」
ハーン、がっくし(笑)


レモン祭りの夜 I-231 ハーレクイン社  発刊:1985.08.05
ヒロイン:エイヴィス・ブラウン(弁護士事務所の秘書・20歳) ヒーロー:ホルト・クラヴェル(弁護士・32歳)

あらすじ
ホルトは、もうすく審理が開始される裁判の準備と、母親へのご機嫌伺いをするために、リビエラの別荘にやってきた。
滞在期間は一週間。その間、たまっている書類仕事を片づけるつもりでいたのに、母はまた何やら企んでいるらしい。
最近、結婚を勧めることを生き甲斐としている母親が、案の定、妙齢のお嬢さんを別荘に招いていたのだ。
エイヴィス・ブラウン、彼女のスリムな肢体となめらかな肌、そして、楽しそうにきらめくシェリーブラウンの瞳。
……前に押し付けられた子よりは格段に良いのは見て取れた。
けれど、まだまだ結婚をする気にもなれない上に、近々、大きな裁判に取りかかることになっているホルトにとって、エイヴィスの存在は目障りなだけだった。
母と結託して、結婚の罠を張るような女は願い下げだ。
二人が意気投合して楽しく話をしている様子に、ホルトは嘲りを露骨に浮かべるのだった。

エイヴィスがやってきたのは、裕福で名声のある結婚相手を勝ちとるためだと思い込んだホルト。
かなりの自信家です。
当然のことながら、そんな思惑など一切なかったエイヴィスは、ホルトの嘲りを一刀両断するのですが……流石、自信満々のホルト、彼女の言い分を全く信じません。
信じてないなら、エイヴィスのことを構わなければいいのに、つい、ふらふら〜と吸い寄せられるように彼女に近づいて、嫌味を言ってしまうのでした。
何せ、今まで恋をしたことなどなかったらしいホルト。
エイヴィスがホルトに惹かれ始めていることはわかっても、自分の心の機微を全く、わかってません。
嘲りと「セクハラだろう、それは」という接触をされ続けるエイヴィス。到頭、堪忍袋の緒が切れてリビエラからロンドンに逃げるように舞い戻ってしまうのでした。
逃げられて初めてわかる自分の気持ち。ということで、追いかけきて2日後に結婚式を挙げさせるホルトの弁護士ならではの口のうまさと行動力は素晴しい。
後半は、結婚後、裁判が始まってホルトは忙殺されていたところ、母親の病が相当重いということが判明します。
新婚夫婦だというのにエイヴィスにそっけない態度を取り出す、ホルトの真意は?
この謎を周囲の人間が、自分たちに良いように解釈してエイヴィスに吹き込むのでした。
まぁ、なんというか挫折を知らなかった男が、躓いたものの起き上がり方がわからず、駄々をこねているというヘタレぶりが秀逸♪
天狗になっていた鼻をペシッと叩かれてる感じが、良かったです。


特別なひと R-264 ハーレクイン社  発刊:1983.08.20
ヒロイン:クロエ・マーティン(秘書・22歳) ヒーロー:ベネディクト・デイン(ワイン製造販売会社経営・32歳)

あらすじ
祖母が経営するぶどう農園からあがるワインを輸出する仕事をしているベネディクトは、イギリスにもしっかりとした拠点を築きたくて、古びた館を購入するのだった。荒れ果てた「ウッドコーツ館」を見て回っていると、自分以外の人間が動き回っているのに気がついた。
物音がする台所に足音を忍ばせて戸口に立ってみれば、黒いポリ袋を抱えた若い女性が裏口の扉の鍵を開けようと四苦八苦している姿が目に入った。
「いったい、ここで何をなさっているんです?」
彼女を一目見て雷に打たれたような気がしたベネディクトは、動転の余り、慇懃無礼に尋ねるしかなかった。
そんなベネディクトの心境をよそに、目の前の彼女は、彼の足元を通り抜けた猫に歓声をあげるのだった。

スペイン人の血を引いているにしては(…失礼)心を秘めすぎのベネディクト。
でもまぁ、クロエに初めて会った翌日に、ビジネスがらみだからと結婚を申し込んでいる手際の良さ。
クロエは、婚約者だったロジャーから同棲を求められ、断ったところ、彼から罵詈雑言を浴びせられた上に、婚約が破棄になったばかりという不安定な精神状態にあります。
男性に対して不信感があって、自分が抱いていた「愛情」に自信喪失気味。そこを言いくるめられて、ベネディクトと結婚することとなります。
2年間の便宜結婚を持ちかけてクロエに了承してもらったベネディクトですが、生涯離すつもりのない気持ちが、ふとした拍子に、見え隠れ〜。
「ぼくにとって、このことがどんなに重大なことかは、言うまでもない」


アカプルコの月 R-522 ハーレクイン社  発刊:1987.03.20
ヒロイン:カレン・レイン(社長秘書・23歳) ヒーロー:ソール・マーストン(投資家・30代半ば)

あらすじ
扱っている商品は興味深いものがあるけれど、資金繰りに四苦八苦している部品会社への融資を決めるためにやってきたソールは、そこで、何としてでも自分のものにしたい女性カレンと出会った。
こちらは、彼女がちょっと身じろぐだけでも、心が高鳴っているというのに……。彼女の瞳にうつる自分は、会社の行く末を左右する金づるとしか映っていないのが苛立たしかった。
約束の時間より早くきたために、社長が不在であるのを緊張を滲ませながらも一生懸命にカバーしている彼女は、本当に美しかった。
何としてでも、彼女が欲しい。
ソールは、会社への融資を引きだすためには、投資家達に説明が必要だと、社長のベンと秘書であるカレンをメキシコのアカプルコへと呼び付けるのだった。

情緒たっぷりのアカプルコで、カレンを手に入れようとするソールですが、ベンとカレンの間には何やら特別な感情も流れかけているらしいことに気付きます。まぁ、負ける気は全くなかったようで、ベンが機上で体調を崩して、そのまま入院、手術となったのをこれ幸いと、ソールはカレンの宿泊先を自分が滞在しているホテルへとさっさと変更してます。
あれよあれよという間に、包囲網が狭まっていることに、カレンは及び腰になりつつも、心が逸って仕方がない状況にあります。そりゃ、魅力的な男性が迫ってきたら、ドキドキしないわけがありません。
アカプルコでは、ソールの昔の女リズが、相当、暗躍してます。ソールの仕事仲間と結婚して、裕福な暮らしをしているのに、ソールを手に入れられなかったことを引きずっている女でありまして、やることがえげつないです。夫が目と鼻の先にいるにも係わらず、ソールの泊まっている部屋に裸同然で押し掛けて情事にしけこもうとしてるんだから……。夫にばれて、ほうりだされてしまえばいいのに。
零細企業に勤めている秘書が、買収先の経営者に見初められるという「秘書もの」の王道をきちんと踏襲している作品でありました。


ハネムーンの島 R-654 ハーレクイン社  発刊:1989.01.20
ヒロイン:ルーシー・マーティン(絵本作家・21歳) ヒーロー:ガイ・デバルー(銀行家・34歳)

あらすじ
仕事上の付き合いから、たまたま出かけたパーティに、ずっと探し続けていた女性ルーシー・マーティンの姿を見て、ガイは叶う見込みの低い希望を抱いてしまった。
3年前、自分がしでかした愚かな行為のおかげでぶち壊したものを、少しでも築き直したい。
あの時、出会ったばかりであったにもかかわらず、ルーシーが着ていた大人っぽいドレスに目が眩み、無理やり彼女の唇をガイは奪ってしまった。
ルーシーが、あの辣腕の実業家ウォレン・マーティンの娘だから世慣れていると思い込んでしまったのだ。
翌日、謝罪のために自宅へガイが訪問した時には、既に遅かった。
彼女は、父親と決別することを決めたらしく、家を出ていった後だった。

制作した絵本が出版されたことで天にも昇る心地にいたルーシーの元に、父親から和解の手紙が届きます。3年前、大喧嘩の末に別れたきりの父親との再会は気が重いばかりですが、友人であるピーターの支え(彼は婚約者のふりをすることまで買って出てくれます)もあって、父が滞在するケーマン諸島へ訪ねていくこととなります。
で、その地で行われた父の誕生日パーティに因縁のガイ・デバルーが出席していてギョッとするルーシー。なんとか、彼を避けようとするのですが、彼はルーシーとやり直したいと思っているので強引に近づいてくるばかり。
そうこうしている内に、父親が急死し、経営していたグループ会社が倒産の危機にあり、親身に世話をしてくれていた兄のためにガイと結婚しなくてはならない事態に陥るルーシー。
どんな手段を用いても、ルーシーを自分のものしたいと願ったガイが、畳みかけるように迫っております。
もうちょっと前の段階で判明すれば良かったのにと思うのが、最終段階で、婚約者の振りをしていたピーターから届いた手紙の存在。
父親が最後までルーシーのことを手駒にしようと考えていたということが手紙の中で明かされ、結末がほろ苦いです。


パリの四月 R-879 (株)ハーレクイン  発刊:1991.12.20
ヒロイン:リサ・スティーブンズ(ウィンチェスター電子機器会社オフィス機器部門付き秘書・22歳) ヒーロー:ヒュウ・ウィンチェスター(代表取締役)

あらすじ
いがみ合っていた両親が離婚した後、父はますます酒に溺れるようになった。経営していた会社は既に、ヒュウが取り仕切り出していたので問題はなかったが、父が身体を壊すのは時間の問題だったのだ。
再婚も父のアルコール依存を止めることはできず、早すぎる死を迎えることになった。
父の再婚が遺したものは、義弟ポールができたことと、名実とともに引き継ぐことになった電子機器会社だった。
会社の経営は手をかければかけるほど業績をあげていくが、ポールの為にどれだけ支えになってやっても、彼はヒュウの顔に泥を塗るだけの存在だった。
ポールの事業部に顔を出した今日も、ドアを開けた途端にヒュウの目に写ったのは、秘書と抱き合ってキスしている姿だった。
「これはいったい何事だ!」
ヒュウは、思わず声を荒げていた。

早とちりのヒュウです。リサが義弟と、よろしくやっているものだと思い込んで、その仲を裂こうと色々と画策。
まずは、二人で出かける予定だったスコットランド出張を取りやめさせ、その後、引っ攫うようにパリに連れ出して、誘惑大作戦〜。
押せ押せで迫ってます。
メモ:カーペットに足を取られて捻挫するヒロイン。
リサが自分の心情をべらべらと解説するので、何だか、物語の展開的にぼやけた感じが否めない作品。