ミシェル・リード

シークの祈り R-1900 ハーレクイン社  発刊:2003.09.20
ヒロイン:シーカ・リオーナ・アル・カディム(妃殿下) ヒーロー:シーク・ハッサン・ベン・カリーファ・アル・カディム(ラーマン国プリンス)

あらすじ:恋する男たち1
互いにただ1人の相手として愛し合っていたリオーナとハッサンだったが、2人の間に子供ができないことが原因でリオーナは彼の元を去った。ラマーン国の後継者であるハッサンには跡継ぎがどうしても必要で、周囲の者たちから第2夫人をという圧力が日に日に強くなっていたのだ。ハッサンが自分以外の女性とベッドに共にするなんて耐えられない。その上、その女性との間に赤ちゃんができるなんて……
別居して一年。父の仕事を手伝うようになったリオーナは、父のビジネスパートナーであるイーサン・ヘイズのエスコートでパーティに出席する途中で屈強な男達に取り囲まれた。リオーナを誘拐しようとする男達から守る為に活路を開こうとしたイーサンが倒され、逃げようとした彼女の目の前に立ちはだかった男は……別居中の夫ハッサンだった。

話しが入り組んでいて、わかりづらいよーと思いつつ、それなりに面白かった作品。ハッサンがリオーナにベタ惚れでイーサンとの仲について嫉妬しまくってるのがいい。2人の間に子供ができないことで、権力争いが表面化してハッサンへの第2夫人に自分の娘を送り込みたい一派(保守派)と阻止したい一派(改革派) ……登場人物が多い上に、名前が似ていて、私には覚えられませんでした(トホホ) 子供ができなくてもリオーナさえいれば、他には何もいらないというハッサンの決意の固さが読んでて嬉しかった。それだけ愛されてるリオーナですが、権力の恐ろしさに気付いている彼女が今一つハッサンのことを信じきれなくて……その展開が少し長過ぎるかな〜とも。
次回のヒーローであるイーサンも格好良く、次々回ヒーローであるハッサンの異母弟ラフィクはうさん臭さくて(笑)、期待大。
あと意味の取り違えをしてしまいそうな箇所が……リオーナが妊娠したかもという展開になった場面で、その子供が誰(イーサン)の子であるかという疑いを「保守派」に抱かせるかもしれないというくだりがあるんですが、ハッサンが疑っているという文脈にもとれそうで……。イーサンの道義的行為の高さをハッサンが尊敬しているという文が最初にあるにしても……わかりづらいなー(苦笑)


楽園の誘惑 R-1911 ハーレクイン社  発刊:2003.10.20
ヒロイン:イヴ・ヘラクレイデス(大富豪令嬢・23歳) ヒーロー:イーサン・ヘイズ(建築家・37歳)

あらすじ:恋する男たち2
守るべき女性リオーナを守りきれず、その夫に目前で彼女を攫われたイーサン。理由を聞き、身を引いたものの仕事上のパートナーもその一件に噛んでいたことを知り、激怒した。頭を冷やす為にと、休暇を取ることを勧めてくれた友人の別荘で海を満喫するつもりだった。しかし、行く先々で勘に障る女性イヴと交差するのだ。男はひざまずくものと思い込んでいるかのように振る舞う、甘やかされたイヴ。一切、関わりたくないタイプの女性なのに……気になって仕方がないイーサンだった。

なんかヒロインが好みでなかった。甘やかされて、身勝手過ぎて、どうしてイーサンが彼女を好きになるのか、理解できないわー。若けりゃいいってもんじゃないでしょー(苦笑)と読みながら、突っ込んでました。イヴの祖父も、なんだかなぁで爺孫そろって……イーサンに教育されなおした方がよろしいかと。


罠に落ちた二人 R-1918 ハーレクイン社  発刊:2003.11.20
ヒロイン:メラニー・ポートリース(大富豪未亡人・28歳) ヒーロー:ラフィク・ベン・ユセフ・アル・アラン・アル・カディム(金融家・37歳)

あらすじ:恋する男たち3
1年間付きあっていたフラメンコダンサーのセレナが結婚したことを、新聞のゴシップ記事で知らされたラフィクは、怒り心頭であった。これで、女性に裏切られるのは3人目。母親、結婚をしたいとまで思い詰めた女性メラニー、そしてセレナ。いつもは冷静沈着なラフィクの荒れように、秘書も側近も恐れをなしていた。
そんな彼の怒りをまともに受けることになったのは、2ヶ月前に亡くなった大富豪ウィリアム・ポートリースの遺産相続人である女性であった。一流の金融家としての彼から、資産運用の助言を受けようと面会にやってきたのだ。書類に記載された「メラニー・ポートリース」が秘書に案内されて部屋に入ってきたのを知りながら、ラフィクは机から顔も挙げずに出迎えるのだった……。

自分の息子がいると知って、メラニー宅に押しかけたラフィクに見せた彼女の対応が……なんだか、切羽詰まってて心を打つというか、笑えてしまったのは私の感性がずれているからかしら♪ 暖炉の火かき棒を後ろ手に持って、ラフィクの侵入に備えているメラニーです。母は、強し。
巧妙に仕掛けられたとはいえ、ラフィクの思い込みと周囲の要らぬお節介のおかげで、メラニーばかりが割をくった年月を8年間も送る羽目になってます。
大男の描写が至る所に書かれているラフィクが心底、反省したりしてる姿は可愛いかったりして。「また、怒らせた」とか「謝る以外に一体なにが言えるだろう?」と自分のすることがなんだか、彼女の気に入らないことばかりなのをとっても反省してるんだけど……つい、やってしまって怒らせたり泣かせたりの繰り返し(苦笑) そんなラフィクの行動に怯えつつ、向かっていくメラニーも好き。
シリーズの中で、1番出来が良いというか好みの作品でした♪(8年間2人の人生を無駄にしたっていう設定が、ちょっとマイナスだけど)


背徳の烙印 R-2005 (株)ハーレクイン  発刊:2004.11.20
ヒロイン:シャノン・ギルブレース(グラフィックデザインの会社を共同経営・24歳) ヒーロー:ルカ・サルヴァトーレ(巨大な金融会社の経営者・34歳)

あらすじ
濡れた路面に滑ったトレーラーの横転事故に巻き込まれて、弟アンジェロが亡くなった。
身重だった妻キーラは意識不明の重体だ。辛うじて赤ん坊だけが無事に取り上げられ、保育器の中で必死に生きようと頑張っている。
家族が反対する中、ルカは弟夫妻の悲劇を伝えるために ロンドンに出向いた。
キーラの息があるうちに、妹であるシャノンを枕元に呼び寄せなければならない。
2年前に、彼女から受けた仕打ちは固く蓋をして、冷静に彼女に接しなければ……。
あの頃、6ヶ月に渡る蜜月のような同棲生活を送っている思っていたのはルカだけだった。その間、シャノンは2人の寝室に他の男を引っ張り込み、情事をむさぼっていたのだ。

ルカとシャノンの寝室に男を引っ張り込んで楽しんでいたのはキーラだったという真相が、読者には明かされます。もちろん、ルカは知らないまま。
ということで、ルカはことあるごとにそのことを持出し、シャノンを糾弾せずにはいられません。
重体であったキーラは、意識が戻らないまま命を落とし、死者に鞭打つことなどできないシャノンは、「いまさら」という思いもあって真実を口にしない選択をします。
シャノンは姉キーラを深く愛しながらも、2年前のできごとから姉を心の中で「雌ぎつね」呼ばわりしてるという複雑な愛憎感情を抱いてます。まぁ、キーラについては内気で大人しいという女性であると周囲の人たちから思われていたようですが、保身のために、妹シャノンを悪者に仕立て上げるのに汲々としていたんではないかと思われる個所がちらほら出てきます。たった一人の身内とも言える妹を陥れてしまったことを、神父様に懺悔するくらい苦しんでいたのは事実なんだろうけどさー。
ルカが真相を知り、自分の間違った言動や信頼していた弟から同じだけのものを返してもらえなかったことなどに飲まずにいられなくて、飲んだくれちゃってます。
シャノン、ルカともにハイテンションな言動で、物語が進行。


略奪は甘く R-2048 (株)ハーレクイン  発刊:2005.06.20
ヒロイン:フランチェスカ・バーナード(観光ガイド・24歳) ヒーロー:カルロ・カルルッチ(エレクトロニクス会社経営・35歳)

あらすじ
義妹ニコラが、恋人のアンジェロから一方的に別れを告げられた。どうやら、あの男には他に好きな女性ができたらしい。
カルロは、アンジェロがニコラを捨てる原因となった女性フランチェスカを一目見て、何故先に出会えなかったのかと、運命を呪った。
そして、フランチェスカと自分との間に因縁の絆があることを知り、ますます彼女を自分のものにしたいという狂気じみた思いに苦しむのだった。
その執着心をあざ笑うかのように、いくつかのパーティの席上で顔を会わせても、アンジェロに夢中のフランチェスカは、カルロに意識を向ける素振りすら見せてくれない。
そして、とうとう、フランチェスカとアンジェロが婚約発表をするパーティの日がやってきた……。

婚約発表を間近に控え、大盛況なパーティの中、庭の片隅でフランチェスカの親友ソニアと情事に勤しむアンジェロ。
それを目の当たりにするフランチェスカ。
チャンス到来とばかりに、動揺している彼女を掻っ攫っていくカルロ。
物語の展開は、好きな部類に入るのに、フランチェスカの心の揺れと行動が今一つ腑に落ちなくて、すっきりしない仕上がり。
あと、フランチェスカの大叔父ブルーノ・ジャンニを悪しざまに言いながら、仲良く歓談している場面があったり、かばったりするカルロの一貫性のない言動とか。
何よりも、フランチェスカのへの接し方が、SEXで操ろうとしていて、なんだかなぁ……で、フランチェスカがあやつられまくりなんですよ、これがまた。