サンドラ・ブラウン(別名:エリン・セント・クレア

ブルー アイの秘密 82(セカンドチャンスアトラブ) (株)日本メール・オーダー  発刊:1984.01.20
ヒロイン:リー・ブランサム(ディスプレイコーディネーター・27歳) ヒーロー:チャッド・ディロン(整備士?・事故油井のベテラン制御員・34歳

あらすじ
麻薬取締官だった夫グレッグが8ヶ月前、捜査中に殉職した。妊娠したことを告げようとお祝いの準備をして帰宅するのをリーは心待ちにしていたのに、叶わなかった。
リーは、夫との思い出がつらくて家を売却し、先輩から紹介された仕事先であるミッドランドに住居を構えるのだった。
そして、今、2週間先に出産予定日を控えていた彼女は、 友人の結婚式に招かれた帰りの車中で、下腹部の激痛に見舞われていた。60キロ先にあるミッドランドまで、とてもたどり着けそうにない……。
絶望にかられていたリーの車の窓を叩いてきたのは、黒いサングラスをかけた見るからにむさくるしい風体の男だった。心臓が凍るほどの恐怖をリーが抱いているのを察したのか、男はかけていたサングラスをはずした。
そこにあらわれたのは、リーがかつて見たことがないほどの青い瞳だった。

テキサスハイウェイで陣痛の為に立ち往生していたリーの出産の介添えをしてくれた男性は、チャッド・ディロンと名乗り、彼女を病院に運んだ後、4カ月もの間、音沙汰がありません。
その間に、リーの中で亡くなった夫への気持ちの整理をして欲しいという希望があったようです。
リーに一目惚れだったチャッドにとってその4ヶ月間はとてつもなく長い期間で、再会した途端、ソフトなんですがかなり強引に誘惑を重ねています。
互いに強く惹かれあっている二人なので、あっという間にカップルになりかけるのですが、大きな障害が立ちはだかってきます。
麻薬取締官という危険な仕事に就いていたために夫を亡くしてしまったリーは、2度とそのような立場になりたくないという強く思ってます。けれども、惹かれてしまったチャッドの職業は油井火災を鎮火させるというもの(リーに避けられるのが嫌で、職業とか妻が自死していたことを黙っていたチャッド)
チャッドが仕事に出るたびに、これで会えなくなるかもしれないというつらい思いには耐えられないからと、身を引こうとするリーを、チャッドが必死に追いすがってます。
頼りがいもあるし、途方もなく優しいし、何よりリーにぞっこんなチャッド。でもリーに何の相談もしない態度がひっかかります〜。


なぜなの、あなた 109(セカンドチャンスアトラブ) (株)日本メール・オーダー  発刊:1984.08.20
ヒロイン:ミーガン・ランバート(テレビ局の販売部長・29歳) ヒーロー:ジョシュア・ベネット(大手広告代理店経営・39歳/愛称ジョシュ)

あらすじ
炭坑夫だった父を10歳の時に亡くし、母親はジョシュが高校を卒業する間際に過労で亡くなっていた。苦学の末に大学を卒業した後は、自分の能力が最大限に生かせる広告業界で野心だけを抱いて働きづめに働き続けた。
自分が手に入れようとひとたび思えば、何でも手に入る。
そんな驕りに酔っていたジョシュの前に、忽然と現れたのが、華奢な容姿をもつミーガンだった。この世の中に、手の届かない存在があるのだと思い知らされた。
何故なら、彼女は、部下でもあり親友でもあるジェイムズ・ランバートが、明日、結婚する相手だった。
挙式前夜のパーティで紹介された時、ミーガンこそ自分が長年探し求めていた相手だと確信したのだ。
何としてでも手に入れたい。
ほんの少しでもチャンスがあるのならと、機会を伺っていたジョシュは、彼女が喧騒真只中のパーティからひっそりと一人で抜け出して、東屋に休憩しようとしているのを追いかけた。ジョシュの姿に気づいたミーガンが、逃げ去ろうとするのを捕え、壁に押さえつけて強引に唇を奪う。
腕の中の華奢な身体にあれだけの力があるとは思いもしていなかった上に、彼女の反応に夢中になっていたジョシュは、突如、胸を強く押されよろめいた隙に、ミーガンに逃げられるのだった。

ミーガンの結婚式を挟んで3日間を、やけ酒で乗りきったジョシュ。その後も、幸せな結婚生活を送り続けているのを知るにつけ、何とか、諦めようと他の女性と婚約までしたところ、ジェイムズが急逝。ジョシュは、彼の葬儀後すぐに、婚約を破棄して、ミーガンに取り入ろうと暗躍し始めることとなります。
電話をしたり手紙を書いたり……結果は梨のつぶて。
まだ、傷が癒えていないんだ(←当たり前です)と、なんとか自分を納得させて、陰で動き出すことにするジョシュ。就職の斡旋をしたり、ミーガンに良い仕事が回るよう手を回したり、彼女が誰と交際して、どんな付き合い方をしているか調べ上げたり。もう、妄執の域に入ってます。
で、3年という年月が経った後、満を持して、ミーガン獲得に動き出すジョシュ。
ところ構わずに迫りまくり。地位、財力、権力、使えるものは何でも使ってのジョシュの行動に、ミーガンは押されっぱなし。それでも何とか対抗しようと頑張っているんですが、吹けば翔ぶような抵抗となってます。何せ、初めてジョシュにあった時から、彼に惹かれてしまったという罪悪感があるだけにミーガンの心情は複雑です。
それにしても、これだけ執着されたら、何とも思っていない女性でもほだされるわ〜。


衝撃的に出会えたら 147(セカンドチャンスアトラブ) (株)日本メール・オーダー  発刊:1985.03.20
ヒロイン:シェイ・モリスン(美術品店の販売員・芸術作品のヌードモデル・30歳間近) ヒーロー:イアン・ダグラス(牧師)

あらすじ
2年前、最愛の妻メアリーをイアンは失った。泥酔者がイアンの運転している車の助手席に側面衝突を起こしたのだ。即死だったメアリーに対して、イアンはかすり傷だけですんだ。
それ以来、イアンは牧師として教区民の為に忙しく動き回っていた。
心から楽しむこと、誰かと深くかかわりあうことを自分が渇望していたと気づかされたのは、一人の女性がイアンの前に現れた時だった。
シェイ・モリスン
父親が再婚した相手シーリアの一人娘だった。
ヌードモデルのバイトをしているというシェイの社会の枠にはまらない生き方は、イアンにとって癪に障るものでしかなかった。できることなら、無関心でいたい。
しかし、彼女が視界に入れば、目の端でその姿を追ってしまうし、部屋に一人閉じこもれば、考えるのは彼女のことばかりだった……。

互いに再婚だとはいえ、挙式直前にイアンと事故死したメアリーとの仲の良さを話題にする母親シーリアの無神経さが、なんだかなー。シェイがヌードモデルをしていることを、必死になって取り繕っている姿も、いただけないし。
娘を淑女という型にはめようとするシーリアや、色眼鏡で見ているイアンに対して、ついシェイが感情的な言動を取ってしまうのは仕方がないのかも。
破天荒な行動をしがちですが、シェイの弱者に対する優しさは心からのもの。
自分が何故、ヌードモデルという他人が眉をしかめるような職業に就くことを選んだのか……。原点を見つめ直すことができるシェイ。
牧師であるイアンの方が、大人げない言動を取ったことで、ロマンスが進展していくこととなります。


27通のラブレター 単行本・MIRA文庫 ハーレクイン社  発刊:1999.07、2002.01.15
ヒロイン:カイラ・ストラウド(フラワーショップ経営) ヒーロー:トレヴァー・ルール(土地開発会社社長・元海兵隊員)

あらすじ
カイラはアローンを出産した翌日に、海兵隊員であった夫リチャードをテロによる大使館爆発で亡くした。あれほど完璧な男性は他にはいなくて、世界で1番素敵なパパになる筈だったのに……リチャードの死はカイラを打ちのめしたが、その血を引いたアローンの存在に救われたのだった。
トレヴァーは罪の意識に苛まされていた。自分が酔っぱらってリチャードからベッドを取り上げたから、彼は爆死し、傷だらけの身体であったとしても自分は生き残っているということに。
他人宛の手紙を盗み読むきまり悪さを感じながらも、カイラがリチャードに宛てた27通のラブレターをトレヴァーはむさぼるように読むのであった。

最初はカイラが書く手紙に惹かれて、本人を見れば更にその思いは加速。……カイラのことを調べ上げて、お近づきになりたいという願望は日増しに強くなるばかり。
思いの蓄積があるからトレヴァーはカイラと接触して時を経ずに、愛の告白。心内で思っていたことを口走る姿は、クスッと笑えます。
「 あぅっ、こんなこと言うつもりは無かったのに」とか反省と後悔の連続(苦笑)
何とかしてカイラに振り向いてもらおうと、押しの強い懐柔策を繰り広げます。アイスクリームから正式のディナーまで、餌付け大作戦。やっぱり攻めるべきところは、胃袋からよね〜と納得してる私って一体(今、食欲大魔神と化してるので……いつも腹ぺこ)。
じんッとくるのは親子のやりとり。特に、トレヴァーと父ジョージとの会話は秀逸です。


虚飾の愛を逃れて フ18-12 集英社文庫  発刊:2004.11.25
ヒロイン:ラナ・ラムゼー(トップモデル → 服飾デザイナー/トレントは、アナと呼ぶ) ヒーロー:トレント・ギャンブリン(フットボールのクォーターバック・肩を故障中・34歳)

あらすじ
オフ中に完治させるつもりだったトレントの肩の故障は、不摂生が原因で長引いていた。このままだと選手生命も危ういと主治医に咎められたのを機に、少年時代に過した伯母ルビーの元で、身体作りをしようと出向くのだった。
伯母の元には、ミス・ラムゼーという野暮ったい女性が下宿していた。
だぶだぶの服、サングラス、顔を覆い隠すような髪という出で立ちだったが、同年代の女が彼女しかいないのなら、ミス・ラムゼーを利用するしかない……トレントは、彼女が自分になびかない女性だとは考えつきもせず、ちょっかいを出し始めるのだった。

ニューヨークで6カ月前までトップモデルをしていたラナ。母親が、祖父とも呼べるような男性に売りつけようとしたことで、我慢の限界を越えてしまってモデル業から身を引き、田舎で服飾関係のキャリアを積み出します。
ラナが下宿している家にやってきたのが、女性にもてると自惚れているトレント。
その天狗になっていた鼻を、ポキリと折ってしまうラナの啖呵を切る場面が、快哉!!
2人がぶつかって、トレントが自分の傲慢さに反省してきちんと謝ったり、友達関係からのお付き合いを始めたりする過程が、右肩上がりの展開で楽しい。
ラナがモデルであったことを隠してのお付き合いは、最後に波乱を呼び起こすのは必須という恋愛小説の起承転結が上手く練られていて、あっという間に読める作品となってます。


楽園の代償 SB01-10 MIRA文庫  発刊:2006.06.15
ヒロイン:ブレア・シンプソン(プロダンサー・膝を痛めて療養中・30歳) ヒーロー:ショーン・ギャレット(大工・アパートの大家・38歳)

あらすじ
友人であるデルガード夫妻から頼まれて、ショーンがアパートを貸すことになったのはブレア・シンプソンというダンサーだった。
彼女は、膝を痛めているらしく、様子うかがいにやってきたショーンをマッサージ師だと勘違いして、部屋に招き入れたのだ。
ショーンが普段、付きあう背が高くて豊満な女性とは対極にあるブレアの肢体から、視線を外すことができなかった。妖精のように小柄で、小振りの形のいい胸、引き締まった身体に、ショーンはマッサージを施していく……マッサージ師でないことがすぐにばれてしまうのがわかりきっていても、この状況を手放す気にはなれないショーンだった。

4歳の時からダンスに夢中だったブレアが、直面しているのは膝の故障でこれから半年は思いっきり踊ることができない生活。それが半年ですまなかったらどうしよう……という、不安を押し殺して頑張るブレア。情緒的にも不安定な彼女の気持ちを更に揺れ動かすのが、借りているアパートの大家であるショーン。
束の間の情事を楽しむつもりでブレアに近づいたショーンは早々に、彼女の魅力に参っていくこととなります。ダンサーであることに対して少々というか、かなり偏見のあった模様のショーンは早々にベッドを共にしたいと宣言し、押し迫っていくのですが、やんわり、きっぱりと断る姿勢を崩さないブレアに作戦変更を余儀なくされます。
彼女のペースでお付き合いを深めていくことを楽しむショーン。当然、下半身は苦しんでます(笑)
そして、ブレアが人生を捧げているダンスに対して盛大に嫉妬するショーン。
仕事(ダンス)か、家庭(ショーン)か、どちらをブレアが選ぼうとするのか、そんな彼女の態度に暴言を吐いてしまったショーンの悔悟の場面がお気に入り(ショーンの余りにも的確な暴言場面から彼が謝罪する場面まで)


同窓生 SB01-11 MIRA文庫  発刊:2006.08.15
ヒロイン:ダニエル・エリザベス・クイン(福祉団体勤務・28歳/愛称ダニー) ヒーロー:ローガン・ウェブスター(牧場主・実業家・30歳)

あらすじ
高校卒業後、ダニーとローガンは駆落ち結婚をし、治安判事の前で、生涯を誓い合った。しかし二人が一緒にいられたのはそこまでだった。
ダニーの両親に車を盗んだと訴えられ、逮捕されたのだ。保安官にパトカーに押し込まれたローガンがダニーを最後に見たのは、両親に慰められ泣いている姿だった。
婚姻無効の手続きが取られ、ローガンはクイン家から除外された。
あれから10年。
死に物狂いで働き、今では巨万の富を手に入れたローガンだったが、本当に欲しいものはただ一つ。
そして、高校の同窓会が開かれることとなり、ダニーが出席するかどうかが、気になった。

ダニーとローガンは同窓会で再会し、未だに強く思っていることを自覚することとなります。
ダニーが同窓会に出席したのは、ローガンが所有している土地をどうしても手に入れたいと勤務している福祉団体から、売買交渉を任せられたから。
本来なら顔を出せないほどの罪悪感を持っているダニーですが、障害をもつ子ども達に尽くすことを強く誓った彼女は信条から出ざるを得ない状況となっています。
ダニーが社交界で派手に資金集めをしていることを誌上で読んでいるローガンは、彼女に対してつらくあたっていくこととなります。揶揄したり、侮蔑したり、でも愛している気持ちも溢れて仕方がない。そんなローガンに腹を立てたり、何をされても愛していることに気付くダニー。
土地の売買をからめて二人の仲は、進展したりこじれたりしていきます。
今でもダニーのことを深く愛しているけれど、10年前の恨みがどうしても昇華しきれないローガンのやるせなさがなんとも良かった〜。


甘い一週間 SB01-12 MIRA文庫  発刊:2007.01.15
ヒロイン:アリソン・リーモン(生物遺伝学者・双子の妹) ヒーロー:スペンサー・ラフト(運び屋?/切手の収集販売・郵趣家

あらすじ
仕事が今回も上首尾に終わり、アトランタに戻ってきたスペンサーは、幼馴染みで、親友のデイヴィスに空港で迎えられた。婚約者のアンを紹介したいからと夕食に誘われ、待合せているレストランの駐車場に向かった。
こちらに歩いてきているのが、その婚約者だとデイヴィスが手を振り出した瞬間、件の女性が目の前で見事にすっ転んだ。
見事な赤毛の女性が、膝を打ち付けたのか、ヒップを高くしてうずくまっている。
慌てて、デイヴィスとともに側に駆けつけ、スペンサーは彼女を抱き起こすのだった。スペンサーを見上げてきたグリーンの瞳は痛みのせいか、潤んでいて……。

双子の入れ替わりに端を発するロマンス。
豊胸手術を婚約者デイヴィスに内緒で仕上げてびっくりさせたいと、アンは、双子の妹アリソンに手術中の一週間、自分になりすますことを強要します。姉の口車に乗せられて、アンになることを了承してしまったアリソンは、苦手な社交生活や不得手な男性に対して奮闘することとなります。
何事もなく一週間を過ごせることをひたすら祈っていたアリソンは、婚約者デイヴィスの親友スペンサーからモーションをかけられるという、大問題に初日からぶち当たるのでした。
無二の親友であるデイヴィスの婚約者アンに懸想してしまったスペンサー。自分に正直というか、心底、欲しいものに対してどん欲な彼はガンガンとアリソンに迫ってます。
デイヴィスにも、その結婚は間違いだと言ってのける姿勢は公平というか、なんというか。
2人の入れ替わりがご破算になるまでが前半、後半はお付き合いに尻込みするアリソンを口八丁手八丁で丸め込んで、いちゃいちゃとし合う展開となってます。
スペンサーの仕事がなんであるか?という謎を、ちょっとしたスパイスに、アリソンを獲得するべくスペンサーが動き回ってます。



エリン・セント・クレア(別名:サンドラ・ブラウン

誘惑宣言 D-36 (株)サンリオ  発刊:1983.07.20
ヒロイン:ヘイリー・ダイアン・アシュトン(遊園地の接客部の主任・28歳) ヒーロー:テイラー・スコット(実業家・ヘイリーが勤務する遊園地の経営者・40歳)

あらすじ
両親は妹エレンを躾けるために真面目なヘイリーを引合にし、エレンは自分のしでかした不始末をいつも姉に押し付け、友人達は人のよいヘイリーの性格につけこんでばかりいた。他人に利用されるばかりの自分に嫌気を差しながらも折り合いを見つけて、ヘイリーは真面目に生きている。
勤務先である遊園地で接客部の主任として、お客様のトラブルを解決するために奮闘する毎日は張り合いがあって楽しい。そんな彼女の毎日を強引に引っかき回しだしたのは、遊園地の経営者であるテイラーだった。
彼の娘フェイスが蜂に刺された時、大騒ぎした父娘にヘイリーが冷静に対処したのが事の始まりとなった。

テイラーの押しがかなり強いです。その性格が災いして、男性に免疫のないヘイリーにとって、テイラーはうさん臭い雇用主だという印象を強く植え付ける結果となってます。
何せテイラーったら、ヘイリーの気持ちを思いやるよりも前に、まずは自分の存在をアピール、絶対に恋人同士になってみせると豪語しております。
今まで、全くもてたことがなかったヘイリーは、テイラーの真意を汲み取れず、あたふたすることは必至。
フェイスの世話役として丁度よい存在だから、彼は誘惑を仕掛けてきたのだと思い込んだりするわけです。
その上、エレンがお金の無心にヘイリーの元を訪ねた際に、出会ったテイラーにべたべたとひっついたりするものだから、一波乱。最後までトラブルを持ち込んだエレンに対して、テイラーが怒鳴りつけて躾けてました(笑)


シルクの言葉 D-126 ハーレクイン社  発刊:1985.06.05
ヒロイン:レイニー・マクロード(幼稚園教諭・27歳) ヒーロー:ディーク・サージャント(刑事事件専門の弁護士・43歳)

あらすじ
閉所恐怖症だったレイニーは、高層アパートのエレベーターが停電で急停止した時、パニックに陥りかけていた。そのエレベーターにたった一人同乗していた男性に話しかけられても、最初、返事すらできなかった。
たった10分程の停電が、唐突に終わってエレベーターが正常に動きだした時、レイニーの中で張りつめていた気持ちが砕けた。
身体に力が入らなくなった彼女を、ディークと名乗ったその男性は、優しく支え自室に招き入れるのだった。
気付けがわりにと出されたブランデーに酔ったレイニーは、日頃の清廉とまで言える抑制が取り払われ、ディークとベッドを共にしてしまった……。

翌朝、目覚めたレイニーは、エレベーターに乗ったところからの記憶が真っ白。見知らぬ男性と裸でベッドにいて、昨晩自分が何をしでかしたか、歴然とわかる状況に心底怯えます。
一方、独身を通してきたディークは生涯を共に暮らしたいと思える女性に出会えたことを喜びながらも、パニックに陥りかけている彼女を落ち着かせるために、席を外します。レイニーがゆっくりと入浴している間に朝食の用意をして、これからの二人の付き合いを切りだそうと思っていたのに、彼女は、シャワーを出しっぱなしにして部屋を脱出しているのでした。その後、行方を捜し出し、再会をするまでに6ヶ月間。
捜し出したレイニーは妊娠していて、夫を必要としていないその様子に、策を練ったディークのした行動は、問答無用で彼女の自宅に押し掛け居座り続けるというもの。
押しの一手で始まった同棲生活の中で、レイニーが抱える心の闇に気付き、何とか力になろうと弁護士だけあって(?)、 口八丁手八丁で奮闘しております。
メモ:表紙、背表紙は「イアリン・セント・クレア名義」 ……発行データ頁は「エリン・セント・クレア」だったりするのになぁ(苦笑)


失意の向こう側 N-192 ハーレクイン社  発刊:1987.04.05
ヒロイン:カリー・エリザベス・スチュワート・ウィニー(TVレポーター) ヒーロー:ハンター・マッキー(地方検事)

あらすじ
市会議員のトーマス・ウィニーが居眠り運転のトラックにはねられ命を落とした。検事に新任したばかりのハンターが彼を汚職事件の中心人物として内偵していた矢先の出来事だった。
トーマス・ウィニーの葬儀が行われている様子はテレビでも放映され、ハンターはそれをビデオに録っていた。
ビデオに映っている、ある女性を見たいがために、再生を繰り返した回数は、既に10回目。
全身黒ずくめで、か細く、いまにもこわれそうな陶器の人形のような女性カリー。彼女が亡き夫に白いバラを手向ける姿は、何度見ても、胸がどきどきしてわけのわからない感情がハンターの喉もとにこみあげてくるのだ。
嘆き悲しんでいる彼女に、夫の罪を突き付けて、横領の証拠固めをしなければいけない立場にあることにハンターは、苛立ちを覚えずにはいられなかった。

最愛の夫トーマスを奪われて茫然自失となったカリーですが、妊娠していたことが判明して、生きるよすがを手に入れます。お腹にいる赤ちゃんのために、細くなっていた食や崩していた体調を整えて、先生から妊娠が順調に進んでいると太鼓判を押してもらった矢先に、知らされてきたのが、トーマスの市議会費横領。
マスコミ攻勢とともに、夫を無実の罪に陥れようとする検事のハンターからの揺さぶりに心労が重なって、到頭、流産することとなります。
カリーとハンターの間に、どんどんと障害が積み重なっていくのが物語の前半。
ハンターを攻撃せずにはいられなくて、ついやり過ぎたカリーは、停職3カ月の処分を受けることとなります。休暇をとった彼女を追いかけていくハンターが、手練手管で迫っていくのが後半の展開となってます。その間に、二人の職業倫理が立ちふさがったりと、熱々ロマンスだけでない仕上がり。
読み進めて、物語の半ばにさしかかった時に、判明した衝撃の事実。
「ハンター、あんたってば、結婚してたのッ!?」
別居しだして3年、ベッドも供にしてないっていってもさー、ひっかかるー。そのことが、カリーにばれた時に、展開される都合のよい言い訳がひっかかるー。