サンドラ・フィールド
最終段階で、ヒロインにヒーローを追いかけさせる展開が、多いような気がする作家さん。

一緒に歩こう I-171 ハーレクイン社  発刊:1984.10.05
ヒロイン:マーガレット・ケーンズ(落馬事故で下半身不随・刺繍作家・22歳/愛称メグ) ヒーロー:ポール・モアトン(ジャーナリスト・35歳)

あらすじ
一人息子クリスとの仲がぎくしゃくしていることに、ポールはやりきれない思いを感じずにはいられなかった。
アフリカでの取材中、権力者の尾を踏んでしまったポールは牢獄につながれ、その間にクリスの心臓病は早急に手術を受けなければならない状況に陥っていた。離婚した妻は、病に臥している息子を少しでも早く手放したがり、手術を受けたクリスはひたすら痛い思いを耐え続けなければならず、あらゆる災難を全て父親ポールが原因だと、クリスは考えてしまったのだ。
頑なな態度を取り続けるクリスが、リラックスした子どもらしい溌剌とした表情を見せた相手は、メグ・ケーンズと名乗った車イスに座っている若い女性だった。

ポールの病後の療養をしようと海岸線を走っていたポールは、暴風雨の中、道に迷い、メグが居住する小屋に行き着くこととなります。車イス生活をしているメグは、社会となるべく係わらないようにしているのがポールには手に取るように分かります。
ポールは手八丁口八丁で、メグを外に連れだして行くこととなります。
痛くて痛くてたまらない心臓病の手術を父親に無理矢理受けさせられたと思っているクリスは、父親ポールに対して頑なな態度を崩すことがありません。
傍から見てもポール親子の間はぎくしゃく。
そんな2人の緩衝地帯のような役割を担うことになったメグ。
彼女がいるだけで、クリスがリラックスして子どもらしい溌剌さを見せてくれる……。
ポールは、それだけのためにメグに求婚をすることになります。
まぁ、一応、メグに対して好感を持ったのも加味されてるんですが、最初の動機が失礼だったんでこじれます。
その内に、メグが最新の手術を受けて歩行が可能となり、彼女を捨てた婚約者がいけしゃーしゃーとやって来て一騒動。
車イスの生活をしているからと、恋愛に消極的すぎるメグと、相手の言い分を聞かずに巻くし立てて墓穴を掘りまくっているポール(ジャーナリストなのに、その職業が全く生かされてません 笑)


まだ見ぬ面影 I-181 ハーレクイン社  発刊:1984.12.05
ヒロイン:シャノン・ハート(事故で失明し療養中・21歳) ヒーロー:ブレイズ・ストラタン(考古学者・30代半ば)

あらすじ
婚約者リックの運転する車に同乗して事故にあったシャノン。
リックは、かすり傷で済んだが、シャノンは失明してしまった。リックからは、婚約を破棄され、母からは、重い荷物を背負わされたと威圧される毎日。シャノンは自分が役立たずの何もできない人間のような気がして、部屋に閉じこもりがちだった。そんな中、リックの異母兄ブレイズが、シャノンを訪ねにやって来た。
リックの仕打ちの上に、母親の仕打ちに憤るブレイズに、シャノンは事故後、初めて地に足をつけて歩こうという気になってきたのだった。

リックがね……本当にイヤな奴でした。
イヤな奴だとわかってるブレイズまでが、最後に騙されてシャノンがつらい目に会います。といっても、リックとブレイズの間で、心が揺れ動いてるようにブレイズに見せたシャノンも悪いんだけど……勝手な人間達に囲まれて育ったシャノンとブレイズが、本当に大切で信頼し合える相手を、見つけることができて良かったです。
……でもブレイズは、もっと早めにシャノンを信頼しないと(苦笑)


キスは森のなかで I-1821 (株)ハーレクイン  発刊:2006.05.05
ヒロイン:カリン・マーシャル(獣医・26歳) ヒーロー:レイフ・ホールデン(高級ホテルグルーブの経営者・イギリス貴族・33歳?)

あらすじ
7歳下の幼馴染みフィオーナ・タルボットに対して、レイフは友人以上の感情をどうしても持ちえなかった。
しかし、フィオーナの両親が、昔、レイフに学資援助したことを持ちだして、2人が結婚することを強要してくる。
フィオーナに親しみを感じるからそれでいいのかも……と、思いつつ、ホールデン家から夕食に招かれているタルボット家に続く森の中の道を歩いていたら、そこに髪を短くきったフィオーナが。
髪が短くなった彼女に、強く惹かれたレイフはその情動のまま、キスを深めていこうとしたが、飼い犬に邪魔をされ、彼女に逃げられた。
タルボット家の夕食に遅れてやってきたレイフは、そこに髪の長いフィオーナを見出し唖然。目の前にいるフィオーナには今までどおりの幼馴染みとしての親しみしか感じられず……。
では、あの「フィオーナ」は一体誰なのか?

冒頭で、フィオーナとカリンとの関係が明らかにされてます。
一卵性双生児としての絆を2人は早々に取り戻してます。
本題は、カリンが水難事故で命を落とした夫スティーブから受けた精神的肉体的な暴力からどう自信を取り戻して、レイフと人生を歩んでいけるかとなってます。
カリンにベタ惚れのレイフがいいなー。
あと、レイフと歩んでいくことに一度は背を向けてしまったカリンに、フィオーナが発破をかける場面もいいです。ろくでもない男を夫にしてしまった自分の人を見る目が信じられないと、怖けづくカリンに、
「それならしばらくわたしの判断力を頼りにして」