あらすじ
賭博と浪費にのめり込んだ先祖のツケを今なお、払わされている。返済のために二進も三進も行かなかったのだろうが、キャンドルウィックの領地を分断するかのように土地で支払った愚策は、腹立たしいばかりだった。
その上、近年、あの土地の管理は成されておらず、目も背きたくなるほど荒れ果てていた。目に入らなければ忘れることも出来るが通り道にあるのだ。
現在の持ち主であるチャールズ・ハートリーに過分過ぎるほどの金額を提示して土地の買い上げを申し入れたが、梨の礫だった。
性格の悪いハートリーのことだ。どうせこちらを困らせることしか考えていないに違いない。
土地の買い上げ以外にハートリーに用がないドミニクは、隣人の存在を拒絶する道を選んでいた。
朝食をとりながら、多忙な一日を過ごす準備をしていたドミニクに執事が、
「若いご婦人がお会いしたいそうです。旦那様。お名前は、ミス・ハートリーです」
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