あらすじ
ストーン・ワードの楽しみは、真夜中に電話応答代行サービスにかける1本の電話だけだった。担当オペレーターであるキヤシー・エルドリッジとの会話だけが、ストーンの生活の中で精彩をはなっている。
3年前に、幼馴染みで、大の親友で、そして妻だったエブリンを交通事故で亡くした時から、ストーンの生活は一変した。
彼女は、心の底からストーンを愛してくれた。けれど、ストーンはどれだけエブリンに愛情を抱こうと努力しても、尊敬と深い友情しか湧いてこなかったのだ。
この間違ってしまった結婚生活をどうすればいいのか……途方に暮れていたストーンが行き着いた先に待っていたのは、エブリンの交通事故死と自身の顔左側に負った大きな傷だった。
他人と会うことを避け、エブリンに対して罪の意識にさいなまされて生きていた。
キャシーが話してくれるバカンス騒動や読書のお勧め論議にどれだけ、心が救われたか。
今夜も又そんな一時を過ごそうと電話していたワードの耳に、つんざくような不吉な音が鳴り響いた。
「キャシー? 何の音?」
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