ゼルマ・オール
芯の強いヒロイン達ですが、心の傷も深いです。ヒーローによって癒されていく過程(その傷をつけたのはヒーローだったりするんですけどね……)に、涙ぐんじゃうこともしばしば。


夜のデュエット G-10 ハーレクイン社  発刊:1985.12.20
ヒロイン:ベス・ページ(新人パトロール隊員・言語学の修士号を持つ元教師・27歳) ヒーロー:ブラント・ページ(パトロール隊員・ベスの上司でありパートナー)

あらすじ
人員も資金の援助もしないで、本部は成果の要求ばかり厳しく、これでは、どう仕事を全うすることができるのだ。ブラントは、パトロール隊員を辞職し、牧場経営を継いだのだった。
しかし、隣接する牧場主であり幼なじみのナッシュが密輸団のグルーブに殺されたことから、パトロール隊の仕事に復帰したのだった。
何としてでも、ナッシュを殺害したグルーブのリーダー格バルロを逮捕する気でいたブラントに、資金の援助と人員の増強が予定されていると知らされた。諸手を挙げて賛成していたのは、増強される人員が、若い女性だと知るまでだった。

婚約者だったジャッドは優秀なパトロール隊員で、ベスは彼が殉職したことからパトロール隊員になろうと決意。研修所の訓練を優秀な成績でこなしていきます。そこで出会ったのが同姓でイニシャルまで一緒のブラント。彼は、女性がパトロール隊員をすることに猛反対であらゆる手(説教も交えて)を使って、阻止しようとしています。
誤配されたベス宛の手紙を読むのにも躊躇してないようだし……。思惑通りに事が運ばなかった原因は、ブラントがベスに惹かれてしまったこと。本人もどうしたもんだかと暗中模索なものだから、矛盾だらけの接し方をして、ベスを煙に巻いてます(苦笑)
この暗中模索の態度が、最後で
誤解を招くのは自業自得。
弁解を聞いてもらうために、奔走してます。当然だッ♪


奇跡は待たないで A-2 ハーレクイン社  発刊:1983.12.05
ヒロイン:ステイシー・ウェアリング(看護婦・25歳→28歳) ヒーロー:グレッグ・フィールズ(建築家・32歳→35歳)

あらすじ
産みの母親がステイシーを捨てたのは、彼女が乳飲み子の時だった。
周りの大人たちに期待してはいけないことを思い知らされながら、いくつもの里親の元を転々として、ステイシーは育つことになった。
過度のバイトと奨学金制度を利用して看護婦の資格をとれたのは、彼女がひたすら頑張ったからだ。
総合病院での勤務は、安定していて、そしてやりがいがあった。
けれども、思いきったことをしてみたいと病院の掲示板に貼ってあった医療ボランティアの募集にステイシーは、申し込むのだった。
派遣されたのは、インディアンの居留地で、その貧しさは想像を絶するものがあった。
本来、無料で保証されている筈の基本的な医薬品の供給すら、行われていないのだ。
どうやら、一度も会ったことがない医師が、横領しているのが原因らしい。
何度も本部に報告書を送り、事態の改善を求めたが、ステイシーの言葉に耳を傾けてくれる人は出てこない。
病んで弱り切っている子ども達に、せめて予防接種だけでも受けさせたい。
ステイシーは何としてでも援助金を得るために、この地域で一番、成功をおさめている建築家グレッグ・フィールズの仕事先を訪ね、居留地の窮状を訴え、援助を乞うのだった。
援助してもらえるのなら、自分ができることなら何でもしますと告げたステイシーに、グレッグは表情も変えず、
「愛人に、なれますか、三ヶ月間?」

グレッグは、1000ドルの援助金をステイシーに渡し、2人の関係が始まります。
けれども、彼女が、初めてさんだと気づいたグレッグは、手厳しく拒絶して(かなりアイタタタな言動)ベッドから追い出すこととなります。
しかしながら 、傷心の余り姿を消した彼女を追いかけて結局は、囲って妊娠させて結婚してと物語が展開。
その後、流産するという痛ましい出来事があった上に、ステイシーが新居祝いに用意した絵画の代金支払いのことで誤解が生じ(早とちり…)グレッグの卑小な言動が暴走して彼女を追い出すこととなります。
出奔してしまったステイシーを探して、居留地にいる彼女の友人夫妻を訪ねたグレッグに投げつけられた言葉と真実は、
「ステイシーをとがめたことが全部自分に返ってくる」
探偵を雇い、必死に行方を探すグレッグですが、消息は杳として掴めず月日が流れることとなります。
その間、ステイシーは寒いのが大嫌いなのにアラスカの病院で働いて洪水時に人命救助をし、そしてハワイへと移動。
そこで偶然やってきたグレッグと再会。
ステイシーを躍起になって取り戻そうとするグレッグですが、彼女は首を盾には振りません。
ステイシーの上司である医師が仲を取り持とうとするのですが、所詮、男同士の連帯感を押し付けてくるだけでステイシーの怒りを更に煽ることとなってます。
「グレッグは傷ついていて、理性的に考えることができない状態だった」
「グレッグが傷ついていたですって? わたしが傷ついたりすることはないんですか?
 男のひとはみんな同じだわ。ぼくを悲しませないでくれよ。
 しかし、ぼくがきみの心を傷つけてもも、気にしないでくれたまえ。 いつもそうなんだから」
啖呵をきるステイシーが、格好良くて、本当に切ない。
メモ: 流産後、養生しなかったのと過労が原因で、一時は命も危ぶまれるような容体に陥る。


愛のまなざし A-22 ハーレクイン社  発刊:1984.10.05
ヒロイン:ケリー・オニール(新聞記者・視力を失っている・26歳) ヒーロー:ジョナサン・ヒース(大牧場主・35歳)

あらすじ
ジョナサンが運転していた乗用車は、歩道からいきなり飛び出してきた若い女性の腕を強打するような接触事故を起こした。
彼女の余りに無謀な動きに、ジョナサンは怒鳴りつけた。
更に怒りを冗長させたいのか、ひたすら恐縮して謝ってくるその女性が、散らばった本を拾い集めて欲しいと頼み込んできた。
常識のない彼女に、ひと言ひと言怒りをこめて嫌みを口にし踵を返そうとしたジョナサンを切羽詰まった声が追いかけてくる。
「目が見えないんです。お願い、本を拾ってください。それから杖も。杖は折れていても使えますから」
ほっそりとした女性の大きく見開かれた瞳は、遠くを眺めているのか、目の前にいるジョナサンに焦点が当たっていなかった。

2人が出会ってお付き合いをし始める場面ばかりを何度も読み直してしまう作品。
そこを過ぎると、ジョナサンのねじれきった暗い性格がケリーを痛めつけにかかるので飛ばし読み〜。
支払った分だけのものを取り立ててやると、無下に抱く展開がイタイですよねー。
ジョナサンの元を去ろうとしたケリーに、姉夫婦の牧場を取り上げてやるだの、ケリーの勤めていた新聞社の上司を路頭に迷わせてやるなどと脅して、縛りつける冷酷さは天下一品です。
家畜小屋が漏電が原因の火災になった時、ケリーの奮闘で事無きをえるのが後半の最大の見せ場。
けれども、火傷を負ったケリーに対して、いつもと同じ態度に近いものしかジョナサンは取れません。
当然、失望と怒りに駆られたケリーが、ゼルマ・オール作品定番の出奔展開となり、ジョナサンは行方を探し回るのでありました。
メモ:ケリーが出奔したことで、ジョナサンの周囲の人たちが彼にことごとく苦言を呈す。


砂漠の風のように A-54 ハーレクイン社  発刊:1986.02.05
ヒロイン:エミー・ホワイトレイク(獣医師・29歳) ヒーロー:ジェフ・ワーグナー(大規模牧場主)

あらすじ
経営している大規模牧場で長年働いてくれている獣医師が寄る年波に、引退したいと言ってきたことから、ジェフ・ワーグナーは獣医師の募集を出した。
少なからずの申し込みがあり、面接を重ねたものの、どうもしっくりとくる人物が現れない。
それが、応募者の中にいた女性獣医師エミー・ホワイトレイクに会った途端、牧場長も太鼓判を押すほどの何か通じるものがあったのだ。
彼女を雇ったのは正解だった。
仕事とはいえ労力を厭わず、家畜の面倒を診てくれる上に、聴力を失った一人娘アマンダが再び音を取り戻せる道を切り開いてくれたのだ。
婚約したも同然の幼馴染みアイリーンという女性がいながら、ジェフの意識はエミーに釘づけだった……。

盛り場の通りに捨てられていたエミーを見つけ、愛情深く育ててくれた養父母。
彼らが牧場で住み込んで働いていたので、エミーは辺鄙な場所での生活に飛び込んでいくことに躊躇いはありません。
弱ったものに対して心が動かされてしまうエミーは、メキシコ系の少年の法的後見人なったり、野良犬を拾ったりと溢れる愛情を分けていくこととなります。
その恩恵を受けたのが、ジェフの愛娘アマンダ。母親が車の事故で亡くなり、同乗していたアマンダは受けた傷が原因で聴力を失っています。
音を取り戻すことを諦めていた父娘を説き伏せて、新しい治療を受けさせようと働きかけるエミー。
他人のために労力を割く事を厭わないその姿勢に、ジェフがのめり込んでいくのは当然の展開……なんですが、婚約間近の女性(アイリーン)がいるのにエミーに手を出した上に、アマンダのことを思って苦言を呈したエミーに、
「一度君と寝たからと言って、ぼくに命令する権利など、君にはないはずだ」
そんなことを口走るから、真剣にプロポーズしても信じてもらえないんです。自業自得ですな。
アイリーンがエミーを追い払うために画策したことが原因で、エミーは生死の境を彷徨ったりとかなりハードな展開となってます。
メモ: 牛の耳につけたタッグを取り外しても、どの牧場の牛か見分ける方法あり。


ビー・ストロング A-98 ハーレクイン社  発刊:1987.12.05
ヒロイン:ジョイ・ストレイヤー(大規模土木プロジェクトのコンサルタント会社重役・28歳) ヒーロー:マイク・グレシャム(首席警部・30代前半?)

あらすじ
小雪が降る中、パトロールに出ていたリノ市の首席警部であるマイク・グレシャムは、渋滞をひきおこしている車の窓を叩いた。
運転席にいたのは若い女性で、その頬は赤みを帯び、とろんとした瞳が見返している。
「お酒を飲んでいるんですか?」
泥酔者が引き起こす悲惨な事故をいくつも知っているマイクは、その女性に手厳しく問うた。
しかし、車外に連れ出し、職務質問をしようとしたマイクの前で、ジョイと名乗ったその女性は急に崩れ落ちた。
脇腹が痛むのか、かばうように身を縮める彼女を、マイクは急いで病院へと搬送するのだった。
搬送先の病院で、彼女が流産したこともあって、彼女に手厳しく当たったことにマイクは気が咎めてならなかった。

2歳の時に両親を亡くしてから孤児院で育ったジョイ・ストレイヤーは、2年前に結婚した相手ケンと離婚協議の真っ最中です。
ケンが亡くなった妻を今なお愛し、その上、ジョイのやることなすことを否定するという結婚生活に見切りをつけたところ。
家族がいなかったジョイにとって、愛し愛される家族の一員になることが一番の夢で、それが挫折してしまったことにひどく傷ついて立ち直るのに時間がかかっている時に、マイクが現れることとなります。
彼に心惹かれていくのは、当然の展開なのですが、マイクの方にも問題が。
警官という仕事に就いているマイクは、精神的に弱い女性はお断りという態度をとるわけでして。
惹かれ合っている2人が、それぞれの心の問題に区切りをつけて結ばれるという展開となっております。
ジョイは繊細な精神の持ち主ですが、ばりばりのキャリアウーマンでもあります。危急の時には、柔軟で勇敢な対応をとることのできる女性。
メモ: 吹雪の中、横転したトレーラーの中から負傷者を救出。帰りの便を変更したおかげで、ホテルの爆破事件から危うく難を逃れる。


メモリー A-107 ハーレクイン社  発刊:1988.05.05
ヒロイン:アプリル・ヘイドン(運送業者・27歳) ヒーロー:ラッセル・カロウェイ(科学工学技師・31歳/愛称ラス)

あらすじ
「君から離れるんだ。君のキスやあふれるばかりの愛情で、息もつけなかった。僕は息苦しくてならなかったよ」

ラスが、3年間の結婚生活を終わらせたのは、6年前のことだった。
もっと自由になりたい、他の女性とも付き合いたいという身勝手な理由から、ラスのことを心底、慕って愛してくれていたアプリルを切り捨てたのは。
アプリルと離婚したあと、望んでいた自由と経験の積んだ女性との親密な付き合い、そして勤め先での昇進を得たがラスの心は満たされない。
離婚してから3年が過ぎ、アプリルへ未練がましく投函した手紙は配達先不明で戻ってきた。
この世界で何よりも大事なものを自分が踏み潰したと確信したのは、仕事先のカイロでテロリストに誘拐された時だった。
監禁と拷問に耐えられたのは、思い出の中のアプリルが励ましてくれたからだ。
無事に帰国できれば、必ずアプリルを探し出そう。
そう決心して無事に帰国し療養していたラスの耳に、聞き覚えのある名前の女性が事故に遭い病院に搬送されたというニュースが入ってくるのだった。

記憶喪失もの。離婚夫婦の再縁もの。
病院にかけつけたラスは、医者からの話を不安気に聞いているアプリルの姿を目にすることとなります。
対人関係に関しての記憶がすっぱり抜け落ちているアプリルは、ラスの姿を見ても何の反応も見せません。
そのことを寂しく思いながらも、安堵の気持ちが大きいラス。
何としてでも、アプリルの側に居られるチャンスが欲しいラスは、倫理的に悪いことだと重々わかっていながらも、アプリルの記憶喪失を利用するのでありました。

「真実を告げる前に、何とかこれまでの埋め合わせをする機会を与えて欲しい」

しかし、掴んだ思った幸せは、アプリルの記憶がよみがえった途端崩れ去り、6年前の過ちに加えて今回の身勝手な言動に対して糾弾を受けることとなります。
深く静かに怒りをためたアプリルが許してくれる日がくるのをひたすら、乞い願う日々をラスは過ごす事となります。
今回の騒動も含めて、6年間もアプリルが苦しんだんだから、もーちょっと、ラスも苦しめばいいのにと思うのですが、前向き(?)な性格の彼は、
「アプリルには、僕なしでは生きていけない」ということを理解してもらうにはどうしたらいいのだろうと悩んでいるんですよ。
まぁ、その通りなんだけどさー、でもさー、ラスってば、もう少し謙虚になろうよ。