あらすじ
伯父が心臓発作で亡くなった場所は、いかがわしさに磨きがかかっている売春宿「鞭の館」だった。亡くなってから判明したことに、ベアトリスはショックが隠せなかった。さほど多くなかったもののそれなりにあった財産の全てが、「禁断のリング」と呼ばれる骨董品アフロディーテ像の購入代金に充てられ、その上、それ自体が盗まれてしまったのだ。
今年、社交界デビューを飾った従妹が受け継ぐべき伯父の遺産が一文も無いというのは、彼女の将来を狭める結果しかない。なんとしてでも、「禁断のリング」を探し出すためにベアトリスはある人物の助言を仰ごうと決意した。
その人物モンクレスト伯爵が「怪僧」 と呼ばれ社交界から秘かに恐れられていても、伝説と骨董について、彼ほど知識と伝手のある人はいないのだから。 |