あらすじ:プレスコット家シリーズ長女編
父の引退後も引き続き仕えてくれている秘書ミス・ファレルが3週間の長期休暇を取る。代理の秘書だけでは、ザックの厳しい要求にはたえられないと判断したミス・ファレルは留守番電話応答サービスも申し込んでいた。
退社後も、ザック宛にかかってくる電話の本数は膨大で、その上に、歯医者の予約や、わざと忘れてしまいがちな家族との室内楽コンサートへの出席を促したり、付き合っている女性へのお花やアクセサリーの贈る配慮も頼み込んだらしい。
応答サービスの担当をしてくれるのは、ハスキーな声を持つ、ホープという女性だった。彼女は、会ってもいないのに雇い主にあたるギヴンズ氏を毛嫌いしているのがその声音から受け取れた。
だから、彼女が、ザックのことを執事のグリズワルドだと誤解したのを訂正しなかった。
折角、楽しそうに接してくれるホープのハスキーな声から、その温かみが消えてしまうのは大きな損失としか思えなかったのだから。
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